活動データ
タイム
00:00
距離
0m
のぼり
0m
くだり
0m
活動詳細
すべて見る奥穂高岳へ登ってたら雪崩に巻き込まれた話 🔹発生日時場所 あずき沢 2019/4/28 9:39 🔹雪崩の種類 点発生表層乾雪型且つ変則的ストームスラブとかいうヤツ(雪崩に詳しくないので良く分からないがこのあたりだと推測している) 🔹規模 巾7m〜10m、白出のコル直下からザイテングラート中腹〜基部まで(標高差約450m、流れた距離約700m〜900m) 🔹発生原因 他Pのガイドさんは下山者が雪を崩し、誘発させたものと断定していたが本当のところは分からない。例えそうだったとしても誘発者を恨む気にもならない。出立遅い方が悪い。窪地歩く方が悪い。 🔹巻き込まれた人 20人〜30人。完全埋没者無し 一瞬の事だったので記憶も曖昧だけど覚えてる範囲で書き記してみよう あと少しで白出のコルか(標高2,800m〜2,850m付近)という所で雪崩発生。よく「雪崩は横に逃げましょう」とかいうけどそんなものじゃなかった。気づいたら雪煙が眼前に。とっさに思いついたのが映画「パーフェクト・ストーム」のパッケージ 大波のウネリを船長のテクで乗っ越すあのシーン。越えたらどうにかなると思い、何を思ったのかジャンプ。アホかー、当然のごとく巻き込まれる。 そりゃそーだ。雪崩は津波と一緒でただのウネリとは違い、後ろにも強力な流れが続いている。マッキーはアルマジロのように防御態勢をとったがこちらも耐えられず、一瞬で流されたと言っていた。巻き込まれたのは雪崩始めの頭の方の雪だとは思うが既に加速はついていたのかも知れない、とにかく暴力的なパワーだった。 後はもうボロ雑巾というか激流中の木の葉というか、雪中でなされるがまま。「確か泳げとかいってた」とばかりに必死で泳いだ。泳いだというか、もがいていた。とにかく底に行かない様に浮上せねばならない。←ウロ憶えだが本能的にこんな事を思っていたんだと思う そして今度は口の中に雪が詰まり出す。マジで窒息しそう。んでもって雪がズシリと重くなってきた。流れが止まる前になるだけ上に出ねば見つけてくんないゾ。とばかりに暴れる。上に行ってんのか下に行ってのか分からないけどなんせ暴れた。正確にいうとそれくらいしか出来なかった。明るい方を目指して泳げとかてなってるけど、残念ながらビジュアル的なものの記憶は全くない。雪の白さとか光ではなく、言うなれば暗闇。目を開けてらんなかったんでしょう。そうこうすると流れが落ち着いてきた。 マッキー、シマさん、どこに居る?2人の名前を叫ぶが雪崩は再加速。 あずき沢はうねりがある。うねりの上を乗り越えて雪崩はさらに落ち出したのだ。空荷のマッキーはここで止まったようだがザック背負ってるワタクシはまだ残業。「そーいや俺とシマさん、ビーコン&ゾンデ置いてきたゾー。直前で持ってくのやめたゾー」と思いながら再び流され始めた。 けど流されてながらどこか安心はしていた。「確かもう強い傾斜ではなくなる。ベストは仰向けで雪崩の上に乗っかる事じゃないかな?」とばかりにもがくもがく 予測通り加速は落ち着き、もがいた甲斐あってなんとか雪崩の上に出られた。最後は体育座りでしばらく(50mほど)流されてた。人はこういう時、茫然自失となるものらしい。ハッと我に返り、すぐ横を見る。3mくらい移動すれば雪崩外に出られそうだ。ビチビチと魚のように雪上を跳ねて脱出。 マッキー、シマさんどこだ?ここはどこだ?とばかりに周りを見渡したがここまで流されたのはワタクシだけだったようだった。上見て愕然。白出のコルが遥か先に見える。どんだけ落っこちてんだ俺。200mほど上に人々の塊が見え、喚き声が聞こえる。マッキーとシマさんはきっとそこに居るんだろうと考え登り返す そうこうすると色んな物が流れてきた。帽子、ピッケル、水筒、ザック、服、なんかポシェットみたいなの。手の届く範囲のは全部回収したが遠くのはまだ流れてるので手を出せない。ワタクシの物らしきグローブも遠くを流れていた。 果たして皆と再会し、無事を確認しあった。人々がほぼ止まった地点を過ぎてなお流されたワタクシは行方不明者として扱われていたようだった。総長はザイテンの尾根上で我々が流れてく様を「人がゴミのようだ」と悠々と眺めていたらしい 50㎝横のマッキーは止まり、ワタクシは流され続けた。違いはなんだろう。恐らくザックの重みとわずかにマッキーがわずかに尾根側に居たから?もしくは最初の余計なジャンプで深い方(流れが強い方)にワタクシが寄ってしまったから? 今回の様に前夜20㎝積もっただけの一般登山道で起こるチャチな春先の表層雪崩でもけっこうな破壊力がある事を知った。厳冬期、バリエーションルートなんかで出くわす雪崩とは如何なるものだろうか。きっと喰らうとどうにもならない。考えたくもない
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