南鈴鹿【仙ヶ岳・野登山】仙人目指して大人のアスレチック❗️

2020.11.16(月) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
7 時間 30
休憩時間
1 時間 56
距離
13.4 km
のぼり / くだり
1321 / 1339 m
3 20
1 13

活動詳細

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私の地元の比良山地や高島・嶺南の峰々に比べると鈴鹿山脈の山々はそれぞれの峰が個性的でスケールも大きく魅力たっぷりである。 しかし住まいからのアプローチがやや長い為、鈴鹿にはしょっちゅう足を運ぶことは出来ない。中でも南鈴鹿は登山口が遠く、仙ヶ岳は関心を持ちつつも当然ながら未踏であった。 今回も山友beggioさんのお誘いがなければ、この鈴鹿の名峰に訪れる機会は得ることは無かったであろう。 この日の朝、大津から東へ車を走らせる。亀山市内に入って国道1号から左折し北へ向かうと、お茶処らしい茶畑が広がっている。朝霧がかかり朝日を浴びて幻想的でとても美しい。この霧と、朝晩の寒暖差が旨い茶を育むのであろうなどと考えながら待ち合わせの坂本棚田へと到着する。 坂本の集落は美しい棚田風景が有名で、日本の棚田百選にも名を連ねているようだ。早く着き過ぎたので相棒の到着まで暫く辺りを散策していると、草刈りの作業に来られた地元の女性がご挨拶して下さり「早うから山へ行くんやね、気をつけて」と優しい言葉を頂戴する。 まもなくでベジさんがお気に入りの愛車で勢いよく到着された。途上で渋滞に巻き込まれ遅れ気味だったため焦っておられたようだ。 あまりスピードを出し過ぎるなよ!と心の中で思ったが、敢えて言葉に出さなかったのは大人の事情があるのである。 いよいよ出発する。坂本集落を抜け棚田の田園や広大な茶畑の中の道を進む。やがて石谷川沿いの長い林道歩きとなるのだが、後にベジさんも述べておられるように対岸には鬼ヶ牙の荒々しい岩稜が望めて飽きることはない。むしろここまでの行程だけでも十分満足できるハイキングだ。 登山道に入ると尾根コースとは言うものの暫くは谷道である。なかなか辛い急坂が続くのであるが、谷間の樹々の葉が赤や黄色に彩りを深め、とても美しい。休憩がてら立ち止まっては振り返り、もうさすがに見納めとなるであろう紅葉に見惚れる。 尾根に上がり不動明王にご挨拶したら、さぁいよいよ仙ヶ岳南尾根を登ってゆくことになる。この尾根歩きが今日一番のハイライトであろう。 次々に現れる岩の峰を乗り越えてゆく楽しさ。場所によっては9月にベジさんにご同行いただいた南アルプス甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根のそれに匹敵するかのような岩場も出てくる。あの日の楽しかった山行を思い出す。 岩の峰の上からの眺望は抜群だ。目指す仙ヶ岳・野登山はもちろん、南西へと延びる南鈴鹿の、独特の荒々しくも雄大なる山の風景。その中にパッチワークのような色とりどりの紅葉が入り混じって言葉を失うほどの絶景である。 「バリバリのベジさんなら、こんな岩の山をピョーン、ピョーんと飛び跳ねて越えて行きそうやねぇ。鈴鹿の仙人なんやろぉ」と冗談を言うと、 「仙人は飛びませんよ、それは天狗👺ですやん!」と、真面目なベジさんにしてはまずまずの返しだった。 道は仙ノ石を経由して仙ヶ岳へと辿り着いた。山頂ではちょうど北側の宮指路岳の方向から7.8名のパーティが到着される。リーダー格の男性とお話しさせていただくと、なんとヤマレコユーザーのgaraku1950さんだった。 先日の高島トレイルの山行でもkkrsさんの3人組さんに偶然お逢いしたのだが、山でのヤマレコやYAMAP仲間さんとの出逢いは嬉しく楽しいものだ。 山頂は狭く賑やかになったので東峰(仙ノ石)に戻りここで昼食にした。 ベジさんはカレーメシ、私はハヤシメシ。日清食品のメシシリーズは二人ともお気に入りである。 そしてシメはベジさんから頂戴したクリーム大福と、私の淹れたネスカフェゴールドブレンド。うーん美味い! 仙鶏尾根を野登山へと目指してゆく。道は一旦激下り気味に一気に標高を下げ、また登り返すことになるのだが、岩場や痩せ尾根などベジさんがヨダレを垂らすような場所が続き楽しい。 北側に広がる展望には、ドーンと存在感抜群の入道ヶ岳と、その左手奥にそそり立つ鈴鹿のマッターホルン・鎌ヶ岳の雄姿が飛び込んでくる。素晴らしい景色である。 野登山へ近づくとガードレールが現れた。車道を歩いて山頂まで行けるようだ。しかしピーク方向へは尾根があるので尾根を歩いて行ってみようとベジさんに提案する。 「あっ、そうですね、行けそうですね」とベジさん。 鈴鹿の数々のバリバリルートを踏破して来た筈のベジさんが、一旦車道歩きを開始しようとされたことにはガッカリしたぜ。なんてこった! 冗談だよ、ベジさん😁 それにしてもこの尾根歩きが大正解だったのである。美しい自然林は丁度紅葉が真っ盛りで、陽射しを浴びて赤や黄色に輝く色彩に包まれながら、緩やかに登ってゆく。とても心地の良いひとときだった。 野登山へ登頂した。奇妙で不思議な地蔵がある以外は平凡な山頂であったがベジさんにとっては特別である。なんと鈴鹿50座のうち、これで48座目だということなのだ。残り2座はサッと1日で行ける山だとか。いよいよベジさん、鈴鹿の仙人に近づきつつあるようだ。しかしなんと!鈴鹿300山というのもあるらしい・・。 野登山山頂直下には古刹・野登寺があり、訪れて参詣を済ませる。 この周辺は見事な杉の巨樹や、一部に山毛欅の原生林も残っており、樹木フェチの私には堪らなかった。 下山は野登寺の古くからの歴史ある参道と思われる広い登山道を軽快に下ってゆく。 ふと、途中の広場の隅で、真っ黒なスーツの小柄な男性が肩を落とし左手を腰に充てながらションボリと東側の景色を眺めておられる後ろ姿を見た。 なぜかとても気になったのでベジさんに話すと、彼には見えなかったらしい。 坂本の集落へと降りて来た。収穫の終わった棚田にコスモス畑。美しく懐かしい日本の原風景だ。 通りすがりの奥さんが「熊は出んかったかい?」と声を掛けてくださる。 軒先きで日向ぼっこ中のおばあさんは「何処からおいでなさったんや?」と尋ねてくださる。 「滋賀の大津です!」と応えた私の声は、どうやらお耳が遠くて聴こえてないようなのだが「うんうん、そうかそうか」と何度も頷いてくださっていた。 とても温かな人情味あふれる坂本集落の民家の庭先では、私の好きな秋の花・皇帝ダリアが可憐な薄紫の花を咲かせており、私達を見送ってくれているかのようだった。 印象深い素敵な山行にお誘いいただき、有難う、ベジさん!

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