3年前から何度か計画するもなかなか実現しなかった。今期はコロナの影響か小屋泊は不可なので必然的にテント、シュラフを担いで行くことになる。今シーズンの阿曽原温泉最終日、これを逃すとまた来年まで持ち越しとなるので、何としても行きたかった。紅葉最盛期、天気も申し分なし、同じ考えの人はかなり多い。 最初考えたプランは、扇沢まで車で行き始発バスで黒四ダム入り、そこから阿曽原温泉へ下っていく。車は回送サービスで宇奈月温泉へ移動。二日目に欅平へ抜けた後トロッコで宇奈月に帰るプラン。 ところが、車回送の予約が既に完売。このプランはアウト。 Bプランを考える。先ず、寺田駅に車を停め、始発で立山へそこからアルペンルートで黒四ダムに行き、阿曽原に向けて歩く。二日目に欅平からトロッコで宇奈月に行き、寺田駅に戻る。 しかし、この方法だと、阿曽原に着くのが夕方6時過ぎ・・既に真っ暗だろう。そしてこの時間でテン場に空きがあるとは到底思えない。私たちは4人用のデカテントだ。昼の2時半までには阿曽原に到着しなければ、ロッジ黒四などで前泊した人達が扇沢からの始発を待つことなく先に阿曽原到着となるだろう。その後、扇沢始発組が続々と到着だ。Bプランもダメだな・・・ 仕方ない、Cプランだ。 先ず、同乗者を宇奈月温泉に降ろす。トロッコの始発切符を買ってもらうためだ。 私はその後、寺田駅に移動し車をデポ。始発電車で宇奈月温泉へ急ぐ。 始発切符を手にした仲間と合流し7:57発の始発トロッコで欅平へ移動。到着時刻は9時12分。 実際のスタートはなんだかんだと9時40分 そこから阿曽原小屋までなら距離は11.6kmなので昼の2時半迄には到着出来る。そこそこ良い場所にテントを張ることが出来るはずだ。 実際は2時過ぎには到着出来たが、既にかなりの先着者が居た。 翌日は黒部湖までの行程18.6km+αである。その後、アルペンルートで立山駅まで行きさらに寺田駅まで車回収に行く必要がある。可能なら黒部湖に14時にしたい。CTでは8時間くらいなので6時には出発しなければならない。それでも、大阪まで帰ってくると時間的にあまり余裕は無いのだ。 私の調べによると14:20黒部湖発のケーブルに乗ると立山までの乗り継ぎが上手くいくと思っていたが、これが大きな間違いで実際は14:00発のケーブルに乗る必要が有った。この勘違いのせいで、必死で歩いたのに、私達よりも30分以上遅く黒部湖に着いた人達に立山で追いつかれてしまった。あの必死は無意味だったのか・・( ̄▽ ̄;) 実際の山行内容は写真でコメントするとして・・ 今回、車移動の費用以外にかかった経費がなかなか痛い。 先ず最初に寺田駅から宇奈月温泉までが1610円 そこからトロッコで欅平まで1980円 阿曽原温泉テントと温泉で1500円 帰りのアルペンルート黒部湖から立山まで6860円 立山から寺田駅までが1040円 と、ガソリン代高速代以外でも12990円もかかってしまった。 しかし、その投資を無駄だと思わない最高に内容盛りだくさんの贅沢な旅だった。
ここ、寺田駅から始発で宇奈月温泉へ。テン泊装備の人が何人か居たがその殆どは同じ行先だろう
田舎の電車は遅い。 約1時間半かかって宇奈月温泉に着く
5分程歩きトロッコの駅へ
先に乗車券を買ってくれていたメンバーと合流。駅のシャッターがまだ開かない内から凍えながら並んでくれていたようだ。
無事トロッコに乗り込み出発 しかし寒い
トロッコは両サイトに壁や窓がないので冷たい風が吹き付けてくる。ダウン着込んでもまだ寒い。テン泊用のカイロを早々から使う羽目に
しかし、列車から見える景色は既に最高である。
これが帰りなら、ここ鐘釣や黒薙に寄り道したかったが今はそんな時間は無い
トロッコに乗った99%の人は終点の欅平で降りる。静かだった駅がいきなりの大混雑である。特にトイレの混雑が酷い。男子トイレでここまで混むか?って思ってたら小便器が1つ起きのソーシャルディスタンス。これでか?!いい加減こんな無意味な事は辞めてくれ!
モタモタしてる間に殆どの登山者は先に行ってしまった。ヤバい、テン場が無くなる。 焦ってスタートするが冷えて固まった足にいきなりの急登はキツい。
急登を一旦登りきった辺りに展望場所があり、既に阿曽原小屋から来て終了間近の人に撮って頂いた。
見えてる山の上の方は既に冬の装いである。が、相変わらず何山を見ているのかは分からない。
ここからが水平歩道の始まりのようだ。この先上級者コースと書いてあった
いよいよ目の前の景色が開けてくる
紅葉と雪の山頂を同時に見る景色はまるで海外のようだ
まるで紅葉の滝である。
綺麗過ぎて言葉が出ない。
綺麗過ぎて、息も出来ない。 いや、それは死ぬ( ̄▽ ̄;)
そして喰われる人
岩に刻まれた道がよく分かる
出た!ここはヘッ電が無いと何も見えない。
暗闇の中を進んで行くと足元を流れる水が次第に深くなってくる。防水の靴ではないため頑張って水の少ないところを歩くが、ついに・・「アカン、もう踏むとこ無い。足ズブ濡れや〜」
これ、よく作ったもんだ。こんな断崖絶壁な場所にひとが通る部分だけくり抜こう。そんな発想するかな?私ならアンカー打って足場を組む考えになるな。でもそれだと毎年雪崩で壊されるのかも?
場所によってはこうやって丸太で足場組されてるか所も多くある
ここじゃなくても紅葉はたくさん見れるが光の入り方が綺麗だったので寄ってみた
頑張って歩いたので、まずまずの時間にテン場に着くことが出来たが地面の乾いてる谷側は既に満杯である。 湿度高めの山側にはなったがそれでもそこそこいい場所をGET出来た。
私たちは4人用のデカテントである。ソロテント4つ張るよりもスペースは取らないし、お互いの体温で暖かい。そして何よりテント内で宴会が出来る。 担いできたビールはすぐに無くなるが、 ここ阿曽原小屋には、なんとビールの自販機があるのだ。何度か買い足しに行き、暫くすると私たちのテント前には凄い量の缶ゴミが出来上がった。
その後続々と到着するハイカー達のテントで歩く場所が無くなるほど場所は埋め尽くされた。ここで知り合った陽気な酔っ払いあんちゃんと19時になったら温泉で飲み直しだ、と申し合わせていたが、みんなで爆睡してしまいビール片手に向かったのは20時になっていた。( ̄▽ ̄;)
温泉から戻って本気寝になった翌朝、ヤバい、6時出発の予定がかなり出遅れてしまった。今日は約19kmと昨日より長い距離を黒部湖まで歩き、そこから車回収までがまた長いのだ。室堂最終バスの時間は16:30 間に合わなかったら帰ることが出来ない。
恐らくこの時間にまでテン場に残ってる人は距離の短い欅平に向かう人ばかりだろう。自販機で買ったビール缶は捨て場があったのでここに捨てさせて頂いて、黒部ダムへ向けて急ぐ。
またもや、朝イチ急登で、暑くて脱ぐ。毎回の朝イチ急登は体温を上げるためなのか?
赤と緑のコントラストが綺麗だったので撮ってみた。 まだ、焦る時間ではない。
途中にある関電施設の風呂は一目で源泉掛け流しの温泉だと分かるくらい窓から見える浴室は朝から湯気でモウモウとしていた。そして隣の窓からは所員達が歯磨きをしながら私たちに手を降ってくれた。
既に廃線になってるような線路があり
ステンドバイミーを歌う🎶 きっとここを通る6割の人は歌ってるはずだ。
そして「高熱隧道」でお馴染みの旧日電歩道のトンネルに入る
この辺りはかなりの硫黄の匂い、そして温泉の熱気であっという間にカメラのレンズが曇ってしまった
迷路のようなトンネルの中で若干迷いながら外にでると
ダムと渓谷、滝が融合した凄い景色が出てくる
おっと、ヤバい... また、呼吸するのを忘れていた( ̄▽ ̄;)
いわゆる絶景時無呼吸症候群ってヤツである。
ようやく平常呼吸を取り戻し先を急ぐ
揺らすなよ、揺らすなよと言いつつジャンプする。
何度かこういう楽しい場所を歩く
山と違って色んなアングルの写真が撮れるのもここの魅力である。
道もクネクネして対岸に見える場所が多いので、断崖を歩く様子も上手く撮れる
う〜ん、岩のスケールがデカい!
ここ、十字峡は
フィックスロープが有り下まで降りて行ける。
下からさっき渡った吊り橋を見上げる。この辺りから阿曽原小屋を先行出発した人達に徐々に追いつく。
ここはずぶ濡れポイントであるが、天気がいいので水量少なくそれほどでは無かった。雨だったら濁流に流さるのではないかと心配になる
メンバーの1人が写ってるのだが保護色で何処に居るか分からん...
この辺りの雰囲気もまた良い。
ほれほれ、良い場所しかない
どれをトプ画にするか迷う程どれも最高である。
黒部ダムへ向かう殆どの人は扇沢へ帰るが、私たちは時間のかかる立山方面である。何人かの先行の人達に道を譲って頂きながら先を急いでいると...
ここで、昨日私たちテントに乱入してきた陽気な酔っ払いあんちゃんと再び遭遇。昨日は19時をスッポカシてすまんm(*_ _)m もう少し話したかったが、時間が無いので先を行く。
この高巻ハシゴは最近出来たもののようだ。本来の道の1部が崩れてるせいだろう。
従来道は足場が完全に無くなってる訳ではなく通れそうではあるが、高巻ハシゴの方が楽しそうなのでこっちにする。
丸太と番線で上手く作ってある。今では建築現場の仮設足場は何処も鋼管足場だが昔はこういった丸太足場が多く、当時は私も何度も作った。懐かしい。ってか、私もこんな場所で作りたいぞ。
息を呑む美しさって言葉があるが息って飲めるのか?飲んでるのはツバじゃないか? あっ、またくだらない疑問を抱いてしまった( ̄▽ ̄;)
紅葉と渓谷ってのは、ほんと絵になる。
これまた見事に真っ直ぐの滝である。
そしてここには去年の雪がまだ残っていた。
おお、後7kmか、だんだん先が見えてきた。
それにしても、見る景色がどれも美しすぎて右や左、上、下、さらには後ろとキョロキョロ目が大忙しである。
あまりにも激しく目を動かすので、仕舞いにはカメレオンのように左右の目が別々の物を見る特技を身に付けてしまった。
そんな特異な目は、道を見てなかったので不覚にも左足を岩に引っ掛けてしまった。重いザックを背負った身体は崩れたバランスを立て直すことが出来ず、そのまま谷底へと真っ逆さまに... いや、間一髪足元の岩の隙間に挟まって止まっていた。 怪我は無い??かと思ったが所々擦り傷と左手首捻挫、左肩と腰を打撲していた。歩けない程で無くて良かった。
ようやくダムの足元が姿を表す。ゴールは近いぞ!
放水される水しぶきが風に乗ってここまで飛んでくる。 この後、橋を渡ってダム最上部まで登るのだが、ここの登りが全行程の中で一番キツかった。
フラフラになりながらダム施設に入ってからも、さらに220段の階段を登らなければいけないのだ。
とりあえず展望台に登り、
雄大なダムを眺める。実はここに来るのは初めてなのだ。
ここに居る95%の人は観光である。彼らにとって、デカいザックを背負ってヘルメットを被り必死に階段を駆け下りる私たちはまるで異星人にでも見えているのだろうか?何となくそんな目で見られている気がした。
ちょうどダムの真上から見える山は、これまた絶景である。
そして黒部湖駅に到着。「よし、14:20発に間に合ったぞ!」と、喜んでいたが、この瞬間に完璧な乗り継ぎが出来る14:00発ケーブルが発車していた事は知る由もない。
大ボケかましたまま20分発のケーブルに乗り込む。
ケーブルはどんどん標高を上げ黒部平に到着。寒くてダウンを着込む
次はロープウェイだ。 景色は秋からいきなりの冬である。
ロープウェイで大観峰に到着。そしてさらに気温が下がる
そこから室堂まで、今度は電気バスでトンネルを抜け
走って行く。こんな狭いトンネルをなかなかの速度で走り抜けるのだが、よく事故らないものだ。ちなみこの場所だけが2車線になってて離合ポイントである。
つい数週間前、抜群の紅葉だった立山は、極寒になっていた。
同じ場所だとは思えない真冬の山と化している
ここからバスで美女平へ。 室堂で買ったビールを持って乗り込む。
美女平からケーブルで立山へ下っていく。アルペンルートは乗り換えが多い
そして前回の立山と同じ場所でキメ! ただ、今回はここからまだ寺田まで電車なのだが( ̄▽ ̄;) 電車の待ち時間が30分も有るので駅ナカ食堂でうどんを食べていたら、例の陽気な酔っ払いあんちゃんと3度目の遭遇。いや、酔っ払っていたのは昨日のテン場でだけだが。彼とはこの後の電車も同じで深い縁を感じ、「年始3日の山上ヶ岳参拝登山に一緒に行こう」と固い約束と握手を交わし寺田駅で別れた。 こうしてまたひとつ感動的なドラマが生まれたのである。 感動??か?