深緑の塔ノ岳への道

塔ノ岳への登山道に入ると重い空気が絡み付いてきた、私は振り払う様に息を切らして歩いたが直ぐに追い付かれてしまった。 杉林を抜ける頃には淡い光が登山道にあふれ、絡み付いていた空気はいつの間にか軽くなっていた。 辺りには深緑を纏った木々の中に時折ウツギの白い花が覗き、そこかしこから鳥の声が聞えていた。 そして、いつしか目の前に長い階段が空に向い私の前に立ちはだかっていた。