活動データ
タイム
07:25
距離
10.4km
のぼり
867m
くだり
872m
活動詳細
すべて見る強羅駅周辺を離れるとコインパーキングが見つからない。近所の住人に聞いてもこの辺(宮城野)に駐車場はないとのこと。住宅地で駐車場シェアサービスの「軒先パーキング」「akippa」に空車の場所を見つけたが、予約決算はWEBクレジットカード払い。山行きの財布に入れてあるのは免許証と現金のみである。現金が使えないサービスと目の前の空き駐車場に虚しいため息を落とし、もどかしさがを抱えながら結局は勘太郎の湯第二駐車場を無断で借りるしかなかった。一時間寝坊し、駐車場探しに一時間手間取り、二時間遅れで歩き出したときには既に気温は高く、連日の真夏日はこの日も継続すること間違いなしに思われた。 義父が他界した。妻は惜別の間も無く多方面で多忙となり心底疲れていた。義父は独りだった。 5月27日の月曜日は運動会の振替休日である。前々からキャンセル待ちしていた保養所に運良く空きが出た。箱根山の警戒レベルが上がったのは丁度一週間前のことだった。ロープウェイは運行中止、大涌谷への道路は通行止めとのことだが外輪山歩きに支障はないと見て、大文字焼きの明星ヶ岳から明神ヶ岳へ縦走し、宮城野に下る周回コースで計画した。何かの折、綺麗なものが見たいと呟いた妻の気持ちが僅かでも晴れることを願っていた。 滴る汗を拭いながら明星ヶ岳を目指して登っていった。途中、大文字焼きが行われるだだっ広い斜面に出ると富士山が我々を出迎えた。そこら一帯にウマノアシガタがその硬質的な花弁を煌めかせていた。ここに来てようやく歩くと言い出した息子を背中から下ろし肩を揉んでいる私の体に小さな昆虫が付いているのを娘が見つけた。浅い知識ではナナフシの赤ん坊かな、としか言えなかったが子供達はその妙な姿をじっと観察していた。 トレッキングシューズを履いた息子と山を歩く。娘は弟に優しく手を伸ばす。いつか想い描いた風景の中にいるような気がした。親が子供に残すことができることには限りがある。家族登山の苦楽、それと共にあるひと時の素直な心の交流は私が子供に偽りなく伝えることができる数少ないことの一つかも知れない。
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