木賊山・甲武信ヶ岳・三宝山

2020.11.23(月) 日帰り

活動データ

タイム

05:44

距離

16.1km

のぼり

1882m

くだり

1879m

チェックポイント

DAY 1
合計時間
5 時間 44
休憩時間
0
距離
16.1 km
のぼり / くだり
1882 / 1879 m
1
13
5
8
17
18
1
2 12

活動詳細

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「真の埼玉県最高峰」へ! お恥ずかしいことに、以前、私は埼玉県最高峰を『両神山』だと思っていたし、そう紹介してしまっていた。しかしそれは、以前、というか今日もだが、検索エンジンで「埼玉県 最高峰」と検索した時に一番上に出てきたのが『両神山』だったことと、百名山の本に載っていたことから、それを「最高峰である」と疑わなかったわけであった。 しかし、実際はそうではない。『三宝山』が真のそれである。これを知ったのは山アプリで『両神山』についてのやっつけ記事をアップした際に「埼玉県の最高峰」バッジが貰えずに「解釈が複数あったり、論争があったりするのかな?」と思い、より精度を上げて調べ結果知ったことである。 『飛竜山』に行った時に、本来は『雲取山』から『瑞垣山』までの大縦走を計画し、それを実践するついでに『三宝山』も踏破してこようと考えていたが、『飛竜山』での一連のエピソードに記載したように私の立てた計画が「甘かった」ことでそれは叶わなず、むしろどちらかといえば辛酸を舐めた結果となった。 季節が進み、「晩秋」となり、初秋の『大菩薩嶺』そして最近では『丹沢』でも発生するようになった「霜柱」が季節の変化を告げる中、2,000m級の山は気温が氷点下になったり、積雪などがあったりする時期もあったようで「今年はもう厳しそうだな」と思っていた部分があり、よりクローズドなSNSではそう発言もしていた。 しかし、先日丹沢で7座制覇の際に活動可能時間のほとんど、夜明け前から暗くなり通常であれば活動不能になる直前まで実に半日ほど歩いたペースを見るに、私の場合「0.5掛け未満で計画するのは間違っていないのではないか?」と思うようになった。少しでも無理を感じればリスクを下げたいものであるが、特に無理がないのだから仕方ない。 「標準の1/3の速さを目指している」というのはもう少し先の目標ではあるが、「良質な活動可能時間を延ばしたい」「登山の後の生活の質を上げたい」というぐらいの意味であって、他者との競争や大会などに記録を残したいたいう風には今のところ考えておらず、いつも戦っているのはあくまで自分自身である。 『甲武信ヶ岳』というか『三宝山』には、件の事実の判明以降、だいぶ執着をしていて、いつもいつも、私の登山予定日が来る度に「〇〇日はありかもしれん!」だの「登山指数が悪いから延期」だのと発言していた。一応noteでも山アプリでも、なんとなく「今年は埼玉の(真の)最高峰に挑みたい」ということは、何かしらの形で書いていたと記憶している。 今日は「登山指数」が「C」だったのだが、その念願を叶えてきた。公共交通機関を使っての場合は、計画段階で「最低限標準タイムの0.5倍掛け、2倍速で、途中でワンミスも許されない、『徳ちゃん新道』で行きなさい」みたいなものとなり緊張感は高い。ワンミスでもあれば、徒歩で帰るなり泊まるなりとなり、明日以降のスケジュールにも影響する。徒歩で塩山まで下りれば登山で疲れた足に更に「4時間〜」らしい。泊まるにしてもこの季節は寒い。リスクヘッジとして『破風山小屋』泊が可能なスケジュールであるとかでない限り、基本的に真似はしない方がいい。追って詳しく書くが特に『近丸新道』は、この季節の夜は「落ち葉」で絶対ダメなルートだと思う。 『甲武信ヶ岳』まで 『徳ちゃん新道』から登る。まだ来たことがない山だったので『近丸新道』とどちらがいいのかと問われれば、今の季節は間違いなく『徳ちゃん新道』だ。なぜかについては帰路で詳しく述べる。帰路の後半部分を『近丸新道』にしなければ一本前のバスで帰れただろうと思えるぐらい違う。 『徳ちゃん新道』は、基本的には木の根系の道がずっと続く。ゲームのステージやアトラクションのように、「ある一定のまとまりの間はずっとそれ」という具合の道がしばらく続くのだが、その中で手を替え品を替えみたいに難易度が変化していくのが面白い。 ここは緩やかな登りの区間です、崖登りみたいな木の根登りが続く区間もあります、急登の区間でルート取りは登山者に任せます、みたいなものが、それぞれ一服感のある場所に至るまで続く。そのバリエーションが豊かに用意されているのだ。 崖登りのような木の根登りは、下りが絶対怖いだろと思ったのが帰りに『近丸新道』を選んだ理由のひとつであったのだが、過ちであった。往路の『徳ちゃん新道』では多くの人とすれ違った、ということはあの下りは「めっちゃ楽しい」ものなのかもしれないなと思う。対して、『近丸新道』では追い抜き含め結果的に誰一人とも、いや鹿や鳥以外とは出会わなかったことから「察する」ものがあるというものだ。 『徳ちゃん新道』が終盤に向かうにつれ、左手側に「盛り上がった山」が見えて来るが、またそれが『甲武信ヶ岳』なり『珍宝山』......じゃない『三宝山』だとちょっとだけアレなので、今回は追わなかった。 『徳ちゃん新道』と『近丸新道』が合流してからは、段差の異様に高い木の根の土で囲われた道や高く広い藪、ルート取りの自由度の高いガレザレた道などを進むことになる。この辺りまで登ってくれば、もはやこの山の「文法」的なものが理解できて来る。「キレイな『飛竜山』」みたいな部分もあり、同じ奥秩父だからか構造がよく似ているような気がしなくもない。 『甲武信小屋』と『木賊山』の分岐があり、往路では山の方に進んだのだが、『木賊山』は特に山頂に何がある訳でもない山で、ただそこを下り始めると急な砂の坂があり、『甲武信ヶ岳』の近影と周囲の山々を大変開放的な状態で眺めることができる。小屋が薄らと見えて尚『飛竜山』の山頂に至るまでと良く似た地形を登り続け、黄土色がかった岩と「187」という赤いペンキ文字が目に入れば、ほぼ山頂付近である。 今日はバスを逃すとちょっとエラいことになりそうなので、山頂での撮影などはごくごくアッサリと済ませたが、快晴であれば「100名山の43座」が観られるという眺望は素晴らしく、一応ぐるっと、簡単にではあるが写真を撮影し『三宝山』へと急いだ。 『三宝山』まで 『三宝山』までの道のりは、『甲武信ヶ岳』からな最初の最初の下りがとても攻めている以外は穏やかで苔むしている「奥秩父の山」という印象がしばらくの間続いた。地図では往路の方が復路より時間がかかることになっていたのでどこかに大変な上りがあるのかなと期待したが、確かに少しだけだがあるにはあった。が、基本的には登りやすく、走りやすかったという印象しかない。 「極々並々なついでの通過登山」という具合である。しかし目的地としては一応今回のメインではあり、素晴らしい眺望などはないが「埼玉県の真の最高峰」である。樹林帯に山頂のある山は少しだけ勿体無いが、眺望というのを目的とすると、恐らく「飽きる」というか「いつでも、いくらでも、いかなる時もいける」ものというのは極めて少ないというのも、また事実だろうと私は感じている。 下山 『三宝山』を後にして、『甲武信ヶ岳』の山頂ではなく『甲武信小屋』を経由するルートで戻る。ピストンゆえの刺激や発見の価値に理解を示しつつも、特に初めての往復では出来るだけ同じルートは使いたくないからというのと、山頂経由よりラクだからというのもあるが、往路で薄ら見えたカラフルに塗装された小屋を見ずに下ってしまうのは、どこか勿体無い気がしたからだ。小屋を経由して『破風山』方面に進み、少し登って『木賊山』との分岐に戻った。 『甲武信ヶ岳』の登山で一番面白かったのが、ここから『〇〇新道』への分岐までの区間である。この区間はガチのマジで面白かった。私は『大山』の『下社コース』で、「岩飛びのようなものを楽しむ」と書いたことがあるが、そこに木の根だの小石だのといった要素も加わった「アドバンス版」とでもいうようなものが楽しめた。固着している石とそうでないものがよく見分けられなければ、リスクが高すぎるので真似をしない方がいいが、この体験から『甲武信ヶ岳』をとても好きになった。 「往路でこんな場所あった?」と、見え方の違いを最も感じたのもこの区間で、味わいが全く異なり面白い。往路で「これはどうなの!?」と感じた一際高い木の根の段差の道には脇に小道のようなものがあって、恐らく多くの人がこちらを通るのだと納得した。私は両手をついて、体操選手があんばをする時のように身体を持ち上げて登ったのだが......。 『近丸新道』に入ると「近丸っていうから近いかな?」と思いつつ、『徳ちゃん新道』に比べて15分コースタイムが長いという点から、何か「ヤバそう」というものも感じてはいたのだが、「近丸しんど」とも取れるのでしんどければそう解釈すればいいかと軽い気持ちで道を選んだ。 時間的にも余裕があり、上手くいけば最終前のバスに間に合いそうな余裕のあるペースだったし体力もかなり余っていた上に「ここで敢えて往路と同じ道を選ぶのもなぁ」と思ったからである。しかし、この選択は誤りだった。 『近丸新道』は『徳ちゃん新道』と良く似ている部分もあるが、眺望がいい部分があり、ごくわずかな区間ではあるが沢道を経由したり、珪石の特殊な地形が見られるのも魅力であろう。またあの「崖登りのような木の根」の道はない。ただし、その代わりに「木の葉」だらけである。自分自身が掃除のブルドーザーになったかのような気持ちになるぐらい、分岐のすぐ先から西沢渓谷付近に至るまで積もっている。 これの何がイヤかというと、まず、順路がわかりづらい。そして滑る。水が絡めば厄介すぎる。そしてその木の葉の奥に例えば木の枝や石があっても気づかないので怪我や転倒、滑落からの遭難などのリスクが非常に高いのである。 沢を渡る橋や道が隠れていたり、崖の脇に木の枝や石が隠れていたりする部分もある。上から水が流れていて山盛りの落ち葉で小川が覆い隠されていた地帯では、ピンクリボンを見つけて順路にアタリをつけて進むも、結果的に「どこかに橋かなんかがあったんだね」という浸かり方をしてしまった。 場所によっては滑落しても寧ろ落ち葉のおかげであまり痛くはないかもしれないが、だからといってそれがいい思い出とはならないだろう。 岩飛びなどがしやすい道もあるので楽しく、道そのものとしては個人的には嫌いではないが、今の季節や夜に私は敢えてこちら側を選ぶことはない。

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