北八ヶ岳への想い

2019.05.14(火) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
5 時間 12
休憩時間
48
距離
7.1 km
のぼり / くだり
433 / 908 m

活動詳細

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南八ヶ岳から来た者が夏沢峠を越えて北八ヶ岳に入るときには、なにか心の整理いるようだ。 あれだけ緊張して歩いた横岳の稜線。滑落の二文字が頭を離れなかった数時間。ところが北八ヶ岳に入るとその緊張という縛りからは一気に解き放たれる。アルピニズムの南八ヶ岳とは対象的に童話の中に入ったような樹海の森、北八ヶ岳。 南八ヶ岳では大切だったピッケルやアイゼン。でもここ北八ヶ岳シラビソの森の中に入るとそんな装備よりもっと大切なものがいる。それは普段の生活の中で置き去りにしていた「感性」 シラビソの木々の中を通り過ぎる風、早春の鳥たちのさえずり、小さな小川に流れる雪溶け水の匂い。 高山植物たちはまだ雪の中だけど、残雪に耳を傾けると春を待つ声が聞こえてくるように感じる。 そんな自然の息吹を感じるには、一人でゆっくり残雪の中を歩くのが一番いい。春を楽しむ鳥の声のように自分の心も北八ヶ岳の大自然の中に同化し、そして自由になれる。 オーレン小屋の泊まり客は私1人であった。薪の檜風呂は暖かく疲れた身体と心を癒してくれる。小屋の皆さんと一緒にこたつに入りコーヒーをいただいた。今年は雪が少なく雪溶け水が少なく困っているそうだ。この水で発電と生活水を確保している山小屋、雪は大切なもの。話が進むにつれこたつを囲んで家族のような暖かさが伝わってくる。 「明日は午後から天気が崩れるから小屋は早く出た方がいい」と言って、翌朝5時から暖かい味噌汁とご飯を用意してくれたご主人とスタッフの皆さん。感謝です。翌日は、小屋のご主人が言った通り午後から雨になった。 3日間八ヶ岳の自然の中で遊んだ。山の最終日はいつもそうなのだが、山から離れたくないという身勝手な思いがつのる。でもそれは叶わない。 「帰らないと、また来れないよ」って自分にいい聞かせながら、降り始めた雨の中、渋の湯への道を急いだ。

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