活動データ
タイム
01:33
距離
4.5km
のぼり
297m
くだり
298m
活動詳細
すべて見る琴平から善通寺市へと急ぐ。 明治以来の軍都・善通寺市は、かつての日本陸軍第十一師団の本拠地であり、今も陸上自衛隊の駐屯地が展開している。 善通寺師団は日露戦争で名高い乃木希典が初代師団長を勤めたことで有名で、あちこちに旧軍以来の建築物が残っているらしいが、翌日は早朝に出発してフェリー乗り場のある愛媛県八幡浜へと約200キロ移動しなければならない。 陸軍の遺構を見学することは諦めて、弘法大師生誕の地に建立された真言宗のお寺、善通寺を参拝することにした。 弘法大師は俗名を佐伯眞魚(さえきのまお)と言って、佐伯一族のご出身であり、佐伯氏の本拠地がここ善通寺である。 平安時代、遣唐使に参加することで密教の精華を日本にもたらした大師は、自らの生誕の地に寺院を建立された。善通寺は、高野山や京都の東寺に並ぶ聖域であろう。 どうにか17時に間に合って善通寺を参拝できた。 境内には軽やかな空気が充ちていた。仏教寺院と言えばもう少し重い空気感を想像していた私が、史学を修めた友人にそのことを伝えると、浄土教と真言宗の違いかもしれない、とのことだった。 平安仏教に余り馴染みのなかった私は、往時に広く行われた密教という教えについて深い興味を覚えた。 お寺から出た私たちは、ヤマップを起動して、善通寺のすぐそばにある香色山へと向かった。 空海トレイルというヤマップ地図によれば、空海上人の歩かれたお山が連なっていると言う。 香色山の道は、よく整備されていた。山頂からは善通寺の街の夜景が見えて、佐伯氏のゆかりと思われる古い祠や石仏があった。後に調べてみると、平安時代の納経も発掘されており、文字どおりの聖域であったのだろう。 この旅の第一の目的は崇徳院御陵を拝することであったが、金刀比羅宮の千三百階段を登って参拝することと、善通寺で空海上人に触れてから山歩きをすることを併せて望み、友人の力添えもあって、その全てを実現できた。 香川は、優美な山々が所々に点在する、たおやかな場所だった。 決して広くはない範囲にいくつもの聖域が存在することは、この場所の尊さを顕しているのかもしれない。 移動距離と制限時間を考えると自動車で行くことも考えたが、ザックを担いでのバイク旅を遂行した。 オートバイで移動したことで、四国の空気を全身で感じることが出来たとも言える。 正月の冷気に凍えながら日の出前の高速道路を走ったが、振り返れば、その道程には命が充溢していたようにも思う。 帰路、家に近づくにつれて、これを機に、令和二年が良い年になるようにと、ぼんやりと夢想していた。 余談 日程過密のため、本物の讃岐うどんを食べ損ねました。それだけが残念😭
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