活動データ
タイム
09:12
距離
14.3km
のぼり
1481m
くだり
1481m
活動詳細
すべて見る夜でも朝でもなく、夢の続きのような感覚。 まるで落としたインクが滲んだような…そんな太陽が少しずつ、そして静かに星を消していく。 北アルプス南端の乗鞍岳。 この時期の3,000m峰としては登りやすいところだ。 この土曜日は新月。 週半ばの予報では、山頂の気温は氷点下12度で風速は18m/sec。金曜の夜から徐々に回復して土曜の午前中までは晴れるとのことで、星撮影に期待したのだが…。 前夜に休暇村に入り、目覚ましを0:30にセットして眠りについた。2〜3時間程度は寝られただろうか…。仕事と運転の疲れで気怠さが残っていたが、目的がしっかりとしているため、自然と体も動く。 ◆◇◆◇◆ 凛とした空気が流れる…。 空を見上げるとガスが出ているようで星は見えなかったが、そのうち晴れるだろうと楽観的に片付けて、一時半にスタートした。 踏み固められたゲレンデはツボ足でも登りやすく順調に標高を上げていくが、次第にガスに覆われてきた。 スタートから約50分、ゲレンデトップについた頃にはガスも薄くなってきたため、ここで星を撮ってみることにしたが、街の光害で満足のいく写真を撮ることができなかった。 ここからはツアーコースとなる。 新月の暗闇の中、ヘッドライトの明かりだけを頼りに進むが、ここで大きな忘れ物に気がつく。 トレースは徐々に消えていき、モナカ状態の氷化した雪面はツボ足では踏み抜き地獄…持ってきたワカンを車に忘れてきたため、このまま進むしかなかった。 体力を大きく消耗して、漸くトイレ小屋に着いたのは5時前。日が昇るまでには時間もあり、ダウンを羽織って星撮影の準備にとりかかったが、上層に薄い雲が出てきて思うように撮れない。カメラの設定を何度も変えて撮るが、この気温の中では限界もあり諦めることにした。 バラクラバとヘルメットを装着し、ポールからピッケルに換装。肩の小屋辺りから朝陽に照らされた剣ヶ峰を撮るために、6時くらいにトイレ小屋をリスタートした。 予報に反して空に浮かぶ雲はとれなかったが、それでも6時50分頃に荘厳な日の出を見ることができた。氷化した雪面はキラキラと輝きを放ち、この瞬間にこの場所に居られることの幸せと満足感、そして感謝の念を抱く。 肩の小屋手前から左寄りにコースをとり、朝日岳の東斜面を巻いていったが、雪崩前の兆候であるクラックがあちこちに見受けられたため、途中から稜線に向けて直登。 稜線に登り着くと右手には裾野の広い白山と、後方には黒部源流の山々や槍穂高の北アルプスが! ここまでくれば山頂までのヴィクトリーロード!と言いたいところだが、飛騨方面から吹き突きつける予報どおりの強風!瞬間的に吹きつける突風に体を持っていかれそうになる。 少しずつ山頂に向けて詰めて行き、7:41に標高3,026mの剣ヶ峰に登り着いた。 山頂からの展望は言うまでもない。 気分が高揚しているせいかそれほど寒さを感じることなく、15分ほど滞在して山頂を後にした。
もしも不適切なコンテンツをお見かけした場合はお知らせください。