活動データ
タイム
32:45
距離
54.2km
のぼり
4524m
くだり
4526m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る8月中旬以来靴の修理と体調不良でしばらく山に行ってなかった。気が付くともうすぐ4連休。どっか山に行きたい。奥多摩は歩き切った感もあるし久々に遠出してみたい。例年9月後半は早いところでは紅葉が始まるらしい。この際あまり行ったことのない北アルプスに行ってみよう。王道の涸沢にしよう。しかし北アルプスはまだ初心者同然。まず穂高~槍にかけての全景を見てそれから穂高の懐、涸沢に踏み入りたい。したがって「3泊4日の日程で上高地を出発して蝶ヶ岳・常念岳あたりに登りつつ穂高~槍を俯瞰し、それから横尾経由で涸沢に入り紅葉を堪能しつつ穂高の山々に登る」という計画を立てた。出発前一週間のなかで4連休の天気予報は刻々と変化し一時キャンセルも考えたが直前になって好転した。よし。 結果3泊4日は天気にも恵まれた最高の山行となった。蝶ヶ岳からのすばらしい穂高連峰の展望、登りがいのあった容姿抜群の常念岳、横尾での安堵感、涸沢での感動と、好天の中での奥穂・涸沢岳登頂。最高の満足感を味わった。一方でいわゆる「難所的」なルートを踏破していない物足りなさを感じたのも事実。物足りないのは自分の実力か。もう歳も歳だし。 【1日目・9月19日】 昨晩10時発の新宿発高速バスに乗って午前5時20分に上高地のバスターミナル到着。バスではあまり良く眠れず頭がボーっとした感じ。初めての上高地。人が多い。ここは超が付くほどの全国区の山域なのだ。少し登山的お上りさんのような感覚もあった。が、歩き出して梓川の青い透明感に一気に心を奪われそんなことはどうでもよくなる。河童橋を過ぎて快適な梓川沿いの道を行き、明神に着いた。せっかくなので明神池によってみた。途中嘉門次小屋を過ぎて神社で300円を払って明神池へ。神聖な雰囲気、かつどことなく龍でも出てきそう。畏敬の念を覚える。 さらに川沿いを歩き徳沢へ。リゾート感のある快適そうな山小屋とキャンプ場があった。多くの人がそれぞれの行程の中にあって一様にくつろいでいた。ここから長塀尾根へ入り蝶ヶ岳を目指す。思えば昨年9月の南アルプス縦走以来テン泊の重い荷物を背負ったことがなかった。登りに差し掛かってすぐに重さを実感する。でも脚は今年春から始めた日々のトレーニングによって鍛えられている実感があり、けっしてペースは速くないがいけそう。だが上半身が重さを嫌がっている感じ。なので時々荷物を置いて休みを取りつつ無理せず進む。前半の急登を超えてしばらくだらだらと緩く登って長塀山。そこから間もなく蝶ヶ岳が見え、そこに向かって登るハイマツの道の途中で遂に槍・穂高がその容姿を現す。来たー!その姿を眺めながら蝶ヶ岳山頂へ! 蝶ヶ岳ヒュッテは山頂のすぐそばにある。テント場に着き設営を開始。強風の中相当苦労した。お昼はヒュッテのカレー。おいしかった~。ところで基本的に山を歩いているときには新型コロナのことなどすっかり忘れてしまっているが、ヒュッテ内は要マスク着用。何度かマスクを取りにテントに戻ったりしたが、山に来て絶景を眼にした後でコロナの現実に引き戻されるがっかり感。しばらくテントの中で体を休め、夕飯のレトルトバターチキンカレーを頂く。その後穂高に沈んでいく夕日を眺めた。夕日は奥穂に沈んだがその後槍から北が赤紫っぽく染まっていった。その光の中心は南下していき、いつの間にか大キレットのあたりがその光の中心となった。まもなく暗くなり就寝。夜は風が強くてテントがグワングワンと揺れていた。 【2日目・9月20日】 翌朝3時半起床。いつものようにラーメンを食し、5時に必要なものだけ持って常念岳へ向けて出発。東の安曇野方面は昨日から雲海でおおわれており、その雲海の上が明るく染まってきた。日の出までには少し時間がありそうだ。常念岳方面へ向かう。今日も風が強い。蝶槍へ着いたころ、雲海上へご来光。そして控えめながら紫色を帯びた槍・穂高の美しいモルゲンロート。今日もいい日になりそうだ。常念岳へ向かうアップダウンが多い稜線を行くと常念岳山頂への稜線が威圧感をもって近づいてくる。結構な登りだな~これ。長い花崗岩の 尾根を登って常念岳山頂へ!360度の眺望。この山は素晴らしいよ。山頂の祠で記念撮影し、登ってきた道を戻る。蝶槍へのキツイ登り返しの後は強風にあおられ消耗する。テント場には11時前に到着、テントを撤収し蝶が岳のテン場を後にし、槍・穂高の最高の眺望を目に焼き付けてから横尾へと下る。 横尾には午後2時ごろ到着。蝶ヶ岳⇔常念往復の後重い荷物の3時間の急下りは結構消耗した。昨日は涸沢までいけるんじゃ?とか思っていたがちょっと無理。横尾は風もなく日が差していて暑いくらいだった。スマホの電波も入り、水も使い放題でかなりの安堵感があった。家族に無事を連絡し、ちょっと早い夕飯にレトルトドライカレーを食べ、持ってきた大石酒造の芋焼酎「鶴見」をスルメで楽しんだ。日暮れ時に前穂上空の雲が赤紫っぽく染まり美しかった。 【3日目・9月21日】 翌朝2時半起き。大分早い朝ラーメンを頂く。暗いなかテントを撤収し4時に涸沢へ向けて出発。真っ暗な沢沿いの道を黙々と進む。デカい石が多くてちょっと歩きにくい。本谷橋に着くころ空が白んできた。ここでザックを降ろして休憩、その後渡渉してから傾斜を増していく坂を上りだした。空も大分明るくなったころ、ニホンザルの群れに遭遇する。5~6匹の家族のようで、しばらく僕の前を警戒しながら先導してくれた。この辺りから涸沢方面から下山してくる登山者とすれ違うようになる。しばらく行くと梶尾本谷と穂高の稜線が眼に飛び込んでくる。この谷の左側が大キレット北側の起点南岳だ。Sガレのあたりで涸沢が見えだす。あれが涸沢か~。涸沢への最後の坂を上っていると続々と人が降りてくる。連休3日目だし今日帰って明日ゆっくり休みたいよねやっぱり。キャンプ場へ着いたのは午前7時。彼のカールと穂高のギザギザ稜線がドドーンとお出迎え!これはテンションが上がる。 涸沢ヒュッテから少し離れたところにテントを設営。サブザックに必要なものだけ詰めてパノラマコース経由でうっすらと紅葉の始まったカールをトラバースしてザイテングラートへ。ここまで登ってきた疲れもあったので、岩を登って穂高岳山荘へ向かう。風もなく心地よい快晴のなかヘルメットを着用した登山者が岩を登っていく。これまであまり岩の登りが続く山行経験は甲斐駒黒戸くらいか。楽しかった。穂高岳山荘付近は人で活気を帯びていた。涸沢方面の景色を眺めながら少し休憩する。常念岳いいねぇ~。 奥穂高岳への登り口ではハシゴと鎖場となっており登りと下りで長時間待ちあう超渋滞。登り口は日陰になっているので待っている間に身体が冷え、ジャケットを着込む。待っては登りを繰り返したが、待っている間にみた笠ヶ岳が素晴らしかった。しばらく登っていくとジャンダルムの岩峰が眼に飛び込んできた。おー、あれがジャンダルムか~。ジャンダルムをちらちら眺めながら登っていくと人の列に出くわした。もう山頂の祠手前、山頂記念撮影待ちの行列ができていた。皆祠に登ってから次の順番の人に写真を撮ってもらったりしているので時間がかかるのだ。待つこと多分30分以上、やっと順番が回ってきた。山頂の祠の写真とそれと一緒に手早く自撮りをして、山頂近くで槍ヶ岳への稜線を眺めてから下った。待ち時間ですっかり体が冷えてしまった。登り口付近ではやはり大渋滞。やっとの思いで山荘前の広場に下り今度は涸沢岳を目指す。涸沢岳は手を使って登る岩場はほとんどなく渋滞もなくすんなり到着。奥穂方面は残念ながら雲がかかってきたが、常念岳の眺めは素晴らしかった。涸沢岳を下っていると奥穂の方から「ラクー!!」の声とともに落石の音、けが人はなかったようだがあの渋滞の中での落石は恐ろしい。 山荘前の広場で少し休憩してザイテングラートを下る。ちょうど下山のピークに当たったようで、ゾロゾロと列をなして下る。僕の後ろを下っているのは年輩の女性。僕と同じように奥穂と涸沢岳に登頂してからのビクトリー下山。元気な方だ。僕の前の男性は西穂からジャンダルムを超えて来たという強者。大キレットや槍の北鎌なども制覇したらしい。いろんな人がいるもんだ。刺激になった。テントの許可証を取ってテントに着いたのは午後3時頃だっただろうか。すっかり疲れてしまった。今日は晴天。明日は冷え込むはず、と着込んでからヒュッテでビールと水を入手し、キーマカレーを食べた。 暗くなるころおしっこがしたくなりヒュッテのトイレ行った帰り、ヒュッテの展望台から宝石をちりばめたようなテント場の光景が。デジカメを取りにテントへ戻ろうとしたが、暗い中自分のテントがどこにあるのかわからなくなる。これだけ数多くのテントがひしめいているのだ。気を付けなければ本当にテント場で遭難しかねない。やっとの思いでテントを見つけデジカメをもって再びヒュッテの展望台へ。テント場の美しさもさることながら、どんどん星の数が増え空にも宝石がちりばめられていた。久しく夜景を撮影していなかったのでカメラの設定を試行錯誤し一生懸命にテント場や星空を撮影した。テントへ戻りもう一度星空を撮影し、テントに潜り込んで就寝した。疲れのためか寝苦しく何度も寝返りをしたのを覚えている。 【4日目・9月22日】 翌朝は4時半頃起床。最後朝ラーメンを食べてザックに荷物をパッキングし始める。日の出の時間も過ぎた頃、外の声につられてテントを出ると、穂高稜線へのモルゲンロートが始まろうとしていた。涸沢岳には雲が付き纏っていて離れなかった。だが、モルゲンが始まるとその雲が朝日に染まり稜線モルゲンによりいっそうの美しさを添える。朝の光の芸術が終わり再びパッキング。7時前にパッキングが終わりヒュッテ前を通ってから下山することに。ヒュッテの展望台で最後に光景を目に焼き付ける。この時ヒュッテの近くにある一部の木々が美しく紅葉していることに気付き、涸沢カールをバックに撮影。でも、今回は紅葉はまだちょっと早すぎた。 昨日登ってきた涸沢沿いに道を下る。連休最終日。さすがに下山者が圧倒的に多い。ぞろぞろと皆で下る。横尾にて無事を家族に伝え、徳沢、明神と黙々と下り11時ごろ上高地へ。バスターミナル近くのお店でサンドウィッチと山賊焼き(フライドチキン)をビールと一緒に食べた。その後上高地で現在コロナ禍で唯一日帰り風呂を提供する上高地温泉ホテルで温泉につかり、3泊4日山行の疲れをいやす。その後ウィンストンのレリーフとかを見て、河童橋近くのお店で家族へのお土産を買って、バスターミナル近くの梓川側にある広場でテントを乾かす。 午後4時過ぎの新宿行の高速バスに乗る。連休最終日の中央道はやはり大渋滞だった。新宿到着は2時間20分遅れの23時過ぎ。電車に乗ってなんとかその日のうちに帰宅。少しお酒を飲んで就寝。明日から仕事だ。
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