活動データ
タイム
15:06
距離
40.1km
のぼり
2277m
くだり
2275m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る初日)雨+風速30m程度の暴風 上高地BT→横尾→槍沢ロッジ→殺生ヒュッテテント場(暴風の為、途中撤退し、素泊まりに変更) 2日目)晴れ☀️ 殺生ヒュッテ(テント撤収)→槍ヶ岳(穂先)→殺生ヒュッテ→上高地BT 距離=37.8km(実際39km)、1泊2日のテント泊装備、標高差=1674m、累積標高=上り2748m/下り2797m 4日(金)が毎年会社の休みなので、いくつかの候補は有りましたが、退社後に木曜日の夜行バスで上高地に金曜朝に入り、土曜日中には戻りたかったので、初日に殺生ヒュッテのテント場まで行って1泊2日の槍ヶ岳ピストンテント泊することにしました。 2泊3日なら槍沢の馬場平テント場をベースキャンプにして翌日槍ヶ岳穂先のピストンをして最終日に上高地に戻るというのが余裕の有る日程ですが(結果としてそうすべきでしたが)、日曜日の夜遅くの帰宅が嫌という理由だけで1泊2日にし、4日(金)の予報が雨だけならよいのですが、お天気ナビ(有料)で槍ヶ岳山頂天気を見ると、風速が夜まで終日25m(しかも多方向)となっていたにも係わらず、過去に奥多摩小屋で風速20m程度は経験済で、5日は晴れなので夕方頃には風は止むだろうという根拠の無い楽観的な判断で標高2900mの殺生ヒュッテのテント場にテント泊することにしました。 当日は風雨の中にも係わらずかなりハイペースで12時過ぎには殺生ヒュッテに到着しました。その頃、既に驚くほどの暴風雨でしたが、テント場を見てから決めようと思い、テント場へ行ったところ、後ろ(北側)が岩で遮断されており、「これなら行ける!」と甘い判断をし、テント設置に踏み切ることにしてしまいました。設置段階で飛ばされるのを防ぐのがやっとで、岩場でペグを打つことはできないので、張綱を張り石で抑えようと思いましたが、張綱の一か所を張っている間に飛ばされてしまう感じて先ずは体重で飛ばされなくするために張綱の前に暫くレインウェアを着たままで防水シュラフに入って休んで風が弱くなるタイミングを待っていましたが、2時頃になると風は更に強まり(多分40mぐらいになったと思います。しかも多方向)、抑えていた大きな石がテントカバーと共に動き、ジッパーが全開し、雨がまともにテントに入って来たかと思うと、航空機用の丈夫なアルミポールが約90度に曲がり、もはやテントの形を保てなくなりました。「もうだめだ!」と判断し、テントが飛ばない様にテントの中に大きな石を4個入れて、出した荷物をざっくりドライバッグにまとめ、ヒュッテに撤退することにしました。ザックに全部の荷物をパッキングする余裕が無く、両手にドライバッグを持って移動を開始した約1分後に恐らく風速40mを更に上回ると思われる烈風が吹きつけた瞬間にバランスを崩し、岩場で転倒してしまい、その際に前歯を二本欠き(折ったのではなく、欠いた)ましたが、不思議なことに全く痛くなく、暫くすると出血しているのに気づき少しパニックになりましたが、歯からではなく、歯で切った上唇だということに気付き、ヒュッテでうがいをさせてもらうと数分で収まり、ちょっと落ち着いたところで、ヒュッテ受付で素泊まり(7000円)に変更させてもらい、濡れた衣服を乾燥室に干す等をし、4時過ぎからは土間のテーブル(宿泊者のみ使用可)で持参した食料を食べ、いつもの様にウイスキーのお湯割りも飲んでまったりし、7時前にはぐったりなって寝ました。その前に宿泊者の方ともお話しましたが、さすがに皆さん、本日の風で最初からテントは諦めたと言っておられ、又、この暴風に耐えられるのは一般の登山テントではなく特殊仕様テントでなくて無理なのではという話もしていました。 色々と反省点が有りますが、主な反省点は以下です。 1)自分の都合で山行き日程を決めたこと、あくまで天候優先で日程は次(天候は雨だけでなく風や雷も、眺望は諦めればよいが、命は諦められない) 2)3000mの稜線の風をなめていた。風向きも多方向。しかも雨付き(今後数日間の縦走を行う場合、相当綿密な準備と対策が必要) 3)天気予報が報じているのに根拠無しに自らの乏しい経験で楽観的な予測をしてしまった 4)山で歩く時は短距離でも両手を開けて歩くこと さて、翌日5:30にヒュッテを出てテント場にテントを回収しに行くと昨日の悪夢の様な風雨は嘘の様に収まっており、朝日に雲海が広まっているではないですか❗️そしてテント場の真後ろには昨日はこんなに近かったのに見えなかった大きな槍の穂先が見えました。そして数分経つとモルゲンロートが槍の稜線を段々とオレンジに染めて行きました❗️ 正直さすがに昨日のことで意気消沈し、今日はテントを撤収したら下山しようと思っておりましたが、赤く染まる槍を見ていると急に元気が出てきて、さっさとテントを撤収しザックに詰め、そのままテント場にデポしてアタックザックにヘルメットの軽装で穂先に向かいました。穂先下に着くと槍ヶ岳山荘に宿泊された数名の方がガイドさんの指導の下、穂先登頂に挑まれておりました。小生も当然初めての穂先登頂でしたが、急角度で高度感が有り、昨日の様な暴風が吹いている場合は絶対避けた方がよいと思いましたが、マーキングはしっかりしており、鎖、梯子もしっかりしているので前穂の山頂より難易度は低いと感じました。但し、グリップの効いたソールとグローブは必須です(小生の靴は先月ソール交換したばかりなのでOK)。最後の長い梯子を登ると穂先に着き、360度の大展望が好天の下に広がっており、やはり「来てよかった!」と思いました。そして何と10分近くも穂先を独占させて頂きました。 その後、東鎌尾根経由で殺生ヒュッテに戻り、雨を吸ってずっしり重くなった17kgのザックを抱えて下山に掛かりました。途中、天狗原、大曲辺りで昨日雨で見られなかった紅葉を見ることが出来ました。 ハイペースで下れましたので、一本前の15:00のバスに電波の入る明神池付近でスマホで変更し、順調に帰宅の途に着きました。 今回の件は遭難していてもおかしくないケースであり、もう一度、生命優先、自然優先という大原則に立ち返り、それでも不測の事態が来た時は冷静に基本に忠実に対応することを心掛けたいと思いました。
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