#134 南部地方に春がきた

2020.02.08(土) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
1 時間 27
休憩時間
1 時間 15
距離
595 m
のぼり / くだり
19 / 12 m
1 28

活動詳細

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今回もまたヤマの日記ではありません。 ご興味がある方はどうぞご覧ください。 南部地方には「えんぶり」という 鎌倉時代から続く郷土芸能があります。 僕の暮らす八戸においては、 毎年2/17から始まりますが、 隣町の階上町・南部町・五戸町・おいらせ町でも 前後して開催されます。 飾りの施された烏帽子を被った 太夫(たゆう)はウマをあらわし、 ジャンギと言われる農機具を雪に突き立て 春を呼び込みます。 着飾った子供たちの宴会芸も この祭りに花を添えます。 松の舞、喜舞、大黒舞、恵比寿舞 それぞれに意味があり、 極東の北国の痩せた土地である南部地方に 豊潤な秋の実りと海の大漁と、 疫病にかからないで無病息災を願う、 古からの習わしの一つです。 この日は昨夜からの粉雪で、 いかにもえんぶりの季節らしい白い朝。 白い息を吐きながら村の鎮守の神社にて 奉納をすませ、笛や太鼓を鳴らしながら 田舎の街を一斉に練り歩く「一斉摺」を 見るために早起きしました。 いつもながら写真多めなのでダイジェスト版で 最後に動画もつけております。 少しでもその雰囲気が伝われば嬉しいです。

名久井岳  気温マイナス6℃、積雪20cm、青空。
えんぶりの日としてはパーフェクトな朝。
気温マイナス6℃、積雪20cm、青空。 えんぶりの日としてはパーフェクトな朝。
名久井岳  地元の若者(わげもの)の後をついて行く。
地元の若者(わげもの)の後をついて行く。
名久井岳  着いたのは、地元の鎮守の諏訪神社。
着いたのは、地元の鎮守の諏訪神社。
名久井岳  朝からたくさんの見物客が来ていて、
朝からたくさんの見物客が来ていて、
名久井岳  まもなく始まる奉納舞を待っていました。
まもなく始まる奉納舞を待っていました。
名久井岳  時折枝から落ちてくる粉雪を浴びながら、
時折枝から落ちてくる粉雪を浴びながら、
名久井岳  皆、ひゃあと首をすくめています。
皆、ひゃあと首をすくめています。
名久井岳  このお祭りは雪景色が似合う。
このお祭りは雪景色が似合う。
名久井岳  子どもたちも頭に落ちてくる雪を払いながら
出番を待つ。
子どもたちも頭に落ちてくる雪を払いながら 出番を待つ。
名久井岳  古い神社の境内を眺めながら、
みな今か今かと冷たくなった手を擦ります。
古い神社の境内を眺めながら、 みな今か今かと冷たくなった手を擦ります。
名久井岳  軒先には太夫たちの被る烏帽子と、
軒先には太夫たちの被る烏帽子と、
名久井岳  神輿にのった太鼓や笛。
神輿にのった太鼓や笛。
名久井岳  そして宮司からの神事がはじまり、
そして宮司からの神事がはじまり、
名久井岳  厄を払い、安全を祈願する。
厄を払い、安全を祈願する。
名久井岳  獅子が舞われ、
獅子が舞われ、
名久井岳  観衆にも御祓がある。
観衆にも御祓がある。
名久井岳  石段を太夫が登り、
石段を太夫が登り、
名久井岳  奉納舞がはじまる。
奉納舞がはじまる。
名久井岳  低く、素早く、頭を振り、
低く、素早く、頭を振り、
名久井岳  大地を踏み鳴らす。
大地を踏み鳴らす。
名久井岳  ぶつかるジャンギの音と、掛け声。
ぶつかるジャンギの音と、掛け声。
名久井岳  息を合わせた流れるような舞。
息を合わせた流れるような舞。
名久井岳  雪を掘り返す鍬(くわ)と馬の足踏み。
雪を掘り返す鍬(くわ)と馬の足踏み。
名久井岳  激しく、時にゆっくりと、
激しく、時にゆっくりと、
名久井岳  厳かで不思議な雰囲気に包まれていく。
厳かで不思議な雰囲気に包まれていく。
名久井岳  最後に低く構え大地に力を与える。
最後に低く構え大地に力を与える。
名久井岳  恵比寿舞。
恵比寿舞。
名久井岳  農業だけではなく漁業も盛んな南部地方は
大漁祈願の恵比寿様も主役のひとつ。
農業だけではなく漁業も盛んな南部地方は 大漁祈願の恵比寿様も主役のひとつ。
名久井岳  そして小さな子どもたちが舞う[松の舞]
枯れない松の葉のように長寿を願って。
そして小さな子どもたちが舞う[松の舞] 枯れない松の葉のように長寿を願って。
名久井岳  奉納が終わり、各組が整列して、
いよいよ町内を練り歩く一斉摺(すり)へ。
奉納が終わり、各組が整列して、 いよいよ町内を練り歩く一斉摺(すり)へ。
名久井岳  まずはスタート地点まで移動して、
まずはスタート地点まで移動して、
名久井岳  それぞれのタイミングを確認する。
それぞれのタイミングを確認する。
名久井岳  お囃子たちもアイドリングをはじめ、
お囃子たちもアイドリングをはじめ、
名久井岳  さながら村まつりのようになる。
さながら村まつりのようになる。
名久井岳  お囃子もだんだん多くなり、
お囃子もだんだん多くなり、
名久井岳  祭りのテンションが上がってくる。
祭りのテンションが上がってくる。
名久井岳  いざ出陣とばかりに太夫たちが歩きはじめ、
いざ出陣とばかりに太夫たちが歩きはじめ、
名久井岳  それについて列が進んでいく。
それについて列が進んでいく。
名久井岳  ちいさな田舎道は人で溢れ、
ちいさな田舎道は人で溢れ、
名久井岳  それを小さくなるまで見送る僕ら。
それを小さくなるまで見送る僕ら。
名久井岳  彼らとは反対に、僕らは先回りして一斉摺のある目抜き通りに先回りすることにする。
彼らとは反対に、僕らは先回りして一斉摺のある目抜き通りに先回りすることにする。
名久井岳  スタート地点に着くと、
ローカル番組の取材がきていた。
スタート地点に着くと、 ローカル番組の取材がきていた。
名久井岳  テレ朝系列の土曜日朝の生放送のようだ。
テレ朝系列の土曜日朝の生放送のようだ。
名久井岳  一段とお囃子の音が大きくなり、
さながらカーレースのシグナルがブルーになる
直前のスターティンググリッドの様だ。
一段とお囃子の音が大きくなり、 さながらカーレースのシグナルがブルーになる 直前のスターティンググリッドの様だ。
名久井岳  準備OK?
準備OK?
名久井岳  いよいよはじまるねー!
頑張っぺし!
いよいよはじまるねー! 頑張っぺし!
名久井岳  そして狼煙を合図に一斉摺がはじまる。
そして狼煙を合図に一斉摺がはじまる。
名久井岳  ここから少し離れた施設まで通行止めにして
古式ゆかしい伝統的なお祭りが始まる。
ここから少し離れた施設まで通行止めにして 古式ゆかしい伝統的なお祭りが始まる。
名久井岳  太夫を先頭に、
太夫を先頭に、
名久井岳  各舞手たちが続く。
各舞手たちが続く。
名久井岳  お囃子は一段と大きく奏ではじめる。
お囃子は一段と大きく奏ではじめる。
名久井岳  お囃子たちもこの祭りでは主役みたいなもの。
お囃子たちもこの祭りでは主役みたいなもの。
名久井岳  この子たちは中学生くらい。
ことしから太夫デビューかな?
この子たちは中学生くらい。 ことしから太夫デビューかな?
名久井岳  どんどんと列が続く。
どんどんと列が続く。
名久井岳  華やかに着飾った子どもたち。
華やかに着飾った子どもたち。
名久井岳  大黒様をイメージして可愛らしいような、
お化粧のアンバランスさが微笑ましいような。
大黒様をイメージして可愛らしいような、 お化粧のアンバランスさが微笑ましいような。
名久井岳  街角の所々で立ち止まり、一礼。
にわかに観客から手拍子と掛け声をうける。
街角の所々で立ち止まり、一礼。 にわかに観客から手拍子と掛け声をうける。
名久井岳  いよいよ摺りが始まる。
いよいよ摺りが始まる。
名久井岳  棟梁の合図、
ヨーヨ! と掛け声をして
棟梁の合図、 ヨーヨ! と掛け声をして
名久井岳  3人の太夫がシンクロして摺る。
3人の太夫がシンクロして摺る。
名久井岳  動画にて所作を見ていただきたい、
流れるような動き。
動画にて所作を見ていただきたい、 流れるような動き。
名久井岳  激しく烏帽子をグラインドさせて、
猛る馬のように舞う。
激しく烏帽子をグラインドさせて、 猛る馬のように舞う。
名久井岳  続いて【恵比寿舞】
大漁祈願の舞で、主に男の子の役目。

各ある舞の中でも『長台詞』の演舞で、
幼い子はセリフを忘れて観客から励まされる。
続いて【恵比寿舞】 大漁祈願の舞で、主に男の子の役目。 各ある舞の中でも『長台詞』の演舞で、 幼い子はセリフを忘れて観客から励まされる。
名久井岳  とざい、とーざいとは、だまれのことー
おいびすさんごじさんの、
西宮(にしのみや)へとわたらせたもうー

千年たったるせんの木に
万年たったる松の木に
九百九十九年(くひゃくくじゅうくねん)たったるくすの木なんぞで船をはぎー

船のおもてには、
春日明神(かすがみょうじん)立ちたもう

ともには船主明神(ふなぬしみょうじん)
立ちたもうー
とざい、とーざいとは、だまれのことー おいびすさんごじさんの、 西宮(にしのみや)へとわたらせたもうー 千年たったるせんの木に 万年たったる松の木に 九百九十九年(くひゃくくじゅうくねん)たったるくすの木なんぞで船をはぎー 船のおもてには、 春日明神(かすがみょうじん)立ちたもう ともには船主明神(ふなぬしみょうじん) 立ちたもうー
名久井岳  さあさあこの拍子に舞いで来て、
何を舞ったらよかろうな
何を舞ってもおいびすだ、
おいびすまいとも はやせなー
さあさあこの拍子に舞いで来て、 何を舞ったらよかろうな 何を舞ってもおいびすだ、 おいびすまいとも はやせなー
名久井岳  ここらがよかろ!
えんばをとられた えんばをかえて 
つりあげてみせましょう
こんどはよかろ!
ここらがよかろ! えんばをとられた えんばをかえて つりあげてみせましょう こんどはよかろ!
名久井岳  あっ、おっきなものがつれた、
わきの下にかいこんで
にこにこわろたー
あっ、おっきなものがつれた、 わきの下にかいこんで にこにこわろたー
名久井岳  よそへはやらぬ、となりさんもやらぬー!
よそへはやらぬ、となりさんもやらぬー!
名久井岳  これの旦那様(だんなさま)に どっさり納めた
これこそめでたい おいびすだーーー!

(合いの手)
『おいびすまいとも はやせなー!
   おいびすまいとも はやせな』


『おいびすまいとも はやせなー』
これの旦那様(だんなさま)に どっさり納めた これこそめでたい おいびすだーーー! (合いの手) 『おいびすまいとも はやせなー! おいびすまいとも はやせな』 『おいびすまいとも はやせなー』
名久井岳  ヨーーー! ヨッ!!
ヨーーー! ヨッ!!
名久井岳  🎶🎶🎶
🎶🎶🎶
名久井岳  大黒舞は女の子の宴会芸。
基本は数歌でゆったりした舞。
この子の舞に見惚れて何枚もシャッター切った。
大黒舞は女の子の宴会芸。 基本は数歌でゆったりした舞。 この子の舞に見惚れて何枚もシャッター切った。
名久井岳  春のはじめに 福大福が
金どっさりもって 舞いこんだや
コラ ひとつとせ 。
(チョイサッサー)
春のはじめに 福大福が 金どっさりもって 舞いこんだや コラ ひとつとせ 。 (チョイサッサー)
名久井岳  日柄をえらんで 舞いらるる 七福神のや 
お酒盛り身上(しんしょ)は
のぼりて のびまわし
コラ ふたつとせ 。
(チョイサッサー)
日柄をえらんで 舞いらるる 七福神のや お酒盛り身上(しんしょ)は のぼりて のびまわし コラ ふたつとせ 。 (チョイサッサー)
名久井岳  福神祭りや(は) この家に
次第に身上(しんしょ)が 上がります
宝の山へと のぼらるる
コラ みっつとせ 。
(チョイサッサー)
福神祭りや(は) この家に 次第に身上(しんしょ)が 上がります 宝の山へと のぼらるる コラ みっつとせ 。 (チョイサッサー)
名久井岳  見事見事に 重なりて 今年は豊年万作だ
えびす舞うやら踊るやら
コラ よっつとせ 。
(チョイサッサー)
見事見事に 重なりて 今年は豊年万作だ えびす舞うやら踊るやら コラ よっつとせ 。 (チョイサッサー)
名久井岳  世にもしらるる 弁天様 妻もつ亭主は家宝となる
御宝(みだがら) 子宝(こだがら) つみかさね
コラ いつつとせ 。
(チョイサッサー)
世にもしらるる 弁天様 妻もつ亭主は家宝となる 御宝(みだがら) 子宝(こだがら) つみかさね コラ いつつとせ 。 (チョイサッサー)
名久井岳  いきな姿の びしゃもん様
かぶとずきんをかぶらせて
大鯛小鯛 つりあげて
コラ おかさねあげます およろこび
さあ なによりも めでたいとなぁ
いきな姿の びしゃもん様 かぶとずきんをかぶらせて 大鯛小鯛 つりあげて コラ おかさねあげます およろこび さあ なによりも めでたいとなぁ
名久井岳  そういう大黒舞のお囃子を聞きながら、
すっと伸ばした指先や
そういう大黒舞のお囃子を聞きながら、 すっと伸ばした指先や
名久井岳  打ち下ろす小槌と鈴の音。
打ち下ろす小槌と鈴の音。
名久井岳  それを見つめる観客たちも穏やかな眼差し。
それを見つめる観客たちも穏やかな眼差し。
名久井岳  日差しで路面の雪はすっかり溶けてきた。
最後に太夫が再び登場して【摺納】を。
日差しで路面の雪はすっかり溶けてきた。 最後に太夫が再び登場して【摺納】を。
名久井岳  摺納とは、
秋の収穫が終わり再び冬を迎えるとき、
次の年の五穀豊穣と無病息災を願う舞。
摺納とは、 秋の収穫が終わり再び冬を迎えるとき、 次の年の五穀豊穣と無病息災を願う舞。
名久井岳  動きはゆっくり目に、
大地に願うように低くうずくまるように。
動きはゆっくり目に、 大地に願うように低くうずくまるように。
名久井岳  棟梁がヤー!と掛け声を入れて、
棟梁がヤー!と掛け声を入れて、
名久井岳  太夫がシンクロする。
太夫がシンクロする。
名久井岳  周りを見渡すように首を振ると
周りを見渡すように首を振ると
名久井岳  烏帽子の飾りが吹き流しのように揺れる。
烏帽子の飾りが吹き流しのように揺れる。
名久井岳  ホントに太夫に馬が乗り移ったかのように
いななく。
ホントに太夫に馬が乗り移ったかのように いななく。
名久井岳  湧き上がる歓声と拍手。
湧き上がる歓声と拍手。
名久井岳  最後に見栄を切って、
拍手のなか歩きはじめる。
最後に見栄を切って、 拍手のなか歩きはじめる。
名久井岳  やり切った安堵感で笑顔があふれる。
やり切った安堵感で笑顔があふれる。
名久井岳  よかったよー!
頑張ったねー!
よかったよー! 頑張ったねー!
名久井岳  そして再び列が続き、
そして再び列が続き、
名久井岳  次の街角まで歩きはじめる。
次の街角まで歩きはじめる。
名久井岳  それを見送りながら、
それを見送りながら、
名久井岳  じんわりと温かい気持ちになる。
じんわりと温かい気持ちになる。
名久井岳  歳を重ねてやっと気がついた地元のよさ。
歳を重ねてやっと気がついた地元のよさ。
名久井岳  ポカポカした日差しが
ホントに春のようでした。
ポカポカした日差しが ホントに春のようでした。

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