八甲田山(大岳):紅葉と、火山と、温泉と

2020.10.18(日) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
3 時間 56
休憩時間
4
距離
9.2 km
のぼり / くだり
740 / 741 m

活動詳細

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青森市南部にそびえる『八甲田山(はっこうださん)』は、県内最高峰である『岩木山(いわきさん)』と並んで青森県を代表する山であり、日本百名山の一座としても知られている。多くの高原湿地を湛え、豊かな高山植物群に恵まれているほか、火山でもあることから『酸ヶ湯温泉(すかゆおんせん)』や『城ヶ倉温泉(じょうがくらおんせん)』などといった多くの温泉地も点在し、ロープウェーやスキー場も整備されているため、レジャースポットとしても多くの人々に親しまれているのだ。なお、『八甲田山』の名は、いくつかの火山や溶岩ドームの総称であるが、登山者の間では、その最高地点である『大岳(おおだけ、1585m)』への登頂を目指すのが定番とされている。   さて、そんな『八甲田山』であるが、8月に青森へ越してきたばかりの筆者としても、かねてより注目していた一座であった。折しも、この週末は紅葉シーズンの最中であり、その上気象予報も良好な模様である。とりわけここ数週間、週末に限って天気に恵まれないという不運に見舞われてきただけに、この好機を逃す手は無いというものだ。   かくして、此度の山旅はこの『八甲田山』に決定。青森県への転勤が決まった時から憧れ続けてきた名峰に思いを馳せつつ、登山口へ向け意気揚々と出立だ。 <注意事項> ・八甲田ロープウェーや酸ヶ湯温泉など、本峰への登山口と青森駅等を結ぶJRバスは、週末には大変な混雑を呈する。一応、各便とも需要を見越した台数で運行される模様であるが、バス停には極力早めに到着するとともに、行動計画の策定にも、十分な余裕を見繕った方が無難であろう。

八甲田山・高田大岳・雛岳 『八甲田山』の主峰、『大岳』へはいくつかの登山コースが整備されているが、今回は麓の『酸ヶ湯温』を起点として周回するルートを辿ることとした。
JR『青森駅』から朝一番のJRバスに乗り込み、1時間10分ほどで『酸ヶ湯温泉』へ到着だ。
『八甲田山』の主峰、『大岳』へはいくつかの登山コースが整備されているが、今回は麓の『酸ヶ湯温』を起点として周回するルートを辿ることとした。 JR『青森駅』から朝一番のJRバスに乗り込み、1時間10分ほどで『酸ヶ湯温泉』へ到着だ。
八甲田山・高田大岳・雛岳 温泉施設の一角に続く遊歩道を登って、一段上の大駐車場に出たら、車道脇の鳥居が登山口の目印である(但し、写真に写っている鳥居では無く、写真の右手側に位置する、別の鳥居なので注意)。靴紐を締め直したら、いざ登山道へ進出だ。
温泉施設の一角に続く遊歩道を登って、一段上の大駐車場に出たら、車道脇の鳥居が登山口の目印である(但し、写真に写っている鳥居では無く、写真の右手側に位置する、別の鳥居なので注意)。靴紐を締め直したら、いざ登山道へ進出だ。
八甲田山・高田大岳・雛岳 登山口からしばらくは、比較的緩やかな登りが続く。
この週末はタイミングよく、同峰における紅葉の見頃でもあったようで、登山道へ踏み込んでからしばらくは、秋色の彩りを頭上に愉しみながら歩くことが出来た。
登山口からしばらくは、比較的緩やかな登りが続く。 この週末はタイミングよく、同峰における紅葉の見頃でもあったようで、登山道へ踏み込んでからしばらくは、秋色の彩りを頭上に愉しみながら歩くことが出来た。
八甲田山・高田大岳・雛岳 道中、左手の木立が拓け、灰色の地肌と白化した朽木が立ち並ぶ光景も。本峰の火山活動の名残りであろうか。
道中、左手の木立が拓け、灰色の地肌と白化した朽木が立ち並ぶ光景も。本峰の火山活動の名残りであろうか。
八甲田山・高田大岳・雛岳 登山道は徐々に斜度を増していき、少しずつ足元に岩肌も覗くようになる。
登山道は徐々に斜度を増していき、少しずつ足元に岩肌も覗くようになる。
八甲田山・高田大岳・雛岳 途中の沢を渡りながら、麓側を振り返った先に見渡す、南側の稜線。これらの峰々は『南八甲田』と呼ばれており、既に火山活動を終えているため、より豊かな植生が息衝いているそうだ。
途中の沢を渡りながら、麓側を振り返った先に見渡す、南側の稜線。これらの峰々は『南八甲田』と呼ばれており、既に火山活動を終えているため、より豊かな植生が息衝いているそうだ。
八甲田山・高田大岳・雛岳 その後すぐに、再び沢越えの箇所へ。
此方の沢も、かつての火山活動の在り様を伺わせる、荒々しい姿を呈している。
その後すぐに、再び沢越えの箇所へ。 此方の沢も、かつての火山活動の在り様を伺わせる、荒々しい姿を呈している。
八甲田山・高田大岳・雛岳 先程渡った沢沿いに、登山道も険しさを増してゆく。この周辺は『地獄湯の沢』と呼ばれており、火山活動の影響からか、ほのかな硫黄臭が漂っていた。
先程渡った沢沿いに、登山道も険しさを増してゆく。この周辺は『地獄湯の沢』と呼ばれており、火山活動の影響からか、ほのかな硫黄臭が漂っていた。
八甲田山・高田大岳・雛岳 『地獄湯の沢』沿いの岩場を登りきると、『仙人岱(せんにんたい)』という平坦な地形の木道に出る。
ここにはかつては湿原が広がっていたそうであるが、登山者に踏み荒らされた結果、現在は一部を残して消失してしまったとのこと。
同所には水場の併設された休憩スペースのほか、脇道に進むと避難小屋も置かれている。
『地獄湯の沢』沿いの岩場を登りきると、『仙人岱(せんにんたい)』という平坦な地形の木道に出る。 ここにはかつては湿原が広がっていたそうであるが、登山者に踏み荒らされた結果、現在は一部を残して消失してしまったとのこと。 同所には水場の併設された休憩スペースのほか、脇道に進むと避難小屋も置かれている。
八甲田山・高田大岳・雛岳 『仙人岱』を後に北側へ進むと、今回目指すべき『大岳』の姿が間近に迫ってくる。
『仙人岱』を後に北側へ進むと、今回目指すべき『大岳』の姿が間近に迫ってくる。
八甲田山・高田大岳・雛岳 そののち、山頂直下の登山道はこれまでにも増して急坂となる。
ここまでの道程は、拍子抜けするほどサクサク進めてきたが、この先は一転して、中々の歯ごたえを味わうこととなった。
そののち、山頂直下の登山道はこれまでにも増して急坂となる。 ここまでの道程は、拍子抜けするほどサクサク進めてきたが、この先は一転して、中々の歯ごたえを味わうこととなった。
八甲田山・高田大岳・雛岳 途中、南側を振り返って見た景色。
写真左側のピークは『硫黄岳(いおうだけ、1360m)』と呼ばれているが、手前からそちらに連なる尾根を境として、向かって右手側にだけ木々が生い茂っているのがお分かりいただけるだろうか?
これは左側斜面の方が残雪が多く、そちらだけ木々が生育しにくいため、斯様な様相を呈するそうな。
途中、南側を振り返って見た景色。 写真左側のピークは『硫黄岳(いおうだけ、1360m)』と呼ばれているが、手前からそちらに連なる尾根を境として、向かって右手側にだけ木々が生い茂っているのがお分かりいただけるだろうか? これは左側斜面の方が残雪が多く、そちらだけ木々が生育しにくいため、斯様な様相を呈するそうな。
八甲田山・高田大岳・雛岳 やがて、登山道両脇の笹薮も拓けると、足元に岩がごろつく、更なる急坂へ。
同所は本日一番の頑張りどころとなるが、ここまで来れば『大岳』山頂までは、もう残りあとわずかだ。
やがて、登山道両脇の笹薮も拓けると、足元に岩がごろつく、更なる急坂へ。 同所は本日一番の頑張りどころとなるが、ここまで来れば『大岳』山頂までは、もう残りあとわずかだ。
八甲田山・高田大岳・雛岳 山頂直下の『鏡池』。ここは、爆裂火口に水が溜まった池なのだそうで、青森県内では最も高い、カエルやサンショウウオの繁殖地となっているとのこと。
山頂直下の『鏡池』。ここは、爆裂火口に水が溜まった池なのだそうで、青森県内では最も高い、カエルやサンショウウオの繁殖地となっているとのこと。
八甲田山・高田大岳・雛岳 引き続き岩場を登り詰めると、山頂手前の脇道の先に、山頂神社の祠が佇んでいる。
筆者もここまでの山行の無事に感謝し、手を合わせた。
引き続き岩場を登り詰めると、山頂手前の脇道の先に、山頂神社の祠が佇んでいる。 筆者もここまでの山行の無事に感謝し、手を合わせた。
八甲田山・高田大岳・雛岳 しかるのちに、『八甲田山』の最高地点、『大岳』山頂へ無事到着だ。
なお、本峰は三日前に今年の初冠雪を迎えたそうで、その名残りか、山頂周辺の足元は水浸しのぬかるみを呈していた。
しかるのちに、『八甲田山』の最高地点、『大岳』山頂へ無事到着だ。 なお、本峰は三日前に今年の初冠雪を迎えたそうで、その名残りか、山頂周辺の足元は水浸しのぬかるみを呈していた。
八甲田山・高田大岳・雛岳 山頂には強風に乗ったガスが流れていたが、それが途切れた刹那を狙って、周辺の景色を撮影。
写真は東側の見晴らしだ。
山頂には強風に乗ったガスが流れていたが、それが途切れた刹那を狙って、周辺の景色を撮影。 写真は東側の見晴らしだ。
八甲田山・高田大岳・雛岳 こちらは西側の眺め。
こげ茶色の台地の先に、うっすらとダム湖の水面が確認できる。
こちらは西側の眺め。 こげ茶色の台地の先に、うっすらとダム湖の水面が確認できる。
八甲田山・高田大岳・雛岳 上述の通り、今回は周回コースを辿るため、下山に当たっては登りと別コースで『酸ヶ湯温泉』への帰還を目指す。
まずは、先程と反対側の斜面に付けられた、急斜面の登山道を下る。なおこの箇所では、反対側から登ってくる方々とのすれ違いが多く、道を譲るタイミングの見極めも重要だ。
上述の通り、今回は周回コースを辿るため、下山に当たっては登りと別コースで『酸ヶ湯温泉』への帰還を目指す。 まずは、先程と反対側の斜面に付けられた、急斜面の登山道を下る。なおこの箇所では、反対側から登ってくる方々とのすれ違いが多く、道を譲るタイミングの見極めも重要だ。
八甲田山・高田大岳・雛岳 先程の急坂を下りきると、山頂直下の『大岳避難小屋』へ到着だ。
小屋前にはベンチの並んだ広場もあり、ここで大休止をとる方も多い様子であった。
先程の急坂を下りきると、山頂直下の『大岳避難小屋』へ到着だ。 小屋前にはベンチの並んだ広場もあり、ここで大休止をとる方も多い様子であった。
八甲田山・高田大岳・雛岳 『大岳避難小屋』前の分岐から、引き続き下山に向かう道程へ。
小屋前の広場を過ぎると、すぐに登山道の両脇には、背丈以上の笹薮が生い茂るようになる。
『大岳避難小屋』前の分岐から、引き続き下山に向かう道程へ。 小屋前の広場を過ぎると、すぐに登山道の両脇には、背丈以上の笹薮が生い茂るようになる。
八甲田山・高田大岳・雛岳 が、すこし下ると突然左右の笹薮が拓け、広々とした湿原に渡された木道に出る。
が、すこし下ると突然左右の笹薮が拓け、広々とした湿原に渡された木道に出る。
八甲田山・高田大岳・雛岳 この周辺は、『上毛無岱(かみけなしたい)』と呼ばれる一帯で、雪解け水が窪地に停滞することによって湿原を形成し、湿原植物の群生地となるそうである。
この周辺は、『上毛無岱(かみけなしたい)』と呼ばれる一帯で、雪解け水が窪地に停滞することによって湿原を形成し、湿原植物の群生地となるそうである。
八甲田山・高田大岳・雛岳 先程の湿原は『上毛無岱』という名前であったが、勿論、通常の『毛無岱(けなしたい)』も存在する。
一旦、再びの笹薮に入って急な木道を慎重に下ると、やがてその姿が一望できる絶景スポットへ。
先程の湿原は『上毛無岱』という名前であったが、勿論、通常の『毛無岱(けなしたい)』も存在する。 一旦、再びの笹薮に入って急な木道を慎重に下ると、やがてその姿が一望できる絶景スポットへ。
八甲田山・高田大岳・雛岳 下りきった先の『毛無岱』は更に広く平坦な湿地帯を呈しているため、周囲の景色をのんびりと楽しみながら散策できる。
写真のような池塘も、随所に見受けられた。
下りきった先の『毛無岱』は更に広く平坦な湿地帯を呈しているため、周囲の景色をのんびりと楽しみながら散策できる。 写真のような池塘も、随所に見受けられた。
八甲田山・高田大岳・雛岳 秋らしく彩られた『毛無岱』の先に見る、『大岳』の姿(写真右上)。
秋らしく彩られた『毛無岱』の先に見る、『大岳』の姿(写真右上)。
八甲田山・高田大岳・雛岳 『毛無岱』を後に、登山道は再び、登りはじめと同様の樹林帯へ。
ここまで来れば、いよいよ今回の山路も終わりが近い。
『毛無岱』を後に、登山道は再び、登りはじめと同様の樹林帯へ。 ここまで来れば、いよいよ今回の山路も終わりが近い。
八甲田山・高田大岳・雛岳 下山後のいで湯に思いを馳せつつ、軽やかな足取りで最後の分岐点を過ぎると、『酸ヶ湯温泉』はもう目の前だ。
下山後のいで湯に思いを馳せつつ、軽やかな足取りで最後の分岐点を過ぎると、『酸ヶ湯温泉』はもう目の前だ。
八甲田山・高田大岳・雛岳 下山後、まずは『酸ヶ湯温泉』の食堂『鬼面庵(おにめんあん)』にて昼食を摂っていく事とした。
写真は、筆者が今回注文した天ぷらそば。この蕎麦は八甲田山の伏流水を活かしつつ、つなぎ粉や添加物を一切使用しないというこだわりの一品で、麺も一般的な蕎麦より白っぽいのが特徴的。バリエーション豊かな天ぷら共々、大変美味しく頂くことが出来た。
ちなみに同食堂では現在、GoToトラベル政策の一環として、同キャンペーンの地域共通クーポンを持参した方向けの限定メニューも用意されている。
下山後、まずは『酸ヶ湯温泉』の食堂『鬼面庵(おにめんあん)』にて昼食を摂っていく事とした。 写真は、筆者が今回注文した天ぷらそば。この蕎麦は八甲田山の伏流水を活かしつつ、つなぎ粉や添加物を一切使用しないというこだわりの一品で、麺も一般的な蕎麦より白っぽいのが特徴的。バリエーション豊かな天ぷら共々、大変美味しく頂くことが出来た。 ちなみに同食堂では現在、GoToトラベル政策の一環として、同キャンペーンの地域共通クーポンを持参した方向けの限定メニューも用意されている。
八甲田山・高田大岳・雛岳 昼食後は、売店で記念バッヂを購入したのち、下山後の楽しみである温泉に漬かっていく事とした。
同温泉には、男女別の『玉の湯』の他、混浴の千人風呂が存在し、それぞれ泉源が異なっているそうな。
ゆっくり湯に漬かって疲れを癒した後、帰路のバスを待つ行列に加わる筆者であった。
昼食後は、売店で記念バッヂを購入したのち、下山後の楽しみである温泉に漬かっていく事とした。 同温泉には、男女別の『玉の湯』の他、混浴の千人風呂が存在し、それぞれ泉源が異なっているそうな。 ゆっくり湯に漬かって疲れを癒した後、帰路のバスを待つ行列に加わる筆者であった。

活動の装備

  • ニコン(Nikon)
    標準ズームレンズAF-SDXNIKKOR16-85mmf/3.5-5.6GEDVRニコンDXフォーマット専用
  • ニコン(Nikon)
    デジタル一眼レフカメラD7100ボディーD7100

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