活動データ
タイム
11:23
距離
25.1km
のぼり
3415m
くだり
2733m
活動詳細
すべて見る午前4時前、奈良田の駐車場を出発した。風は秋のような涼しさで空には無数の星が光る。 森は鳥や虫の声がほとんどしない。夏の終わりを感じる。白峰三山に来るのは一年ぶり。何度か来ているルートなので油断していて、ちょくちょく道に迷った。歩きやすい場所でも倒木が増え始めるとだいたい間違い。ルートを見失ったときの気分ってのは、家の鍵をなくしたときと似ていて、そわそわして同じ場所を調べたり、見当はずれの場所まで調べたりする。こういうときは大人の余裕が大事。涼しい顔をして戻るだけ。そうこうしていると夜が明けて一安心。 大門沢小屋の標高は1765メートル。ここから先は空気が薄くなってきて、しかも急登が始まる。あまり体力を消耗すると稜線で苦労するので、なるべく温存しながら登る。ナデシコが一輪、楚々と咲いていた。 森林限界を抜けると空が広がる。稜線は近い。大門沢下降点に出ると、雲のない最高の天気で全方向の山が見えた。富士山もばっちり。 稜線には強い日差しが照りつけるけれど、涼しい風が心地よかった。ホシガラスが松ぼっくりをくわえて飛びまわる。農鳥岳の山頂からは、間ノ岳と北岳が肩を並べる姿が見えた。 調子よく来れていたのに間ノ岳の登りで吐き気がしはじめた。軽い高山病ぽい。無理をすると悪化するので、息が上がらないように呼吸を整えながらゆっくりと進む。ゆっくりでも間ノ岳の登りはきつくて、一歩が半歩くらいになる。ふと立ち止まると無音で、風の音しか聞こえない。違う星にいるみたい。間ノ岳の山頂では甲斐駒が姿を現した。黒戸尾根にも行きたい。 北岳周辺は高山植物の種類が増えてまるで植物園。しゃがんで写真を撮って、立ち上がるたびに立ちくらむ。高山あるある。山頂付近の小さなサンプクリンドウが可憐だった。 北岳の山頂に着いて、しばらく岩に腰かけて間ノ岳への稜線を眺めていた。いつまでも見ていたい景色。山頂には誰かが植えたみたいにタカネビランジが咲いている。キアゲハが飛んできた。 北岳周辺には青い石と赤い石が転がっている。放散虫などが海底に堆積してできたチャートかな。北岳がかつては太平洋の海の底だったと思うと、果てしない気分になる。 調子がよければ下山後に奈良田まで走ろうかと思っていたけれど、微妙な吐き気のせいでそんな気分にもならず、ちんたらと下った。標高が下がるにつれて体調は回復してきて、広河原に着くころにはお腹がだいぶすいていた。考えてみたら間ノ岳からなにも食べていない。広河原インフォメーションセンターに着いて、バスの待ち時間にカップラーメンを食べた。なんでこんなにうまいんだろう。
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