活動データ
タイム
07:21
距離
9.2km
のぼり
1089m
くだり
1091m
活動詳細
すべて見る即位の礼にあわせて休暇を取り、大峯奥駆道の最高峰、八経ヶ岳を訪れた。 片道1車線の細い悪路、みたらい渓谷を越えて、さらに奥に進むこと15分ほどで、行者還トンネル手前の登山口付近の駐車場に到着。 訪れた人、皆が口を揃えて語るだけある。片側は岩の壁、舗装されているものの落石や枝が散乱したかなりワイルドな道。乗用車一台、なぜか小型車をつんだトランスポーター一台とすれ違ったが、タイミングよく行き違いができた。 登山口の駐車場不足を心配したが、手前の路肩には無料駐車エリアが。百メートルほど進んだ行者還トンネル手前には1日千円の有料駐車場として合わせて二十数台くらいは駐車できるようになっている。今回は早めの到着だったからか無事駐車できた。綺麗なトイレもあり、身支度を整えて登山口から歩き始める。急登が始まる。 雨は降っていないが、低い雲が垂れ込めていて、冷たい風が時折強く吹いてくる。寒いので上着を着て歩きだすと、すぐに汗だくに。身体が温まり汗ばんでくれと風が吹き、すぐに身体が冷えてしまい寒くなる。そんなことを繰り返しながら急登は続く。 足元は、ごつごつした岩に入り組んだ木の根が網の目のように絡んで広がっている。足が入るような隙間は少なく、濡れた木の根はすべるので歩きにくい。加えて傾斜がきつい分段差が大きく、足元が滑らないか見極めながら、身体を持ち上げ、一歩づつ進んでいくのに苦労する。 周りを見ると、ところどころに根こそぎ斜めになった倒木が目につく。土壌が薄いので木の根が浅く広がって踏ん張ったのに、耐えきれず倒れてしまったようにみえる。 霧に霞んだ紅葉はみずみずしく、色合いが一段と鮮やか。今年の夏は本当に短かったが、紅葉は高山帯から市街地まで、比較的長く楽しめるのが嬉しい。 1時間ほど急登と冷たい風と格闘すると、足元の下草に笹の葉が増えてくる。程なくして奥駆出合にたどり着く。ここからは大峯奥駆道の縦走路に入る、 しばらくは尾根筋、比較的平坦な道が続く。周りには山並みが幾重にも重なってみえる。弁天の森、聖宝ノ宿跡など。折に触れ、古くからの修行の道であることを感じさせる。途中、腰に毛皮を下げた地下足袋の行者の方もお見かけした。 弥山小屋は、独特の高床式の建物を含んだ、予想以上に立派な設備だった。あの高く床を上げた小屋はなんなんだろう。避難小屋も併設しており、中には皇太子殿ご宿泊とのプレートが。即位の礼を間近にしたこの時期、多くの山に足跡を残されていることに改めて気づかされる。 山中は人影もまばらで静かだったが、ここ弥山小屋では、多くの人が休憩したり食事をとっている。綺麗なトイレもあって休憩にはもってこい。周囲は散策しなかったので、すぐ近くにお社があるのに気づかず。お参りできなかったのが残念。 八経ヶ岳は、ここから一度ぐっと下って登り返した先。立ち枯れた樹々が居並ぶ独特の光景の中を進んでいくと、三十分ほどで八経ヶ岳の山頂である。 ちょっと味気ない白い看板が山頂の目印。そばには、銀色の錫杖が天を指してキリッと立っている。周囲を遮る山がなく、折り重なる山並みが遠く霞んでぐるっと取り囲んでいる。奥駆出合までの強かった風も止んで、陽が出てくると暖かく居心地がよい。山々の間をガスが滝のように流れ、所々わずかに色づいた木々が見える。山々全体がゆっくり紅葉していく途中なのだろう。最盛期の眺めはさぞ素晴らしいだろう。 大峯奥駆道について、詳しく知っているわけではない。多くの人々が古くから修行の場として歩いてきた道。静かな山道を歩きながら、自分自身に向き合い、想いを深くしたのだろう。奈良の山中にこんな場所があること、その場の空気を感じることができたことが何よりの収穫。 下山後は、みたらい渓谷に立ち寄り。深い谷間をどうどうと流れ落ちていく透き通った豪快な流れを堪能。ただでさえ素晴らしい光景。紅葉の盛りに再訪したい。
動画
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