活動データ
タイム
25:36
距離
73.1km
のぼり
4982m
くだり
5748m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る10月24日(1日目) タイム06:00距離21.1km上り1379m下り1240mカロリー3119kcal 大門13:39ー13:51根本大塔ー14:05千手院橋14:09ー14:32大滝口女人堂跡14:33ー14:57薄(すすき)峠14:58ー15:40大滝集落東屋15:42ー16:49水ヶ峰分岐ー17:20東屋ー18:30大股登山口ー19:15萱小屋G 10月25日(2日目) タイム11:57距離35.0km上り2440m下り3242mカロリー5912kcal 萱小屋06:17ー07:02桧峠ー07:42伯母子峠ー07:56伯母子岳08:04ー08:14伯母子峠ー08:52上西旅籠跡09:05ー10:59三田谷バス停ー11:11三浦口バス停11:25ー13:39三浦峠ー矢倉観音堂―15:43西中バス停15:44ー16:08川合神社16:11ー17:32十津川温泉 昴の郷ー17:44果無登山口ー17:58十津川温泉 10月26日(3日目) タイム07:47距離17.0km上り1320m下り1419mカロリー3776kcal 十津川温泉06:11ー06:22果無登山口06:28ー06:56果無集落ー08:15観音堂08:23ー08:56果無峠ー09:03果無山ー09:09果無峠ー10:27七色分岐ー11:36八木尾バス停ー11:55道の駅奥熊野古道ほんぐう12:17-12:35三軒茶屋跡ー13:19熊野本宮大社13:33ー13:50大斎原13:51ー13:59熊野本宮館 かねてより、行きたかった熊野古道小辺路(こへち)。高野山から熊野本宮を詣でる70kmの山道。 熊野古道は大辺路、中辺路、小辺路、伊勢路などがあり、熊野本宮への参道としては、大峯奥駈道は別格として、その次に厳しいとされるのが小辺路。 距離は70kmだが、紀伊山地の真ん中を通り、道中、主だったもので4つの峰や峠を越える。ここは高野山で前泊したのち3泊4日か、もう1日加えて行かれるようだが、私が計画したのは2泊3日、しかも初日は京都からバスで高野山入りするために正午の出発となる。3日目も熊野本宮を14時半のバスで田辺に行き、そのまま帰宅する。中日の予定行動時間は12時間。いずれの日もせわしないが、兼業主婦の身の上、家に子供らを残しているので、この日程で行こう。 昨年の鯖街道80kmに続いての本ロングトレイルは11月に予定していた。でも、10月後半の北アルプス行を、積雪を伴う荒天が予想されたために断念し、繰り上げて小辺路を行くことにした。1日目は萱(かや)小屋跡の小屋かその前でテン泊とするが、2日目の十津川温泉では認められたテン泊適地がなくて難しそうだったが、幸い民宿を予約できた。ここでお風呂に入ってお布団で体を休めて体勢を立て直し、最終日に熊野本宮に詣でよう。 【1日目】 京都を9:20発の京阪バスで高野山へ。秋季のみの運行らしいが、ほかの客さんは高野山参りのようだ(それが普通だよね)。予約しておいたが、席に十分に余裕があった。時々発生するJRの遅延もなく、順調に京都を出発したのだが、岸和田の先、国道480号線のトンネル内で人身事故発生。トンネルは通行止めになり、いつ通れるかわからない。結局、阪和自動車道を和歌山JCT経由の遠回りとなった。本当は12時30分には千手院橋をスタート(それでも萱小屋跡には18時着の見込み)したかったのだが、これは絶望的だ。今日の宿泊を葦小屋跡から手前にすると翌日の十津川までがさらに長時間となり厳しくなるので、今日は遅くなっても、予定通り、葦小屋跡を目指そう。今日の行動時間は変わらないし、お天気も問題なさそうだから。 あらかじめ買っておいたおにぎりを車内で食べて昼食とし、南大門駐車場に13:30分に到着。1時間40分遅れ。駐車場のトイレは小1、大1の小さなもの。大きな駐車場なのになあ。駐車場から階段を上り、山道を行くと南大門。立派な門で、いよいよ高野山に入るのだとわくわくしてくる。ただし、高野山をゆっくりお詣りするのはまた今度にして、ゆっくりされている方々を避けて、先へ進む。コンビニで夕飯用に笹寿司か柿の葉寿司があるかと思ったが売ってなかったので、普通のおにぎりを購入した。道中のSAで買っておけば良かった。ちょっと、残念。 一応、高野山に来たので、根本大塔など立派な建造物に一礼して、いよいよ出発。金剛三味院の分岐でタイツとショートパンツ姿に変身して、ポールを持ってスタート。普段の山登りでは、後半に備えて控えめに体が自制するのだが、暗くならないうちにできるだけ進んでおかないといけないのでダッシュをかける。 大滝口女人堂跡、薄(すすき)峠までなだらかなアップダウンの道が心地よい。道もしっかりしていて快調に飛ばす。昭文社のコースタイムを大幅に短縮して大滝集落に下る。途中に高野槙や松茸の無断採取を戒める立札がある。さらに下ると一人通れるくらいの山道にバイクがあった。作業されているのだろうか、細い山道をバイクで登ってくるのは大変だろうな。きれいな川の上の赤い鉄橋を渡ると左折すると、かなりの上り坂。すぐに右に斜上するとその上に集落がある。集落にはトイレが完備されており、我々にはありがたい。おうちの前を失礼して通らせていただく。小辺路は以前から生活道路として使用されていただけのことはある。これから何度となく、おうちの前を通らせていただいた。この先には、ゆっくりできそうな東屋があり、ここで集落を離れる。尾根のトラバース道を進むとやがて、高野龍神スカイラインに出る。ここは車道歩きになる。右側を歩いていると何台も自動車が行き交う。車幅のある2車線なので問題ないが、往来は結構あるので時折、路肩で立ち止まって車をやり過ごす。歩いていると前方からパトカーがやってきた。パトロールご苦労様!ウインカーを出して停止したので通り過ぎようとしたら、後ろから呼び止められた。パトカーから出てきたのはサンドイッチマンの伊達みきお?そんなはずないよね。しかし似てるなあ。 伯母子岳方面に行くの? 今日はどこまで行くの? えー3時間じゃ着かないでしょう。 あちこちで熊が目撃されて被害が出ているので気を付けるように。 道は迷わないと思うが、上西家屋敷跡付近は道が傷んでいるので転倒や滑落に気を付けるように。 ありがたく、アドバイスを頂戴して、無事進めることになりました😅。 野迫川(のせがわ)村へ行くのであろうか、旅館のバスが2台通り過ぎていく。宿に着いたら、お風呂に入って夕食かな?夕闇迫る中、ここをボッチ歩いている私はきっと奇異に映っているんだろうな。 水ヶ峰分岐から左の山道に入り、スカイラインを離れる。集落跡のある登りを進むと、タイノ原線という車道に出る。この車道ができたために元の熊野古道はなくなってしまったようだが、17時を過ぎて随分を薄暗くなってきたので、漆黒の山道よりは少し明るい車道を通れるのはありがたい。今日は半月で路面を判別はできるが、ヘッドライトを点け、ザックには赤色ライトを点滅させて歩いていく。途中、右に展望が良い東屋もあるが、その分、風が強い。風が吹くと随分と寒くなってきた。気温は7℃。非常時には、ここでテン泊も想定していたが、荒天時には強風が難しそうだ。その先で山道に入る箇所が出てきたが、車道を進んでも大して距離が変わりそうになかったし、山道は真っ暗な樹林帯に突っ込むので、迷わずに車道を進んだ。 しかし、平辻から車道が大きく旋回していくので、今度は意を決して、漆黒の山道を進むことにした。ストックをたたいて音を立て、鈴もなっているが小さくて心もとない。誰もいないので声を出すことにした。「ずいぶん、暗くなりましたね。誰もいませんか。熊さん、出てこないでね。」など、適当なことを言って気を紛らわす。真っ暗な山道は怪しさ満点。なんだかハイテンションになってきた。倒木があるけれど、幸い、道はしっかりしている。こけないようにだけ気を付けて進んでいく。時折、右下に集落の明かりが見える。大股に近づいてきたことを実感できて、ハイテンションの上に元気も出てきた。 「このトラバースはなかなか終わりませんねえ」独り言は続く。長かった尾根の西側をトラバースが終わり、林道に合流して、今度は左へ、大股に向けて急な降下となる。下の方で川の流れの音に混じって、時折、モーター音がする。人里に近づいてきた。ようやく道路に出て右折してしばらく歩くと自販機が燦然と輝いている。トイレのあるバス停だ。街灯の明かりが眩しい。その明るさに元気をもらい、事前調査で何度も見ていた橋を渡って、大股集落。もう6時半だ。土曜の夜だし、周りのご家庭では夕飯かなあ。私は、小屋まであと4,50分だから頑張ろう。たいていの山の登りはじめは急登だが、ここも皆さんの居住地も含め急な道。普段から大変だなあ。そこを登りきると平地にテン泊の灯りが見えた。ここで泊まっているということは、小辺路に向かうご同業さんかな。この方(若者)とは最後まで何度もお会いすることになる。 坂道を40分以上登ると左前に小屋が見えてきた。萱(かや)小屋跡。事前に何度も調べて写真を見ていた場所にようやくたどり着いた。ここには小屋があり、その前にはテン泊適地の広場。水場も薪も用意されている。トイレがないのが残念。小屋には衣類が干しているのが外から見えたので誰か居られる。小さな小屋だし、土曜の夜なので一杯かもしれないなって思いながら扉を開けると、お一人がシュラフにはいって寝ておられた。ほかは誰もいない。3,4人泊まれそうな小屋だが、2人用の床を使わせてもらえた。ラッキー、しかも、この先住人さんは薪ストーブを焚いておられて小屋が温かい。挨拶して話すと、この方も小辺路へ同じスケジュールで行かれるご同業さんでした。私よりは一回りほど若い印象。 小屋のマットをお借りして、シュラフを広げ、ストーブの上のお湯を頂いてインスタント味噌汁を作り、おにぎり🍙2個を食べて夕食とした。せっかく、テントを持参したので使いたかったが、もう19時半を過ぎており、早朝の撤収や湿気を帯びたテントをもって登ることを考えたら、小屋泊はありがたい。ストーブのおかげで、行動着の上に薄手のダウンを着ただけで眠ることができた。 【2日目】 翌朝、先住人さんは、私がまだ動かないうちから薪ストーブに火をつけていただいていた。ありがたい。私は、5時半ごろに起きだして、アルコールストーブにエタノール30mLを入れて400mLのお湯を沸かす。軽量化の一環でアルストにしたのだが、軽いし、ガス欠の心配がないのが魅力的。このお湯でカップラーメンを食べ、ミルクティーを飲んで撤収準備。隣の先住人さんは、まだ、シュラフのなか。外はもうヘッデンが要らなくなったので、お礼を言って先に出発した。 伯母子岳への登りはまず、桧峠へ。急な登りのためか、昨日のようにコースタイム大幅短縮とはいかない。昨日は昭文社の山と高原地図のコースタイムを軽く上回れたが、本日と翌日はコースタイム通りか、もう少し時間がかかる状態。いつもは休憩時間を入れて丁度ピッタリのタイムになるのだが、ここはシビアなタイム設定だ。場所によって行程の調査者が異なっているのだろうか。しかも、Yamapの小辺路のコースタイムはもっと多い設定だ。コースタイムはYamapの方が短い事が多いのだが、この山域は逆転している。Yamap通りでは結構時間を食う設定だ。両方の地図でよく調査しておく必要を感じた。 日の出前の山々、木々は美しく、6時50分ごろには陽が差してきた。足元には新しいストックの跡がある。昨夜見かけた、大股の麓でテン泊の方のだろうか。日を浴びた桧峠を越え、伯母子峠へトラバース。その手前で抜いて行かれた日帰りの登山者は伯母子岳へ直登されていった。トラバースしていくと、左手からの風がどんどん強くなってきた。峠の小屋に着いた頃は強風で気温は2℃だが、体感温度はもっと寒い。小屋は5、6人くらいが泊まれそうで、2人が食事中、1人が就寝中であった。外ではテン泊の2名の方が朝食中。焼かれたベーコンの美味しそうな匂い。相当寒いのだが楽しそうだった。木造のトイレは冬季使用禁止で、隣の簡易トイレのみ使用可能だった。ここは風の通り道で気温も低いので、下の萱小屋のほうが格段に快適だった。 ここから伯母子岳に登る。尾根伝いに比較的なだらかな斜面、岩が見えるころから斜度が上がり、稜線に出て右に折れると展望の良い山頂だ。ご夫婦、ワンちゃんを連れた方など、何人も登られてくる。風は強いが絶景を楽しめた。どうやら峠の方がかえって風が強そうだ。山頂から尾根伝いに南下して降りようと思っていたが、ロープが張られていていたので、仕方なく伯母子峠まで戻って下りて、トラバース道を行くことにした。崩落のあったトラバース道の補修ができたので、尾根道を行けないようにしたのかもしれない。ただ、降雨の後や積雪期は尾根を降りた方が良さそうだ。 上西家跡までのトラバースは左側が切れ落ちている個所もあり、右上からの沢を渡る部分もあるが、総じて気持ちの良い道が続く。上西家跡は苔むした大きな広場になっておりテン泊や休憩によい。足が痛いので、靴を脱いで足を開放し、ランチパックを食べた。少し足の痛みが緩和された。靴ひもが締めすぎかもしれないので、少し緩めると楽に歩けるようになった。ここからいったん登って、再び下りとなる。この辺りで、大きなザックの若者に元気よく抜かれた。大股でテン泊の若者だった。相変わらず左の崖に注意しながらトラバースする。一部、狭いところもあり黒部下の廊下みたいで要注意。この下りでは、登ってくるご夫婦、ソロの女性と出会った。結構、登る距離があるので、こちらから登られるのは少ないのかな。つづら折れの下りを我慢しながら降りると右に大きな川が見えてくる。もう少しで車道に降りる部分では右側が絶壁の崖で、道は狭く不安定で落ちたらただでは済まない。標高は低いがここが一番危険だった。この下りは結構長く、伯母子岳の大きさを感じた。今日はもう一山、三浦峠まで700mを登り返して降りて、さらに2時間のロードが待っている。 この伯母子岳登山口から車道を左に進んで橋を越え、しばらくバス通りを歩く。五百瀬(いもせ)のトンネルは危険なのだろうか、警備の方がいてくれて通行するのに同行してくれた。ありがとうございます。ここで先行していた若者に追いつき、写真を撮られているうちに先行する。アスファルトの路面にはヘビが日向ぼっこしていた。頭を持ち上げていたが攻撃姿勢なのだろうか。後続の若者に注意を促して三浦口の船渡橋手前まで来た。ここに三浦の湧水があったが、水は出ていなかった。そこのベンチに座って、ランチパックを頬張ると、追いついた若者が隣の建物にある自販機で飲料を買って、先に橋を渡っていった。 船渡橋の底は網目で下が丸見えで結構高度感がある。渡りきると民家の間を縫って登り、しばらく行くと旅籠の吉村家跡の大きな杉の防風林を過ぎて、その先に三十丁の水。ここの水はチョロチョロ出ていた。口に含んでみるが特に冷たくはなかった。振り返ると伯母子岳から降りてきた長い尾根が見える。やっぱり結構な距離だったことが分かった。樹林が終わり、両側を青ネットで囲まれた細道を登る。日差しがあり、日向ぼっこしているヘビにストックが当たったのか、ヘビが一目散に逃げていく。「ごめんねー」お詫びして逃げるように登る。登りきると東屋のある三浦峠だ。ダートの林道と合流しているが、手前の登山道の方が展望は良かった。ここは樹林もあり、トイレもあるのでテン泊できそうであった。 ここの東屋で、例の若者がストーブを使って食事をしていた。少し話をして、お先に行かせてもらった。ここから少し急になった山道を降りる。地面に枯葉が堆積しているが、石の上だと滑りやすいので注意して下る。足の裏が痛いので何度か小休止を入れながら長い坂道を下って矢倉観音堂までたどり着いた。当初の予定より40分ほど遅れているので少しペースアップして降りてきたし、靴紐を緩めすぎたためか、足裏の中央部に靴擦れの痛みが出てきた。水ぶくれができているようだ。靴下は五本指のインシンジのインナー靴下とポリエステルの厚手の靴下にしており、それらの間で滑ることはなさそうなので、やはり、紐を緩めすぎたか?紐を締め直し、山道を降りて林道に出た。いったん、山道に入って住宅の前を折れて再び林道に合流。本来は林道から三たび、山道に入るが、崩落があるようで通行止め。林道をそのまま降りて西中バス停に出た。16時少し前。ここから、いよいよ2時間のロード8kmで柳本橋、そこから十津川温泉まで20分の見込み。まず、民宿に電話して18時半ごろの到着になりそうと伝えた。「えらかったら連絡くださいね」って、親切な女将さん。「えらかったら」って、「しんどかったら」や「気分悪かったら」と同意で、我々は普段から使うので全く違和感がないが、別の地方の方だと「偉かったら」???ってなるよね。 ここからひたすら、舗装道路を歩く。舗装道路の実績は南アルプス鋸岳の釜無川林道が9.2kmで2時間20分、鯖街道が16kmで3時間40分だったから、1kmを14分くらい。通りかかる車は地元の方でご理解があるのか、減速して通って行かれるし、住宅の前を通りかかると、あいさつしていただける。不審者扱いされないのがありがたい。途中で暗くなってきたのでヘッデンを点灯し、ザックに赤色ランプを点滅させて、バス停を1つずつやり過ごす。そのころには、時刻を気にしてもしょうがないので、ひらすら黙々と歩く。昨日は、暗闇の山道でハイテンションになったが、ここでは人工物ばかりなのでテンションは上がらない。 それでも、曲がり角を左に折れると突然、大きなリゾート施設「昴の郷」が見えたときは感激した。オレンジ色の灯りがきれいで何かのプラントかと思ったが、屋内プールもあり、従業員さんの歩く姿も見えている。ソロでの宿泊はなさそうだし、かなり高価みたいだ。昴の郷の目の前にある立派なトンネルの右にある旧道を進み、古くて小さなトンネルを通って右に折れると柳本橋だ。ここはGoogle MAPで予習していたので迷うことはなかった。もう十分暗いが、板張りの吊り橋を渡る。長さ90mだが、川底からの高さは10mだそうで、薄い板張りを照らしながら歩くが結構揺れる。板が薄いようなので、踏み抜いたらどうしよう。それに前から誰か来たら交差できるだろうか。でも、暗闇にヘッデン点けて渡る奴なんか居らんわねえ。よそから見たら、光を発して渡る私は異様だろうなあ。 無事に渡り終えて、果無への登山道を左に回り込み、鉄骨の立派な柳本橋(吊り橋と同じ名前)を渡ると、十津川温泉の行者民宿太陽の湯はすぐだった。最初、旧道の1Fに行ったが玄関ではないようで、登りなおした新道に面している5Fが玄関でした。体温チェックをクリアし、アルコール消毒、マスク着用で受付をさせてもらいました。時刻は丁度18時。予定より早く着いた。今日は安心して眠れそうだ。部屋は6Fで、露天風呂は3つあり、4Fが広間で食事。食事はシシ鍋かすきやきを選べるそうで、シシ鍋をお願いした。先に5Fの露天風呂で体を休めた。すべすべの温泉かけ流しで、今晩も明るい月夜。温泉、最高!3つのお風呂を制覇したらいかがですかと言われたが、1つで十分堪能できた。 本日の宿泊はご夫婦と私の3名。先に食事を済まされたので、私は一人でのんびりお皿に一杯のお鍋とシカ肉などお腹いっぱい食べさせてもらった。こんなに食べたのは数年ぶりだろう。こんなに食べて明日は登れるだろうか。足裏の腫れやむくみが心配なので、足元の布団を高めに重ねて足を上げて寝た。 【3日目】 翌朝は4時40分に起床して身支度して、5時半から食事を摂らせてもらった。予約時に相談させていただいたら無理を聞いていただけて助かった。朝もしっかり食べて、準備して、予定より少し遅めの6時10分に女将さんに見送られて出発した。今度は観光でゆっくりと訪れたい宿だった。 もうヘッデンは不要で、山の中腹に少しガスが残っているが今日も良いお天気だ。足は何とかアプローチシューズに収まった。まずは水場のある登山口から果無集落への登り。石畳みの坂をゆっくりと上る。息を切らせないように、汗をかきすぎないように。そういえば、今回は中央アルプス池山尾根のように息を切らせることがなく、その点では、急な岩場もない今回は、それほどきつくないのかもしれない。ただ、どの下りも長く、足裏と足指に負担がきている。自宅周りでも、かつてあったような畑の細道を通り抜けると集落にお邪魔する。家の庭先を通らせていただく。水が引いてあって、お花が添えてある。毎日、挿していただいているのだろう。挨拶して水を1杯いただく。さらに登って今度も別のおうちの庭先を通るが、なんか泥棒になった気分だ。こんなとこ、通ってよいのだろうかと躊躇してしまいそうだ。この上の石碑を過ぎると車道と合流し、ようやく登山口となる。この辺りから振り返ると十津川温泉も見える。集落の手前から西国三十三観音の石像が祀られている。三十三から三十一は果無まで登る別のルートにあり、小辺路では三十番から始まり、八木尾の一番まで続く。子供らの健康と幸せを祈願して、1つずつお願いに上がろう。 ここから天水田、観音堂、果無峠と続く。天水田は水田跡で平地のため、端の方であればテン泊適地になりそうだ。この辺りで下から快速で飛ばしてくる登山者が現れた。一昨日に萱小屋跡で一緒だった方だ。ストックなしで荷物も小さめ、少し前傾気味に快調に抜かれてすぐに姿が見えなくなった。観音堂まで登ると今度は、昨日何度も一緒になった若者が出発するところだった。観音堂は水がホースから豊富に流れており、トイレも3基(1つは和式、洋式には紙もあります)あった。ここで一息入れて、本日の最高地点である果無峠に登るのだが、すぐ隣に果無山の三角点がある。せっかくなので、そこまで行こう。急な登りが続くがまもなく左へトラバース気味になり果無峠到着。先行の2名は既に居なかった。峠は展望もなく、それでも風が吹くので、とりあえずザックをデポしてブナの平方面へ、果無山に向かう。ザックのない身は浮き上がりそうなくらい軽い。やっぱり、軽量化は重要だなあ。山頂への踏み跡はしっかりしており、10分もかからず山頂に到着。ここも展望がないのですぐに下りて峠から枯葉の山道を下った。 果無峠からの下りは比較的急で、日が当たるためか、枯葉がカサカサに乾燥しており滑る。何度も休憩を入れながら下ると下から声がしてくる。ツアー登山の方が展望の開けた山道で休憩されている。ちょうど、三十丁石のあたり、これは見逃したが展望の良い写真を撮って先を急ぐ。暫く降りると七色分岐。ここは休憩する場所もなく、単に分岐でしかなかった。さらに下ると川の水の音に加え、自動車の音がしてくる。下界に着くまで木製のベンチが3つあるが、1番上は長椅子が1つ壊れており、2番目も1個故障、林道出合になる3番目は崩壊していた。ここは林業関係者の広場となっており、作業小屋らしきところの軒先をまたもや通らせてもらって、暫く下ると熊野川沿いの広い車道に出た。熊野古道小辺路の登山口だ。これで実質の登山は終了だ。道路の歩道終点にザックを降ろし、靴を脱いで、ザックの上に寝ころがってしばらく大の字になった。ここまでくればもう大丈夫だ。達成感と安堵感に満ち、天気も良くて気持ちいい。車道を走る自動車がかなり減速して徐行しながら通り過ぎていく。ぶっ倒れているのかと心配頂いたようだ。申し訳ありません。疲れているけど元気です! ここから川沿いの歩道を歩き、歩道がなくなったところから暫く歩くと道の駅奥熊野古道ほんぐう。ここでは事前に調べておいた、めはり寿司とうどんのセット、それにソフトクリームを注文した。少し食べすぎたかな?ここから車道に戻り、左側の細い歩道を歩くと平岩口バス停となり、ここから右手の舗装された山道を三軒茶屋跡まで登る。そこに観光バスが停まっており、観光客が木製の杖を持って登り始めたところであった。道一杯に広がって歩いているので、ちょっとイラっとして、むきになって一行をぶち抜いていった。無理したので、汗をかいてしまった。三軒茶屋跡からは通常ペースに戻して進む。先日、フォローさせてもらっているみわたんが歩いた道だなあって思いながら、ちょっとよりみち展望台で大斎原(おおゆのはら)の大きな鳥居をみて、熊野本宮大社の裏鳥居に到着した。 ここでストックを仕舞い、手袋を外していると、萱小屋跡で一緒して、果無峠への登りでぶちぬいて行かれた方と再会した。これから中辺路をあるいて田辺まで行くそうだ。なんとタフな方! 同じ日程で本宮を目指したのは私を含め、3名だったようだ。もう一人の若者にもバス停で再会できた。大斎原の大鳥居は想像を超える大きさ。これは凄いわ。 今回の目的は小辺路を踏破するだけでなく、熊野本宮大社で祈願すること。 はるばる高野山から山を越えてお願いしに参りました。どうか、子供らが健康で幸せに暮らせますように、お願いいたします🙏。
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