活動データ
タイム
09:32
距離
17.9km
のぼり
1367m
くだり
1080m
活動詳細
すべて見るこの2年半、私たち4人は福岡の、そして全国の山々を登ってきました。私たちの学年には女子が4人しかおらず、いつも一緒に登っていました。 初めての山行は皿倉山と尺岳。先輩方からの歓迎、賑やかなバーベキュー、部員全員で館歌を歌ったキャンプファイヤー、皿倉山からの夜景、テントで過ごす夜、そして美しい自然。登山の苦しさも含めて、すべてが最高の思い出でした。ここから、私たちの山岳部生活は始まりました。 三郡山系、雷山・井原山、脊振山・金山、英彦山、古処山・屏山・馬見山・江川岳。福岡の山々を時には歩荷で、時には読図をしながら登りました。自然を楽しみながら、体力をつけ、地形図の読み方を習い、経験を積んでいきました。やっぱり福岡の山はいいなあ。 平日は、学校の階段での歩荷と、学校から愛宕山の頂上にある愛宕神社へのランニングをしていました。部員は親しみを込めて愛宕と呼んでいます。愛宕は長い坂を登りきった後に階段が待ち構えていて、とてもきつかったです。愛宕のおかげでかなり体力がつきました。愛宕は私たちが一番多く登った山で、最も思い出のある山の一つです。標高は低いのですが、愛宕神社から見下ろす景色は最高です。是非たくさんの人に愛宕に登ってほしいです。そして、愛宕に登るときは是非麓から走ってみてください笑 夏休みと春休みには県外の山で合宿をしました。1年生の夏は北アルプスの穂高連峰、春は屋久島へ。2年生の夏は南アルプスの北岳・間ノ岳へ。特に屋久島が1番の思い出です。初めて見る植物、山頂での強風、みんなで作って食べた鹿児島県の郷土料理の鶏飯、全てが忘れられない思い出です。でも、このように高い山であっても、思う存分山を楽しむことができたのも、福岡の山でつけた体力と、日ごろのトレーニング(愛宕パワー💪)のおかげでした。 そして、これらの山行の延長線上に登山大会がありました。1年生のときに、2個上の女子の先輩がインターハイに出場したのを見て、4人でインターハイを目指すことにしました。初めての大会は道を間違えて失格、大会当日にメンバーが体調不良になり、大会に出場できないこともありました。しかし、2年生のときに、1個上の先輩が男女ともインターハイに出場したのを見て、今度は自分たちの番だという気持ちになりました。大会の準備に時間をかけるようになり、愛宕まで何度も走りました。その結果、11月の新人戦県大会では優勝できました。新人戦が終わると、馬見山・古処山で行われるインターハイ予選に向けて早速準備を始めました。過去の先輩が残してくれた資料を集め、天気図を書き、ペーパーテストの勉強をし、下見にも行きました。 その知らせは突然のことでした。インターハイ・県大会中止。今までの努力は何だったのだろう、と率直に思いました。その時は、今まで大会のためにやってきたことは無駄ではなかったと思い込むことで、悲しさをまぎらわそうとしました。でも、今になって振り返ると本当に無駄ではなかったと思います。ペーパーテストのために覚えた知識は普段の山行をより充実したものに、そしてより安全なものにしていたのだと気づきました。「えーっと、これはシャガで、これはマムシグサって言うとよ、大会で覚えたけん」「あ、ギンリョウソウやん!こんな植物、本当にあるったい!」「このコルの形好き!この前の山にも同じ形のコルあったやん」大会がなければ、このように山を違った角度で楽しむこともできなかったと思います。 インターハイ・県大会が中止になったのはやはり残念ですが、もともとインターハイ登山競技は安全登山を目的としています。だから、新型コロナウイルスが流行する中、常に安全を目指してやってきた私たち登山競技の選手は、中止という決定を受け入れなければなりません。 今回の活動日記は、県大会が行われる予定だった馬見山・古処山で1年生の歓迎登山を兼ねておこなった山行の記録です。私たちにとっては高校最後の登山でした。新1年生は30人以上入ってくれました。みんなにはこれからたくさんの山に登って、山を目一杯楽しんでほしいです。 活動日記の写真には、今回の山行の詳細と、2年半に登った山々の思い出をいっぱい詰め込みました。 また、この活動日記のタイトル「二年有半」は、中江兆民が余命一年半を宣告されてから書き始めた『一年有半』からとりました。実際には一年半を待つことなく生涯を終えた思想家の姿に、予定の二年半よりも早く活動を終えてしまった私たちを、恐れながらも重ねました。 この2年半、安全に、そして楽しく山に登ってこられたのは顧問の先生方とOB会の先輩方のおかげです。先生方は私たちのことを信用していてくれて、山に登る時は、私たちに前を歩かせてくれて、後ろの離れたところから私たちを見守っていてくれました。自由に、伸び伸びと活動することができました。そしてOB会の先輩方は様々な場面で私たちの活動をサポートしてくださり、山についても教えてくださりました。高校を卒業しても、合宿の引率のお手伝いなど修猷館山岳部の活動をサポートし、少しでも恩返しをしていきたいです。 最後に、愛宕の階段でバテたことも、荷物の重さに耐えて山頂に着いた時の達成感も、都会の生活では決して見ることのできない景色も、みんなで作って食べたごはんも、テントで色々なことを語り合った夜も、山でしか見せない仲間の笑顔も、そして大会に向けて奮闘した日々も、今振り返ると、山でしか味わうことのできない貴重な経験でした。そしてなにより、この2年半がこんなにも充実し、かけがえのないものになったのは、この4人が一緒だったからだと思います。ありがとう。 「年年歳歳花相似たり 歳歳年年人同じからず」これから、私たちは高校を卒業し、皆、別々の道を歩みます。今までのように4人でずっと一緒にいることはできなくなります。しかし、山はこの先も変わることなくあり続けます。変わることのないこの山に、再び4人が集まることを願って。 今まで登らせてもらった全ての山に感謝
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