奥秩父に散った師匠を悼む…。柳沢峠周回二日目

2020.11.24(火) 日帰り

活動データ

タイム

00:00

距離

0m

のぼり

0m

くだり

0m

活動詳細

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【大常木山】 大常木谷源頭にあたる山。 オオは美称。 ツネは谷の奥という意味のツメの転。 キは場所を示す接尾語。 【竜喰山(竜喰谷ノ頭)】 竜喰谷の源頭にあたるのでこの名がある。 ①リュウは谷間を意味する地形語、ハミは山稜近い草地の意味。 ②リョー(猟)がリューに転訛。ハミは茅戸の意味。 つまり、猟をする茅戸という意味。 【西御殿岩(御殿岩ノ頭)】 甲斐では、山頂の岩をゴテンという。 東御殿岩にあたる場所には山ノ神が祀られているらしいが未確認である。 または、山ノ神の西にあるため西御殿岩と呼ばれているのだろうか。 【唐松尾山】 読んで字の如し、カラマツのある尾根の頭という意味である。 【黒槐ノ頭】 黒槐尾根のツマリ(セリ)にあたるのでこの名がある。 槐(えんじゅ)はアサ木の名という。 【黒槐山】 黒槐ノ頭の北にあり、ひときわ大きなピークのため、黒槐山と呼ばれるようになったのだろう。 【笠取山(袴腰)】 ①なだらかな尾根をトオリといい笠型のトオリからカサトオリ⇒カサトリになった。 ②江戸時代に国境で会った役人が笠をとって挨拶をした。 ③笠が飛ばされるほど風が強い。 主に三つの由来があり諸説あって定かではない。 別名は、寺院鐘楼の袴腰(はかまごし)に似ていることからそう呼ばれる。 ☆詳細は「もっと見る」または画像をタップかクリック!

 将監小屋幕場

出発前にもう一度防寒着の確認をしておけば良かったと思ったが後の祭り。
無いものは無い!
下半身がインナーとズボンの二枚だけだったので寒くて仕方ない。
インナーもう一枚と冬用ズボンを持ってくれば良かった。
ここは、東京と違って標高もかなり高いのだ。
下界が暖かいからと言って山も暖かいとは限らない。
初歩的なミスをまたしても犯してしまった。
全身が冷たく感じて、寒さで眠れず、横向きで足を小刻みに屈伸させたり、擦ったりしたが、少しも暖かくならなかった。
電気アンカのある暖かい布団で寝たいよー!
それでもいつの間にかうとうとしていて、周囲がざわざわしているのに気がついて目が覚めたら3時30分を過ぎたところだった。
4時30分の起床予定だったのでまだ寝ていられるなと思って、すぐにうとうとし始めた。
次に目が覚めると、ツエルトの生地が赤くなっていた。
やばい!寝坊した!
時計は6時を過ぎていた。
慌ててトイレに行き、朝食の赤飯おにぎりを口に入れる。
とにかく足先から冷えるので、出発する気になれない。
ツエルトを設営したままデポして行く予定だったが、暖かくなるのを待つのだったらツエルトを撤収して、将監峠にザックをデポしたほうがいいなと思い、ツエルトの撤収を開始する。
周囲のテントの数は半数以上無くなっていて、次の幕場へ行ったようだ。
将監小屋幕場 出発前にもう一度防寒着の確認をしておけば良かったと思ったが後の祭り。 無いものは無い! 下半身がインナーとズボンの二枚だけだったので寒くて仕方ない。 インナーもう一枚と冬用ズボンを持ってくれば良かった。 ここは、東京と違って標高もかなり高いのだ。 下界が暖かいからと言って山も暖かいとは限らない。 初歩的なミスをまたしても犯してしまった。 全身が冷たく感じて、寒さで眠れず、横向きで足を小刻みに屈伸させたり、擦ったりしたが、少しも暖かくならなかった。 電気アンカのある暖かい布団で寝たいよー! それでもいつの間にかうとうとしていて、周囲がざわざわしているのに気がついて目が覚めたら3時30分を過ぎたところだった。 4時30分の起床予定だったのでまだ寝ていられるなと思って、すぐにうとうとし始めた。 次に目が覚めると、ツエルトの生地が赤くなっていた。 やばい!寝坊した! 時計は6時を過ぎていた。 慌ててトイレに行き、朝食の赤飯おにぎりを口に入れる。 とにかく足先から冷えるので、出発する気になれない。 ツエルトを設営したままデポして行く予定だったが、暖かくなるのを待つのだったらツエルトを撤収して、将監峠にザックをデポしたほうがいいなと思い、ツエルトの撤収を開始する。 周囲のテントの数は半数以上無くなっていて、次の幕場へ行ったようだ。
 将監小屋
将監小屋
 将監峠(井戸沢ノタル)

将監峠に登って、ザックをデポして、水やおにぎりの入ったサブザックで、飛竜方面の東へ進む。
すぐに竜喰山へ踏み跡が別れるが笹藪が酷くて上がる気になれない。
ここは下山ルートにして、東から大常木山を経て辿ることにする。
縦走路は歩きやすく、涸れ沢には、恐ろしい木橋がかかり、下を見ないように進む。
道がすっぱり崩れているところは、左斜面に迂回路があったが、不安定で歩きにくく、手をつきながら進んで、本道に復帰する。
しばらく進むとまたしても崩壊しているが、ガレ場に細い踏み跡があって、歩けるようになっていた。
枝尾根を回り込む手前で上に上がる踏み跡を見つけてGPSで確認すると、大常木山の直下まで行けそうだ。
将監峠(井戸沢ノタル) 将監峠に登って、ザックをデポして、水やおにぎりの入ったサブザックで、飛竜方面の東へ進む。 すぐに竜喰山へ踏み跡が別れるが笹藪が酷くて上がる気になれない。 ここは下山ルートにして、東から大常木山を経て辿ることにする。 縦走路は歩きやすく、涸れ沢には、恐ろしい木橋がかかり、下を見ないように進む。 道がすっぱり崩れているところは、左斜面に迂回路があったが、不安定で歩きにくく、手をつきながら進んで、本道に復帰する。 しばらく進むとまたしても崩壊しているが、ガレ場に細い踏み跡があって、歩けるようになっていた。 枝尾根を回り込む手前で上に上がる踏み跡を見つけてGPSで確認すると、大常木山の直下まで行けそうだ。
 崩壊地は左から迂回
崩壊地は左から迂回
 崩壊しているけど通行可能
崩壊しているけど通行可能
 ここから取付く

大ダワまで行ってから尾根伝いに将監峠に戻る予定だったが、ショートカットすれば、寝坊した分を取り戻せると思い、踏み跡を上がることにした。
枝尾根に上がって登って行くと高さ5mほどの大岩が立ちはだかる。
右か左か迷ったが、右からよけることにする。
尾根を塞ぐ大岩を右からよけると、踏み跡が水平に続いているが獣道のような気がしたので、左の尾根を目指して斜面を無理やり登ると、尾根上で踏み跡が出て来て、小笹を踏みながら登って行くと、小さな岩峰にたどり着いた。
ここが大常木山か?
とGPSを見てみると、どうやら二つほど東のピークだったようだ。
右は、シャクナゲの中に踏み跡が大ダワに続いているが、左はシャクナゲの藪で進めない。
先ほど登った踏み跡を戻って藪のないところを西へトラバースすると踏み跡が出て来た。
岩峰の手前で右の道へ行ってみたが、シャクナゲの藪で進めなくなり、岩峰を登ってみると、どうにか越えられそうなので、三点支持で岩場を下る。
踏み跡はわからずGPSを見ても山頂が近いはずなのに、どこに山頂があるのかわからない。
とにかく西へ進み、この岩峰も偽ピークだろうと思って登ってみると、大常木山の文字を見つけて驚喜した。
苦労の末に登頂できた山ほど嬉しいものはない。
北側の眺めが良く、東仙波などが良く見え、しばらく登頂できた喜びの余韻にひたる。
ここから取付く 大ダワまで行ってから尾根伝いに将監峠に戻る予定だったが、ショートカットすれば、寝坊した分を取り戻せると思い、踏み跡を上がることにした。 枝尾根に上がって登って行くと高さ5mほどの大岩が立ちはだかる。 右か左か迷ったが、右からよけることにする。 尾根を塞ぐ大岩を右からよけると、踏み跡が水平に続いているが獣道のような気がしたので、左の尾根を目指して斜面を無理やり登ると、尾根上で踏み跡が出て来て、小笹を踏みながら登って行くと、小さな岩峰にたどり着いた。 ここが大常木山か? とGPSを見てみると、どうやら二つほど東のピークだったようだ。 右は、シャクナゲの中に踏み跡が大ダワに続いているが、左はシャクナゲの藪で進めない。 先ほど登った踏み跡を戻って藪のないところを西へトラバースすると踏み跡が出て来た。 岩峰の手前で右の道へ行ってみたが、シャクナゲの藪で進めなくなり、岩峰を登ってみると、どうにか越えられそうなので、三点支持で岩場を下る。 踏み跡はわからずGPSを見ても山頂が近いはずなのに、どこに山頂があるのかわからない。 とにかく西へ進み、この岩峰も偽ピークだろうと思って登ってみると、大常木山の文字を見つけて驚喜した。 苦労の末に登頂できた山ほど嬉しいものはない。 北側の眺めが良く、東仙波などが良く見え、しばらく登頂できた喜びの余韻にひたる。
 薮尾根か~
薮尾根か~
 ゲゲゲ!大岩だよ!
ゲゲゲ!大岩だよ!
 右からよける
右からよける
 富士山見えた
富士山見えた
 コブに着いたけど大常木山じゃないみたい
コブに着いたけど大常木山じゃないみたい
 富士山がまた見えた
富士山がまた見えた
 穏やかな場所もあるけど
穏やかな場所もあるけど
 岩場が多くなる
岩場が多くなる
 岩峰を越える
岩峰を越える
 岩峰
岩峰
 やっと大常木山に到着
やっと大常木山に到着
 先週登った東仙波
先週登った東仙波
 南の岩場から富士山が見える
南の岩場から富士山が見える
 ここは下れない

西へは、下るのが難しい岩場なので、少し戻ると南に張り出した岩の上から富士山が拝めた。
わずかに下って、西へ進むとまたしても岩峰にぶつかる。
北側に踏み跡があったので行ってみたが大嫌いなシャクナゲの藪。
以前、日光白根山から皇海山へ縦走した時、五峰でシャクナゲの森に迷い混み、危うく遭難しそうになったことがあり、それ以来シャクナゲはトラウマになっていて、見るだけで恐ろしく、シャクナゲ恐怖症のようになっている。
北側は、シャクナゲで鬱蒼としていて、しかも急斜面なので、北側を巻いて進むことはできない。
戻って岩峰を登ってみると、西側が藪で下れず下の様子も不明なので、戻って南側から岩峰を巻いて進むとまた岩峰にぶつかってしまった。
岩峰に登るとやはり西側が藪で下れない。
北側はシャクナゲ地獄だし、南側に踏み跡を探すが見当たらない。
これ、やべーな…。
こんなところで道に迷ってしまった。
焦るな焦るなと言い聞かせてみても、心臓のバクバクが止まらない。
久々にやっちまったかー?

南側が明るい小笹の斜面なのが救い。
所々、滑落しそうな急斜面なので、落ち着いて下れそうな緩い斜面を探す。
落ち着け落ち着けー!
こんなところで遭難かよー?
やべーな。

来た道を戻れば良いのだが、半分パニックになっていて、もうどこからどうやって来たのかわからない。
道が無い!
以前師匠と来たときは、すんなり歩けたので、慢心していたのだろう。
当たり前の話しだが、ソロでは自分でルートを見つけないといけないのだ。

西へは傾斜が急で進めなくなったので、緩い斜面を探して南へ下ることにした。
ここは下れない 西へは、下るのが難しい岩場なので、少し戻ると南に張り出した岩の上から富士山が拝めた。 わずかに下って、西へ進むとまたしても岩峰にぶつかる。 北側に踏み跡があったので行ってみたが大嫌いなシャクナゲの藪。 以前、日光白根山から皇海山へ縦走した時、五峰でシャクナゲの森に迷い混み、危うく遭難しそうになったことがあり、それ以来シャクナゲはトラウマになっていて、見るだけで恐ろしく、シャクナゲ恐怖症のようになっている。 北側は、シャクナゲで鬱蒼としていて、しかも急斜面なので、北側を巻いて進むことはできない。 戻って岩峰を登ってみると、西側が藪で下れず下の様子も不明なので、戻って南側から岩峰を巻いて進むとまた岩峰にぶつかってしまった。 岩峰に登るとやはり西側が藪で下れない。 北側はシャクナゲ地獄だし、南側に踏み跡を探すが見当たらない。 これ、やべーな…。 こんなところで道に迷ってしまった。 焦るな焦るなと言い聞かせてみても、心臓のバクバクが止まらない。 久々にやっちまったかー? 南側が明るい小笹の斜面なのが救い。 所々、滑落しそうな急斜面なので、落ち着いて下れそうな緩い斜面を探す。 落ち着け落ち着けー! こんなところで遭難かよー? やべーな。 来た道を戻れば良いのだが、半分パニックになっていて、もうどこからどうやって来たのかわからない。 道が無い! 以前師匠と来たときは、すんなり歩けたので、慢心していたのだろう。 当たり前の話しだが、ソロでは自分でルートを見つけないといけないのだ。 西へは傾斜が急で進めなくなったので、緩い斜面を探して南へ下ることにした。
 南側でトラバース道発見

小笹の茂る斜面を不安になりながら下ると、トラバースしている踏み跡に出ることができてホッとした。
その踏み跡を西にたどると岩峰をうまく迂回できて、尾根に乗ることができた。
振り反って見ても、岩峰は登れそうにないし、北側はシャクナゲだし、南側の踏み跡も不明瞭である。
竜喰山から来たとしたらここで迷っていただろう。
南側でトラバース道発見 小笹の茂る斜面を不安になりながら下ると、トラバースしている踏み跡に出ることができてホッとした。 その踏み跡を西にたどると岩峰をうまく迂回できて、尾根に乗ることができた。 振り反って見ても、岩峰は登れそうにないし、北側はシャクナゲだし、南側の踏み跡も不明瞭である。 竜喰山から来たとしたらここで迷っていただろう。
 やっと尾根に出られた~
やっと尾根に出られた~
 シャクナゲの薮は左からよける

気持ちの良い笹原のなだらかな尾根となり、1960m圏峰でやや右に向きを変える。
平頂の1980m圏峰は、原氏によると鳥小屋ノ頭で、ナガラシ沢の源頭にもあたるので、別名ナガラシノ頭ともいう。
規模の大きな崩壊や荒地を長アラシといい、それがナガラシとなった。
ここから南西にモリ尾根が分かれている。
竜喰谷と大常木谷を分ける尾根で1782m峰をモリ頭といい、丸い山頂からきている。
ちなみに、私のHNの由来もここからきている。

笹原の中を行くとまたしても展望が広がり、時間があればゆっくり歩きたい。
シャクナゲのピークが1999m峰で緑の回廊の看板が置いてある。
この辺りで風が強くなってきた。
鞍部から登り返して、針葉樹の中を進むと、竜喰山山頂に着くが展望は無い。
井戸沢と椹谷を分ける天目尾根が分かれているがロープで進めないようになっている。
シャクナゲの薮は左からよける 気持ちの良い笹原のなだらかな尾根となり、1960m圏峰でやや右に向きを変える。 平頂の1980m圏峰は、原氏によると鳥小屋ノ頭で、ナガラシ沢の源頭にもあたるので、別名ナガラシノ頭ともいう。 規模の大きな崩壊や荒地を長アラシといい、それがナガラシとなった。 ここから南西にモリ尾根が分かれている。 竜喰谷と大常木谷を分ける尾根で1782m峰をモリ頭といい、丸い山頂からきている。 ちなみに、私のHNの由来もここからきている。 笹原の中を行くとまたしても展望が広がり、時間があればゆっくり歩きたい。 シャクナゲのピークが1999m峰で緑の回廊の看板が置いてある。 この辺りで風が強くなってきた。 鞍部から登り返して、針葉樹の中を進むと、竜喰山山頂に着くが展望は無い。 井戸沢と椹谷を分ける天目尾根が分かれているがロープで進めないようになっている。
 昔、師匠と歩いた場所、憶えてるわ~
昔、師匠と歩いた場所、憶えてるわ~
 気持ちの良い尾根歩き
気持ちの良い尾根歩き
 鳥小屋ノ頭(ナガラシノ頭)山頂
鳥小屋ノ頭(ナガラシノ頭)山頂
 竜喰山への道
竜喰山への道
 竜喰山への道
竜喰山への道
 竜喰山への道
竜喰山への道
 南側の展望
南側の展望
 1999m峰
1999m峰
 広々した鞍部
広々した鞍部
 竜喰山山頂

左の明瞭な踏み跡を下ると、一組のカップルとすれ違い挨拶をする。
南側の展望が広がり小さなコブを越える。
笹で踏み跡がわからなくなるが、マーキングを探して下って行く。
またしても踏み跡を見失い、南側を探すとマーキングがあった。
かなり傾斜が急で、しかもこの笹藪だと登りは大変そうだ。
下りなら力任せで強引に下ることができてしまうので楽ちん。
竜喰山山頂 左の明瞭な踏み跡を下ると、一組のカップルとすれ違い挨拶をする。 南側の展望が広がり小さなコブを越える。 笹で踏み跡がわからなくなるが、マーキングを探して下って行く。 またしても踏み跡を見失い、南側を探すとマーキングがあった。 かなり傾斜が急で、しかもこの笹藪だと登りは大変そうだ。 下りなら力任せで強引に下ることができてしまうので楽ちん。
 南側の展望が広がる
南側の展望が広がる
 道を見失った後、みつけたマーキング
道を見失った後、みつけたマーキング
 西御殿岩
西御殿岩
 笹藪を下る
笹藪を下る
 山ノ神土

将監峠(井戸沢ノタル)に戻ったらザックを回収して、パンを食べる。
荷物がズシリと肩に食い込み、ゆっくりと山ノ神土へ向けて歩きだす。
すれ違う人がけっこう多くて、みんな大きなザックなのでテント泊のようだ。
崩壊地跡に崖崩れ防止工事をされた場所を見ながら上がって行く。
まだかまだかと思っていた西御殿岩分岐にようやく着く。
狭い場所なので、右の道に少し入った場所にザックをデポして空身で往復することにする。
岩の間を登ると、尾根が近づいてきて、尾根に出ると冷たい風が吹き抜けている。
岩場となるが、左側の土のところを登れば良いので、見た目ほど難しくはない。
強風の吹き荒れる岩峰に出て、少し奥へ行くと西御殿岩だ。
南側は真っ白だったが、和名倉山が見えていたのが嬉しい。
一雨来そうな雲行きなので、すぐに来た道を引き返す。
山ノ神土 将監峠(井戸沢ノタル)に戻ったらザックを回収して、パンを食べる。 荷物がズシリと肩に食い込み、ゆっくりと山ノ神土へ向けて歩きだす。 すれ違う人がけっこう多くて、みんな大きなザックなのでテント泊のようだ。 崩壊地跡に崖崩れ防止工事をされた場所を見ながら上がって行く。 まだかまだかと思っていた西御殿岩分岐にようやく着く。 狭い場所なので、右の道に少し入った場所にザックをデポして空身で往復することにする。 岩の間を登ると、尾根が近づいてきて、尾根に出ると冷たい風が吹き抜けている。 岩場となるが、左側の土のところを登れば良いので、見た目ほど難しくはない。 強風の吹き荒れる岩峰に出て、少し奥へ行くと西御殿岩だ。 南側は真っ白だったが、和名倉山が見えていたのが嬉しい。 一雨来そうな雲行きなので、すぐに来た道を引き返す。
 土留め工
土留め工
 涸れ沢を渡る
涸れ沢を渡る
 西御殿岩分岐
西御殿岩分岐
 岩の間を登る
岩の間を登る
 岩の左を登れる
岩の左を登れる
 西御殿岩山頂
西御殿岩山頂
 和名倉山
和名倉山
 和名倉山と東仙波
和名倉山と東仙波
 唐松尾山
唐松尾山
 稜線が近づく
稜線が近づく
 唐松尾山山頂

女性二人組とすれ違い、ザックを回収して、重い足取りで歩いて行く。
強風とガスで気が滅入って来てなかなか前に進まない。
尾根が次第に近づいて来て、尾根に乗ると急登になって、指導標の立つ場所に着く。
ここから右へわずかに進むと唐松尾山だが、相変わらず展望は無い。
黒岩方面はロープで行けないようになっていて、「この先登山道ではありません、危険!危険!」書かれた紙が落ちている。
師匠はここからブドウ沢に向かったのだろうか?
でもそれだと、枝沢を渡らないといけないので、リスクが増えてしまう。
最短の黒槐尾根だろうなと予想。

ポツリ…。
雨か?
こんな風の強い時に雨に濡れたらやべーよー。
軽量化重視で雨具置いてきちまったから。
もしもの時はツエルト被ればいいし。

尾根を下っていると、テント泊の人がゆっくり上がって来ている。
挨拶がてら、寒いですねーと声をかけると、苦笑いしながら話しかけてくれた。
こんな寒い時は、人とのコミュニケーションが暖かい。

岩場を縫うように下り、シャクナゲの茂る右の北側を下ると男性が休んでいた。
シャクナゲの中を下るのかな?
またしても道がわからない。
せっかくだから聞いてみよう!
シャクナゲの方を指さして、こっちですかねー?
と聞くと、違いますよ、こっちですよ!頑張ってください!
と励まされた。
なんと優しい人だ!
こちらは他人を励ます余裕などもうないのに…。
こういう、厳しい状況だと思いやりが見に染みるなー。

はい!頑張ります!と苦笑いして、反対側の南側へと進んで明るい尾根を乗り越えた。
つまりこの辺りは、一旦北側に下ってから南側に戻るという道筋なのだ。

あそこで道を聞ける人がいなかったら道に迷って遭難していたかもしれない。
そういえばソロで笠取方面へ向かうのは、初めてだな。
今までは、奥多摩の重鎮Hgさんや師匠たちと歩いていたからな。
方向が違うだけで、難易度が変わるということか。
それか、自分の技術力がまだ未熟なのだろう。
唐松尾山山頂 女性二人組とすれ違い、ザックを回収して、重い足取りで歩いて行く。 強風とガスで気が滅入って来てなかなか前に進まない。 尾根が次第に近づいて来て、尾根に乗ると急登になって、指導標の立つ場所に着く。 ここから右へわずかに進むと唐松尾山だが、相変わらず展望は無い。 黒岩方面はロープで行けないようになっていて、「この先登山道ではありません、危険!危険!」書かれた紙が落ちている。 師匠はここからブドウ沢に向かったのだろうか? でもそれだと、枝沢を渡らないといけないので、リスクが増えてしまう。 最短の黒槐尾根だろうなと予想。 ポツリ…。 雨か? こんな風の強い時に雨に濡れたらやべーよー。 軽量化重視で雨具置いてきちまったから。 もしもの時はツエルト被ればいいし。 尾根を下っていると、テント泊の人がゆっくり上がって来ている。 挨拶がてら、寒いですねーと声をかけると、苦笑いしながら話しかけてくれた。 こんな寒い時は、人とのコミュニケーションが暖かい。 岩場を縫うように下り、シャクナゲの茂る右の北側を下ると男性が休んでいた。 シャクナゲの中を下るのかな? またしても道がわからない。 せっかくだから聞いてみよう! シャクナゲの方を指さして、こっちですかねー? と聞くと、違いますよ、こっちですよ!頑張ってください! と励まされた。 なんと優しい人だ! こちらは他人を励ます余裕などもうないのに…。 こういう、厳しい状況だと思いやりが見に染みるなー。 はい!頑張ります!と苦笑いして、反対側の南側へと進んで明るい尾根を乗り越えた。 つまりこの辺りは、一旦北側に下ってから南側に戻るという道筋なのだ。 あそこで道を聞ける人がいなかったら道に迷って遭難していたかもしれない。 そういえばソロで笠取方面へ向かうのは、初めてだな。 今までは、奥多摩の重鎮Hgさんや師匠たちと歩いていたからな。 方向が違うだけで、難易度が変わるということか。 それか、自分の技術力がまだ未熟なのだろう。
 鞍部で一息

急下降が終わって、なだらかな尾根となり、明るい鞍部でパンを食べながら休む。
少し空が明るくなってきたかな?
ポツリと来たときはひやっとしたがどうやら雨は無さそうで安心した。

急登の後、2044m峰を越え、なだらかな尾根となり林班標識でやや右に向きを変える。
次のコブが中休場尾根ノ頭だろうか。地形図には、閉塞圏がない。

十二箇所刻ノ頭というのは、どこになるのだろう?
少し進むとコブがいくつも並ぶ場所になる。
笹藪を分けてとりあえず全部のコブを踏むと、一番奥のコブに黒槐ノ頭の山名標があった。

登山道に戻って下っていくと、道が左に折れて正面には、かなり大きな山がある。
師匠は、黒槐尾根を登って、ここから事故現場へ向かったのだろう。
鞍部で一息 急下降が終わって、なだらかな尾根となり、明るい鞍部でパンを食べながら休む。 少し空が明るくなってきたかな? ポツリと来たときはひやっとしたがどうやら雨は無さそうで安心した。 急登の後、2044m峰を越え、なだらかな尾根となり林班標識でやや右に向きを変える。 次のコブが中休場尾根ノ頭だろうか。地形図には、閉塞圏がない。 十二箇所刻ノ頭というのは、どこになるのだろう? 少し進むとコブがいくつも並ぶ場所になる。 笹藪を分けてとりあえず全部のコブを踏むと、一番奥のコブに黒槐ノ頭の山名標があった。 登山道に戻って下っていくと、道が左に折れて正面には、かなり大きな山がある。 師匠は、黒槐尾根を登って、ここから事故現場へ向かったのだろう。
 岩場の登り
岩場の登り
 2044m峰
2044m峰
 緩やかに登る
緩やかに登る
 2030m圏峰
2030m圏峰
 2020m圏峰
2020m圏峰
 コブ
コブ
 コブ
コブ
 黒槐ノ頭山頂
黒槐ノ頭山頂
 黒槐ノ頭山名標
黒槐ノ頭山名標
 鞍部へ
鞍部へ
 祈りをささげる

【師匠について…】

師匠と知り合ったのはWebサイトの掲示板で、笠取山に登りたいけど足がない!と愚痴をこぼしたら、じゃあ車で乗せて行ってあげると言われ、そこから奥秩父の色々な山に連れて行ってもらった。
大常木林道探索では、廃道やバリエーションルートの楽しさを学んだ。
田島本を貸してくれて、古書を読んで、埋もれた地名を探訪する楽しさも教えてくれた。
小室川や大常木谷にも行き、沢登りもそこで学んだ。
師匠のクライミングテクニックは、かなりのもので、あえて難しいルートを好んで進んで行く、チャレンジ精神旺盛な登山スタイルだった。

私の登山スタイルが確立されたのは、師匠の影響がかなり大きい。
正式に弟子入りしたわけではないが、師匠の登山スタイルをそのまま実践していることに気がついて、いつの間にか彼が私の師匠になっていた。

師匠は、Web上での付き合い方が下手なのか、色んなサイトとトラブルがあったので、私はWeb上では彼とあまりやりとりをしなかった。
実際に会えば人柄の良い普通の人だったから不思議。

数年前の某月某日、師匠は黒槐尾根を登っていた。
ローター音が絶え間なく鳴り響いており、現場を見るため急いで登っていた。
バキバキバキバキ…、ドドーン!
ものすごい衝撃音が聞こえてきた。
彼は、いてもたってもいられず、黒槐山を越えて、尾根をかけ下る。
数時間ほどで沢の近くまで下りることができた。
尾根末端まで行くと、現場まで沢登りになるし、遠回りなので、お得意のショートカットで、沢に下りることにした。
不安定なガレ場を慎重に下る。

ガラガラガラ…。

「うあーーーー!」

突然足元が崩れて、滑落。
沢べりまで落ちて全身を強く打ってしまい、動けなくなってしまった。

そこへ、救助隊が運良く通りかかり、「おい!君!大丈夫か?」と声をかける。

「50mくらい上から落ちました。○○市の○○です。」
そう告げると彼は、息を引き取った。

師匠が倒れた頃、私は別の山で血だらけになって山中を彷徨っていた。
腕の出血は止まらないし、救助隊も来られないような登山道からはずれたバリエーションルート…。
リーマンショックで父の会社が潰れて路頭に迷っていた時だったので、ここで終わるのも仕方がないなと思ったし終わっても良いと思った。
なんで助かったんだろう…?
師匠が亡くなったのを知ったのは、病院のベッドの上だった。
奇しくも、師匠が亡くなった日に私も重傷となっていたが、奇跡的に命は助かっていた。
師匠も私も地方新聞に記事が載ってしまった。

入院費用で借金が更に増えて、最終的には100万以上まで借金が増えてしまった。
絶望しつつも地道に働いて、今年の夏にようやく借金を返済し、遠出ができるようになった。
コロナ禍もあったし、黒槐に来られるようになるまで、10年もかかってしまった。

師匠…。
すまないなあ、ここに来られるようになるまで10年もかかってしまったよ。
あんときの山仲間はみんなどうしているんだろうなあ。

ここから事故現場に行ったのか…。
好奇心旺盛な師匠のことだから、気持ちはものすごくわかる。
腕の傷跡見せたかったなあ。
死んじまったら、見せられねえじゃねえか…。
あの時、俺は出血多量で死ぬと思ったし、死んでもいいと思ってたんだ。
でも助かってしまった。
今思うと師匠が助けてくれたような気がしてしょうがないんだよ。
俺も師匠と同じで無茶ばかりしているから、そのうち会えるかもしれないよ。
祈りをささげる 【師匠について…】 師匠と知り合ったのはWebサイトの掲示板で、笠取山に登りたいけど足がない!と愚痴をこぼしたら、じゃあ車で乗せて行ってあげると言われ、そこから奥秩父の色々な山に連れて行ってもらった。 大常木林道探索では、廃道やバリエーションルートの楽しさを学んだ。 田島本を貸してくれて、古書を読んで、埋もれた地名を探訪する楽しさも教えてくれた。 小室川や大常木谷にも行き、沢登りもそこで学んだ。 師匠のクライミングテクニックは、かなりのもので、あえて難しいルートを好んで進んで行く、チャレンジ精神旺盛な登山スタイルだった。 私の登山スタイルが確立されたのは、師匠の影響がかなり大きい。 正式に弟子入りしたわけではないが、師匠の登山スタイルをそのまま実践していることに気がついて、いつの間にか彼が私の師匠になっていた。 師匠は、Web上での付き合い方が下手なのか、色んなサイトとトラブルがあったので、私はWeb上では彼とあまりやりとりをしなかった。 実際に会えば人柄の良い普通の人だったから不思議。 数年前の某月某日、師匠は黒槐尾根を登っていた。 ローター音が絶え間なく鳴り響いており、現場を見るため急いで登っていた。 バキバキバキバキ…、ドドーン! ものすごい衝撃音が聞こえてきた。 彼は、いてもたってもいられず、黒槐山を越えて、尾根をかけ下る。 数時間ほどで沢の近くまで下りることができた。 尾根末端まで行くと、現場まで沢登りになるし、遠回りなので、お得意のショートカットで、沢に下りることにした。 不安定なガレ場を慎重に下る。 ガラガラガラ…。 「うあーーーー!」 突然足元が崩れて、滑落。 沢べりまで落ちて全身を強く打ってしまい、動けなくなってしまった。 そこへ、救助隊が運良く通りかかり、「おい!君!大丈夫か?」と声をかける。 「50mくらい上から落ちました。○○市の○○です。」 そう告げると彼は、息を引き取った。 師匠が倒れた頃、私は別の山で血だらけになって山中を彷徨っていた。 腕の出血は止まらないし、救助隊も来られないような登山道からはずれたバリエーションルート…。 リーマンショックで父の会社が潰れて路頭に迷っていた時だったので、ここで終わるのも仕方がないなと思ったし終わっても良いと思った。 なんで助かったんだろう…? 師匠が亡くなったのを知ったのは、病院のベッドの上だった。 奇しくも、師匠が亡くなった日に私も重傷となっていたが、奇跡的に命は助かっていた。 師匠も私も地方新聞に記事が載ってしまった。 入院費用で借金が更に増えて、最終的には100万以上まで借金が増えてしまった。 絶望しつつも地道に働いて、今年の夏にようやく借金を返済し、遠出ができるようになった。 コロナ禍もあったし、黒槐に来られるようになるまで、10年もかかってしまった。 師匠…。 すまないなあ、ここに来られるようになるまで10年もかかってしまったよ。 あんときの山仲間はみんなどうしているんだろうなあ。 ここから事故現場に行ったのか…。 好奇心旺盛な師匠のことだから、気持ちはものすごくわかる。 腕の傷跡見せたかったなあ。 死んじまったら、見せられねえじゃねえか…。 あの時、俺は出血多量で死ぬと思ったし、死んでもいいと思ってたんだ。 でも助かってしまった。 今思うと師匠が助けてくれたような気がしてしょうがないんだよ。 俺も師匠と同じで無茶ばかりしているから、そのうち会えるかもしれないよ。
 黒槐山への登り
黒槐山への登り
 黒槐山山頂
黒槐山山頂
 黒槐山山名標

私は、黒槐に来るまでそんなことばかり考えていた。
自分が生きている理由、生かされている理由。
結局結論は出ないんだけど、あの時命が助かったのは、師匠のおかげだろう。
そう思うとなんとなく納得できる。

小笹をかき分けながら急坂を登って行くと、樹林に覆われた山頂に着いた。
ぶら下がっている札には黒槐山と書いてある。
師匠が向かったと思われる方向には、ピークが聳えている。
そっと手を合わせて、登山道へ戻ることにする。
黒槐山山名標 私は、黒槐に来るまでそんなことばかり考えていた。 自分が生きている理由、生かされている理由。 結局結論は出ないんだけど、あの時命が助かったのは、師匠のおかげだろう。 そう思うとなんとなく納得できる。 小笹をかき分けながら急坂を登って行くと、樹林に覆われた山頂に着いた。 ぶら下がっている札には黒槐山と書いてある。 師匠が向かったと思われる方向には、ピークが聳えている。 そっと手を合わせて、登山道へ戻ることにする。
 あの山へ向かったのか
あの山へ向かったのか
 笠取山
笠取山
 晴れて来た

ザックを回収して登山道を下ると笠取山が見えて来た。
雲が取れて来て、太陽が顔を出して来た。
捲道分岐で、右へ折れて笠取山へ向かう。
急登の後、岩場を登り下りしてけっこう険しい道。
また冷たい風が強くなって来て、笠取山に着くと、帽子が飛ばされそうになった。
笠が飛びそうになったという由来が案外的を得ているのかもしれない。
晴れて来た ザックを回収して登山道を下ると笠取山が見えて来た。 雲が取れて来て、太陽が顔を出して来た。 捲道分岐で、右へ折れて笠取山へ向かう。 急登の後、岩場を登り下りしてけっこう険しい道。 また冷たい風が強くなって来て、笠取山に着くと、帽子が飛ばされそうになった。 笠が飛びそうになったという由来が案外的を得ているのかもしれない。
 明日歩く尾根
明日歩く尾根
 岩場が多い
岩場が多い
 岩場を進む
岩場を進む
 笠取山山頂
笠取山山頂
 南側の景色
南側の景色
 ジェットコースターのような下り

ジェットコースターのように急下降して行く。
小さな分水嶺から沈みかける夕日を見て、足早に笠取小屋へ向かう。
ジェットコースターのような下り ジェットコースターのように急下降して行く。 小さな分水嶺から沈みかける夕日を見て、足早に笠取小屋へ向かう。
 笠取山を振り返る
笠取山を振り返る
 小さな分水嶺
小さな分水嶺
 笠取小屋への道
笠取小屋への道
 笠取小屋

小屋では20張り以上のテントが張られていて賑わっている。
私は右奥の方にツエルトを張った。
18時頃、「何か心配ごとはありませんか?」と小屋番らしき人が叫んでいるので、声をかけて色々相談に乗ってもらった。
なんて優しい小屋番さんなんだろう。

冷たい三食弁当もなんだかおいしく感じられた。

三日目へつづく…。
近日公開予定
笠取小屋 小屋では20張り以上のテントが張られていて賑わっている。 私は右奥の方にツエルトを張った。 18時頃、「何か心配ごとはありませんか?」と小屋番らしき人が叫んでいるので、声をかけて色々相談に乗ってもらった。 なんて優しい小屋番さんなんだろう。 冷たい三食弁当もなんだかおいしく感じられた。 三日目へつづく…。 近日公開予定
 水場
水場

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