風速17mの常念岳・大天井岳・燕岳

● ● ● ● 感想 ● ● ● ● 楽しみに楽しみにしていたのに… 今年こそ燕岳から槍ヶ岳を拝もうと思っていたのに… 天気、悪っ！（笑） でも、２日目の夕方、ほんの数時間だけ、壮大な夕焼けとともに燕岳が姿を見せてくれました。 やっぱり日本アルプスはすごいなぁ。美しいなぁ。 登山者を虜にする魔性だなぁ。 ● ● ● 思い出メモ ● ● ● 『一ノ沢登山口』 4：30にバスを降りる。登山口にいる相談員のおじさんから「昨日、常念岳で転倒して担ぎ下ろされた人がいたんだよ。今はコロナでヘリが飛べないからね」といった話を聞き、思わず青ざめる。絶対に救助を要請するような事態にはなるまいと、固く心に誓う。 『胸突き八丁』 登山口からしばらくは、なだらかで歩きやすい。沢沿いなので、道が濡れている。というか、道に水が流れている。歩いているうちにシューズ内が湿ってきて焦った。胸突き八丁は、名前ほどはキツくなかった。丹沢のバカ尾根の方がずっとキツイと思う。 『常念岳』 常念岳を目前にして、酷い天気になった。雨は小降りだが風が凄まじく、男の人でも立っていられない。午後から雷雨の予報だったので、登頂を諦めるべきか迷った。でも、いつもの「なんとかなるだろう」精神で決行。常念岳は岩だらけで足場が悪く、風が吹く度によろけて倒れそうになった。途中、外したグローブが風にさらわれて、遙か上の方まで飛ばされていった。怖い思いをして辿り着いた頂上は、小さな祠があるだけで、ガスで何も見えなかった。帰りに、雷鳥の親子に出会ったことだけがご褒美だった。 『常念小屋』 夕飯は17:00。味の濃いハンバーグが美味しかった。トイレは水洗ではないので多少ニオイが気になるが、掃除が行き届いていた。本棚にあった山岳救助ヘリの本を手に取ったら、過去に自分が遭難しかかったルートの救助記録があって、ゾッとした。 『横通岳から東天井岳』 ２日目の朝も、台風のような天気だった。6:00になっても大天井岳方面へ向かう登山者が誰もいなくて、とても心細くなった。が、燕山荘も帰りのバスも予約済。行くしかなかった。途中から雨も強くなり、袖がビチャビチャになった。 『大天井岳』 常念岳から大天井岳へは、予定より１時間早く着いた。身体が凍えそうなほど冷えていたので、売店で買ったココアを飲みつつ、天気の回復を待った。しかし一向にガスは晴れず、仕方なく重い足取りで頂上へ向かった。大天井小屋から頂上へは10分ほどで、あっという間に到達した。 『大天井岳から燕岳方面への道』 ここが予想以上に長かった。ガスのせいでほとんど景色の変化が感じられない稜線を、実に4時以上歩いた。途中、遙か遠くに燕山荘が見えたが、いくら歩いても一向に近づかないような気がするほど長かった。晴れていたら、また違った印象だったのかもしれない。 『燕山荘』 もう夕方に差し掛かる頃、やっとガスが薄くなった。チェックインを済ませる頃には、青空も覗いた。遂に、燕岳の全貌がお目見えした。それはそれは美しく、「北アルプスの女王」の名は伊達じゃないと感じた。幸運なことに、壮大な夕焼けも見ることができた。夕食前に、喫茶室でケーキセットを注文。ものすごく上質なケーキ。疲れた身体に糖分が染み渡った。夕食はハンバーグと煮魚。相変わらず、山小屋の食事にしては豪華だ。前回泊まった時はなぜか館周辺にトイレのニオイが立ち込めていたが、今回はニオイもなく快適だった。 『燕岳』 ２点、失敗した。１点目は、「この調子なら明日の朝も晴れるだろう」と高をくくって、燕岳登頂を３日目の朝にまわしたこと。朝一で窓を見てガッカリ、辺りは濃いガスで真っ白になっていた。２点目は、その３日目の朝に、ご来光待ちの人だかりができていたのに、「こんなガスじゃご来光なんて見えないだろう」と決めつけて外に出なかったこと。どちらも、予想と逆のことが起こった。悔しい。その日は、軽い高山病にかかったのか頭痛と倦怠感があったので、天気の回復を待つついでに2度寝して出発した。2時間ほど粘ったが、とうとうガスは晴れなかった。 『中房温泉へ』 燕岳登頂前に天気の回復を待ったために、バスの時間がギリギリになった。燕山荘から中房温泉まで、きっかり３時間で降りなくてはいけない。膝痛覚悟、ほぼトレイルラン状態になりながら、２時間で下山した（よくやった、自分）。少し余裕ができたので、温泉に入った。実に３日ぶりの入浴。パサパサの原始人から現代人に戻ったような心地がした。12：30にバス出発、19：10に新宿到着。無事に初２泊３日登山を終えたが、今の体力ではここが限界だと感じた。３泊４日とかそれ以上になったら、メンタルもフィジカルも続かないかもしれない。まぁ、そんなロングトレイルは「永遠の夢」でもいいかな。