お遍路の愛宕尾根と三室山 2020/2/29

2020.02.29(土) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
3 時間 12
休憩時間
33
距離
7.7 km
のぼり / くだり
575 / 596 m
18
44
12
11
21

活動詳細

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週末の天気予報は曇天の時々雨というもので、これは駄目だと諦めた木曜日。よせばいいのに同僚に誘われて駅前居酒屋で飲みすぎてしまった。 ところが翌日の金曜になり、土曜日に晴れマークが点灯したのはどうしたことかと思うが、山に行けると思うと嬉しい。その晩は二日酔で体調が悪いこともあり、早々に就寝。土曜はそれが功を奏してアラームよりも早く、未明の三時に目が覚めた。 身支度をして出掛けるまで、何処に行こうかと考えていたが纏まらない。中央線の電車に乗ると、新型コロナウイルス感染危機のご時勢とは思えないくらいに、夜明かしの徒がすし詰め状態で、車内の空気は、これ以上は無いかと思うほど不快であった。 この時点では、漠然と中央本線に乗り継ぎ、倉岳山にでも登ろうかと考えていた。しかし、立川駅で青梅線の接続が絶妙によいことを知り、ご無沙汰であった奥多摩方面に食指が動くような気分になった。 青梅行き電車は空いていて、ようやく落ち着いたと思うと眠気が襲ってきた。気がつくと羽村駅で、もうすぐ終点の青梅で奥多摩行きに乗り換えなければならない。この時点では、高水三山の展望地、岩茸石山で朝ごはんということにしようと、ぼんやりと考えていた。土曜日なので、なるべくハイカーの少ないルートで登頂したい。川井駅から沼沢尾根が適当だろう、という結論に近づいていた。 奥多摩行きの四両編成がゆっくりと発車した。宮ノ平を過ぎ、日向和田駅に停車すると、駅のホーム越しに、紅白の梅の木が並んでいる。それを見て、一瞬恍惚となった。吉野梅郷に下山して、散歩しながら帰途に就きたいという思いが唐突に浮かんだ。それで、二俣尾駅で下車することにした。 二俣尾駅で降りるということは、登るべき山は日の出山方面の愛宕尾根、ということになる。青梅丘陵では、梅郷が遠くなる。愛宕尾根を登り、三室山で朝ごはん、ということに決定し、ようやく気持ちが落ち着いた。 三室山、愛宕尾根を歩くのは久しぶりで、直近がいつのことであったかは直ぐには思い出せない。この尾根で思い出深いのは、2014年の二月に発生した記録的豪雪(2/15の積雪では、都心で27cmを記録した)から十日後に訪れた時のこと。奥ノ院の愛宕山には登れたが、そこから三室山に差し掛かる鞍部で、軽アイゼンを装着していただけの私は、積雪の道を踏み抜き、ずぼっと腰まで雪に埋まってしまった。想像以上に積もっていた雪の深さに驚き、次いで雪に埋もれた我が身が、まったくコントロールの利かない状態になっていることに気付いて慌てた。 ようやく脱出してから、茫然として積雪の鞍部を見渡し、徐々に恐怖感が湧きあがってきた。それで、ほうほうの態で来た道を引き返した。 今日の再訪は、もしかしたらその時以来のことなのかもしれない。奥多摩橋で多摩川を渡り、愛宕神社の本殿前で休憩。なつかしい登山道を歩いた。特筆すべきは、四国八十八ヶ所霊場をコンパクトに模したお遍路の道が、見まごうばかりに整備されていたことであった。「山内新四国八十八ヶ所霊場」という名称で、徐々に知名度も上がっているとのことは、事後に調べての認識である。 愛宕山から三室山まで、当たり前だが平穏に登り、二俣尾駅から一時間半で山頂に到達した。当て所も無く出掛けてきた自分の行程に整合性を与えるかのごとく、ここで朝ごはんとする。午前八時半、文字通りの朝ごはんの時刻なのが妙に可笑しい。 ずいぶん早く出掛けてきたが、なんだか自分がどうしたいのか判らない。一昨日の酒が未だ残っている訳は無いが、なんだか気怠い。それでこのまま下山することにした。吉野梅郷に至る緩やかな登山道を、のんびりと歩く。途中で、この日二番目に擦れ違った女性はずいぶん気合の入ったような出で立ちで、ダブルストックで勢いよく登ってきた。挨拶を交わした表情が精悍で、このまま奥多摩三山まで行ってしまいそうなオーラを醸し出していた。それで自分を顧みて、なんだかだらしないなあと思う。 今日で二月が終わる。来月はどうしようか。自分が奮い立つような山行計画を立てよう。そんなことをぼんやりと考えながら、春の気配漂う尾根道を、ふわふわと歩いていた。

青梅市 今日も行く先が曖昧で車窓を眺めつつの出立だったが、突然の決断で二俣尾駅に下車。東の空は明るくなってきたが、上空は雲に覆われている。
今日も行く先が曖昧で車窓を眺めつつの出立だったが、突然の決断で二俣尾駅に下車。東の空は明るくなってきたが、上空は雲に覆われている。
青梅市 奥多摩橋を渡る。右手に高水三山のひとつ、惣岳山。左手は築瀬尾根。中央奥に聳える山は、方角的に川苔山かと思われる。
奥多摩橋を渡る。右手に高水三山のひとつ、惣岳山。左手は築瀬尾根。中央奥に聳える山は、方角的に川苔山かと思われる。
青梅市 吉野街道に出て、少し青梅市街方面に戻ると、愛宕神社の入り口。向かい側にはコンビニがあって重宝する。飲料を購入して神域に入っていく。

石段手前の庭園のような広場に奥床しく梅が咲いている。背後は奥ノ院が在る愛宕山。
吉野街道に出て、少し青梅市街方面に戻ると、愛宕神社の入り口。向かい側にはコンビニがあって重宝する。飲料を購入して神域に入っていく。 石段手前の庭園のような広場に奥床しく梅が咲いている。背後は奥ノ院が在る愛宕山。
青梅市 傾斜が厳しく、長い石段を登りきると、本殿の在る境内。登った甲斐のある展望が広がる。
傾斜が厳しく、長い石段を登りきると、本殿の在る境内。登った甲斐のある展望が広がる。
青梅市 麓に在る即清(そくせい)寺からの道が合流し、登山道は四国八十八ヶ所霊場をコンパクトに模したお遍路道と化す。

火の神を祀る愛宕神社の参道である愛宕尾根で霊場巡り。これも神仏習合の名残りと言えなくも無い…のだろうか?

この一帯は「山内新四国八十八ヶ所霊場」として整備強化された模様。(以前訪れたのは随分前で、その頃も存在していたが、かなり廃れてうらぶれた風情の石碑と石仏群だった)

以下、「澤乃井」の小澤酒造HPから抜粋。

「山内新四国八十八ヶ所霊場とは〈中略〉東京の西、青梅は吉野梅郷のそのまた西の端〈中略〉柚木(ゆぎ)町にあります。
その柚木にある真言宗豊山派愛宕山即清寺を入り口として、四国八十八箇所霊場のご本尊と浄土を戴いた聖地が山内新四国八十八ヶ所霊場です」
麓に在る即清(そくせい)寺からの道が合流し、登山道は四国八十八ヶ所霊場をコンパクトに模したお遍路道と化す。 火の神を祀る愛宕神社の参道である愛宕尾根で霊場巡り。これも神仏習合の名残りと言えなくも無い…のだろうか? この一帯は「山内新四国八十八ヶ所霊場」として整備強化された模様。(以前訪れたのは随分前で、その頃も存在していたが、かなり廃れてうらぶれた風情の石碑と石仏群だった) 以下、「澤乃井」の小澤酒造HPから抜粋。 「山内新四国八十八ヶ所霊場とは〈中略〉東京の西、青梅は吉野梅郷のそのまた西の端〈中略〉柚木(ゆぎ)町にあります。 その柚木にある真言宗豊山派愛宕山即清寺を入り口として、四国八十八箇所霊場のご本尊と浄土を戴いた聖地が山内新四国八十八ヶ所霊場です」
青梅市 いよいよ大詰めの八十七番に到達。ここまで犇めくようにして並んでいた札所だが、最後の八十八番までの間は、やや距離があり勾配も増していくという、心憎い演出である。
いよいよ大詰めの八十七番に到達。ここまで犇めくようにして並んでいた札所だが、最後の八十八番までの間は、やや距離があり勾配も増していくという、心憎い演出である。
青梅市 ラストの八十八番、大窪寺に到着。満願成就の気分で小休止。同行二人(どうぎょうににん)もここまでということで、一路愛宕神社の奥ノ院を目指す。
ラストの八十八番、大窪寺に到着。満願成就の気分で小休止。同行二人(どうぎょうににん)もここまでということで、一路愛宕神社の奥ノ院を目指す。
青梅市 送電「新所沢線」27号鉄塔を越えて、軍畑駅方面からの尾根が収斂し、緩やかな傾斜を登り続けると愛宕神社の奥ノ院。愛宕山の山頂を占めているので、登頂したという感覚が湧かないけれど、これが麓から見えていた山のてっぺんである。
送電「新所沢線」27号鉄塔を越えて、軍畑駅方面からの尾根が収斂し、緩やかな傾斜を登り続けると愛宕神社の奥ノ院。愛宕山の山頂を占めているので、登頂したという感覚が湧かないけれど、これが麓から見えていた山のてっぺんである。
青梅市 愛宕山から鞍部を渡り、日の出山から連なる尾根に乗り上げると、程無くして標高646.9mの三室山に登頂。伐採されて眺望が利くようになっていた北東方面は、ふたたび樹木の背が伸びていて、もう麓の様子は窺えない。

丸ドッケ、カヤノ尾山。山名は変遷を辿り三室山となっているが、名著『奥多摩』で宮内敏雄は「…その東麓の三室(みつむろ)部落の背戸の山故にと、三室山と呼ぶ人もいるが之は誤りである」とバッサリ。しかも当の本人推敲済みである筈の概念図には「三宝山」と記しているので謎は深まるばかりである。(『奥多摩登山詳細図・東編』をよくよく見ると、東面に流れる「三宝川」の記載があり、一概に誤植とは言えないような気もする)

三室山でのんびりと朝ごはん。自作の紫蘇わかめおにぎりと、小海老天蕎麦のカップ麺。朝ごはんを食べる為に三室山にやってきたようなもので、今日は早速の下山となる。
愛宕山から鞍部を渡り、日の出山から連なる尾根に乗り上げると、程無くして標高646.9mの三室山に登頂。伐採されて眺望が利くようになっていた北東方面は、ふたたび樹木の背が伸びていて、もう麓の様子は窺えない。 丸ドッケ、カヤノ尾山。山名は変遷を辿り三室山となっているが、名著『奥多摩』で宮内敏雄は「…その東麓の三室(みつむろ)部落の背戸の山故にと、三室山と呼ぶ人もいるが之は誤りである」とバッサリ。しかも当の本人推敲済みである筈の概念図には「三宝山」と記しているので謎は深まるばかりである。(『奥多摩登山詳細図・東編』をよくよく見ると、東面に流れる「三宝川」の記載があり、一概に誤植とは言えないような気もする) 三室山でのんびりと朝ごはん。自作の紫蘇わかめおにぎりと、小海老天蕎麦のカップ麺。朝ごはんを食べる為に三室山にやってきたようなもので、今日は早速の下山となる。
青梅市 岩崖に立つ琴平神社に立ち寄ると、日の出町方面の景色。しばし茫洋と眺める。
岩崖に立つ琴平神社に立ち寄ると、日の出町方面の景色。しばし茫洋と眺める。
青梅市 ウメ輪紋ウイルスで全伐採されてから六年。梅の公園は今年も梅まつりの時期。再植栽の梅が満開となる日が待ち遠しい。
ウメ輪紋ウイルスで全伐採されてから六年。梅の公園は今年も梅まつりの時期。再植栽の梅が満開となる日が待ち遠しい。
青梅市 そぞろ歩きで日向和田駅に到着すると、上り電車は行ってしまったばかり。駅前の紅梅白梅を眺めながら日向ぼっこの電車待ち。
そぞろ歩きで日向和田駅に到着すると、上り電車は行ってしまったばかり。駅前の紅梅白梅を眺めながら日向ぼっこの電車待ち。

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