爆進!!!槍ヶ岳 北鎌尾根

2019.09.14(土) 2 DAYS

活動データ

タイム

22:42

距離

24.0km

のぼり

2710m

くだり

1341m

チェックポイント

DAY 1
合計時間
10 時間 12
休憩時間
1 時間 25
距離
19.1 km
のぼり / くだり
1199 / 879 m
DAY 2
合計時間
12 時間 29
休憩時間
3 時間 19
距離
4.9 km
のぼり / くだり
1511 / 460 m
3 59
2
36

活動詳細

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日本の山において圧倒的な存在感を放つ槍ヶ岳。 「北鎌尾根」はその槍ヶ岳の真の魅力を存分に思い知る事ができる超難関コースである。 湯俣温泉から天井沢を突き進む超エキスパートルートは別として 一般的に中房温泉から貧乏沢を下りて行くルートと上高地から東鎌尾根まで登り水俣乗越から下って行くルートの2択である。 どちらにせよ初日のうちに北鎌沢まで行って翌日に尾根まで登り槍ヶ岳を目指すというもの。 「あんた本気で行く気あるのかえ?」師は初めて出会った時にぼくに言ったが あれから数年経った今回、凸凹師弟コンビは晴れて北鎌尾根に挑戦する事になった。 実は北鎌尾根への挑戦は2度目である。前回は中房温泉スタートだったが師の足が調子悪くスタートして数時間で退却した。 今回は万全をと考え上高地からのスタートとした。初日の高低差はこちらの方がまだ少ない。 前日に平湯温泉で車中泊しあかんだな駐車場から上高地行きの始発バスに乗り込んだ。師は「うぉんたな駐車場で待ち合わせじゃぞ!」と前日言っていたがそんな駐車場はどこにもない。突っ込みもしなかったが2人は何事もなくあかんだな駐車場からの始発バスに乗って上高地入りした。 連休の影響で登山客に大賑わいのバスターミナルで登山届けを出して5:50スタート。 横尾までの3時間は平坦な道のり。我慢の時間。 見脇の猿達にカメラを向けて盛り上がっている人々を尻目に 「ロビンくん、うちの近くにおる猿はすごいぞー。畑の食べ物を全部持って行くし、目が合ったら襲いかかってくるぞ。今度見に来い!」と師。 もちろん断ったが、赤ちゃん連れて来たらええんじゃないか?動物園に行くくらいならうちに連れて来いと食い下がられた。適当に返事をした。 くだらない話をしながら3時間で横尾に到着し、そのペースで槍沢ロッヂ。 師は「槍が見えるよ」と書いてある望遠鏡を覗き 凄いな、登山者が大きく見えるぞ、目の前におるみたいだぞ。と大騒ぎしていたが、 もちろんそれは槍ヶ岳に登っている登山者が見えてるのではなく、望遠鏡の前を横切ってる登山者であった。人の感動をぶち壊す権利などぼくにあるわけもないのでここでも何事もなかったかのようにスルーし先に向かった。 天気は信じられないくらいに良い。雲一つない空である。 山をやめて隣を流れる川に飛び込みたくなるくらい。 そう思いながらの大曲から水俣乗越までの急登。 要は東鎌尾根まで登るわけだがこれがなかなか辛かった。 普段ならなんて事もない普通の急登だが、この日は真夏のような強い日差しと高温にうんざり。 師の足も気遣いながら何度か休憩しながら90分で登った。 水俣乗越には所狭しと北鎌を目指す人が休憩していた。想像以上に多くその数10名以上。 ここから地図にない方向に急降下。 北鎌沢出会までの長いガレ場歩きの始まるのであるが、まずスタートが最悪である。 設置してあるロープを使わなければ下降は無理のガレ場。 足を置く度に落ちて行く石。「ラーク!ラクラクラク!」石が落ちて下の登山者に向かっていくのでなかなか前に進めない。 それでも上から転がり落ちて来る石に、下の登山者に石を落とさないように気をつけながら急降下を終え、ここから延々と続く足場の悪い枯れ沢を歩いた。 穂高の白出沢が可愛く思えるくらいのゴーロ歩き。 2時間半心身共にヘトヘト状態になった頃にテントが見え始めた。北鎌沢出会到着。16:00 この日の行動10時間。予想していたより時間を要した感じ。 テントは平地を探すのが難しかったがなんとか無理矢理立てた。 ペグなんて刺せない、人1人雨風凌げて寝れればよい。 水場は北鎌沢を登ってすぐの所にザバザバ出てたので良かった。 師は野宿すると言ってまわりから大きな木を集めてその上にビニールを乗せ 銀マットを敷いて寝床を作った。冬用のタイツに履き替えてダウン着て寝るから大丈夫だと言ってた。実際に無事朝を迎えていた。 翌朝4:00くらいからスタートしている人も数名いた中 ぼくらは4:50スタート。 北鎌のコルまでの急登。印なんてものはない。自分で登れる所を探して登る。 というものの、落石さえ気をつければ御在所の本谷を登ってるような感覚。 道も間違えば面倒だが、普通に真上を目指していけば右俣左俣気にしなくても迷う事は無い。基本的に分岐は右、右を意識して。 最後だけは目の前に岩が立ちふさがり、右手の草つきの難しそうな登りの方に目がいってしまうが、落ち着いて目の前の岩場を登れば北鎌のコル。 師は右側の難しい所を気合いで登ってまわりを驚かせていた。 北鎌のコルでは師と2人でしっかりポーズを決めて記念写真を撮ってもらった。 ここから先天狗の腰掛けまではハイマツなどの樹木をかきわけながらの登り。 体力勝負の道に打ち勝ち天狗の腰掛けを過ぎると次第にガラガラの岩だらけの道に変化する。天狗の腰掛けまでの道は比較的迷う事はなかったがここからはしっかりルートファインディングしなければならなくなった。 踏み跡は右にも左にも前にもある。どれが正解なのかわからない。 ここは直登か?登れるのか?登ったところで下りれるのか?ネットなどの情報ではあまりトラバースしない方が安全とも書いてあるがトラバースの足跡も明瞭なのである。しかしその足跡の先は危険な岩場の登りというかこれ登れるのか?みたいな感じで・・・ 試行錯誤しながら独標を前にする。 直登より右に巻いてそれから頂上に向かって登った方が良いと判断。近くにいた登山者も同意し巻いた後の登りに挑んだ。 ぼくが先頭でガラガラの岩場を少し登ると洞窟のような所に突き当たった。 左手上に猛烈に古いハーケンが打ってあるが胡散臭い。どうしようか迷ってると下の登山者が右手にもう一つ洞窟のようなものがあれば正解だからとアドバイスをくれた。右手の奥に洞窟を確認し、ぼくは左側からガレ場を登り、後続は右手の洞窟をくぐってようやく独標到着。 独標頂上にきてはじめて槍ヶ岳、大槍小槍が目の前に現れた。凄まじい存在感に圧倒され鳥肌がたった。これか、これなのか。 この角度、方向から見る槍ヶ岳の姿、本来の槍ヶ岳の姿。 これまで幾度となく死傷者を出しながらそれでも登山者の心を鷲掴みにしてきた北鎌尾根からの槍ヶ岳。納得であった。 独標から先もルーファイしながら突き進む。 他のパーティーが難しい道に迷い込んでロープを出して危険そうな岩場を登っていたり、トラバースしすぎて行き止まりになって座り込んでいたり 個々が苦戦しながら最後の目標である北鎌平を目指した。 北鎌平まで辿り着けばあとは頂上まで岩場を登り詰めるだけ。 最後にチムニーと呼ばれる少々技術を要する岩場をクリアすれば残り10mで頂上。 ここまで来れば本来の一般登山道を上がって頂上に登った登山者からぼくらの姿が見えるようになる。 上から「どこから来たんですかー?」「凄いですねー」などと賞賛の声をかけられる。パラパラと拍手も聞こえる。先を登った師は登頂した。 「ロビンくんついたぞーはよ来い!」と言われたので 「頂上ついたら盛大な拍手で迎えていただけますか?他の方もお願いします」と 言いながら登りついたらたくさんの拍手をもらえた。少々力技で得た拍手であったが満足であった。 頂上は登山者で一杯だった。聞く所によると本来20~30分で登れる小屋からの道を3時間かけて皆登って来てるとか・・・渋滞である。噂には聞いていたが目の当たりにすると凄い。小屋まで連なる登山者の行列。これはこれで感動である。 3時間かけて渋滞の中登る槍ヶ岳も11時間かけて死にそうになりながら登る槍ヶ岳も同じ槍ヶ岳である。皆の槍ヶ岳だなと極度の疲労の中悟りの境地に片足突っ込みながら小屋まで下りた。16:40 行動時間は12時間近くでヘロヘロだったが非情にも小屋のテント場は一杯でそこから殺生ヒュッテまで下って終了とした。 初日10時間、2日目12時間半。とんでもない山行だったがぼくの中はやりきった感で一杯になった。 ちなみに翌日は7時間以上かけて下山。 最後の横尾から上高地までの平坦なグダグダ道が今回の山行の中で一番辛かったというヲチで北鎌尾根のレポを終了します。 おつきあいありがとうございました。

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