箱根で廃キング(仮称)明神ヶ岳索道跡探索 挫折編

2020.11.15(日) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
9 時間 13
休憩時間
1 時間 5
距離
12.9 km
のぼり / くだり
1185 / 1170 m
6 26
2 20
6

活動詳細

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(仮称)明神ヶ岳索道の探索に行ってみました。大雄山最乗寺から、明神ヶ岳への登山道を歩くと、中腹の登山道沿いに、点々と鉄塔があるのをご存じの方も多いかと思います。 実はこの索道は、いつ誰が何の目的で設置しようとしていたのか、記録が殆ど残っておらず、謎多き索道なのです。正式な名称も不明なので(仮称)です。 索道は1970年代に建設が始まったと言われています。十八丁目茶屋付近から、明神ヶ岳山頂付近まで、上部索道と下部索道の2本の索道で結ぶ計画だったようです。下部索道は一応完成したようですが、上部索道は建設途中で放棄されてしまったようです。ケーブルが張られなかった為か、ルート上の樹木も伐採されておらず、航空写真から上部索道のルートを識別するのは非常に困難です。(下部索道は1970年代の航空写真ではっきり判る) この索道については、BAZU氏のサイト→http://bazu55555.web.fc2.com/ に非常に詳しく記録されてりますので、興味があるかたはご覧になってみるとよいでしょう。 今回は、出来るだけ索道下を歩くという縛りで行ってみました。下部索道はケーブルが残っており、追跡は比較的楽だったのですが、ほとんど人が歩かない山中を歩くのは、思ったより時間がかかり、上部索道の鉄塔を全てを発見できませんでした。近々未発見の鉄塔を探索に行きたいと思います。 追記 上記のサイトを詳しく見て見ると、1960年代半ばに「東箱根観光開発株式会社」が明神ヶ岳の中腹に観光施設の開発を計画し、温泉掘削の資材搬送用に、索道が架設されたらしい。 目的は判った。東箱根観光開発株式会社が、索道事業者なのか、いつ造られたのかは依然として不明ですが、少なくとも旅客用ではなく、工事用の仮設索道だったようです。 温泉掘る為になんとも大掛かりなことですが、当時は「箱根山戦争」と言われたほどの開発ブームで、索道跡も、開発競争の遺物といったところでしょうか。

金時山・明神ヶ岳 十八丁目茶屋裏にある広場。県が整備したようですが、実質放棄されています。画面の橋の向こう側の、現在は川になっている辺りに、(仮称)明神ヶ岳索道の下部索道の下駅があったらしい。
十八丁目茶屋裏にある広場。県が整備したようですが、実質放棄されています。画面の橋の向こう側の、現在は川になっている辺りに、(仮称)明神ヶ岳索道の下部索道の下駅があったらしい。
金時山・明神ヶ岳 橋が通行止めだったので、別の草に埋もれた遊歩道からアプローチ。早速、下部索道01番鉄塔が見えてきました。
橋が通行止めだったので、別の草に埋もれた遊歩道からアプローチ。早速、下部索道01番鉄塔が見えてきました。
金時山・明神ヶ岳 下部索道01番鉄塔。単線自動循環式で、1本のケーブルに搬器がぶら下がり、ケーブルと搬器が一緒にぐるぐる動くタイプの様ですが・・・
下部索道01番鉄塔。単線自動循環式で、1本のケーブルに搬器がぶら下がり、ケーブルと搬器が一緒にぐるぐる動くタイプの様ですが・・・
金時山・明神ヶ岳 ケーブルは、アンカーに固定されて動きません。恐らく、下駅が広場の整備で撤去されてしまったための応急措置でしょう。
ケーブルは、アンカーに固定されて動きません。恐らく、下駅が広場の整備で撤去されてしまったための応急措置でしょう。
金時山・明神ヶ岳 ケーブルをたどっていけば、どんどん鉄塔が見つかるはずですが、索道というのは、一直線に山谷を越えているものなので、ろくに道の無い山中を歩くのは、とっても大変でした。
ケーブルをたどっていけば、どんどん鉄塔が見つかるはずですが、索道というのは、一直線に山谷を越えているものなので、ろくに道の無い山中を歩くのは、とっても大変でした。
金時山・明神ヶ岳 下部索道02番鉄塔
下部索道02番鉄塔
金時山・明神ヶ岳 下部索道03番鉄塔
下部索道03番鉄塔
金時山・明神ヶ岳 下部索道04番鉄塔とその奥に中間屈曲施設。
下部索道04番鉄塔とその奥に中間屈曲施設。
金時山・明神ヶ岳 索道というのは、ケーブルを張って、搬器をぶら下げているので、基本一直線です。コースを曲げるには特別な設備が必要です。
索道というのは、ケーブルを張って、搬器をぶら下げているので、基本一直線です。コースを曲げるには特別な設備が必要です。
金時山・明神ヶ岳 それがコレ。水平の滑車があり、ケーブルの向きを変えています。この屈曲施設の部分では、搬器はケーブルを離れ、レールの上を走り、向きが変わったところで再びケーブルに乗ります。
それがコレ。水平の滑車があり、ケーブルの向きを変えています。この屈曲施設の部分では、搬器はケーブルを離れ、レールの上を走り、向きが変わったところで再びケーブルに乗ります。
金時山・明神ヶ岳 搬器の詳細。単線式の搬器は、赤矢印で示した部分でケーブルにぶら下がります。現代の搬器は自動的にケーブルをしっかり掴む装置が付いているのですが、それが無い。ケーブルに乗っかているだけなので、急斜面などでケーブルの傾きが大きくなるとずるずる滑る可能性が高い。ケーブルから外れることもあり、安全性の低い古いタイプの搬器です。滑車が付いてますが、これは始終点駅や、屈曲施設内でケーブルから離れてレールの上を走るためのものです。
(追記)ケーブルを掴む機構の無い形式は「ロー式」と言うらしく、日本では大正時代の貨物索道で使用されていたようです。
搬器の詳細。単線式の搬器は、赤矢印で示した部分でケーブルにぶら下がります。現代の搬器は自動的にケーブルをしっかり掴む装置が付いているのですが、それが無い。ケーブルに乗っかているだけなので、急斜面などでケーブルの傾きが大きくなるとずるずる滑る可能性が高い。ケーブルから外れることもあり、安全性の低い古いタイプの搬器です。滑車が付いてますが、これは始終点駅や、屈曲施設内でケーブルから離れてレールの上を走るためのものです。 (追記)ケーブルを掴む機構の無い形式は「ロー式」と言うらしく、日本では大正時代の貨物索道で使用されていたようです。
金時山・明神ヶ岳 ケーブルは続く。
ケーブルは続く。
金時山・明神ヶ岳 下部索道05番鉄塔
下部索道05番鉄塔
金時山・明神ヶ岳 下部索道06番鉄塔 脇に地図に無い作業道がありました。
下部索道06番鉄塔 脇に地図に無い作業道がありました。
金時山・明神ヶ岳 下部索道07番鉄塔。登山道のすぐ脇にあります。
下部索道07番鉄塔。登山道のすぐ脇にあります。
金時山・明神ヶ岳 大日陰林道と交差。
大日陰林道と交差。
金時山・明神ヶ岳 ケーブルが切れたら、樹木をなぎ倒しながら落下とかなるのかな。
ケーブルが切れたら、樹木をなぎ倒しながら落下とかなるのかな。
金時山・明神ヶ岳 下部索道08番鉄塔
下部索道08番鉄塔
金時山・明神ヶ岳 下部索道09番鉄塔
下部索道09番鉄塔
金時山・明神ヶ岳 下部索道10番鉄塔
下部索道10番鉄塔
金時山・明神ヶ岳 下部索道11番鉄塔
下部索道11番鉄塔
金時山・明神ヶ岳 下部索道12番鉄塔
下部索道12番鉄塔
金時山・明神ヶ岳 下部索道12番鉄塔の下に転がっていた搬器。こんなところに落ちているということは、動かしたことがあるのでしょうね。
下部索道12番鉄塔の下に転がっていた搬器。こんなところに落ちているということは、動かしたことがあるのでしょうね。
金時山・明神ヶ岳 下部索道13番鉄塔  足柄林道上の斜面にあります。
下部索道13番鉄塔 足柄林道上の斜面にあります。
金時山・明神ヶ岳 下部索道13番鉄塔鉄塔付近にある、ワイヤーで拘束された樹木。索道に支障するので、若木の頃に縛られたんではないでしょうか。
下部索道13番鉄塔鉄塔付近にある、ワイヤーで拘束された樹木。索道に支障するので、若木の頃に縛られたんではないでしょうか。
金時山・明神ヶ岳 下部索道14番鉄塔
下部索道14番鉄塔
金時山・明神ヶ岳 下部索道15番鉄塔
下部索道15番鉄塔
金時山・明神ヶ岳 キタ――(゚∀゚)――!!下部索道16番鉄塔と上駅
キタ――(゚∀゚)――!!下部索道16番鉄塔と上駅
金時山・明神ヶ岳 搬器がたくさん。駅内ではケーブルから離れて、滑車でレールの上を動くようになっているのが良くわかります。
搬器がたくさん。駅内ではケーブルから離れて、滑車でレールの上を動くようになっているのが良くわかります。
金時山・明神ヶ岳 巨大歯車
巨大歯車
金時山・明神ヶ岳 モーター
モーター
金時山・明神ヶ岳 埋まっていてわかりませんが、地中にはドライブシャフトがあって、巨大歯車まで動力を伝えていたんだと思います。
埋まっていてわかりませんが、地中にはドライブシャフトがあって、巨大歯車まで動力を伝えていたんだと思います。
金時山・明神ヶ岳 モーターの表示。日立製。三相誘導電動機 100馬力。良く見ると「DATE」との後に「1924」の刻印があります。1924年製だとしたら、1970年代架設の索道のモーターにしては古すぎないか?搬器も昔の安全性の低いタイプだし、もしかしたら、どっかの鉱山から中古を移設したのかもしれません。
モーターの表示。日立製。三相誘導電動機 100馬力。良く見ると「DATE」との後に「1924」の刻印があります。1924年製だとしたら、1970年代架設の索道のモーターにしては古すぎないか?搬器も昔の安全性の低いタイプだし、もしかしたら、どっかの鉱山から中古を移設したのかもしれません。
金時山・明神ヶ岳 なかなか良い朽っぷりです。
なかなか良い朽っぷりです。
金時山・明神ヶ岳 登山道を挟んで反対側の平場にある、上部索道の下駅になるはずだった、放棄された資材。
登山道を挟んで反対側の平場にある、上部索道の下駅になるはずだった、放棄された資材。
金時山・明神ヶ岳 恐らく索道建設用の作業道だったのでしょう。登山道と並行してあります。
恐らく索道建設用の作業道だったのでしょう。登山道と並行してあります。
金時山・明神ヶ岳 上部索道01番鉄塔
上部索道01番鉄塔
金時山・明神ヶ岳 上部索道02番鉄塔
上部索道02番鉄塔
金時山・明神ヶ岳 上部索道02番鉄塔。登山道からの方がよく見えます。
上部索道02番鉄塔。登山道からの方がよく見えます。
金時山・明神ヶ岳 上部索道03番鉄塔
上部索道03番鉄塔
金時山・明神ヶ岳 あまり紅葉は綺麗ではない。
あまり紅葉は綺麗ではない。
金時山・明神ヶ岳 上部索道04番鉄塔
上部索道04番鉄塔
金時山・明神ヶ岳 上部索道05番鉄塔
上部索道05番鉄塔
金時山・明神ヶ岳 上部索道06番鉄塔。今回発見できたのはここまで。山頂付近まで少なくともあと3基の鉄塔が山中にあるらしい。探したいけど、このペースでは日が暮れる前に下山できなそうにないです。索道探索はここで挫折。続きはまたの機会にします。
上部索道06番鉄塔。今回発見できたのはここまで。山頂付近まで少なくともあと3基の鉄塔が山中にあるらしい。探したいけど、このペースでは日が暮れる前に下山できなそうにないです。索道探索はここで挫折。続きはまたの機会にします。
金時山・明神ヶ岳 せっかくここまで登ってきたので、明神ヶ岳まで。ピークハントには、あまり興味がないです。富士山見えないし。
せっかくここまで登ってきたので、明神ヶ岳まで。ピークハントには、あまり興味がないです。富士山見えないし。
金時山・明神ヶ岳 奥ノ院分岐付近から、霞んだ富士山。ちょっと前より雪少く見えるが気のせいか?
奥ノ院分岐付近から、霞んだ富士山。ちょっと前より雪少く見えるが気のせいか?
金時山・明神ヶ岳 奥ノ院方面に下ってみます。
奥ノ院方面に下ってみます。
金時山・明神ヶ岳 あれ。登ってきた道に出ちまった。ま、いいか。
あれ。登ってきた道に出ちまった。ま、いいか。
金時山・明神ヶ岳 無事、最乗寺に下山。次回、完結編に続く。
無事、最乗寺に下山。次回、完結編に続く。

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