新倉山・御殿・霜山・木山・木無山・三ッ峠山(開運山)・御巣鷹山・茶臼山・大幡山・清八山・本社ヶ...

2021.01.06(水) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
7 時間 49
休憩時間
39
距離
17.5 km
のぼり / くだり
1692 / 1838 m
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活動詳細

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【メンタルが鍛えられた山行】 2021年初登りは三ツ峠山へ。別名、開運山と言うらしく年初めの山行には名前的にもピッタリなお山だ。 ルートは最もポピュラーな三つ峠駅〜河口湖下山のコースで登ろうと思っていたが、たまたまYAMAPの他の人の記録を拝見した所、下吉田〜三つ峠〜笹子駅に縦走するワイルドなコースがあることを知る。 結果、そちらの方がスリル満点で登り甲斐がありそうだったので、急遽コース変更することに。 のちにこの決断が史上最も過酷な山登りになるとは、その時の僕にはまだ知るよしもなかった。 いつも登山の前日は、夜中に出発という事が殆どで、眠らずに登る事が多いのだが、その前日は時間にも余裕があり、夕方過ぎくらいからぐっすり熟睡することができた。 おかげさまで寝起きはすこぶる調子が良かった。移動の際に菓子パン3つとホットココアを胃袋に収めていざ三つ峠山へ。 このコースをしっかり下調べしていなかったのだがどうやら、神社の奥の裏山から登り始めるコースみたいだ。 いつも感じる事なのだが神社スタートの山登りはとてもテンションが上がってしまう。 今回のコースはアップダウンが激しくそれなりに長丁場になりそうなので三つ峠山山頂まではノンストップで登ってやろうと心に決め、いざ登山開始。 が開始早々すぐに立ち止まり息を荒げる。 いつもと様子が変だ、、、身体がやけに重たいし、右膝に違和感を感じる。 まだ、寒さで身体が慣れていないのだろうと勝手に解釈し、その後はあまり身体の事は気にせず登りに没頭した。 三つ峠山までは標準時間よりだいぶ早く到着する事ができた。  楽しみにしていた頂上の素晴らしい景色は、曇り空で真っ白状態。 それでもって立ち止まっていようものであれば氷点下-3℃の気温に凍てつく風が容赦なく僕の体温を奪っていく。 この場所でノンビリできそうもなかったので殆ど休憩せずに、先を目指す事に。 標準時間では下山予定が17時過ぎだったが、このままのペースを保っていけば日が明るいうちに下山できそうだ。 身体の重さは、幾分か解消された気がしたのだが膝は違和感から今度は少々痛み出してきている。 下山まではおよそ残り5時間の山行。初めての膝痛に少々不安は感じたが、前に進まない訳にもいかないので歩き始める。 15分程歩いた頃だろうか。膝の痛みが増してきた。なんとか左足で庇いながら歩いていたのだが、そのうちしゃがみ込んでしまいそうなぐらいの激痛が10歩に1回ぐらいのペースで出現するようになる。 なんとか痛みに耐え抜いて歩いていたのだが、次第に右足全体が痺れ出してきた。 右足に異常な事が起こっていそうだったので、本社ヶ丸山でしばし休憩を取る事に。 パンとチョコレート、それに温かい生姜湯を飲み、しばらくボーっとする。 よし!残り少し頑張るぞ! 重い腰をあげようとした瞬間、右膝に想像を絶する衝撃波が走る。 やばい!痛くて起き上がれない。 (例えるなら雷が右膝の一点に直撃したようなイメージ。雷に打たれた事がないので、それがどんなに痛い事なのかは分からないのだが、なんとなくその痛みに近い感じがする) しばらくその場から動けず、、、 タバコを吸いながら、少し冷静に今の現実と向き合い、対処法を模索。 一瞬、この場所でビバークも考えたが、きっと夜には-10℃ぐらいになってるだろうし、考えただけでゾッとしたのですぐに頭からビバークは消し去る。 やっぱり残された選択は、この痛みと真正面から向き合っていくしかない。 ふと、カバンの中に意識を向けると殆ど使用していなかったので、記憶に忘れていたのだが常備救急キットを持ってきている事を思い出す。 中に何が入っているかは思い出せなかったが遠い記憶を辿ると運良く行けばテーピングが入っている。最悪でもロキソニンは入れてあった記憶がある。少し安堵しながら、救急キッドのチャックを下へ下へずらしていく。 中身から顔を出したのは、なんと!! ポイズンリムーバー、ワセリン、バンドエイド1枚のみであった、、、 非常に悲しかった。 ロキソニンはあると思っていた分本当に悲しかった。 (例えるなら、長年連れ添った妻がある日突然、何の置き手紙もなく綺麗さっぱり居なくなってしまったイメージに近い。 まだ独身なのであくまで勝手なイメージなのだが) けど、おかげで気持ちが吹っ切れた。 残り3時間。痛みに耐え抜いてやる。 効果があるかは知らないが膝に水筒カバーをぐるぐるに巻き付け膝を圧迫してみる。残りの生姜湯を一気に飲み干しリラックス。 その後、周りをなんとなく見渡すとすぐ近くにいかにも僕を待っていたかのように杖っぽい気が落ちている事に気付く。 その木を手で握ってみると、不思議な事にとても温もりを感じた。三つ峠山頂上でソロ登山者2名と会ったきり、誰一人会っていなく多少の心細さがあったのだが、不思議とその木は人の温もりに近いものを握った瞬間感じとれた。妙な安堵感が芽生える。 その木に掴まり起きあがる。 相変わらず痛いが起き上がれない程でもない。一歩一歩その木に支えてもらいながらゆっくり歩く。何故だか一人で歩いている感じがしなくなった。 あれから何分歩いただろう。痛みに耐えながら集中して歩いていたので正確には覚えていないが、だいぶ登山道も緩やかになってきて幾分か歩きやすい道に変わってきた。 その後も、しばらく歩き進めていると、登山道に鹿の糞ではない何かしらの獣の糞が。しかも数十メートルごとに落ちている。 この糞を全部寄せ集めたら僕の糞の1ヶ月分ぐらいはありそうだ。 少し嫌な雰囲気を感じとった瞬間、前方に物体が動き出したー。 僕の存在に気付いたのか、獣二頭が全速力で山を駆け降りていった。あまりに一瞬の出来事だったのでハッキリとは分からなかったが逃げていく後姿の背格好的にあれは熊か猪だろう。 普段の僕なら冷や汗オドオド系だっただろうが正直、今はそれどころじゃない。 その後も歩いては止まり歩いては止まり、、、右膝の激痛は変わらずあったが木のおかげで心身共にとても助けられている気がした。 途中派手に転んでしまう。その際、ずっと僕の身体を支えてくれた木を折ってしまう。 少々短くなってしまった為、以前に比べて使いずらくなってしまったが、決して新しい木には変えない。 一緒に苦しみを共有している分、この木に少しばかり愛着が沸き出しているではないか。なんとかこの木と一緒に下山したい。 ZARDの「負けないで後もう少し」のサビの部分をエンドレスリピートしながら何度も口ずさんでいると、前に町が見え出した。ゴールまであともう少しだ。 無事に目的地に辿り着いた瞬間、これまでにない達成感と安堵感でいっぱいだった。 今回の山行で色々反省するべき事はたくさんあったが何より無事に最後まで耐え凌いでくれた右膝に感謝しながら今宵は温かい布団で眠りにつきたいと思います。 でわ、皆さま今年も良いお年を〜

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