活動データ
タイム
10:01
距離
10.7km
のぼり
889m
くだり
889m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る※長い反省文です。すいません、気が向いたらどうぞ。 山に登る以上遭難のリスクが付いてくることは理解はしているつもりでしたが、まだまだ自分の甘さを思い知らされる事になりました。ただただ反省するのみです。 結果から言うと隠れクラックに全身落ちてしまったのです。誰もいな山で… それは、山頂に続く最後の尾根を登っている時でした。 尾根にせり出した雪庇を避け木々の生えた薮の方を登っていたのですが徐々に尾根が細くなり藪側の傾斜もきつくなってきたので雪庇との境の尾根中心付近を登るようになりました。そして尾根上の灌木を避けた拍子に雪庇の方に出てしまいました。すると数メートル先にクラックが入っており危険を感じ藪の中へ戻ろうとしたのですが、その際に出てきた場所に戻らず、不用意にも前進しながら藪の中に戻ろうとして1歩踏み出した瞬間の出来事でした。 ガサッと言う音と共にサングラスに雪が付き目の前が真っ白になりました。一瞬の出来事でまた、踏み抜いたかと思ったのですが、雪を払おうとサングラス外した瞬間自分の置かれた状況が想像以上に酷いことを理解しました。 やってしまった…、登山をしていて初めて『遭難』の2文字が頭をよぎった瞬間でした。上を見上げると穴の中から空が見えますが、手を伸ばしても地上には手が届かない状態なので2m以上は落ちたようです。 クラックの底は暗くて良く分かりません、内部は片側が雪面で片側が切れ落ちた尾根の凍りついた斜面でした。 幸い尾根から生えていた灌木の枝やザックが引っ掛かったおかげで途中で止まっていました。幅が肩幅より少し広いぐらいのクラックでしたのでそれも幸いしてように思います。 灌木の枝を頼りに登れないかと何度か試みるも、少し登るも滑り落ちて振り出し戻ってしまいます。もがくように何回繰り返したでしょうか、このままでは体力を消耗するだけだと思い。一度落ち着いて何か使えそうなものは無いかと周りを見渡すと灌木の枝の中に一本少し太めで雪庇の中へ刺さっているものを発見しました。 これなら安定した足場になるのではと体制を整え足を掛けました、初めはスノーポンが滑ってなかなかうまく行きませんでしたが何度か繰り返すうちに何とか枝の上に立ち上がることが出来ました。 自分の体重に折れずに絶えてくれた灌木には感謝しかないですね、枯れ枝じゃなくて良かった。 ただ、まだ依然として頭ですら地上に届いていません。右足を灌木に乗せ体を突っ張らせる事で何とか体を支えている状態ですので今度は左足を灌木の細枝の束の根元で確保し、そこからで両手、両足を突っ張らせ体を押し付けるようにして体制維持しつつ三点支持の要領で滑り落ち無いように少しずつ慎重に登ります。 何とか目線が地上の高さになったところで邪魔なストックを先に地上に出して、ピッケルを雪面に刺してホールドにして力を加えましたが、刺した場所と角度が悪く抜けてしまいそのまま振り出しに戻ってしまいした。 しかし、落ち込んでいる暇はありません。逆に手応えを感じたので再度同じ方法を試みます。今度は肩まで地上に出してから、しかっりとした尾根側の雪面にピッケルのシャフトを目一杯突き刺しホールドにして抜けないか確認してから力を掛けました。 左手でピッケルを引き寄せるように力を掛けて、右手は雪庇の方に突っ張らせる様に力を加えることで上半身を地上に出すことが出来ました。 最後は両手でピッケルのホールドを抱え込むようにしてクラックから這い出るよに脱出することが出来ました。 脱出しクラックを覗き込むと何と、ザックの脇に差していた折り畳み椅子(滅多に持って登らないのに今日持っていた…)が灌木の枝に引っ掛けっているではありませんか、山に変なゴミを残したくないと言う心理が勝ってしまい、出てきた逆の要領で自らクラックのへ戻りました。 しかし完全に入ってしまうと大変なので少しずつ下がり、胸ぐらいまで入ったところでピッケルを持って腕を伸ばしピックの部分を椅子入った袋の紐の輪に引っ掛け釣り上げて回収し、今度はピッケルを雪面刺しホールドにして一回目同様に這い出てました。また、出ることが出来たから良いもののかなり冷静さを欠いた行動だったと反省してます。 その後、直ぐそこにまで来ていた山頂を目指しましたが脱出に火事場のクソ力を使ったのでしょうか両足の内腿から前腿にかけてつりかける始末、その後ストレッチし何とか回復しました。 今回助かった要因は、 『落ちた際にバランスを崩さず真っ直ぐ落ちたので、体制を立て直すのに体力を使わなかった』 『クラックの中に丁度灌木がありクッションになり引っ掛かる事が出来た』 『落ちた際に大きな怪我をしなかった(翌日左膝付近に青アザが出来ただけでした)』 『あまり深いクラックでは無く見上げ際に何とかなるはずと思い、終始落ち着いてた(正常性バイアスのせいだと思われるので力尽きる前に脱出出来て良かったが、一本間違うと危なかったかも、椅子とりに戻ったのもこのせいか)』 『クラック内部の幅が両手、両足を突っ張た際に力をかけやすい適度な幅であり、またクラック中である程度からだを自由に動かせる幅が確保されていた』 『本日はピッケルを携行しており、めんどくさがりで1度出したピッケルを持ったままで直ぐ使うことが出来き安定したホールドを確保できた』 色んな偶然が重なりただただ運が良かっただけですね。 そしてやはりピッケルのおかげで安定したホールドを確保出来たのが大きかったようにも思えます、あれがなかったら這い出るのに苦労したかもしくは出来なかったのではと思います。 しかもこのピッケルは猿鼻山に登るにあたり、心配な箇所があったので念のためにと2日前に購入したばかりの新品でした、完全に想定外の場面で大活躍でしたが。 去年の秋に餓鬼山で遭難者に出会い、今度は自身が遭難の一歩手前の状態に陥り、自身のリスク管理について今一度考え直す必要があると思いましたね。自分は大丈夫は決して無いのですから。 今回は山の神様からまだ登山を続けるチャンスを頂けたので今後は大切にしたいです。 長くなったので最後に少しだけ山の情報を山名は猿鼻山、地形図には名前の無い(2週間ほど前に申請は出してみました、結果待ちです)山です。地元の小国町では『さるっぱなやま』と呼ばれている夏道の無い山です。因みに山頂の二等三角点の点名は『さるばなやま』と点の記に記載されていました。 自分も登るにあたり参考にさせていただいた方も仰っていましたが、あまりソロはお薦めの出来ません。また、もう少し雪が締まり安定してからの方が良いように思いますね。長年気になっていた念願の山のひとつで、静かで眺望抜群なので登るなら快晴の日と決めていました。 隣の極楽山同様、わらび園の雪原歩きも楽しめます。 風景は期待以上に良かったです、詳しい山の様子は写真に長々まとめたので、気が向いたらそちら、写真多めで申し訳ないですが、すいません。
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