活動データ
タイム
19:44
距離
35.0km
のぼり
2046m
くだり
2047m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る上高地バスターミナル5:54ー明神館6:41ー徳沢7:33ー8:31横尾9:00ー 横尾岩小屋跡9:30ー10:27本谷橋10:43ー涸沢ヒュッテ12:37 涸沢ヒュッテ5:50ー8:53北穂高岳(北峰)9:17ー涸沢小屋11:36ー涸沢ヒュッテ11:43 涸沢ヒュッテ7:27ー本谷橋8:38ー岩小屋跡9:15ー9:40横尾10:04ー11:02徳澤11:41ー明神館12:28ー河童橋13:08ー上高地バスターミナル13:15 まずは、私と同じ入山日に北アに入り、命を落とされた4名の方のご冥福を祈ります。 積雪期の涸沢から見ると屏風のように立ちはだかり、とても登れそうにない壁のように見える2つの名峰。奥穂高と北穂高。 それでも黒い点のような登山者が徐々に壁を上り詰め、稜線に達する姿を見ると、人間の凄さを感じる。 昨年のGWは奥穂高に登頂したので、次は北穂高へ。今年はGW開始とともに上高地に入山、小屋開き初日の涸沢ヒュッテに宿泊して登ることにした。 夜行バスや宿泊の予約を取ったものの、気になるのは天気。GPV,SCWを何度も見直す。その結果、入山日の前日は雨か雪だが入山した朝には止んで、小康状態の見込み。ただし、13時くらいには雲が広がってきて夕方には激しい雪になる。寒波が来ているので雨ではなく雪だろう。そうして夜半には雲が晴れて、登頂予定日は快晴、翌日も午前は好天の予定。 これを頭に入れ、上高地から歩き出す。 ルート状況について、1週間前にあすかさん、バーニャさんのど○○ペア(失礼!)が涸沢に入山し、貴重な情報を与えてくれた。横尾大橋から深雪で、本谷橋(当然架かってない)から谷コースで三度踏みのあすかトレースがついていること、涸沢まですごく時間がかかったことなど。この一週間でどれだけ変わっただろうか。この情報はないので、バーニャさんからの直前のアドバイスも頂いて、ワカンも持参することにした。ピッケル2本、ストックなど合わせて14kg+水分2L。軽量化に努めたのだけど、まだまだ甘いか。平地を歩くのは良いが、少しでも登るとこの重いザックの重さが骨盤に来る。涸沢まで13時には着かないと荒天に捕まる。本谷橋以降は、普段でも厳しいのに、お二人の情報では更に厳しそうだ。この後半の登りに体力を使うように、横尾までは少しスピードをセイブする。 横尾で小休止して横尾大橋を越えると事前情報通り、雪一面。200g足らずのワンタッチ軽アイゼンを装着して進む。トレースの中には踏み抜いた箇所も沢山見られる。あすかさん、バーニャさんのもあるかな、余計なことを考えながら進む。今日のザックはグレゴリーパラゴン58。歩きはじめは重さを腰に感じたが、慣れてくると重さをあまり感じない。素晴らしいザックだ。でも、登りは頑張りすぎると呼吸が乱れるので、時々立ち止まって呼吸を整える。左に見える屏風岩は雪がついて凍えているように見える。右のデブリは乗り越えてトレースができている。上部からの落石に注意しながら通過する。何度か起伏を越えて、本谷橋のあるはずの休憩場所。ここまでは時間的には予定通り。問題はここから。 ここまでに2名の山慣れた下山者と話をできたが「上の方はボコボコでワカンが有ったほうが良い」「後半はかなり苦労すると思います」と厳しい返事だった。アイゼンを装着して覚悟して進む。コースは谷コース。これこそあすかトレースだろう。みんながここを通っている。あすか様の偉大さに感服!すでにガスがかかり、アラレが降ってきている。予想より早く悪化するかもしれない。屏風の頭方面からの落石を気にしながらトレースを辿る。今日だけで結構な人数が通っているためか、トレースは安定しており、ワカンの出番はなかった。ガスのため、遠くの目標は見えず、眼前のモレーンの高みを目指すと、いよいよ涸沢ヒュッテの屋根が見えだした。これが見えてから遠い。周りの登山者が休んでいると抜いて、こちらが休んで抜かれ、そうこうしているうちに、テン場との分岐。予想外にへばることなく、ヒュッテに到着できた😁。天気が悪いことが幸いしたか、重いザックの割に昨年より早く到着できた。 どんどんガスが濃くなり、風も出てきて雪も降っている。早めについて本当に良かった。いつも賑わうテラスは営業中だが、誰も居ない。ラーメンとおでんを注文して、談話室で食べた。夕食時には、「最近にない最悪の天候の中、よくいらっしゃいました」とあいさつがあった。夕食後には、吹雪は勢いを増しており、そんな中でも到着する人も居た。悪天候の中、よく到着できたものだ。どんな強者か存じ上げないが、遭難と紙一重ではなかっただろうか。翌々日、この悪天候の中、小屋にたどり着けなくて槍沢、雷鳥沢、唐沢岳、北ノ俣岳で4名の方が遭難されたことを知った。翌日テン泊された方に聞くと12時頃まで悪天候が続いたらしい。吹雪の中、力尽きて心残りだったろう。みんな、ソロ。ツエルトやダウン、ガスコンロは持ってなかったのだろうか。それを使う余力を残していなかったか。この時代、かなり正確な天気予報が素人にもわかるので、よく考えて計画し、行動すればこのような遭難は防げるはずなのだが・・・。 翌朝、予想通りの快晴。4時には起きてお湯を沸かして食事を摂る。外が明るくなってきて見やる。全くトレースのない北穂沢、ザイテン。すでにヘッデンをつけて果敢に登りだした方がいる。ラッセル覚悟で頂きに進まれる心意気に感動する。自分にも登れるだろうか。昨日、小屋の方に聞くと天候は回復するだろうが新雪でベストではない。ちょっと難しいなど、コメントを聞いていた。とりあえず、出立の準備を進める。北穂沢では、トップの方が中間地点にまで上がり、そこでスピードが落ちて、後続の2名が近づいていく。さらに下部には10名以上の方が登っているのを見て意を決した。決断が遅い😣。すでに5:50。せめて5:30までに出発しないと、帰りに雪が緩んでくるぞ。 キャンプ場の端に行くと長野県警の方2名がチェック。行き先は「北穂です」。ソロですか「はい」。この時期の北穂に登ったことは「今回で2回目です。昨年は奥穂に登りました」。これでOKをもらえたが、雪崩が心配されること、岩がM字に見えるインゼンより上は斜度が上がるので、怖さを感じたらクライムダウンで下りてくるよう指導を受けた。 涸沢小屋の前でも県警の方が2名、装備をチェックされ、引き返すことも考えに入れておくように指導を受けた。 雪深いトレースを辿っていく。すごい青空。振り返れば、カラフルはテン場が小さくなってきた。すでに結構な高度感だ。できたてのトレースのステップは崩れやすく、一歩ずつ足を蹴り入れながら登る。上部を見ると右に斜上して東尾根方面に向かい人達もいる。トラバースで雪が切れ落ちなければよいのだが。私は通常とおり、直登するが時々風がなくなると暑い。後ろから日差し。これは雪が緩むのが早そうだ。ここでも何人もの登山者と抜いては休んで抜かれ、を繰り返す。お互いに助けることはできないが、一体感を感じられる。 指導を受けたとおり、インゼルから斜度が上がり、下を見るとますます高度感が出てくる。ただ、雪が深いので、アイスバーンを滑り落ちるような恐怖は感じない。恐怖を感じたら下りたほうが良いよね。ピックを雪面に差し込んで手がかりにして登る。稜線や松濤岩は目前だが、なかなかたどり着かない。そのうち、初めて下降してくるペアの方たちに出会った。トレースを「つけていただいたお礼を言うと、トップの方は南峰に向かったそうで、この方達は途中で追いついた2番手の方だった。さわやかで、技量のある方たちで、急斜面に新たなトレースをつけて雪を落とさないよう気をつけながら、横向きで下降されていった。まもなく、稜線に到達。眼の前の松濤岩の圧倒感がすごい。ここから岩と雪のミックス帯を一登りで北峰に達した。社会人1年目、3交替勤務後にソロで登って以来、34年ぶり。今日は快晴。360度の絶景が広がる。言葉に表せないこの気持の高ぶり。すごい・・・これしか言えない。あっ、もう一言。「山、最高!」😍・・・Keiさんのパクリですが何か?😏 さあ、絶景を満喫できたので気になる下降😂。横向きに下り始めたが、クライムダウン。これを想定してピッケルを2本持参してきた。左右両方でピックを雪面に差し込んで下る。しっかり効いてくれるので助かる。アイゼンの刺さりは悪いので、蹴り入れる。ときに、アイゼンの前刃だけに体重を載せて下る。靴の締め具合が不十分で、足裏が動く。これは失敗だな。なんとかそれでも下りられた。クライムダウンを続けるととても暑く、頬が火照ってくる。雪を手にとって頬につけると気持ち良い! 9:50頃、少し傾斜がゆるくなったので下を向いて下り始めると、上から「雪!」か何か声が聞こえた。上を見ると雪が転がり落ちてくるのが見えた。続いて、斜面が雪煙を上げながら一気にずり落ちてきた。雪崩だ。上に居る登山者が右へ移動する。ほとんど同時に右に逃げる。まもなく、雪崩は足元に来て、足が少し埋まり、雪を少し被ったが、幸い雪崩の本流はそれたので助かった。雪崩はインゼル上部を登っていた登山者まで達した。幸い、小規模だったので怪我人はないようだった。雪崩で上部から目の前まで流されてきた登山者も、どこも怪我は無いようで、ちょっと休憩して再び登り始められた。もし規模が大きくて、急斜面のインゼル上部の方を押し流したら相当被害が出ただろう。 この雪崩でトレースはすべてデブリに変わった。この中をステップを作りながら登り始める登山者たち。雪も緩んできているので、これは相当なアルバイトだろう。私は再びクライムダウンして下降。おそらく、この際にも下部で雪崩が発生したようだ。デブリの中を下降する。延々と下降するが地味に疲れる。休んでいても次の雪崩が怖いので、できるだけ休まず、周囲の斜面を気遣いながら下降する。涸沢小屋の上部まで来てようやく安心できた。 テン場で、県警の皆さんにアドバイスのお礼を言って、ヒュッテに戻り、テラスでルートを見返す。奥穂高ルートのザイテンの右でも雪崩が発生し、登山者が巻き込まれザックやピッケルを流されたらしい。腰を傷められた方も居るようだ。ザイテンの左右に雪崩跡が見える。幸い、それ以上の雪崩は無かったようで、奥穂高、北穂高のいずれからも続々と登山者が下降してきた。みんな無事で何より。 3日目の朝も快晴。最高の景色を堪能して「山、最高!」と叫びたい気分だった。昨年同様、名残り惜しくて何度も振り返る。同じようにしている登山者多数😁。 横尾までつく頃には雲が発生し、天候が徐々に悪化してきた。徳澤でカップ麺とドリップコーヒーで休憩しているとポツポツ小雨が降ってきた。そそくさと片付けて人混みの上高地へ戻りました。
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