活動データ
タイム
08:46
距離
8.4km
のぼり
1186m
くだり
306m
活動詳細
すべて見る■楽しみにしていた南八ヶ岳縦走 一昨年、初めての小屋泊まりでの山行を体験した八ヶ岳。今回新たなメンバーを一名加えた5名のパーティで八ヶ岳を縦走することになりました。 数ヶ月前から様々なコースを検討。週末の限られた時間内で、移動は公共交通機関またはタクシーでの行動を条件にあれもいい、これはどうかと、夜な夜なメッセージをやり取りし、地図を交換して、検討を続けました。山歩きは計画しようと決めた時から、下山後まで、何度も楽しめるポイントがあるのがいいですね。 距離はもちろん、小屋の有り無しなど様々な条件でコースを比較。今回選んだのは、桜平をスタートに夏沢鉱泉、オーレン小屋を経て夏沢峠から稜線に。硫黄岳、横岳を経て赤岳展望荘にて一泊。二日目は赤岳展望荘から赤岳を経て観音平に下山するルートです。 参加する5人のメンバーそれぞれが、皆、今回の山行への想いを巡らせ、事前の山行やイメージトレーニングなどの準備を重ねて迎えた6月最初の週末。八ヶ岳は開山祭で夏山シーズンがスタートするタイミング。不安定になりがちな天候も問題なく当日を迎えたのでした。 ◆八ヶ岳までの道のり 東京・新宿から特急あずさ1号に乗って茅野までは2時間ほど。茅野からタクシーで小1時間、未舗装のワイルドな林道を進んだ先にある桜平の駐車場に到着。駐車場は関東関西各地のナンバーの車でほぼ満車。新築の木の香りが漂うきれいなトイレがあります。身支度をし、靴紐をしっかりとしめて10時過ぎにゲートをくぐって出発です。桜平からのアプローチは沢沿いの緩やかな山道。美濃戸からのそれに比べて距離も短く、周囲の光景も変化があり、あっという間に夏沢鉱泉に到着。出だしのウォームアップにはもってこいですね。 ◆沢山の山小屋 八ヶ岳には魅力的な山小屋がたくさんあります。今回のコース上だけでも夏沢鉱泉、オーレン小屋、本沢温泉、硫黄岳山荘、赤岳展望荘、赤岳頂上山荘、キレット小屋、権現小屋、青年小屋と小屋が9軒もあります。(営業していない小屋も含めてですが) 夏沢鉱泉を取り囲む新緑の森。オーレン小屋のボルシチと小屋前に流れる冷たい水のすっきりした美味しさ。本沢温泉の入口で出会った諸先輩方が教えてもらった露天温泉の楽しみ方はぜひ次回に。そして、なによりも展望荘。開山祭前夜祭の開始直前で多忙な中、大きく遅れて到着した僕らにも手早く夕食を用意してくださいました。前夜祭のじゃんけん大会と翌朝の餅つきの楽しさは忘れられません。シーズンの始まりを祝う雰囲気、なんとも晴れ晴れしい気持ちになりました。 ◆硫黄岳 本沢温泉から見上げる爆裂火口は覆い被さるようで新緑と苔の森とは全くの別世界。ジグザグした登りをこなしたあと、空が大きく広がってケルンが並ぶ尾根にでます。ケルンをいくつか越えた先が今回の山行最初のピーク。硫黄岳の山頂です。周囲を取り巻く展望、足元に見下ろす爆裂火口のスケールの大きさには驚きました。ぎざぎざと禍々しい色で大きく口を開けた火口の向こうに青い空に白い雲がもくもくと湧き上がっている。こんなに広大な景色、なかなか見られるものではないですね。そして横岳、赤岳、中岳、阿弥陀岳と居並ぶ八ヶ岳の峰々がいよいよ姿を見せてくれます。それはそれは凛々しくて、誰もがついつい「かっこいい・・」と呟いてしまうほど。 硫黄岳までたっぷり時間を使ってしまったこともあり、横岳に向けた出発が大分遅くなりました。硫黄岳山荘横では同じ予定を断念して硫黄岳山荘に泊まることにしたという方も。我々は当初の予定通り今日は展望荘まで進むという判断。いよいよ1日目のメインイベント、横岳を乗り越えて展望荘を目指します。 ◆横岳 赤岳の手前に大きくそそり立つ横岳。険しい岩肌、這い登ってくるガスが稜線が境に切り取られていく姿が目の前に広がっています。その景色の中に自分たちが入って行くことになるが信じられないほどです。硫黄岳の周辺と比べても、一段と足場が狭く片側が切れ落ちた鎖の道、岩の間の梯子など。一歩一歩、山肌をはうように進んでいきます。冷たい鎖を掴む手が滑らないか、ふんばる足を置く場所が崩れないか、手応え、足ごたえを確かめながら進むのには集中力が必要ですね。岩場はざらざらしていて比較的滑りにくく、また、力を入れると脆くて崩れやすいような感じがしないのが救い。そうこうするうちに横岳山頂に到着。皆での記念写真を撮っただけで先に進みます。ここからは下りが主にはなりますが、相変わらず、切れ落ちた岩場のトラバースと、ハシゴ場が続きます。しっかり整備され多くの人が行き交う登山道です。一歩一歩ゆっくり進んでいけば、にわかに危険だということはないとは思いますが。大迫力の光景、岩場歩きの醍醐味にどっぷり使りながら進みます。 ■自然現象の宝庫・横岳 三叉峰を過ぎたあたりから左右が開けた稜線歩きの雰囲気になってきます。進行方向向かって右手、北アルプスの方角に日が落ちてくると雲の合間からいく筋もの光の帯が溢れ、諏訪湖がオレンジ色に光っているのが見えます。おまけに太陽の周りにはうっすらと彩雲がでているようです。ほんの僅かに弧を描いた虹色の光が見えます。写真に写せればと思いながら、しっかりと瞳に焼き付けておきました。 左手に目をやると切れ落ちた先には雲海が広がっています。うねうねと湧き上がってくるガスがすぐ足元まで迫っているのをながめながら歩いていくと、先行する友人が大きな雲の方と見ながら大きな声で「ブロッケンだ!」と叫びます。急ぎ歩みよって見てみると、確かに雲上におぼろげな人影が。手を振るとあちらの人影も同じように動きます。今回、ブロッケン現象まで見られるとは思っていませんでした。 ■残雪を超えて展望荘に 事前に諸先輩の活動日記や山小屋からの情報提供を確認していた際、もっとも気になったのが残雪の残り具合でした。5月中旬の金峰山で残雪が予想以上に多く苦労したこともあって、コース上に軽アイゼンやチェーンアイゼンの必要な残雪がないかは、特に気がかりでした。横岳の南側、一枚岩に残雪があるとの情報があり、降りられる状態なのかが気になっていました。(そこまで来て折り返したというレポートもあったりしたので・・) 今日、ようやくその一枚岩の残雪まで到達しました。残雪は溶けずにしっかり残っていましたが只中を降りず、横にはられた鎖を頼りに出来るだけ雪を避けて下ります。後半は残雪上を歩きましたが、ザラメ上の雪だったこと、鎖を頼りに足あとをたどることができたので、滑り落ちるような心配なく通過することができました。 ルンゼと言われる切り立った岩の合間を進んできているわけですが、振り返るとそこに道があるようには見えません。これで今日の懸念ポイントはこれですべて無事に通過できました。気を緩めないようにと、自らを戒めながら、多少のアップダウンを繰り返しながら、前回登ってきた地蔵の頭を経て、ようやく赤岳展望山荘に到着。おりしも開山祭前夜祭、じゃんけん大会が間もなく始まろうという時刻になっていました。 ◆開山祭前夜祭に沸く赤岳展望荘 開山祭前夜のこの夜、各山小屋では趣向を凝らしたイベントが開かれています。展望荘では毎年恒例のじゃんけん大会。多くの豪華賞品が当たるとあって皆様大盛り上がりです。 遅れた僕らをオーナーは暖かく迎えて下さいました。満員御礼の恒例のじゃんけん大会の直前にもかかわらず食事の場所を確保しいただき、美味しい夕食もしっかりといただくことができました。本当にありがとうございました。 その夜は雲が広がっていて残念ながら星空を楽しむ事はできませんでした。今日乗り越えてきた横岳の黒々とした影や、諏訪湖湖畔の町の夜景を遠くに夜景を見ることができました。展望荘名物の五右衛門風呂につかったあとは、あっという間に眠ってしまいました。 (つづく・・遠すぎた小屋(赤岳・旭岳・権現岳) https://yamap.com/activities/3837913 【前回、2017年夏】 八の字の足跡・その1(八ヶ岳・赤岳) https://yamap.co.jp/activity/1173860 八の字の足跡・その2(八ヶ岳・赤岳) https://yamap.co.jp/activity/1170166
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