剱岳 やつみね敗退&チンネ左稜線

2020.08.17(月) 4 DAYS

活動データ

タイム

53:22

距離

31.5km

のぼり

4477m

くだり

4558m

チェックポイント

DAY 1
合計時間
11 時間 2
休憩時間
6 時間 59
距離
5.6 km
のぼり / くだり
591 / 483 m
DAY 2
合計時間
15 時間 51
休憩時間
6 時間 32
距離
9.8 km
のぼり / くだり
1592 / 1536 m
DAY 3
合計時間
15 時間 23
休憩時間
9 時間 40
距離
3.6 km
のぼり / くだり
958 / 952 m
DAY 4
合計時間
11 時間 5
休憩時間
3 時間 26
距離
12.2 km
のぼり / くだり
1333 / 1579 m

活動詳細

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1日目予定 室堂~剣沢キャンプ場 2日目予定 剣沢キャンプ場~長次郎谷を経て、熊の岩。 BC設置後、八ツ峰上半縦走 ************************************** 【アプローチ】 富山~室堂のバスが、運転休止のため、電車とケーブルカーとバスを乗り継いでいきます。 思いのほか、登山客が多いのと、ソーシャルディスタンスの関係か、ケーブルカーに予定の時刻に乗れず、 次の便を待つこととなりましたので、余裕を持った計画が必要です。 ---------------------------------------------------- 1日目 室堂~剣沢キャンプ場 --------------------------------------------- 【室堂~剣沢キャンプ場】 室堂は晴天スタート。 75Lでもギアが入りきらず、アタックザックを上乗せしたスタイルになり、重さは言うまでもなく、 足取りは重く、雷鳥沢からの登り返しは足に応えます。 それでも、ルートの名に恥じないほど、雷鳥の親子がたくさんおり、癒されながらの登山です。 劔御前に着く頃には、雲行きが怪しくなり、ポツポツと雨が。 登山の天気の変容にはいつも驚かされますが、 そこから予定地の剣沢キャンプ場までは、目と鼻の先。 一日目は、予定よりは時間はかかりましたが、 余裕を持って計画していたため、無事に到着しました。 剣沢の管理場には、富山県警の山岳警備隊の方からの情報が ホワイトボードに描かれています。 予め、情報を仕入れており、想定内。 それを踏まえて、警備隊の方達と話をしたところ 「そもそも一般ルートではないこと」 を踏まえて、巻くことは不可能ではないということをご教授いただきました。 夜ご飯(炒飯)ミーティングでは、現地判断とすることにしました。 夜は非常に風が強く、一日を通して天候の変化に驚きました。 相方のテントは張るのにも一苦労だったようです。 *************************************** 2日目 テン場から、長次郎谷を経て熊の岩 BC設置後、八ツ峰上半縦走 --------------------------------------- 【剣沢キャンプ場~熊の岩】 翌朝は、風も雨もやみ、晴天の予感。 富山の駅付近の「パンドール」とセブンのパンで サンドイッチを作り、早々に出発。 長次郎谷の取りつきまでは、情報通り、基本的には剣沢雪渓に下りることなく、アプローチ。 平蔵谷付近で、なんでもないような雪渓のど真ん中におおきな穴が出来ており、 一見安全そうでも、注意が必要だと思い知らされます。 長次郎谷の取りつきは、遠くから見ても尋常ではない壊れ方をしています。 左岸からなんとか取りつきましたが、 帰る頃には、更に縮小しており、この状態なら引き返すかなぁ。。という雰囲気です。 さらに上部の安全そうな雪渓も崩壊しており、 日々、雪渓の状況が変わる姿を目の当たりにしました。 この中、熊の岩まで、雪渓が続いているはずもなく、シュルンド崩壊の恐怖と戦いながら、ガレ場に飛び移ったり、徒渉したり、雪渓に飛びついたりを繰り返します。 結局、熊の岩まで、コースタイムの2倍かかりました。 早々にテントを張り、登攀のため、ギアをチェック。 ------------------------------------------- 【八ツ峰上半】 午後2時。八ツ峰上半に取り付きます。 Ⅴ・Ⅵのコルまでは、登り返しを避けたく、Dフェースの麓をトラバースすることに。 踏み跡はありますが、傾斜が強くボロボロの為かなり苦戦しました。 荷物が軽くなった分、足取り軽快に、明確なコルまでたどり着きました。 早速ロープを準備し、ルンゼチックな岩稜へと取りつきます。 3ピッチ出したところで、バンドへ。 とは言っても、ロープを解いて徒歩できる、穏やかな花畑という印象。 短い登攀を繰り返すこと、2時間、なかなかⅥ峰が終わらずに、粘るも、 見下ろした壁の様子から、Cフェースにいる事が考えられました。 2人とも初めての八ツ峰。進みたい気持ちがかなり大きく、このまま登ってエスケープするのが、理想でした。 が、初ルート故に都合が分からず、ここまでも、ルートやピッチを切る場所の判断など、 苦戦していたことを考慮すると、 「引き返した方が早い、安全」 と判断し、引き返すことに。 残置スリングを使いながら、3回の懸垂下降を経て無事取りつきまで。 18時にはテン場まで戻ることができ、一安心。 ささみをつかった雑炊と、雪渓で冷えたビールで乾杯。 登れなかった八ツ峰を眺めながらの夜ご飯は悔しくも感慨深いものがありました。 八ツ峰と、夕日に染まる後立山連峰、そして壮大な星空。 絶景に癒され、明日のチンネでリベンジを誓いました。 ************************************* 3日目 熊の岩から、池ノ谷乗越を経て、チンネ 登攀終了後、三の窓の頭とのコルに懸垂下降し、 池ノ谷乗越を経て熊の岩。 4日目 熊の岩から、長次郎谷を下降。 剣沢キャンプ場を経て、室堂へ。 *************************************** 3日目 熊の岩から、池ノ谷乗越 長次郎谷 右股を詰める。 池の谷乗越からは、浮石しかない、ガリーを降ります。 正面には小窓の王。 ここまできて見える、劔岳の新たな一面に感動。 200mほど降りると、三の窓のコルへの登り返し。 三の窓の雪渓は、所々亀裂が入っているものの、まだまだ豊富でした。 ここでも、雪渓を横切るためにアイゼンを装着。今回だけで、多分10回はつけたり外したり。。 チンネの取り付きへは、雪渓が切れていたため、 いったん数m下降して、雪渓の下からアプローチしました。 ------------------------------------------------- チンネ登攀 1ピッチ目 45m Ⅳ級? 60mのロープを持っていったため、ズルして2ピッチ分伸ばそうとした。 が、これが失敗で、ルートを見失うことに。 (途中で、テラスがあり、数m左のカンテに近い場所に残置スリングがたくさんあるのを発見。 しかし、あれではルートから外れすぎるのではないだろうかと考え、直上) 中央のフェースよりのルートとも言えないルートを登り、 ひとまずおそらく、2ピッチ分を稼ぐことには成功するも大後悔。 ここで時間をかなりロスしました。 2ピッチ目 30m Ⅱ級 左のカンテ状のラインを取るとスムーズにたどり着くであろう場所。(多分3ピッチ目) フェースをまっすぐ登って、30mほど。 素敵なデストライアングルの残置支点を終了点としました。 3ピッチ目 15m もはや踏み跡となっているハイマツ帯を壁に沿って右にトラバース。 おそらく、左方ルンゼルートや、下部ベルニナルートの合流点となるポイントにつく。 縦に走るリスにハーケンがたくさん入っており、ここでピッチを切る。 まだロープは出せるも、かなり屈曲し、実際に流れが悪かったので正解だと思います。 4ピッチ目 20m Ⅱ〜Ⅲ級 ピナクルを目指して岩棚を登り、そのピナクルを左後方にみながらフェースを登る。 岩棚は、コンテでのぼり、上部でビレイするとよりロープの流れがスムーズだったかもしれません。 その取り付きには残置ハーケンがたくさんありますが、かなり左方からスタートしました。 登り終えると、リッジに出たことを実感できます。 登り終えて、5mほど歩いたところで、終了点としました。 5ピッチ目 6ピッチに向かうまでの、踏み跡、リッジを5ピッチ目としました。 コンテがよりスムーズかもしれません。 6ピッチ目35~40m ここから、難易度が上がること、空中ビレイになる可能性が見えだしたので、 取り付きのテラスで、ロープを束ね直して、ロープが絡まらないよう準備。 実際に、リッジに出ると高度感があり、少し動きが硬くなってしまいます。 風も出て気持ち良さも感じてきます。 終了点はハーケンがたくさんある、人が数人立つことができるテラスで切りました。 7ピッチ目 20m 徐々に、傾斜も立ってきて、登れるルートが明らかになってきます。 ルートから外れる左方に、歩いて上がれるような踏み跡がありましたが、今回は見ないことにしました。 8ピッチ目 10m リッジ帯です。ここまでくると、核心部のチンネの鼻も見え始めます。 リッジ帯が続き、ロープの流れが悪くなるので、 短めに切ることを意識しました。 リッジは、一見難しそうですが、 巻くと戻ってきづらいルート取りだったので、素直に登りました。Ⅲ級ほど。 9ピッチ目 核心が見えているにかかわらず、ピッチをきらなければいけないもどかしさを抑えつつの水平クライミング。 核心のすぐ下に支点がありましたが、かなり見上げる形となり、太陽が眩しかったので、 少し手前で終了。この方が全体が見えて、後続には登るヒントとなっていいかもしれません。 壁からは遠くなるので、ロープの流れや、衝撃への考慮は忘れずに。 10ピッチ目 40m Ⅳ+ セオリー通り、カンテラインを忠実に登り、ハングに取り付きます。 ハングを超えた後も、スタンスが少なく、難しい登りとなりました。 1ピッチ目に続き、緊張した場面です。 11ピッチ目 30m クラックをうまく使い、カムを多用して登ります。 右のカンテラインを沿うように登りました。 12ピッチ目 Ⅲ〜Ⅳ級 右にいったり、左に行ったり、 難易度こそないものの、安全に登れるルートを探すのに苦労したルートです。 ほぼ、登りは終えており、ビレイ点が下になるのでロープワークにも難儀しました。 最終的にリッジ帯に入るピッチでした。 13ピッチ 20m リッジ帯のため、こちらも短くピッチを切っていきます。 確か、このピッチで、カムを滑落させてしまったような。 残りも少ないのはわかっていますが、 水が少なくなり、また、ガスが上がってきていることから、 焦りと疲労が隠せなくなってきます。 14ピッチ 20m リッジです。 15ピッチ 20m 最終ピッチ チンネの頭が見え、そこに向かうだけのビクトリーロード。 リッジ上をそのまま抜けれる気もしましたが、 下に踏み跡があることを知り、2mほどの階段をクライムダウンして、 10mほどの明瞭な踏み跡を歩いたのち、 チンネの頭を経由して終了点へ。 ここまでは、全て、トップで登って来ましたが、 感謝の気持ちを込めて、相方さんに先に登頂していただきました。 パートナー大事です。 ガスがあがってきている心配がありましたが、 ここでは、まだ晴天が続いていました。 日頃の行いが良いのでしょう。 少しばかり休憩と写真タイムの時間をとり、下山。 -------------------------------------------------------- 登攀終了~池ノ谷乗越を経て熊の岩。 チンネの頭からは、懸垂下降が一般的だそうですが、 下降できる踏み跡を見つけたので、コルまでは歩いて下降。 そこから、2回に渡り懸垂下降をしたのち、池ノ谷ガリーにたどり着きました。 池ノ谷ガリーからは、登攀したチンネの頭はもちろん、 小窓の王、その稜線が、夕焼けで黄金に輝き、登攀の成功を祝ってくれているようでした。 そこからは、来た道を戻るのみです。 長次郎右股の雪渓は、程よく腐っており、グリセードが効いて楽に下山できました。 夕飯は、 雪渓で冷えたビールと、あんかけ炒飯と、盛大なつまみで乾杯。 流れ星を一つ。見たのち、就寝。 ********************************************************* 4日目 目覚めと共に作った美味しくない?ご飯をたらふく詰め込み、 感動を共にしたテン場からの下山です。 朝焼けに見送られながら、長次郎谷を下降。 登る時と、雪渓の様子が大幅に変わっており、 対岸に渡ることはできるのか、冷や冷やしながら、下山。 結局、限られた場所をジャンプすることを繰り返し、分岐まで降りることに成功。 2日で、これほどまで変化するのかと驚きました。 疲れた体に鞭を打って、下山。 雷鳥荘(マスク必須)の温泉に入り、 疲れを流して帰路になりました。

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