あまり人が来ない低山の試練。 どうやら、まだまだ初心者だった僕がダイレクトに食らったロイヤルストレートフラッシュ。 標高1450m。 多少の雨では怯まず櫛ヶ峯を目指すも、時間の関係上距離的に近そうな乗鞍岳を目指すが…
登山口の看板。台風18号の影響か少し雨が降っている。まぁ、ちょっとした悪天候という登山の経験も積めると思えば良かろう。
登山口。今日はどんな冒険が待っているのかと、ワクワクしている。
水溜まりを避けながら進む。
葉が真紅に染まっている。紅葉の登山とは実に贅沢なものよ
湿原
ひたすら進む。多少雨に濡れても覚悟の上
道が崩れているようだ。落ちたらひと溜まりもないだろう。
湿原。乗鞍岳と櫛ヶ峯の分岐がある。時間も時間なので乗鞍岳へ。無理は禁物だ。
いきなりの沢…。水が流れてくる。ビチョビチョMAX
基本的にずーっと沢。
横から藪がくる。藪漕ぎをしながらの沢登りは大変。
背の高い藪。ピンクリボンに助けられながらも直ぐに道がわからなくなる。 中腰は疲れるが立ち上がると道が見えない。 写真では伝わらない、体験したことがある人しかわからない藪漕ぎの苦悩。 本格的な藪漕ぎから恐ろしいものをたくさん学べそうだ。
厄介な藪漕ぎを何とか乗り越えまもなく山頂か。下りも厄介。
山頂には岩があった。 過酷な山道を乗り越え山頂に辿り着いた僕は雄叫びをあげたが、その声は既に弱々しい
周りの景色。ヤマップの地図ではここがピークでないらしい。
ここがピークのようだ。三角点などは見つからない
下山するわけだけど下りが悪夢だった。その時の写真はない。それだけ切羽詰まっていたのだ。 最初の悪夢。藪漕ぎで道を見失ったのだ。自分よりも高い藪を掻き分けるのは容易ではない。進むのも戻るのもうんざりする。ヤマップの地図があるのでそんなに道を逸れることはないだろうが元の道に戻るのも難しい。 倒木の乗って高い所から登山道を探す。すると藪が薄くなっている所を見つけた。あれが登山口だと思って藪漕ぎを始める。 倒木から下に降りた瞬間右も左もわからなくなる。 藪の鞭を耐え、藪に足を取られ、時には藪が身体に絡みつき牢屋が形成される。 寒さと藪漕ぎでの疲労が体力を奪っていく。 何とか道のようなものに辿り着いたが、ソレは道ではなかった。ヤマップの地図からも登山道から遠ざかっていた。藪の森に一杯食わされたわけだ。 来た道を戻ろうにも、せっかく藪漕ぎで押し倒した藪が起き上がり再び僕を藪の海に沈める。 倒木に登り次の目印を探すと木の上に黄色い看板がある。登山道はその木の周辺にあるのではないか。 藪漕ぎを始めるが結果は同じだった。ますます登山道から遠くなってしまった。 地図を見ていったん山頂の方まで戻ることにしたが、藪漕ぎの途中でスイッチが切れたように腕の力抜ける。 休憩することにしよう。食べ物はたくさんあるが飲み物以外は喉を通らない。唾液が不足している。 そういえばTVで子供が遭難したというニュースをたまに見るけれど、彼らはどんな気持ちだろうか。僕は一応大人だし、防寒着もあればリュックにもいろいろ入っててまだ余裕がある。それでも不安は隠しきれない状態だ。 何はともあれヤマップの地図でどうにか元の道に戻れた。 今度は道を見失わないように下山する。油断すればすぐに道を見失う。
迷わないような安全な道まで辿り着いた。あとはひたすら登山口まで戻るだけだ。ゴールまでもう一息! が、見覚えのない道にはいった。 沢と呼ぶべきなのか、とにかく急な溝だ。こんな道あっただろうか。 とりあえず下って見ると滑り落ちてしまった。まるでローションが塗られた急な滑り台のようだ。疑問が浮かぶ。この道を通って山頂へ向かったのだろうか。 滑り台は湿ってヌルンヌルンして登れそうにない。 僕はヤマップの地図を見るが電池切れだ。 モバイルバッテリーにつなげる。 スマホが充電できるまで休息。この道で合っていることを祈る。 スマホが復活した。地図を確認。 僕は絶句した。 どうやら道をそれているらしい。 ゴールは目前なのに、また遭難したのか? 迷いそうな道ではなかったはずなのに。 このまま進まなくて良かった。 さて、来た道を戻るしかないわけだが、ヌルヌルの急な斜面が僕の前に立ちはだかる。登ることは不可能だ。「沢を降りたら登れない」とよく言われるがまさにこれの事だろうか。 横に藪が生えているので、藪につかまりながら沢の横を登ることにする。藪漕ぎはうんざりだが。 凶暴な藪が行く手阻む。藪に助けられながら邪魔されながら。 靴が片方脱げた。斜面を転がっていく靴。お願いだ…下に行かないでくれ… 靴を履き直して藪漕ぎを再開し、どうにか元の道に辿り着いた。 どこで道を間違えたのだろう。 と思ったら最初に見つけた崖だった。崖の写真まで撮っている。 足元に注意しながらうつむいて歩き、そのまま崖を降りていったらしい。なんということか。
思わぬアクシデントで時間を大きくロスしている。 日が沈むのがはやい。水溜まりなど気にしてはいられない。 空はまだ少し明るいのに木々が光を遮り足元は暗い。 どんどん暗くなっていく。 懐中電灯があったので使う。 ズボラな僕は懐中電灯をたまたま持って来たのだ! 買って良かった持ってきて良かった。前回の山行では持って行かなかった。 暗い中車に到着。リュックや買ったばかりの登山グッズは泥だらけになってしまった。 明日は家でゆっくりしよう。