裏銀座&黒部五郎岳~新穂高

2019.08.19(月) 7 DAYS

チェックポイント

DAY 1
合計時間
10 時間 56
休憩時間
0
距離
8.5 km
のぼり / くだり
1798 / 551 m
DAY 2
合計時間
10 時間 34
休憩時間
39
距離
11.6 km
のぼり / くだり
1071 / 692 m
1 33
48
37
1 52
1 4
1 13
DAY 3
合計時間
16 時間 46
休憩時間
3 時間 55
距離
16.8 km
のぼり / くだり
917 / 1562 m
51
1 18
1 42
3 2
2 44
19
DAY 4
合計時間
4 時間 20
休憩時間
1 時間 52
距離
4.8 km
のぼり / くだり
434 / 89 m
DAY 5
合計時間
14
休憩時間
10
距離
98 m
のぼり / くだり
2 / 2 m
DAY 6
合計時間
10 時間 23
休憩時間
2 時間 25
距離
8.4 km
のぼり / くだり
940 / 734 m
DAY 7
合計時間
9 時間 8
休憩時間
0
距離
20.5 km
のぼり / くだり
898 / 2353 m

活動詳細

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初めてのあるぺん号。天気予報に悩み、出発5時間前に慌てて電話し予約した。七倉山荘についたときは真っ暗。バスがいなくなる前に慌ててヘッドランプを出す。 高瀬ダムまで徒歩で行くか迷うも、ヤマップ→1時間、山と高原地図→2時間とタイムコースに開きがあり、急登に足を残すため乗り合いタクシーを待つことに。 待機列用の小さなベンチがあり、タクシー会社の電話番号など記載されている。電話がつながるのは5時からなので1時間半待つ。 しかしタクシーは電話しなくても5時に来てくれた。数台続いてきたので、一組ずつ乗せた方がお金になるはずなのに率先して定員人数を乗せてくれた。しかも割りきれないからと500円分まけてくれました。親切。 5時になると高瀬ダムへの道路のゲートが開き、車での通行が可能になる。高瀬ダムは3人の設計者による天然の岩を積み上げたロックフィルダムという形式のダムで、日本で二番目に高い。運転手さんによると、この造設に延べ60万人以上が関わったという。 http://www.kanko-omachi.gr.jp/takase_gorge/ エメラルドグリーンの湖水は非常に美しかった。ロックフィルダムは堅牢な野面積みの城塞といった趣。このダムの見学ツアーもあるのだとか。 さて、アルプス三大急登であり、日本三大急登である「ブナ立尾根」。鈍足な私がいうのもなんですが、さほど急登かな?という印象。ちょっと細めの幅ですが、特に危険な場所もなく歩きやすい。 真教寺尾根や金峰山への「千代ノ吹上」から「五条岩」までルートの方が、筋肉も使うし危険な箇所もあるし、よっぽどきつかった。自分のペースを守れば問題なし。  《烏帽子小屋情報》 ・自炊スペースと外来飲食スペースは同じ場所 ・トイレは離れにあり。普通 ・小屋の前にイワギキョウの群生 ・テント場は小屋から100m以上下る。平たく整地されていて張りやすい。ただ面積が狭いため、段々畑のように下まで続く。特に池塘に近い場所はビバークと呼びたいぐらい孤立している  烏帽子小屋につき、カレーを頂いた後は雹が降り強風のため烏帽子のピーク踏めず。小屋の中で雨が上がるのを待つが諦め、雨中のテント設営。 ●二日目 この日は雲ノ平まで行くつもりだったので、烏帽子のピーク諦め出発。途中ご来光と雲海を見て心洗われ、何度も足を止める。雲海がでると天候が保つといわれるが、野口五郎小屋前までくると悪天候に。外のベンチでパンを食べながら小休憩。 烏帽子から野口までは、池塘と岩の稜線が続き、三ツ岳は穏やかな丘が連なる。小ピークを抜けると白砂混じりの地面に可憐な高山植物が咲くお花畑を眺めるなど何かと楽しかったが、そこからは雨と強風の地獄のロード(笑)。 ガレた足場の悪い斜面の登り返しや、強風吹き荒れるコルや幅1m弱の尾根、岩場の稜線にたたきつける風、風、雨。 ゴアテックスが効かず全身ずぶ濡れ、疲労と寒さで体力が奪われる。雷鳥と遭遇して多少心が救われた。 正午には水晶小屋に着いたので雲ノ平には日暮れまでに着けたであろうが、昼食のおでんを頂いたら気持ちも萎え素泊まり。夕方一瞬晴れ間が見え、裏銀座の稜線が露わになりました。槍ヶ岳が見えて興奮。 《小屋情報》 ・女性スタッフの愛想がいい ・お手洗いは部屋自体や便座は清潔だが臭いがきつい。食事スペースとの仕切り扉は、食事中の方がいるときは極力開けないように気をつけた方がいい ・一階の寝室スペースとの仕切りの天井が狭く、梁に頭をぶつけないように注意 ・乾燥室の設備が悪く、靴やザック置き場まで熱風が届かない ・玄関から続く自炊スペースからは外を眺められる ・一人3つまでハンガーを借りられ乾燥室で干せる。暖房器具が古い型のようで、近づくと火傷するぐらい熱風が出るが熱風をすみずみまで送り届けるものではなく、「そこで燃えている」という感じ。左側と奥に靴棚があり、右手にはザック置き場。中央には紐がわたっており衣類をかけられるのだが、肝心の靴とザックに熱風が当たらない。除湿器と省エネ電気ストーブを推奨したい。 ●三日目 この日も雨。濡れた靴に足を通す気持ち悪さよ。 祖父岳から雲ノ平まで行くが、霧と雨により見通し悪く、景観ものぞめない。岩苔乗越で再び雷鳥に出会ったのだけが救い。 池塘が点在する靄のなか、10m先の木道がかすむ雲ノ平は、幻想的といえば幻想的ではあった。 突然、幻のように現れた小屋。都会のカフェかと見まがう食堂でランチ。トマトナポリタンの酸味が活力を与えてくれた。連れは酸味のある鶏肉をご飯に乗せたアジアン風どんぶり。 雲ノ平でテントを張り晴れるのを待つか。太郎平小屋まで行き、明日富山側へ下山するか。この日の朝の情報では明日・明後日も雨予報。今回は諦めて下山を決めるが、後ほどこの判断が分かれ道となる。 木道が終わると薬師沢小屋までの鬱蒼とした木々が左右から迫り来る、ごつごつした岩場の大下り。岩や木の根に滑るわ、そこかしこに水溜まりがあるわ、登山道が滝のよう。それにしてもこの急登、下りがコースタイム30分なんて大嘘! 薬師沢小屋の出合は増水のため、増水用の梯子を登る。物凄い量の水がどうどうと流れる上に渡された吊り橋は、中央に板が渡してあるだけなので緊張感。 お手洗いを借り水を補充し、太郎平小屋へと急ぐ。木道にところどころ休憩に適したベンチが現れ、晴れていたらさぞ気持ちよさそう。しかし今回は一部水没したり腐っていたり、飛び出した草や葦に足を滑らせることが多く、雨の日は危険だ。 太郎平小屋につくと18:00近く。小屋からキャンプ指定地までが30分近くあり、遠い。寒さで疲れていたため、小屋の前の広い敷地をテント場にしてほしいくらいだった。 どこもかしこも水溜まりになっていて、少しでも水はけがよさそうなところを探す。あまりに疲れていたからか過去最高の早さで張り、早々に就寝。 《太郎平小屋 情報》 ・パンやスナックの量が豊富 ・小屋近くのトイレは離れにあり、コンクリートと木材で造られた立派 ・テント場のトイレは未使用なので不明 ●4日目 雨でテントが浮く。急いで畳み小屋に立ち寄ると、なんと折立まで来る予定のバスが雨量が多いために通行規制がかかり来られないという。 しかし天気予報が昨日とうって変わり、明日なら晴れるかもしれないから一日ここで待機すれば大丈夫ではないかと言う。連れと相談、しばし逡巡。畳んだテントを太郎平に広げるより、こうなったら黒部五郎まで行ってやろうという冒険心がむくむとわき起こる。 長い長い行程を侮っていたわけではないが、この日も斜面にたたきつけられるような強風が体力を奪う。登山道が川や地糖と化している箇所があまりに多く、登山というより徒渉に近かった。 これでは山頂は危険だと手前でビバーク。夕方暫時的に雨がやみ、夕焼けに照らされた黒部五郎を見つつ、温かい夕食で冷えた体を早々に暖められた。水場がないのは困ったが、水不足を助けてくれたのはなんと500mlの缶ビール!昨日太郎平で買ったものの、寒くて飲まなかった缶が残っていたのだ。連れと祝杯をあげる。一夜の喉を潤すには十分な量だった。 再び強風、夜中はテントが飛ぶかと思うくらい吹き荒れた(後でおよそ風速20mと知る)。しかし不思議と怖さは無かった。 ●5日目 予報通り晴れ、ピストンで黒部五郎のピークを無事に踏む。 黒部五郎岳までの道は細く、両側から這い松が茂り見えなくなることも。突き出た小枝にウェアが引っかかることもしばしば。あまりこちら側からピークを踏む人は少ないようだ。 山頂も誰もおらず独占。雨にやられた雲ノ平と思わしき平らな台地が見えた。 その後カールに降り、のんびりと小屋まで進む。雲ノ平も桃源郷と言われているが、なんの、私はこちらの黒部カールも秘境じゃないかと思った。花が咲き乱れる草原の中央に流れる小川。ところどころに鎮座している大岩や奇岩。広い岩で寝ころび休憩、青空を見上げると時を忘れた。 テントを張っている間に、楽しみにしていた小屋の昼食の時間が終わってしまったのが残念だった。先に食べておけばと・・・教訓。どうしてもテント場確保に気が焦ってしまう。しょうがないのでポテチとビールを多めに買い、夜に備える。暖かい日光の残滓に身をさらし、のんびりと汚れた靴やストックのメンテナンス。 テン場は平らで張りやすく、カールを眺めながらのんびりできる。本当に素晴らしい場所。  《黒部五郎小屋情報》 ・ポテチ系スナック豊富 ・靴洗い場がある。ブラシも置いてあり便利 ・ビール、ポカリ、ジュースが豊富。ビールは水流に晒して冷え冷え。何より野菜生活が嬉しい! ・トイレは小屋の裏手に回る。土足のままでOK、割と清潔 ●6日目 黒部五郎から三俣蓮華岳へ。明後日は仕事。この日に下山のつもりが、烏帽子や水晶のピークを踏めなかったことから、後ろ髪ひかれ、鷲羽岳にいくことに。 三俣蓮華山頂から三俣山荘までずっと眼前に鷲羽岳が鎮座し、まるで吸い寄せられていくように歩いていく。木々の緑に赤い屋根を見せる小屋。絵に描いたような雄大と壮大さ。白い登山道がうねうねと続き、緑へ吸い込まれては現れる。 テントを張り、食堂でランチ。中には黒部を股にかけた伝説のまたぎたちの紹介パネル。昔はとんでもない人たちがいたもんだ。『黒部の山賊』、読みたい。 三俣の「M」がケチャップで描かれたオムライスはクリーミーでこってり、美味。疲れた体にはたまらない! 売店で充電のお願いと予備食の購入。小屋番の女性はとても気さくで優しく、届いたばかりのパンを急いで出してくれた。 バッテリーを預け鷲羽岳へ。ざれた細い道を少し進むと、真っ正面に山と相対、見上げると急勾配。落石に注意しながら一歩ずつ高みへ。青い空、白い登山道、這松の緑のコントラスト鮮やかに。この景色を見られて良かった。 山頂で電波が届くのをいいことに、電車での帰路を変更し、高速バスの予約をする。結局山頂に40分もいて、すっかり体が冷えてしまった。夕焼けに照らされた黒部の源流、火口湖を見ながらのんびりとくだる。小屋の煙突から煙りが出ていて、牧歌的な風景に心和む。 テン場では水場から流れ出るちょろちょろという音が心地よく聞こえてくる。 就寝前に一杯ひっかけに食堂へ。21:00まで営業しているところが嬉しい。優しいランプの灯りに照らされながらストーブに足を温め、ビールと缶詰め、チーカマをいただく。 おかみさんはとてもきさくで、つまみを一つおまけしてくれた。ビールで体の疲れが溶けていくようだった。 《三俣山荘情報》 ・売店は菓子パンスナックなど豊富 ・充電コンセントも豊富で、テン泊客にも対応してくれる ・トイレは屋内にあり靴は脱ぐ。清潔できれい、鏡つき洗面台もある。自炊部屋に続いているので扉は速やかに閉めよう ・談話室には小説など置いてある。小屋から入って右手は大部屋の寝室らしい ●7日目 朝早く出立、三俣蓮華岳へ登り返すときに、見事なモルゲンロート。9時の方向に赤く切っ先を覗かせる槍ヶ岳。 双六岳は霧がでて視界が悪くなったが、厚い雲間から差し込む朝日がとても幻想的で。そこへ突然はばたきの音、なんと雷鳥が舞い降りてきた。空から飛んできたのを見たのは初めて。本当に飛べるんだね(笑)。 双六から新穂高まで駆け足になったが、鏡平で水面に映る「逆さ槍」を見ることが出来て非常に満足。そこで食べた牛丼も最高。 表銀座もどっしりと素晴らしいが、裏銀座のお花畑やアスレチック感覚の岩石地帯、双六からわさび平小屋までの小池新道は鏡池や秩父沢出合の大きな川もあり、自然豊かで楽しい。 今度は雲ノ平が晴れるまで、慌てずどっしりといつまでも待ってやろう。そして水晶岳に登り、そこから赤牛に足をのばしピークを踏むことを誓うのだった。

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