活動データ
タイム
05:01
距離
8.0km
のぼり
853m
くだり
854m
活動詳細
すべて見るYAMAPのワッペンやステッカーに「Feel This Planet,Earth」という言葉が書いてある。 それはきっと、アプリサービスより先に在る、YAMAPからのメッセージに違いない。 2月の連休、オートバイに乗って指宿のキャンプ場に出向き、開聞岳を歩きました。職業柄、私は連休がほとんど取れないので、年に数回の機会に遠出することにしたのです。 二泊三日の予定を組んで、オートバイを乗り回し、山登りと温泉巡りをするつもりです。slopebook君と出かける予定だったのですが、彼は直前に体調を崩してしまい、大事をとって参加を見送り、私独りでの出発となりました。 独りで赴いた指宿エコキャンプ場は、海岸沿いの美しい場所でした。併設する指宿休暇村には温泉があって、気軽にお湯に浸かることもできます。 また、施設全体が旧日本海軍の基地跡に位置しており、かつての防空壕跡や慰霊塔をお参りして歴史の重みに触れることも出来ました。 初日は、熊本からの移動のみで終えて、二日目の朝から開聞岳を歩くことにしました。 翌日は、春めいた快晴でした。 深い青が拡がる海沿いの道を開聞岳に向かいました。百名山だけあって多くの人で賑わう登山道を歩き、登頂を目指します。 標高1000メートル弱の開聞岳ですが、二合目から登山道が始まり、また、薩摩富士という呼び名の山容から予想できた通り、ひたすら登りが続いていました。 近ごろランニングに励んでいたお陰で、私は黙々歩き続けました。以前なら休み休み行くしかなかったような行程も、無心に歩き続けることが出来るようになっていたのです。 八号目付近から岩場が続き、時に際どい細道を辿り、ようやく山頂に到達しました。狭い山頂は多くの人で賑わい、強い風が吹いていました。順番を待って、見晴らしの効く岩場の上に立ちました。 周りに人がいることも忘れて、私は声をあげて賛嘆しました。 目の前に、遥かな世界が、美しく拡がっていたのです。 澄んだ空は青く、ひろがる海もまた深い青を湛えて、水平線のずっと遠くで空と海が交わっていました。それぞれの青にグラデーションがかかって、白く溶けあっていました。 遥か先の白い帯の中に、黒い山影が浮かんでいて、近くの人が、屋久島が見える、と呟いていました。 その島陰は、宙に浮かんでいるようでした。水平線は視界の先で、大きくて緩やかな弧を描いています。 私は生まれて初めて、自身が立っている場所が、まるい星であることを実感しました。 地球は、穏やかで美しい惑星だったのです。 山を下りて温泉に浸かった私は、キャンプ場に戻り黙々と夕食を食べ、テントの中で読書して過ごしました。夜も更けたころ、私は寝る前に歯を磨こうと外に出ました。 海風が音を立てて吹き連なっていました。周りのテントの灯りも絶えています。私は空を見上げてみました。 月は無く、かわりに、空一杯に星が煌めいていました。限りない夜空に幾つもの星が散らばって、私は、宇宙というものはなんと美しいのだろう、と愕然として立ち尽くしていました。 Feel This Planet,Earth. それは、単にこの地上の美しさを感じることではないのかもしれません。 星が煌めく夜に独り立った私は、宇宙に浮かぶこの地球そのものを感じることなのだろう、と想像に耽っていました。
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