活動データ
タイム
09:58
距離
20.6km
のぼり
1961m
くだり
1959m
活動詳細
すべて見る雪が少ないとは言え、さすがは越美国境。前山が近づいてくると、先行パーティーがスノーシューやわかんで勝負に出た。 実は、能郷白山に能郷谷からアプローチするのは初めてです。ここは由緒ある登拝路です。前回は温見峠からだったんです。そのあげく、休憩した時、ウルシに触れて1カ月は泣きました。かぶれたのは自分だけ。友人達は無傷。納得いかなかったなあ(笑)。 登路沿いのお地蔵さん。慈愛に満ちた目で道行く人の安全無事を祈ってくれています。振り返ると、能郷谷の左岸に倉見や岩岳、舟伏山が首をもたげています。さらに登ると、大白木山や日永岳が見えてきて胸が躍ります。 そして前山。冬の澄んだ空気が味方して一級の展望です。眼下に能郷谷と徳山湖。遠く恵那山、南アルプス、御嶽山、北アルプス。白装束の白山は異彩を放っています。手前に荒島岳、大長山、経ヶ岳。右に大日ヶ岳と石徹白を取り巻く峰々。 ひときわ目を引くのが能郷白山。両白山地の片方の雄に恥じないインパクトで迫ります。前山から本峰に至る長ーい尾根、こいつを気合でクリアして、ファイト一発、山頂です! 前後して歩いていた北海道出身のソロ男子と感動をシェア。既に先行していたSGナンバーの登山者さんたちは白山社奥宮の周りに集って楽しげです。そうそう、写真を撮っていただきました。ありがとうございます。直後にまたソロのYさん。みなさんいい表情です。 で、展望ですが、部子山、姥ヶ岳、スギクラ、若丸山、冠山、金草岳、笹ヶ峰、千回沢山、三周ヶ岳、烏帽子岳、蕎麦粒山、金糞岳、そして比良の武奈ヶ岳や蓬萊山までも。伊吹山、御池岳、小津三山(雷倉・花房山・小津権現山)、西台山、魚金山・・・挙げていったらキリがないね(笑)。 いよいよメイン・ディッシュのイソクラ。能郷白山を経由してイソクラに登頂するのをヨシとしない人もいます。それはひとえに標高の点で、経由する能郷白山の方が、イソクラより高いことにあります。モチベーションが上がらない、と言うのが理由でしょうか。 かつて、福井県側からスギクラと飯盛山を踏みました。その時、イソクラを遠目に眺め「次はあそこだ!」と誓ったものです。 イソクラ攻略の道筋として、自分が選んだのは能郷谷です。理由は登山口へのアクセスの確実性。福井県側は雪も深く、登頂の成否は除雪の状況に大きく左右されます。2月時点ではどこまで車で入れるかは混沌としています。 他にも、白谷側からのプローチ、徳山湖側から尾根通しするルートなどが考えられます。しかし、冬季であれば、国道の通行の可否の影響を受けるのは言うまでもありません。 さて、イソクラを見すえます。寡雪(かせつ)のシーズンだけにヤブの程度が勝敗を分けます。ルートは明瞭。タイムリミットを決め、勝負に出ます。誰も歩いていない雪原へ!起伏を読みながらルートを決めていきます。 ショートカットしすぎると、白谷側へ滑落の可能性があります。雪が甘い部分があって、ササやツゲの小灌木の踏み抜きにスタミナを奪われます。 イソクラは鋭峰。なので、最後の急登が大きな試練です。それでも一歩ごと、空が近づいてくるとカタルシスの瞬間。360度のパノラマは約束通り。引いては寄せる波のような感動に身を任せる幸せ! このレポートはここで終わるのがベストなのですが、実はここでもう一つ、大きな決定をしています。 それは帰路のルート取りです。今回は計画段階からピストン山行でした。けれども、ここで悪魔のささやきがあったことを告白しておきます。イソクラの山頂から南を見下ろすと、白谷が俯瞰できます。実は、その左岸に雪に埋まった林道型がついているのを見てしまったのです。それが甘く誘いかけてきます。 リアルな地形にバーチャルなラインを引いてみました。国土地理院の紙地図と見比べて検証していきます。往路の登りで能郷谷から右岸尾根に登りついたポイントめがけて、実行可能で最短に近い理想的なルートは描けるだろうか。 そのためには、①1250を通るイソクラ南東尾根を下降する②白谷を対岸に渡り、林道型に取りつく②林道を利用して768地点から北東に派生する白谷右俣を渡る③能郷谷右岸尾根1191地点、あるいは1129地点付近に這い上がる。以上、四つの課題をクリアしないといけません。 しかし①一見楽勝に見える南東尾根は、肝心の下部が見えていない②林道型が恐怖の滑り台になっている危険がある③谷を二本渡る必要があって楽観視はできない④能郷谷左岸尾根までの登り返し部分は、標高差を考えると1時間コースにはなる可能性もある、と踏みました。 胸に手を当てて考えてみます。不確定要素を余裕をもって処理できる時刻ではありません。それに、装備も不足しています。留守宅用の計画書にも書いてきませんでした。後ろ髪を引かれながらも、自分の実力を考え、順当な安全策に落ち着かせます。 下山時、ショートカットしようとしたイソクラ南東尾根を仔細に観察してみました。尾根の下部でやせ尾根となり、岩場の急崖が白谷にストンと落ち込んでいます。選ばなくて良かった・・・・ホッと胸をなでおろしました。
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