活動データ
タイム
20:43
距離
26.1km
のぼり
2393m
くだり
2415m
活動詳細
すべて見る①白倉橋までは勝手知ったる(笑)。先週下降に使った尾根を、今回は登り返しに使います。初冬のテント泊。ザックが肩にずっしり食い込みます。低気圧の張り出しに伴う降雪も予想されました。その不安のせいで、余計に荷が重く感じるのかな。 対岸の黒沢山を遠い目で見ながらレッツゴーです。上空はにわかに掻き曇り、志気があがりません。 何とか稜線へ。現金なもので、中ノ尾根山へと伸びあがっていく対岸のスカイラインを見て火がつきました。笹っぱらにシカが飛び上がります。白いお尻を見せて電光石火で駆け去っていく。 まずは白倉山を再訪。ここからが未踏区間です。笹ヤブと倒木のタフさに歯を食いしばり、林間の笠松山ゲット。歩くにつれ、笹原を背負った白倉山が頭を低くしていきます。逆に、目指す三又山が大きくなってきました。光岳が一際目立つようになると、三又山到着です。 しかーし!この時までには、風がごうごうと唸り始め、身体にこたえる天候になってしまいました。ヨモギ沢ノ頭(西俣沢ノ頭)がいかめしい表情でにらみつけてきます。風裏を探し、山頂北の笹原に大きな荷をデポしました。 ②ここからが、本日のメインイベント。装備をベーシックに切り替え、登り残した鶏冠山南峰までのトレースに入ります。 強烈な風に耐えて歩きます。地形の複雑な場所は億劫がらずにしっかり地図読みします。ガスが湧き立ち、小雪が舞い、視界もききません。鶏冠山南峰直前で、岩壁が現れ、ルート読みは必須です。迷い尾根が東に分岐していて、帰りは要注意だな。 そして、うっすら雪のついた鶏冠山南峰に立ちました!展望ゼロなのに、感動は半端ない! まったりする間もなく、とんぼ帰り。シラビソがエビのしっぽをつけて厳しい冬の到来を告げています。 日没と競争しながらデポ地に帰還。ミッション終了。急いでテントを広げますが、凍てついた大地にペグが刺さらない。奮闘中、突如テントのエラスティック・バンドにはじかれ、鋭い音を残してペグが空中に姿を消しました。しまった!まあ、落ち着け、落ちつけ。ペグの本数に余裕はある。どうにか設営を済ませ、我が家にもぐり込みます。 猛烈な風が上空で吠え、小雪がばらばらとテントを叩きます。でも、テントの中は別世界。バーナーに点火し、まったり時間を過ごす幸せ。カレーご飯にマルタイラーメン。炭水化物に偏った、超アンバランスなメニュー。そんなものでも多幸感はハンパない。 夜半、暴風の唸りも休止符をはさみ始める。テントの外に出てみよう。遠く飯田の灯が、ほの見えました。阿南町あたりかな。深山のおぼろ月夜も実に乙なものだなあ。 <2日目> ③朝焼けです!中央アルプスが、御嶽山が、恵那山がナイスです。光岳や池口岳や鶏冠山、それにつながる長大な尾根が絵巻物だ。 嘘のように風がやみました。朝食を済ませ、テントをたたみます。雪がそれなりなら、バ-ナーで雪を溶かして「水」にしようと思っていました。が、予想に反して雪は散り敷いた程度。 梶谷川の源流に水を求めます。ここはセオリー通りです。ところが、思う以上にガレが発達していて、これは難関と判断しました。満たされぬ思いで登り返し、最後の手段でわずかな雪をバーナーで溶かして飲料水を作ることにします。 おっと。何たることか、コンマ何グラムをケチって、コーヒー・フィルターを家に置いてきちゃったぞ。やむを得ない。首に巻いていた汗くさい「手ぬぐい」で、笹っ葉のゴミを濾しとってサーモスに入れます。とても、こんな光景は女子には見せられない。苦労して得た水、笹のエキスたっぷり。健康に良いことを願うばかりだ(笑)。 いざ、出発。深南部にどっぷり浸る山旅も後半戦。ヨモギ沢ノ頭を越えてガレ地を巻き、中ノ尾根山の懐に抱かれて歩きます。 樹林に囲まれた中ノ尾根山。これまた格別。何の変哲もない樹林下がこよなく愛しい。そして夢にまで見た中ノ尾根山南面の笹原パラダイス(略してササパラ?)。天国に最も近い場所の一つです(ちなみに根拠はない)。 笹の海にふらふら漕ぎ出す小舟の僕。立派な角の、堂々たるオス鹿が二頭、暖かく(ちなみに根拠はない)見守ってくれてます。彼らに比べたら私はまだまだ未熟な航海士。 地味な信濃俣や合地山と、人気者の富士山、というコラボは異色のペアリング。不動岳・黒法師岳・バラ谷山・前黒法師山・戸中山、遠く遠く竜頭山。豪華キャストにゾクゾクしちゃう。北アルプスは穂高と槍ヶ岳が、そのカリスマを誇示している。聖岳や光岳だけじゃない、大無間山や朝日岳、稲又山や笊ヶ岳が視界に入ると、早くも失禁気味である。 ④満たされて歩いていると、何と人類に遭遇!!!。ザックには、鹿の頭骨をくくりつけてスゴっ!ワイルドを越えて野生のアドベンチャラ-さんだよ。 深南部を歩いていると、自分が自然の一部であるを疑いません。「しも」さんに出会い、ようやく自分が人間であることを思い出しました。 さて、黒山付近の笹地獄を越え、存在感を増した六呂場山を指差し呼称。至近距離の不動岳に興奮を隠せないままに歩くと、あっけなく黒沢山。やったぜ~! 下山は難しい。地図とコンパスと首っ引き、しかも重い荷物に肩が悲鳴を上げています。コース終盤は「しも」さんが注意を喚起してくれたデンジャラスな激下り。ピリッとテンション上げて高度を落とし、黒沢の水線に立ちました。何とか渡渉成功です。 でも、一難去ってまた一難。思いの他、損傷の激しい黒沢橋を歩くのは、いつか見た古い白黒映画みたいだ。あれだ、フランス制作の『恐怖の報酬』(イブ・モンタン主演)。そこかしこに橋げたが抜け落ちてスリリング。ビビりながらも渡りきる。何とかゴール!!思わず雄叫びが出た。
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