本社ヶ丸、清八山、三ッ峠山

本社ヶ丸から清八山に至るも富士山の頭は雲の中であった。初夏の緑に覆われた山襞、梅雨の晴れ間に浮かぶ雲の具合がちょうど良かった。ただなんとなく秀麗富嶽を諦めきれずに下山を先延ばし、僅かな望みを掛けて三つ峠山へと舵を切った。 光線を透過した葉色は鮮やに、乾いた風と蝉時雨に柔く揺れていた。岩に腰掛け目を閉じると森に溶け込むような心地だった。 結局この日は富士山の顔を拝むことは無かった。その代わりに山頂書道家「はりこ」さんとスマイル「sato♡」さんに縁することができた。四季楽園のテラスで私も下手な筆を取り、後に山仲間が撮ったような記念写真が送られてきた。 初めて歩いた中央線から三つ峠山までのルートはブナやミズナラ、けやきなど広葉樹の森が美しかった。高低差も距離もあるため疲労は覚悟しなければいけないが、展望もあり、花もあり、静かに歩ける道だった。本社ヶ丸から清八山への下りは少し岩場がある程度で他にこれといって危険な場所は無かったように思う。季節を替えてまた再訪したい。