山梨県ハイク ー 冬の足音、日向山

2020.11.04(水) 日帰り

何かと忙しない日々が続いていた。 久しぶりに暇をもらい、好きに過ごす。 今日は晴れやかな空だ。 空が白む時間にも起きれたので、 山梨県の日向山を目指すことにする。 平日は良い。 道も空いてるので、快調だ。 橙色の鱗雲が、今日一日の 秋の雰囲気を作り上げる。 車中での今日の朝食はたまごサンドだ。 たまごにシャキシャキのレタスを挟み込む。 そして、粒マスタードをパンに塗る。 粒マスタードはお気に入りである。 以前、スリランカでマスタードが実っている 姿を見て以来、なぜか贔屓目だ。 塗るとパンの甘みが引き立つ気がする。 もう一つの至福、ウィンナーロール があるのだが、お腹がいっぱいになった ので、後ほどのお楽しみとする。 日向山は昨年の夏に行った山だ。 昨年は、山の麓でキャンプをし、 翌朝登るというなんとも贅沢な日を過ごした。 今回は日帰りだが、平日なのでゆっくり と一日を過ごしたいと思う。 山道を登る。 暖色に包まれながら、歩くのもいい。 足元に目を遣ると、毬栗が落ちている。 栗は好きだ。 秋を味覚で味わうことができる。 中身が入っていないかと、毬を開く。 中は既に山の民の元へ。 指先を鋭い棘で痛める。 山のものを持ち帰ろうとした戒めだ。 足元は落ち葉が積み重なる。 歩くたびに乾いた葉の擦れる音が 耳をくすぐる。心地よい。 頬を伝う風は冷たくも甘い。 この山の匂いは好きだ。 山頂に近い緩やかな道には霧藻が 頼りなげに引っかかっている。 山頂は砂地。 白い砂で覆われている。 風が容赦なく体温を奪いはじめる。 足元の砂は霜柱で全体的に押し上げ られ、歩くたびにサクサクとなる。 踏み心地がいい。 そして、楽しみにしていた日向山 からの甲斐駒ヶ岳だ。 白く覆われた山容は神々しい。 寒さに耐えきれず、昼食のために風のない 場所へ移動する。 今日の昼は南瓜のリゾットだ。 米はそのまま洗わず、玉ねぎと オリーブオイルで炒める。 コンソメを溶いた湯を加える。 そこにあらかじめ蒸して潰した南瓜を 加え、牛乳とチーズを加える。 時折、突風が吹き、細かい落ち葉が メスティンを襲う。 体を風除けに食料を守り抜く。 最後に塩と胡椒で整えるが、 風にほとんど持っていかれ、 どれだけ入ったかは定かではない。 冷え切った体にリゾットを取り込む。 南瓜の甘い暖かさ、体の震えが収まって くる。この時期まで熟した南瓜は甘さ がいい。 それにもうひとつ。ウィンナーロールだ。 ウィンナーは温め直そうと密かに考えていた。 パリパリジューシーに仕上げる企みだ。 しかし、リゾットで思いの外、ガスを 消費してしまったらしい。 紅茶のための湯が沸いたのと同時に 炎は消えた。企みは潰えた。 暖かい紅茶があれば良い。 ウィンナーロールにはセロリを オリーブオイルと塩、レモンで漬け込んだもの を合わせる。 この組み合わせが最近のお気に入りだ。 自然と笑みが溢れてくる。 手が寒い。 紅茶はコッヘルを両手で包みながら 頂く茶道スタイルだ。 結構なお手前で。と心の中でつぶやく。 今一度、山頂付近を散策する。 秋と冬の景色が共存する。 今年はあと何回登れるのだろう。 帰りの渋滞は気にしないでいい。 下山後も今日はゆっくりと過ごす。 道の駅で少し野菜を買う。 今日のご褒美はコンビニの抹茶白玉プリンだ。 あんこが添えられていることは言うまでもない。 これにコーヒーを合わせる。 甲斐駒ヶ岳、北岳、八ヶ岳、富士山。 ありとあらゆる山々が見渡せる、 美し森展望台へ移る。 ここでしばらくゆっくり過ごす。 ここは、赤岳にアプローチするルート でもあるようだ。 天女岳まで行こうかと試みるが、山道には 獣の気配。展望台へ戻る。 木道に腰を下ろし、夕暮れを楽しむ。 太陽が沈むにつれ、空の色が黄みを増す。 鹿の鳴き声が切なく響く。 空が薄桃色になると、体が芯まで冷え切る。 温泉だ。 いちばん近くの温泉にいく。 湯はぬるめだ。星空を眺めながら、 眠りに落ちた。 体がふやけきった頃、目が覚めた。 お腹が空いたのだ。 今日はこちらで夕飯を食べたい。 やはり選択は暖かいそばだろう。 森の中にひっそり立つ小屋から 灯りが漏れている。 営業していることがありがたい。 鳥たまごとじのそばを注文する。 平日の夜、他に客はいない。 たまごを割り、かき混ぜる音が響く。 味はもちろん絶品だ。 こんな場所でゆっくり暮らせたら良い。 車のミラー越しに森の中に輝く小屋の 灯りを見つめる。

この活動日記で通ったコース

矢立石登山口-日向山|日向山往復コース

  • 03:09
  • 4.3 km
  • 570 m
  • コース定数 13