活動データ
タイム
14:37
距離
26.9km
のぼり
2344m
くだり
2340m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る《アプローチ》 車=1時間25分(金沢-亀谷料金所)、37分(亀谷料金所-折立) 《登山コース》 ・1日目(10月3日) 6:51折立-8:06/8:20青淵三角点-9:16五光岩ベンチ-9:58/10:16太郎平小屋-10:59/11:11薬師平-11:49/12:31薬師岳山荘(受付)-13:11/13:17薬師岳-13:55/14:09北薬師岳-14:54/15:00薬師岳-15:33薬師岳山荘(宿泊) ・2日目(10月4日) 6:22薬師岳山荘-6:59/7:07薬師岳-7:36/8:00薬師岳山荘-9:08太郎平小屋-9:18太郎山-9:28/9:34太郎平小屋-10:58/11:20青淵三角点-12:16折立 ・1日目 (グレートトラバース風に) 午前6時51分、random walkerは標高1,350m、折立の登山口にいた。今回の舞台は北アルプス屈指の名峰・薬師岳。おおらかで気品あるその山容から「北アルプスの貴婦人」の異名を持つ。心配なのは空模様だ。女心と秋の空。山の天気はいつ豹変するかわからない。果たして貴婦人は微笑んでくれるだろうか? 急勾配の樹林帯を抜け、青淵三角点(標高1,870m)に到達すると、一気に視界が開けた。よく整備された登山道を歩き、9時58分、太郎平小屋(同2,330m)に到着。そこには水晶岳から雲ノ平を経て黒部五郎岳に至る黒部川源流域の絶景が広がっていた。 薬師峠からガレ場の急登を登り返し、薬師平で休憩を取る。するとrandom walkerはザックから何かを取り出した。昼食のクリームパンだ。昭和に幼少期を過ごした世代の大好物。random walkerは気力と体力が再びみなぎってくるのを感じた。 登山開始から約5時間、この日の宿、薬師岳山荘に到着。小規模で家庭的な雰囲気の山小屋だ。受付を済ませ、指定された場所で布団を敷く。予定よりかなり早い。ずっと高曇りで青空は見えないが、雨が降ることはなさそうだ。random walkerは薬師岳と北薬師岳へのアタックを決意した。 薬師岳まではザレ場の急斜面を喘ぎながら登る。午後1時11分、薬師岳(同2,926m)を踏破。山頂からの眺望を楽しむ間もなく、random walkerは北薬師岳へ延びる吊り尾根の稜線に向かった。ここから山の様相は一変する。彼を待ち受けていたのは、険しい岩稜帯。どうやら彼以外に北薬師岳に向かう人はいないようだ。 稜線上を縫うように歩き、無人の北薬師岳(同2,900m)山頂に到達。そこには圧巻の光景が待っていた。北アルプスの名峰群が織りなす絶景と、金作谷カールを抱えるように聳える薬師岳。西側から眺めるとどっしりとした山容だが、北側からは不安定で今にも崩落しそうに見える。random walkerは、ツンデレの貴婦人が今までずっと隠していた弱々しい一面を初めて見たような気がした。 薬師岳山荘で美味しい夕食をいただき、冷えたビールを喉に流し込む。山行を終えた後の至福のひとときだ。8時30分、消灯と同時に布団に潜り込む。random walkerは貴婦人の深い懐に抱かれている夢を見た。気まぐれな彼女は明日も笑顔を見せてくれるだろうか。前人未踏の挑戦は続く。 ・2日目 random walkerは北アルプスのなだらかな稜線上で朝を迎えた。午前5時。窓の外はまだ暗い。身支度を整え、小屋の外で日の出を待つ。だが急速にガスがかかり、一面真っ白になった。気温は4度。冷気がウェアの隙間から容赦なく入り込んでくる。日の出時刻を過ぎてもガスは晴れず、ご来光を拝むことは叶わなかった。 朝食の後、random walkerは再び薬師岳を目指して歩き始めた。どうしても貴婦人に挨拶をしたかったのだ。山頂の気温は0度、ガスで眺望もきかない。どうやら貴婦人のご機嫌は麗しくないようだ。祠の薬師如来に掌を合わせ、早々に下山する。 8時ちょうど、お世話になった小屋の人たちにお礼を述べ、random walkerは小屋を出発した。ガスを下に抜けても、空は厚い雲に覆われている。太郎平小屋の手前でパラパラッとにわか雨にあい、random walkerはレインジャケットを着た。太郎平小屋から下山ルートを外れ、太郎山(同2,273m)のピークを踏む。 幸い、雨はすぐに上がった。折立を目指し下山を急ぐ。途中から、薬師岳で転んだ際に打った右膝が痛み出した。膝はrandom walkerが抱えるウィークポイントのひとつ。青淵三角点の広場に到着すると、突然、ガスに隠れていた薬師岳が姿を見せた。貴婦人はやっぱり気まぐれだ。午後0時16分、右足を引きずりながら折立の登山口に帰還した。 1泊2日の山行を終え、random walkerは心地よい疲労と達成感に浸っていた。だが、彼の心にはいつか薬師岳から五色ヶ原を経て立山へ縦走したいとの野望がふつふつと沸き上がっていた。random walkerから登山への意欲が途絶えることは当分なさそうだ。前人未踏の挑戦は続く…。
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