活動データ
タイム
30:06
距離
45.6km
のぼり
3176m
くだり
3176m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る技術、ルーファイ力、体力、集中力…全てのスキルにおいて高いレベルを要求される槍ヶ岳北鎌尾根バリエーションルート 特にルーファイは最も難しく、ルートの安全性を左右する重要ポイントとなる… その難しさ故多くの登山家が魅力されて近づき、幾人もの登山者が無念にも命を落としてしまった場所 ここは去年私が把握してるだけでも4人亡くなられています 高いスキルを持った方も含まれています 今回メンバー全員が初北鎌となるため、連れてってもらう感は一切ありません ソロで行くつもりの勢いで調べ倒し、一つでも多く情報を取り入れていました 去年予定していましたが、夏後半の毎週末天候不良により今年へ持ち越し まわりで北鎌に行ってから確保の必要性を感じクライミングをやり始めた人が幾人かいたので一年空くならロープワークを習得して、のつもりでしたが… 様々な方面から習える場をあたりましたが、これまた様々な理由から習得する場を掴めなまま一年が経ってしまいました 今年は早くから狙っていたものの、遅くまで残る残雪、長引く梅雨、梅雨明けしても安定しない天候に今年も幾度も予定が流れました その間も大嫌いなラントレーニングのノルマ増、ルーファイ勉強、バリエーション、レポに上げたジャンダルム日帰り縦走で自身の確認、レポにはアップしづらい内容の練習など、全ての分野において自分ができる事の精一杯のレベルアップに努めました シビアな場所だけに天候は最大の重要視、安定しない天気に今年も流れてしまいそうでグレかかっていました 北鎌が終わらない事には何も予定入れられないし落ち着かないし、何よりトレーニングが時間的にも身体的にもしんどい! 今年最後のラストチャンスというところでようやく決行できる日を迎えました 一日目 上高地~水俣乗越~天上沢~北鎌沢出合(ビバーク) 二日目 北鎌沢出合~北鎌沢右俣~北鎌コル~(北鎌尾根)~槍ヶ岳~槍ヶ岳山荘(泊) 三日目 槍ヶ岳山荘~(槍沢)~上高地 一日目 割愛 二日目 夜中1時半起床、3時過ぎに出合を出発 北鎌沢は事前調べ通りここ登るの⁉️と感じるところがいくつか 草付きから巻いたと見た事もあったので先頭のQchanさんが草付きでトライしましたが、余計に危ないだけでした (Qchanさんゴメンナサイ💦) 北鎌沢は困難そうに見えても沢を直登が正解のようです 水はかなり上の方まで流れていました ババ平から大量の重い水持ってきたのがバカみたい、とどうしても思ってしまう… 分岐を間違え途中戻ったりもして3時間かけて北鎌コル到着 ここで休憩がてら補給食をとります 気分は上々です この日の為に沢山の事をしてきて今からがその本番であり、自分でもルーファイする事を楽しみにしていました ところがコルを出発してすぐ異変を感じます これまでとうって変わって足に力が出てこない 体もひどく重い 補給食が足りなかったかな?と早めにもう一度休憩をとってもらい、無理やり押し込んで食べましたが状況は変わらず 足はまるで乾電池のきれそうできれない感じの弱いパワーしか出ず、体は鉛のように重く思うように動けない この感覚に覚えがある… ジャンダルム日帰りした時に終盤に感じた体の感覚だ まだ3時間しか行動していない、本番はこれからだというのに何故もういきなりこんな状態に!? 今この感じだと到底辿り着けない… 一気に不安でいっぱいになってしまいました ちょっと話はそれて… フルマラソンでは30kmから40km区間に魔物が潜んでいる 体、あるいは心に思わぬ異変が出るのだ フルマラソン経験者ならよくお分かりだろう 私はフルマラソンで何度も様々な魔物と遭遇してきた そしてここ北鎌で予想だにしない魔物と出会ってしまった もうここまで来たら行くしかない 最悪ビバークはできるけどメンバーに迷惑かけたくない ただでさえ遅い足なのに超スローモーションの動きで不安を抱えたまま進みます 独標へ向かっている途中、先頭のQchanさんが上がりきるまで斜面の中腹で待機してた時のこと それまで立ってた足場が急に崩れてうつ伏せに倒れました すぐ後ろにいたJunJunさんがとっさに押さえてくれて滑落に至らずに済みました 自分が落ちる以上に、下手したらJunJunさんを巻き込んで一緒に滑落してたかもしれないと思うと怖かった 独標はQchanさんも私も直登するつもりでした ここは猛勉強し経験者から沢山アドバイスももらって決めていましたが、先行グループが時間がかかりそうだったので巻く事に でもこちらはこちらでルーファイが難しくなります まずはロープのあるハング気味の岩を通り、コの字岩をくぐり抜けます どちらも慎重に行けば問題ありません その後稜線戻りで多くの人達が行く残置スリングが垂れているところはオーバーハングで大変そう その前後あたりから稜線へ向かう人達もいますがどこもルーファイに苦労しているよう なのでそこへ行くまでに稜線へ行きやすそうなルートを探っていると、見える範囲では行きやすそうなところが目についた 先を行くQchanさんを呼び戻し相談 地図で確認するとちょうど独標の真横に出る感じだったので私達はここから稜線へ向かう事にしました すると、後続パーティ達がみんな私達に続いてきました イレギュラーなルートどりをしているのに💦 そこは下からは見えない上の中間部ではザレが待っていました 急斜面でもあるため滑らかすわけにはいきません 先頭をゆくQchanさんの踏んだところからバラバラとザレが降ってきます 少し上がると横にハイマツがあるのでそこへ向かいますが… 私が踏んだ一歩の下にあったデカイ石がザレと共に動いて落ちた! 何人もの人達が下に続いている お願い、当たらないでっ!という思いで必死に 「ラーック❗ラーック‼️ラーーーック‼️」 奇跡的に誰にも当たらなかったけど、ひどく恐ろしい思いに鼓動が早くなった そしてこの時北鎌にのまれる感がハッキリと分かった ダメ!のまれちゃダメ!と自分に言い聞かせるけど、払拭方法がわからない 先ほどのJunJunさん巻き添え滑落未遂といい、沢山の人がいるのに落石といい、自分がどうかなる以上に人を巻き添えにする事が何よりも怖い ザレを越えたら岩場となり真上には独標が見えてきましたが、後ろから「ラーック!ラーック!」の声は沢山聞こえてました バリエーションなので正解も不正解もないけれど、このルートはオススメしません 独標から見る槍ヶ岳は文句のつけようがない晴天☀️の元、それはそれは素晴らしい眺め 自分の目で見たかった眺望が広がります テンションは上がるけど、絶不調の不安と先ほどの滑落未遂&落石で心底楽しめる自分はいなかった ここからは北鎌平までルーファイが難しくなる区域 絶不調の私にはもうルーファイする元気も気力もありません どんなに力が出なくとも槍ヶ岳まで辿り着かねばという思いだけでいっぱいいっぱいでした Qchanさんに神経使う先頭とルーファイを全てお願いし、ただただ前進するのみです 北鎌平まではあまり記憶がありません もうP何なのかもサッパリです 私は絶不調のなか、掴む岩の確認だけは怠らないようにするのが精一杯 あちこちから「ラーック!」と声が聞こえています リーチが足りない時や危険ゾーンをより早く抜けたいところは引っ張りあげてもらいました 途中稜線上をそのまま行くなら懸垂下降を必要するピークは途中から下りて巻きましたが、その下りが非常に緊張するようなところでした また私が通過した時は大丈夫だったのに、後ろのJunJunさんが大きな岩に乗った時にその岩がぐらついた バランスを崩したJunJunさんの重心が一瞬後ろへもっていかれてヒヤッとしたけど、岩を掴んで事なきを得ました 白ザレと呼ばれてるところはどんなレベルの人でも滑落してもおかしくないような場所だと感じました いや、白ザレだけじゃない この縦走路はいつ誰に何があってもおかしくない 北鎌平まで来ました あと一息ですが私にはまだまだ遠く感じる 序盤から疲れきったかのような弱い力と鉛のような体、そこへ本当の疲れも加わって地獄に感じていました それでも、か細い力でもスローモーションな動きでも動き続けれている事だけが救いだった 最後のチムニー二つ 下のチムニーの上部で私にはリーチが僅かに足りず、一瞬二点支持での体重移動が頭をよぎりました バーニャさん言ってたな「二点支持が一番危ないんだよ」って でもそんな時ふと思い出した レポにはあげてない練習をした時…落ち着いてよくよく見て考えれば他に場所や方法が見えてくる事を 見えづらかったところに僅かにスタンスとれそうなところを見つけ、安定して上りきれました 上のチムニーでは前にお二人パーティがいて、お二人ともチムニー上部で苦戦されてました 同様にQchanさんも苦戦している姿を見て私には無理だと判断 JunJunさんと共に巻きを選びました 実は上部チムニーは最初から巻こうとしてたところ、現地で居合わせた方が巻きの方が岩場の難易度的には難しいとおっしゃってましたが、結果的に巻きは難しくはなかったです ちょっとルート間違えて戻ったりしたけど やがて行く先に祠が目に入り、左裏側から山頂に上がりました やった! 終わった! やりきった‼️ 上のチムニーから先に上がっていたQchanさんと三人揃って笑顔で再会 喜びが一段落するとこみ上げるものが… 絶不調のしんどさ いつ止まってしまうか分からなかった不安 脆い岩はもちろんガレ場ザレ場の緊張 人を巻き込んでしまわないかという恐怖 …大変だった 全て終わった、無事に終わったという安堵感の涙か 予約していた南岳小屋をキャンセルし、槍ヶ岳山荘へ 外で打ち上げ途中で寝落ちしました 夕食だけは食べたもののまたすぐ寝てしまいました 三日目 目覚めたらすぅーんごくスッキリ✨ Qchanさんはすでに出発済み 火曜日も休みを取ってある私とJunJunさんは穂高岳山荘でもう一泊して大キレットやジャンダルムという考えもあったけど、お天気イマイチだったので真っ直ぐ下山することに 下山だけど前日の絶不調がウソのようにどんどん力が湧いてきます …うーん、寝不足が原因だったのか⁉️ 今まで寝ないで登山も幾度もしてきて何ともなかったのに(日帰りジャンダルム縦走も一睡もしないで行ったのにー)、よりによってここ一番勝負の北鎌で😓 憎き北鎌魔物 なんとも悔しい思いで下山しました 私には悔いが残る北鎌チャレンジでしたが、一番の目標だった『全員無傷で家に帰る』は達成です😊 ※写真では沢山の人がいてまるで一般道のように見えますが、決して容易なルートではありません 岩場難易度はジャンダルムと変わらないとよく聞きますが、個人的には岩の脆さを省いたとしても、ジャンダルム縦走路より難易度が高いと感じました (慣れ不慣れもあるかな?) ※ルートの詳しい説明はメンバーのを見てください ただし本当に大変なところの写真はありません
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