大雪山国立公園特別保護地区での藪漕沢登り登山は法律違反か?

憲法13条の登山する権利について 「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と憲法13条に規定しています。 自由及び幸福追求に対する国民の権利は幸福権ではなく、個人の価値観で幸福を求め自己決定する権利であり、登山はあの頂に立って幸せになりたいと自己決定して登ることは正に幸福追求権であるといえるでしょう。 全ての人に共通する価値観はありえません。「そんなとこ登ってなにがおもろいねん!あほか!」と思っているだけならいいのですが、ネットに書き込むと偏見、差別、イジメを助長することになります。 ネット社会において幸福追求権の自己決定権について諸学説を考えて見ました。 ◎一般的行為自由説 憲法13条の規定は国家権力を制限して個人の自由、幸福追求権を擁護することを目的とするのであるから個人の自由は広く保護されなければならない。 全ての人に共通する価値観はあり得ず、ある個人にとって重要と考える価値は、他人から見て如何に価値が低く見えるものでも、それを否定することは偏見、差別、イジメを招くことになります。 ◎人格的利益説(人格的自律説) 人格的生存に不可欠な自由という制限があり、自由の判断基準は不明確で一般社会通念を基礎に平均人を基準としている。 しかし、ネット社会において他人と違う価値観が偏見、差別、イジメを招いている現実からすれば、人格的利益説は憲法13条前段の個人の価値観の尊重やネット社会などのイジメ問題には対応せず古典的といわざるを得ません。 ◎現行憲法13条の諸説、立法時の憲法の番人の内閣法制局はどちらを採用しているのか? 自民党憲法改正草案の憲法13条は「個人」を「人」改正しようとしている。 https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/130250_1.pdf まさに個人の多様な価値観を廃し、平均人の価値観を採用しており人格的利益説を取っていると考えられます、現行憲法13条が人格的利益説であれば、わざわざ変える必要もないのです。 いずれにしても裁判所が登山する権利として認めなくても、危険な所に登山するという自己決定権(意思決定権)は輸血拒否事件の最高裁判例で認められており法令として確立しています。 http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52218 通行の自由と土地の所有権について 所有権は民法第206条「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」と定めていますが公法より格下の民法です。 憲法29条にも「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」 これを受け民法第1条「私権は、公共の福祉に適合しなければならない」であります 公法である、憲法、自然公園法や「公共の福祉に適合」の制限を受けているのです、所有権から派生する管理権なども同様です。 土地所有者が林野庁の国有林野の場合は 国有林野の管理経営に関する法律(国有林野の管理経営の目標)第3条 「 国有林野の管理経営の目標は、国土の保全その他国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るとともに、あわせて、林産物を持続的かつ計画的に供給し、及び国有林野の活用によりその所在する地域における産業の振興又は住民の福祉の向上に寄与することにあるものとする。」であり、国有林野の活用により住民の福祉の向上に寄与することにあるもの、でありますから、 国は憲法が保障する通行の自由や住民の幸福追求権(憲法第13条)を管理上尊重しないことはありえません。 山梨県の富士山周辺市町村などが富士山など登山条例を策定するため諮問委員会に答申した結果。(4頁) https://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sgn/documents/houkokusho_1.pdf 富士山は8合目から上は浅間大社の私有地、その下は国有林、5合目から上は国立公園で自然公園法の特別保護地区、登山道は県道指定されていて7月~9月中旬以外は冬期通行止(道路法46条)との状況下で、条例による登山規制は憲法が保障する権利により困難でした。 但し通行の自由も法令の制限があるところは認められません。塀などで囲った構造物の敷地、(建造物侵入罪)耕作地、マッタケ山、タケノコ山など(軽犯罪法)に入ると違法になります。 また、ロープなどで範囲が明確で、さらに所有者、管理者の立入禁止の意思表示が明らかで、私権が公共の福祉や法令で制限されていない私有地は軽犯罪法違反ですが、制限がされている場合でも(憲法13条の公共の福祉の問題)トラブルになるのでご遠慮した方がいいでしょ。 この公共の福祉の意味は他人との幸福追求権との調整で分かり易くいうと不法行為により他人に迷惑をかけないことです。 登山道と植物の損傷について 素晴らしい自然の景色を見て幸せになるため国立公園など自然公園は設定されている。自然公園法の目的(第1条)には植物の保護という文言はないし、また登山道以外を歩くことを規制する規定も自然公園法にはありません。 総務省のe-Gov法令検索で法令用語検索「自然公園法 登山道」で検索すれば分かります。 自然公園法第1条(目的)を紹介します。 「この法律は、優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与することを目的とする。」と規定しており憲法13条の幸福追求権を立法が国民の幸せのため尊重したものです。 「登山道以外は歩くいてはいけない」とのイメージが定着していますが自然公園法には「登山道」との文言はありません。 登山道の法令規定について探してみました。 国立公園の公園計画作成要領(環境省自然環境局長通知で法律ではありません)(11頁) https://www.env.go.jp/park/doc/law/keikaku03_1.pdf 自然公園法施行令1条1号の歩道(公園利用施設としての登山道)の整備計画について 「高度の登山技術又は深い経験を必要とする専門的な登山ルート(ロッククライミング、沢登り、藪こぎ、山スキー等のいわゆるバリエーションルート)は計画しないこと。」(11頁)と記載してあります。自然公園法違反であればこのような記載はしないはずでバリエーションルートも環境省は登山道であると認識している証です。 このことを裏付けるように長野県登山安全条例20条の指定登山道にはバリエーションルートも含まれています。 https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/tozanjorei/documents/02_tozanjorei.pdf https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/tozanjorei/shiteitozando.html 条例は憲法94条「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。」との規定を受け、地方自治法14条1項「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。」と規定されていて、法令に違反する条例は作れないことから、長野県登山安全条例の登山道の考え方は自然公園法に違反するものではありません。 よって法令による登山道の定義にはバリエーションルートも含まれると理解するべきです。 自然公園法21条(特別保護地区)などに記載されている植物を許可なく損傷すれば自然公園法違反であります。登山道を除外する規定はなく、登山道上で植物を損傷する可能性は0ではありません。 許可は書面申請で添付書類に地権者の承諾書も添付しなければなりません。 このような手続きをしなければ公園利用ができないのでは自然公園法の目的(1条)である「利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資する」に違反します。 また登山道の通行を事実上規制することは憲法22条の通行の自由を侵害することにもなりますので運用上放任していると考えられます。 通行の自由の根拠(4頁) https://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sgn/documents/houkokusho_1.pdf 同じような事は道路法による都道府県市町村道の冬期通行止めで歩行者が通行すると道路法46条違反ですが憲法22条の通行の自由を侵害することにもなりますので運用上放任しているのです。 現実的に北海道の日高山脈襟裳国定公園の管理者の北海道のホームページには(最終頁) http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/environ/parks/hidaka.htm ハイマツ漕ぎをするのが基本ですと記載されています。 日高山脈の主稜線は自然公園法の特別保護地区です。ここを通る自然公園法施行令1条1号の歩道ですらハイマツの海です。 日高山脈襟裳国定公園の区域図 http://www.hidaka.pref.hokkaido.lg.jp/hk/kks/qnp/hidaka_keikakuzu2.pdf 北海道以外でも利用者の少ない特別保護地区の登山道は草木が多い茂り藪漕ぎをしなければなりません。 また利用者が多い特別保護地区の登山道でも風倒木などで本来の道が通れず藪漕ぎして迂回しなければならない状況が発生します。初期に藪漕ぎした人は違反で道形ができて通行した人は違反でないという不合理が発生します。 全ての登山道の幅が明示されている訳でもなく、登山道(登山ルート)上の植物の損傷については事実上放任されているのです。 憲法98条「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」との規定があるからです。 全ての法令の基本は憲法です。 特に憲法13条が登山には重要です。
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