活動データ
タイム
06:32
距離
14.1km
のぼり
1079m
くだり
1079m
活動詳細
すべて見る月山の山頂を初めて踏んだのは2008年7月です。山歩きを始めて3年目のことでした。 リフト上駅からリフトを利用して姥ヶ岳に登り、稜線を上り下りして月山山頂に至るという入門コースで、下りはリフトを使わずに下りました。残雪がまだ豊富な時期でした。花も美しく、見晴らしは良くなかったものの、巨大な山容に圧倒されたことを覚えています。 初登頂後、月山の周辺はよく通りました。 大朝日岳、以東岳、障子ヶ岳、寒江山、高館山、鳥海山、摩耶山などから月山を眺めた回数は、数十回になるでしょうか。それなのに月山に足が向かなかったのは、リフトで登れるということもあり、あまり登りごたえを感じなかったのが大きな理由でした。また、登山者が多く、渋滞しがちなことも敬遠していた理由の一つです。 今回、12年ぶりに月山を選んだのは、周辺の山々の中で、「てんくら」の予報が終日良かったのはここだけだったからです。このように消極的な理由で選んだものの、予報通りの天気に恵まれ、月山の印象は大きく変わりました。 晴れの仙台を山形に向かうと、笹谷峠手前から天候は変わり、雲が厚くなりました。山形に出ると、平野部は晴れているものの、月山周辺は雲の中でした。 ところが、午前7時に姥沢小屋駐車場に着くと、雲から下界に出たように青空が広がり、姥ヶ岳と月山が大きな姿を現しました。湯殿山山頂には滝雲が流れ、その先は雲に隠れています。登る山の方面だけが晴れている不思議な天気です。 協力金200円を払って、リフト上駅に向かいます。今回はリフトは利用せず、右手に進んで登山道を歩きます。姥沢小屋から出発して樹林帯を抜け、月山へは向かわずに姥ヶ岳に進み、そこから稜線伝いに柴打森を通り、月山山頂へ向かうルートです。 山頂からは八号目の方にしばらく進んで湿地を眺め、引き返して山頂に戻り、そこから姥ヶ岳を通らずに姥沢小屋へ下ります。このルートは、約15kmの歩行距離になりますので、登りごたえもあります。ついでに、山頂部でいろいろなルートの確認もしてみました。 月山は素晴らしい山でした。その雄大な山体を眺め、広大な湿地帯を見下ろし、稜線伝いに歩いていきます。天気は次第に良くなり、秋田県側は快晴に近い状態となりました。庄内平野はもちろん、日本海や鳥海山もくっきりと見えています。この季節は、リンドウが主役で、エゾオヤマリンドウ、ミヤマリンドウの紫が深い色合いで目に飛び込んできました。 山頂周辺からこれまで登った山々を同定します。朝日連峰は雲に隠れていますが、大朝日岳と西朝日岳が雲の上に顔を出していました。摩耶山そして高館山の山頂付近に立つテレビ塔も確認できました。これまでは、あちらから見ていた山から見返したことになります。初めて登った時は、雲がかかって姥ヶ岳が見えただけだったので、なるほど、こうなっていたのですねという感じです。 この月山山麓に風力発電計画が持ち上がっていると聞きました。新聞や Webでも関連の記事を読みました。月山山頂から庄内平野へ続く眺めを見ていて、この計画はダメだと改めて思いました。自然エネルギーにも長所と短所はあり、経済効率だけでなく、設置場所の歴史や風土、文化なども合わせて考慮し、設置するのが良いかどうかを判断しなければなりません。 直木賞を受賞した森敦『月山』を、久しぶりにもう一度読み返してみようと思います。
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