活動データ
タイム
15:03
距離
30.5km
のぼり
2709m
くだり
2633m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る遅い遅い夏休みに一泊二日のテント泊で雲取山と飛龍山を訪れた。空白の夏の思い出キャンパスに、この白けた空に心の筆を走らせる。来年こそはと。 ■留浦〜鴨沢〜七ツ石小屋 奥多摩に足を踏み入れるのが二年ぶりのことである。その間、自分はどこをほっつき歩いていたのだろうかと振り返る。富田新道が通行不可(日原林道での土砂崩れ)であった為にメインルートの一つ鴨沢から入山する。休憩中どんぐりに狙撃されたことを除けば鴨沢ルートは平常運転であった。七ツ石小屋では途中で落としてしまった手ぬぐいを買い求める。手持ちはもう一枚あるが予備が必要であった。ベンチでシャキシャリときゅうりを噛り汗を拭った。 ■七ツ石山〜雲取山 小屋からひと登りし石尾根を合わせるあの景色がいつも好ましく思う。あー、石尾根だと。また少し足を進め七ツ石山に導く空を望むあの景色も好ましい。静かな七ツ石山山頂から雲取山を望む。曇り空の下に縦走路は伸びていた。奥多摩小屋は本当に閉鎖されてしまったのだな。一度くらい宿を借りたかった。 大げさな荷の私を見て下山する爽やかハイカーは「あとひと踏ん張りですよ」と励ましの声をかけてくれた。体重が5㌔増量したため、ヘバッテいるように見えたのかもしれない。事実へばっていた。 ■雲取山 久しぶりの長い行程だった。ほぼコースタイムでの登頂であった。今回ミッキーマウス・マーチ呼吸法を体得した。きつい上りの際は0.5倍速が丁度いい。山荘脇のテント場には既に6張のテントがあった。私のテン場はやや斜めだった。まぁいいやと妥協して2年ぶりにテントを建てる。ラジオを聞きながら晩飯を取る。スピッツは最高だな、ロックだな。足元にザックを敷入れ体がズレ落ちていかないよう横になる。ラジオで耳が疲れてくると山には夜が下りていた。 ■雲取山〜飛龍山 3時半に起床。パン、おむすび、豚汁、コーヒーという節操のない朝食を取る。山荘トイレを借りて水を汲み、出発して間もなく真っ白けな雲取山に立つ。石尾根方面にも一瞥くれてからメモリーズ(スピッツ♫)で脳内エンジンを吹かして歩き出す。尾根伝いにつけられた縦走路にはガスが漂う森の道が伸びていた。よく踏まれ、よく手入れされており狼平までの下りはロックだった(意味不明)。 狼平は一面が苔の絨毯だった。ここから先は緩やかな上りとなる。三ツ山に近づくにつれ、細いトラバース道が徐々に笹に隠され足下が怪しくなってゆく。谷側に踏み外したならば真っ逆さまに転げ落ちてしまう。ストックで笹をかき分けながら足元を確認してゆっくり進む。ぜんぜんロックではなかった(意味不明) 三ツ岩に到着したが三ツ岩がどれだかわからない。そんなことあるのか。ダニが怖いので笹薮をかき分けそれらしき場所へ入ることには気が引けた。真っ白けな空を眺めて一服する。 飛龍山へ向かう道には苔とシャクナゲが生い茂るしっとりとした奥秩父らしさが漂っていた。途中ものすごい獣臭を嗅いだ。相変わらず笹が煩いが焦らずに足をすすめる。山頂近道と書かれた道標を目にし、そこから10分程で目的の山梨百名山 飛龍山山頂であった。いつも石尾根から眺めていた山の頂きに立つことができた。しばし想いに浸る。 ■飛龍山〜丹波山村のめこい湯 多くの倒木が苔むし、シャクナゲがそこら中に茂る。天候も見極め、時節を変えて再訪する価値ありと見た。飛龍権現で小休止を入れ前飛龍へ向かう。禿岩はパスした。前飛龍からの下りは岩場(正にロック)が連続した。アップダウンがあるどうしてタフな下山路である。大分くたびれてきたところで熊倉山に至る。大休止の頃合いであった。息子に借りてきたお箸は秋田新幹線「こまち」。パッキングするのに箸長が丁度良い。鈍行親父は安全第一に下山するよ。ここから先、ブナの森に生き返させられた。あの瑞々しい緑はなんとも爽やかな気分になる。ずっと歩き続けていたいと思った。丹波天平からは目的をのめこい湯に定め直し、九十九折のザレたトラバース道と根比べである。もう少しで外界に下りられるというところでアブのような虫にチクリと手を刺された。振り払っても退散しないのでデコピンで撃退した。手にはそいつの針がお土産として刺さっていた。爪先で引っこ抜き、赤い刺傷の跡をチュウチュウと吸いながらどうにかのめこい湯に到着した。ぬるぬるとした温泉に浸かっていると静かに雨が落ちてきた。
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