活動データ
タイム
02:52
距離
5.2km
のぼり
250m
くだり
243m
活動詳細
すべて見る年初のおせちで重くなった身体を引きずりながら鎌倉のハイキングコースを歩くのがここ数年のお正月休み中の恒例。鎌倉の古刹を取り巻く清々しい空気感と由比ヶ浜の煌きは年初のスタートにぴったりなのだ。 今年はどのコースを歩こうかとサイトをチェックしてみると、昨年の台風19号の影響で天園、大仏など主要なコースが通行止めになっている事がわかった。 いずれも、復旧はまだ数ヶ月先になるという。行ってみたら意外と大丈夫なのではないか?現に12月に入ってからの活動日記があり、倒木などで歩きにくかったとのコメントがあった。が、ここはあえて通行止めとなっているルートに向かうのはやめることにする。 鎌倉~逗子、横須賀周辺で行ってみたことがないルートを探す。今回は、田浦から鷹取山を経て東逗子に抜けるルートを歩くことにした。田浦駅、キリッと冷え込む空気の中を、手元の観光地図、ヤマップのダウンロード地図にプロットされるGPSの軌跡を見ながら進む。 駅から商店街を抜け、京急のガード下をくぐって山の方向を目指す。横断歩道に黄色い手旗が置かれていて、あたりはちょっと懐かしい雰囲気の住宅街。 鎌倉や逗子の低山の入り口は、お寺の境内や住宅の間をくぐるようにして続くことが多い。ヤマップの地図を見ると、ある地点からある地点までまっすぐに直線になっている部分があった。 等高線を見ると高低差があるのにまっすぐ一直線なのだ。これは経路が省略されているのかと思いきや、なんのことはない。小さな山の下をまっすぐにトンネルが掘られていた。 トンネルを抜けると住宅が寄り添って立ち並んでいる。静かだ。軒先をかすめながら、石段をどんどん登っていく。狭い石段はすぐにでも行き止まりになってしまいそう。ヤマップの軌跡を見て現在位置を確かめながら進む。 左に右にと折り返しながら進む石段と舗装の路が行き止まりとなった。目についたまま路なりに進むと行きたい方角とは逆に進んでいるようだ。すぐに戻ってみると、もう一つ別の方向に細い道が伸びているのに気づく。 始めてきた場所で自分の感覚だけで道なりに進んでいくと思わぬ見落とし、間違いをすることを実感。これではGPSがなかったら簡単に迷ってしまう。GPSが使えなくなった時に備えて、地図だけでも歩けるような練習が必要。まだまだ修行が足らない。 山道に入ると、竹やぶに囲まれた狭い道が、登り下りしながら続いていく。時折、右手に青い空と海が見渡せて気持ちがいい。絶え間なく車の走行音・エンジン音が聞こえてくるのが残念。左手には横浜横須賀道路が、右手には国道16号があるからなのだろう。景色、空気だけでなく自然の音も楽しみたい。 ここまで足元は土と枯れ葉だったが、気がつくと岩が目立つようになり、石畳になった。苔むした切通しを抜けると、唐突に岩壁が現れる。高さは20mはあるだろうか。垂直に切り立ちボツボツとそこら中に穴の空いていて、そこから呼吸しているようにも見える。 鷹取山周辺は石切場の後であり、これらは岩を切り出したあとの断面。あたりは公園になっていて、ちょっとした広場と、高いところに展望台があり周囲の景色を360度見渡す事ができる。 展望台からは八景島、横須賀とその向こうの東京湾から、鎌倉、江ノ島、そして、少し霞んでいるが富士山まで見渡せる。今日の富士山は、広い裾野を広げ、手前に丹沢の山々を従えて見えた。真っ白にそまった稜線の流れが凛として美しく、居合わせた人が皆声を上げるほど。手前に高圧電線が横切っているのが残念。 石切場を眺めた後、今回、ぜひとも見たかった岩を彫り込んで建立された魔崖仏を見に行く。直ぐ側にあるのかとばかり思っていたら、追浜方向に5分ほど戻ったところにあるという。立体的に彫り込まれた姿、その大きさ、日の当たり具合、それらが合わさってなんとも言えない迫力がある。昭和40年に建立されたとのこと。同世代の仏様だということで親しみがわいた。 親不知と呼ばれる岩場でロッククライミングしている人たちを眺めながら一休みしたあと、神武寺に向かって下ることにする。岩の上に足場を削ったような道がしばらく続く。ここは岩山なのだ。途中、斜めになった岩を横切る区間があり、手すり代わりに鎖を付けてある部分もあった。 ハイキングコースも後少しで神武寺というところ、道の片隅にひし形の石碑が立っていた。高さは人の背丈ほど、古いもののようだが、周囲に、その内容や来歴を説明するものがなにもない。表には人などが列挙されており、背面には何やら文書が掘られているが、明治とか上皇とか文字は見て取れるが文書として意味がどうかということまではわからない。 よほど張り付いて見ていたのであろう。通りすがりの地元の方から、「それ、なんだかわからないんですよね」と声を掛けられた。その方は、鷹取山や神武寺について文献を読まれたりされているとのことだったが、あの石碑についてはなんだかわからないとのこと。 神武寺は鎌倉時代からの歴史のあるお寺で、こじんまりした境内は独特の空気に包まれていた。石碑のことを教えてくれた方から山門の天井画を見ることを勧められた。絵自体は新しいようだったが、東の青龍・南の朱雀・西の白虎・北の玄武が描かれていた。上を見て歩くことが少ないので、言われなければ気が付かなかったかもしれない。 神武寺の山門から東逗子の駅まではあっという間。二子山歩きのスタート地点だった東逗子がゴールとなった。時間があったらこのまま二子山を経て逗子の海岸まで歩くのも悪くない。 田浦の住宅地から、神武寺を経て東逗子まで数時間のハイキングを楽しんだ。山道、岩場、ロッククライミングする人たち、魔崖仏、神武寺。どれもが皆印象的。恒例の鎌倉歩きはできなかったものの、やはり新しいルートは新しい発見がある。寒い季節、雪山をやらない自分にとっては、こんな歩き方が、冬の山行スタイルなのである。
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