57 四国遍路旅日記 八栗寺〜志度寺〜長尾寺

2019.11.24(日) 日帰り

活動データ

タイム

06:45

距離

20.7km

のぼり

343m

くだり

312m

チェックポイント

DAY 1
合計時間
6 時間 45
休憩時間
45
距離
20.7 km
のぼり / くだり
343 / 312 m
1 12
1 46
1 59

活動詳細

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朝は、優雅な朝食が頂けて、大満足である。昨日の朝は比でない。合宿中の女子ソフトボール部員が入って来て、ジェネレーション·ギャップから、自分だけが浮いた感じになり、K·Yを察して、直ぐに席を立つ。鈍色に輝くモノクロームな太陽に、呼気が荒がる。ビル影から屋島が現れ、汗まみれになり、階段地獄を撃破した事に、懐かしさが募る。屋島南嶺を後に八栗寺へ向かう。 手前にはドーンと、コブ三つの五剣山が見える。八栗ケーブル乗り場があって「楽だから乗っちゃえば!」などと悪魔の囁きが聞こえ、一瞬心が揺らぐも、お遍路の責務から怯まない。ケーブルカー乗り場を横切り、歩いていたら、尾根の向こうからする、ガタンゴトンに脳が反応する。乗っていれば良かったかなといった未練は、ケーブルカーに載せた。置いてけ堀にされ、残音は森に吸い込まれてゆく。 道の先に石柱の鳥居があり、その後、道は大きく左へ曲がり、ガードレールが天を差している「傾斜角が半端じゃない。普通にジャイケル·マクソンが出来てるやん!」頭にマイケルの曲が流れて来た。路面の輪っか模様を見据えて、坂道を上る。展望台は、ホワイトアウトしていて景色は無い。番人の、お迎え地蔵も淋しそうだ。振り返ると八栗寺があり、その後に五剣山が鎮座する。また麓では、庵治石(あじいし)と呼ばれる墓石が採れる。 多宝塔からの緩やかな下り道を、足が舐めていた。楽なペースで歩いていたが、源氏ケ峰を過ぎた途端に、靴がタタタッと止まらなくなった。急坂に身体を任せるかと考えてたら、勾配斜度21%の標識が目に入る。お目にかかれない数字に、まっ縦を思い描く。神峯寺には、まっ縦と恐れられる急登がある。下りで足爪を潰された苦い経験があるからだ。脚をくの字に折り、膝を柔らかくさせて下りてゆく。これが加速度を吸収する歩き方なのだ。 道の駅、源平の里むれの前に来て、ひと息入れる。潮騒の街に、赤い蔦の葉が張り付いた廃屋が、ポツンと一軒あり釘付けになる。ジブリっぽさもあるが、オンボロ故の壊れゆく、美しさがある。いずれは、取り壊されるわけで儚いものだ。儚いとは、人べんに夢と書く。人の夢は、それ程に儚く虚しいものだろうか… 平賀源内の資料館があり、その奥に志度寺がある。大きなワラジが吊らされてあり山門の中は、緑が多く樹木に包まれている。迷路ぽく感じる境内は、急いでいると、方角を失い、道標が頼りで、やっとの思いで、本堂に着く。色めき立つ木々の上に、存在感有り過ぎの五重の塔が、見下ろしている。 長尾寺へ向かっていると、白い犬を引き連れて散歩する女性が変だ「ヤギ、連れてるやん」ここでは、山羊を散歩させるのか!そう言えば、四国に山羊が多いのは何故だろうか?山羊ミルクは、濃くて旨いんだ。飲みてぇ〜よ。 長尾寺には、一時半に着いてしまう。 前もって、予約してた宿の女将から、電話が掛かって来て「せっかくだから受け入れようと思ったのですが、身内の不幸で心労が重なり、他所を紹介するので移って貰えませんか」と言って来た。紹介するも何も、お隣りさんじゃん!安堵するも束の間、そのお隣さんまでが、お葬式に顔を出すとかで、四時以降でないと帰れないと言う。素泊りでならばOK!と了解して貰う。よくよく考えたら、宿が二軒しかないのに、ややこし過ぎるわ! 長尾寺は、周回すると終わるので、時間を持て余す。ドジな若僧が、バックさせ、街灯に体当たりして、大音量を鳴らした事ぐらいしか、ときめくものはなかった。 宿の駐車スペースに座り込み、ニ時間半を耐える事にする。だが、コンクリートの上は、氷上であぐらをかくようなもの、雨合羽を取り出して、フル装備し、ザックの上で座っていた。ビュービューと入り込む風が、体温を奪ってゆく。宿主が帰って来た時は、緊張が取れてホッとした。一軒の弁当屋があると聞き、ステーキ弁当を買う。コンビニもあったので、明日の朝食は、これで決まりだ。宿は、丸貸しだったので、入浴後は、自由気儘に、秋の夜長を楽しんでいた。

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