開聞岳・長崎鼻・鰻温泉 2020/2/4

2020.02.04(火) 日帰り
七目
七目

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活動詳細

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野間岳、亀ヶ丘の行程を終え、枕崎市に戻る途上で夜になった。翌朝の開聞岳登山まで、どう過ごすかということに就いては、当初は台場公園という海浜公園で車中泊をしようと思っていた。 しかし、よくよく考えてみると、ここ南九州は東経130度線が通る処であり、明石の子午線からの時差は約20分。東京からは約40分遅れて陽が昇るわけで、枕崎市から開聞町まで早朝に車を走らせたところで、景色は全く見えない(ルートとしては、開聞岳を正面に見るドライブである)ことに気付く。 それならば、今夜中に開聞岳にほど近い処まで移動して仮眠を取った方がよい。目星を付けておいた共同浴場「枕崎なぎさ温泉」に向かう道すがら、そんな考えに行き着いた。 枕崎なぎさ温泉は露天風呂から東シナ海を眺められるというのが売りだが、夜になってしまっては余り感興が湧く風景でもなく、そしてかなりのぬる湯であった。しかし、時間を持て余した身にとっては好都合で、遠くの夜景をぼんやり眺めつつ、一時間ぐらいの長湯になった。 国道226号を一路開聞町に向かって走行し、午後十時前には開聞岳を正面に見るコンビニエンスストアの、広大な駐車場に到着した。晩御飯は鳥から弁当に缶ビール。山のテント泊を思うと、なんとも快適な自動車移動を実感しつつ、シュラフにくるまって文庫本を読んでいるうちに眠気が襲ってきた。 中途覚醒は一回で、あとは熟睡の車中泊だった。午前四時のアラームで起床し、コンビニでホットコーヒーを買う。しばらくぼんやりしてから、登山の支度を整える。目の前に聳える開聞岳は未だ星空の下で、影のように黒い姿で佇んでいる。 まるで深夜のような町の中を車で移動する。開聞駅付近の線路を越えると上り坂になり、程なく「かいもん山麓ふれあい公園」の駐車場に到着。トラックが一台駐車されているだけで、さすがに未だ登山者の姿は無い。中央管理棟の近くに駐車し、今日は身支度を整えてからの移動だったので、ほぼ予定通りの時刻に出発した。 駐車場前の車道を、そのまま開聞岳に向かって歩く。登りきると眼下に開聞町の夜景が広がっている。二合目の登山口に到着し、ここからはヘッドランプの足元ばかりを見て歩き続けた。やがて麓から指宿枕崎線の始発列車の走行音、そして午前六時を知らせるチャイムが流れてきた。林道が交差する二合目半を過ぎて、淡々と樹林帯の踏路を登り続ける。登山道は、樹々のざわめきを感じるだけで、相変わらず真っ暗闇であった。 列車のカタコトと鳴る音が聞こえてきた。かつて開聞岳登山のために乗車したことのある、山川始発の下り一番列車のようだ。夜は未だ明けない。黙々と歩を進めていくうちに、登山道は左方向に勾配を上げていく。そして少し空が白み始めたかなと思う頃、五合目(第四救助ポイント)に到達した。最初に展望が開ける処なので、ちょうどよいタイミングである。 上空は雲に覆われ、水平線もおぼろげで、長崎鼻の半島も薄ぼんやりとして浮かんでいる。本日の天気予報は完全な晴れの筈であったが、どうしたことかすっきりしない夜明けとなった。紫煙を燻らせて小休止する。それからは鬱蒼としたシダ類の森の中を、踏路は西に舵を切っていくようになる。夜明けは急速に展開し、ようやく陽が差し込んでくると、冷え切っていた頬が緩んでいく。 七合目(第三救助ポイント)の直前で大海原の展望が広がる。眼下は弧を描くような海岸線で、小さい突起が脇崎であり、地図の描く形の通りに俯瞰できる。雲間からの陽差しで、長崎鼻のシルエットも輪郭が鋭利になった。その向こうに横たわるのは、佐多岬の大隅半島である。海上の高いところを歩いているような、開聞岳登山道の醍醐味を堪能しつつ歩き続ける。 巨岩の折り重なるような踏路になり、仙人洞と呼ばれる風穴を過ぎると、梯子が設置された箇所に差し掛かり、それらをパスして、今度は薩摩半島南岸の眺望が一挙に広がる、第二救助ポイントに到着した。枕崎へと続く海岸線の横に、馬蹄形に構成された矢筈岳の全容が、まるでジオラマのように配置されている。 螺旋状に続いている開聞岳登山道が、急速に右へとカーブしていく。やがて池田湖(九州最大のカルデラ湖)の片鱗が見え始める。その向こうには桜島がうっすらと、今まさに噴火しているようで、噴煙を雲に混淆させながら浮かんでいる。いよいよ山頂が近い。振り返ると、朝の陽差しを浴びた開聞岳の、きれいな三角形の影が東シナ海に浮かんでいた。 標高924m、開聞岳に登頂した。累計で四度目の山頂である。誰も居ないのを改めて確認し、本日一番乗りの頂上に居るのだと自分を讃える。毎度のことだが、洋上に浮かぶ秀峰ゆえに、強風に晒される山頂は急激に体温を奪われ、あまり居心地はよくないのだが、それを補って余りある大展望である。 岩の上に立って絶景を眺めている最中に、サコッシュの中のスマートフォンが突然ぶるぶる震え始めて、取り出してみると着信音が鳴り響いている。なんたることか着信は家人からで、仕方ないので受話すると、今何処に居るのと訊かれる。いきなり日常に引き戻されたようで、眼前の眺望とのコントラストに、頭がクラクラする。開聞岳の頂上に居ると言うと、電話口の向こうは一瞬静寂になった。唖然としているのだと察せられるが、本当のことなので、これはこれで止むを得ない。 気を取り直して下山に掛かる。想定では午前九時台には駐車場に帰着したいと思っていたが、歩行時間に若干の遅れが生じている。途上の展望地では少々立ち止まりながらも、やや急ぎ足で来た道を引き返す。山頂で行動食の袋菓子を摂食したが、少し空腹感も覚えてきた。早く下山して朝食にありつきたいなという思いで、無心で下り続けた。 一時間強の所要時間で二合目登山口に降り立つ。未明に歩いて周囲の状況が判別できなかった登山口周辺の森林は、麓の風景が窺えるほどに伐採されていた。台風の影響があったのかどうかは不明である。 ふたたび舗道を歩き、かいもん山麓ふれあい公園の駐車場に辿り着いた。下山の途中で擦れ違ったハイカーは三組ほどで、駐車場には相応の台数が停まっていた。 時刻は午前十時を過ぎたばかりで、レンタカーの返却時刻までは約三時間の猶予がある。この後の予定は、かねてから訪れてみたいと思っていた鰻温泉に入湯することだが、少し寄り道できそうなので、山腹から眺めた景勝地、長崎鼻に行って、そこから開聞岳を眺めようと思い立った。 車を走らせること二十分程で、蘇鉄の木が立ち並び南国ムード漂う長崎鼻のエリアに入った。駐車スペースの管理小屋が見えてきて、その傍らに立っていたおじさんが両手を挙げているので急停車する。この先は土産屋が管理する駐車場だから、ここに停めれば無料だと教えてくれた。なるほどと首肯し、駐車させて貰う。 駐車スペースからは少々歩くが、くだんのおじさんの言うとおりで、何ヶ所もある有料駐車場を見ながら、立ち並ぶ土産屋の通りに進入する。かなり俗化され観光地然とした風情で、なんだか懐かしい光景でもある。 竜宮神社を経て、薩摩長崎鼻灯台の先は岩礁帯で、朽ち果てたコンクリートの遊歩道を、薩摩半島最南端まで歩く。お目当ての海に浮かぶ開聞岳の眺めは秀逸で、つい先ほど登ってきたかと思うと感慨もひとしおであった。 寄り道の結果、鰻池の畔に到着したのは午前十一時に近い時刻だった。噴気の漂う鰻集落に入り、念願の区営鰻温泉に入湯する。受付の女性が、今ちょうど一杯かなあと言った。浴槽の広さと入湯者の数を勘案しているようで、よかったら少し待ってから入ってね、とのことだった。配慮が感じられて、とても好感が持てる対応である。 ほどなく浴場に入り、お湯はものすごく熱かったので、出たり入ったり、慎重に入湯する。地元の方と長話に興じてしまい、かなりのんびりと過ごす。西郷どんが長逗留し、置き土産にシャツを置いていったという話など、郷土愛に溢れる語り口に相槌を打ちながらの長湯となった。 区営鰻温泉を堪能して、道端の休憩所で引き続きのんびりしているうちに、レンタカー返却時刻まで残り35分ということに気付く。後ろ髪を引かれる思いで、受付女性に見送られつつ、鰻温泉を去ることにする。指宿で無事レンタカーを返却したのは指定時刻の10分前だった。 コンビニで缶ビールを買って、指宿枕崎線の二月田駅で列車を待ちながら、ひとりの祝杯をあげる。乗り込んだディーゼルカーの車中では、すぐに熟睡してしまったようで、気がついた時は終点の西駅(地元では鹿児島中央駅のことをこう呼ぶ)に到着していたので、慌てて下車する。 開聞岳の行動食だけで、結局なにも食べていなかった。西駅に着いたら名物の鹿児島ラーメンを食べようと思っていたが、寝起きで食欲が湧かず、結局、溝辺鹿児島空港まで移動した。無事チェックインを済ませて安堵し、山形屋レストランのラーメンを食す。生ビールで再度のひとり祝杯をあげ、南九州の旅は終了した。

開聞岳 明石の子午線からの時差は約20分。東京からは約40分遅れて陽が昇る鹿児島県なので、開聞の町はまるで深夜のよう。

かいもん山麓ふれあい公園を出発したのは午前五時半で、中央管理棟も当然のことながら開店前の静けさかと思いきや、今日、火曜日は定休日との貼紙。

自販機で温かい缶コーヒーを買って、ゴーカートのコース沿いの舗道を登っていく。
明石の子午線からの時差は約20分。東京からは約40分遅れて陽が昇る鹿児島県なので、開聞の町はまるで深夜のよう。 かいもん山麓ふれあい公園を出発したのは午前五時半で、中央管理棟も当然のことながら開店前の静けさかと思いきや、今日、火曜日は定休日との貼紙。 自販機で温かい缶コーヒーを買って、ゴーカートのコース沿いの舗道を登っていく。
開聞岳 二合目登山口からヘッドランプの足元ばかりを見て歩き続ける。麓からは午前六時を知らせるチャイムと、指宿枕崎線の始発列車の音。本当に朝なのかと思うほどの真っ暗闇。

林道交差の二合目半で、古びた登山案内板がぼうっと浮かび上がる。
二合目登山口からヘッドランプの足元ばかりを見て歩き続ける。麓からは午前六時を知らせるチャイムと、指宿枕崎線の始発列車の音。本当に朝なのかと思うほどの真っ暗闇。 林道交差の二合目半で、古びた登山案内板がぼうっと浮かび上がる。
開聞岳 五合目(第四救助ポイント)に到達する頃、ようやく空が白み始めた。開聞岳登山道で、最初に展望が開ける処なので、ちょうどよいタイミング。

本日の天気予報は完全な晴れ、であったがどうしたことか上空は雲で覆われ、水平線もおぼろげで、すっきりしない夜明けとなった。
五合目(第四救助ポイント)に到達する頃、ようやく空が白み始めた。開聞岳登山道で、最初に展望が開ける処なので、ちょうどよいタイミング。 本日の天気予報は完全な晴れ、であったがどうしたことか上空は雲で覆われ、水平線もおぼろげで、すっきりしない夜明けとなった。
開聞岳 鬱蒼としたシダ類の森を抜けて、踏路は西に舵を切っていく。ようやく陽が差し込んできて、冷え切っていた頬が緩む。

いにしえの川尻歩道の合流点を、いつも見つけようとするが見つからない。麓の東登山口から登ってみたいものだが、いかにも難渋しそうな雰囲気。
鬱蒼としたシダ類の森を抜けて、踏路は西に舵を切っていく。ようやく陽が差し込んできて、冷え切っていた頬が緩む。 いにしえの川尻歩道の合流点を、いつも見つけようとするが見つからない。麓の東登山口から登ってみたいものだが、いかにも難渋しそうな雰囲気。
開聞岳 七合目(第三救助ポイント)の直前で大海原の展望。眼下に脇崎の突起。長崎鼻の向こうは佐多岬の大隅半島。雲間からようやくの陽差し。現在時刻は午前7時22分。
七合目(第三救助ポイント)の直前で大海原の展望。眼下に脇崎の突起。長崎鼻の向こうは佐多岬の大隅半島。雲間からようやくの陽差し。現在時刻は午前7時22分。
開聞岳 巨岩の重なる踏路になり、仙人洞と呼ばれる風穴を過ぎた処で、南に下っていく踏み跡がある。ロープで遮られているが、かなり明瞭な尾根道と窺える。川尻歩道跡とともに気になるポイント。
巨岩の重なる踏路になり、仙人洞と呼ばれる風穴を過ぎた処で、南に下っていく踏み跡がある。ロープで遮られているが、かなり明瞭な尾根道と窺える。川尻歩道跡とともに気になるポイント。
開聞岳 第二救助ポイントの手前で、薩摩半島南岸の眺望が一挙に広がる。馬蹄状に構成される矢筈岳の全容が、明瞭に確認できる。

枕崎に続く海岸線を見て、昨夜は向こうから車を走らせてきたのだなと感慨に耽る。
第二救助ポイントの手前で、薩摩半島南岸の眺望が一挙に広がる。馬蹄状に構成される矢筈岳の全容が、明瞭に確認できる。 枕崎に続く海岸線を見て、昨夜は向こうから車を走らせてきたのだなと感慨に耽る。
開聞岳 山腹を急旋回するように、踏路は続く。池田湖が見え始めて、その向こうには桜島がうっすらと。今まさに噴火しているようで、雲と噴煙が混淆して浮かんでいる。
山腹を急旋回するように、踏路は続く。池田湖が見え始めて、その向こうには桜島がうっすらと。今まさに噴火しているようで、雲と噴煙が混淆して浮かんでいる。
開聞岳 晴天が確定的になった陽差し。海面に浮かんだ影薩摩富士と、ボートの白波。
晴天が確定的になった陽差し。海面に浮かんだ影薩摩富士と、ボートの白波。
開聞岳 標高924m、開聞岳に四度目の登頂。本日一番乗りの頂上が嬉しい。毎度のことだが、洋上に浮かぶ秀峰ゆえに、強風に晒される山頂は急激に体温を奪われ、あまり長居ができない。

岩の上に立って絶景を眺めている最中に、突然スマートフォンの着信音。家人からの電話を受ける。今何処に居るのと訊かれ、開聞岳の頂上だと応えて唖然とされる。
標高924m、開聞岳に四度目の登頂。本日一番乗りの頂上が嬉しい。毎度のことだが、洋上に浮かぶ秀峰ゆえに、強風に晒される山頂は急激に体温を奪われ、あまり長居ができない。 岩の上に立って絶景を眺めている最中に、突然スマートフォンの着信音。家人からの電話を受ける。今何処に居るのと訊かれ、開聞岳の頂上だと応えて唖然とされる。
開聞岳 想定していた歩行時間に若干の遅れが生じたので、下山はやや急ぎ足。一時間強の所要時間で二合目登山口に降り立った。

未明に歩いて周囲の状況が判別できなかった登山口周辺の森林は、麓の風景が窺えるほどに伐採されていた。台風の影響があったのかは不明。
想定していた歩行時間に若干の遅れが生じたので、下山はやや急ぎ足。一時間強の所要時間で二合目登山口に降り立った。 未明に歩いて周囲の状況が判別できなかった登山口周辺の森林は、麓の風景が窺えるほどに伐採されていた。台風の影響があったのかは不明。
開聞岳 これから出発しようかというふたり組に挨拶して、かいもん山麓ふれあい公園の駐車場に帰着。下山の途中で擦れ違ったハイカーは三組ほどだった。

レンタカーの返却時刻まで三時間。鰻温泉入湯の前に長崎鼻から開聞岳を眺めようと思い立つ。
これから出発しようかというふたり組に挨拶して、かいもん山麓ふれあい公園の駐車場に帰着。下山の途中で擦れ違ったハイカーは三組ほどだった。 レンタカーの返却時刻まで三時間。鰻温泉入湯の前に長崎鼻から開聞岳を眺めようと思い立つ。
開聞岳 お土産屋に規制管理されているような観光地、というような趣の長崎鼻に到着。駐車スペースから少々歩いて竜宮神社。薩摩長崎鼻灯台から岩礁を歩き、お目当ての海に浮かぶ開聞岳を眺める。
お土産屋に規制管理されているような観光地、というような趣の長崎鼻に到着。駐車スペースから少々歩いて竜宮神社。薩摩長崎鼻灯台から岩礁を歩き、お目当ての海に浮かぶ開聞岳を眺める。
開聞岳 池田湖の隣に在る鰻池は活火山で、池畔の鰻地区には噴気が漂っていた。

公衆浴場の区営鰻温泉に念願の初入湯。地元の方と長話に興じ、かなりのんびりしてしまった。

レンタカー返却時刻まであと35分。後ろ髪引かれる思いで、受付女性に見送られ鰻温泉を去る。(指宿で車を返却したのは指定時刻の10分前だった)

指宿枕崎線の二月田駅で缶ビール。ディーゼルカーの車中で熟睡。気がついたら終点の西駅(地元では鹿児島中央駅のことをこう呼ぶ)に到着していて、慌てて下車した。
池田湖の隣に在る鰻池は活火山で、池畔の鰻地区には噴気が漂っていた。 公衆浴場の区営鰻温泉に念願の初入湯。地元の方と長話に興じ、かなりのんびりしてしまった。 レンタカー返却時刻まであと35分。後ろ髪引かれる思いで、受付女性に見送られ鰻温泉を去る。(指宿で車を返却したのは指定時刻の10分前だった) 指宿枕崎線の二月田駅で缶ビール。ディーゼルカーの車中で熟睡。気がついたら終点の西駅(地元では鹿児島中央駅のことをこう呼ぶ)に到着していて、慌てて下車した。

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てんきとくらす