活動データ
タイム
24:49
距離
32.2km
のぼり
1293m
くだり
1292m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る僕が僕らしくあるためには、やはり苦しくても辛くても痛くても、どうしても行きたい場所、行かなければ後悔する場所に行ってくる必要がある。 今年の雪山は右膝負傷により制限され、かなりのストレスがたまっているし、それでもそこには絶対に行かなくてはならない、その気持ちはもう押さえられない……。 誰もいない、涸沢へ……。 ちょうど1年前の今日、ヤマッブへの投稿、ビバ!涸沢……で本谷川最下部ルートの踏み抜き地獄を乗り越えて、命からがらやっとの想いでたどり着いた涸沢…… この達成感たるや今まで経験したことはなかった。 ソロの孤独は馴れてはいるけれど、本谷川分岐の涸沢側への谷の大迫力の恐怖感と時々起こる雪崩の不気味な音、悲しい空模様と、グレーの雲の気味悪い動きを見たり、3歩に1歩は深く踏み抜くし、立ち上がる連続苦痛地獄、ラスト2時間の最高の苦しみ……何度も大声で空に叫んではみるが誰もいないしやるせない気持ち………… しかもザックが24kgオーバーだし本当に辛くて涙が出て来たことを覚えている。 どんなに辛くても苦しくても怖くても、ドーンと迫り来る目の前の穂高連峰涸沢カールに這い上がると、全部忘れる。 今までの苦労も、僕の気持ちの揺れ動きも、心の奥の悩みも……一旦リセットして、この迫力に身が震えてくるのだ。 僕はもう、この限定された期間しか味わうことのできない、寂しくも壮大な涸沢の虜になってしまっていた。 僕のアイデンティティを感じることのできる登山の世界…… 今まで何度も何度もいろいろな景色を見て感動して、自然と向き合いながら、その度に自分表現をしてきたつもりだが、この時期の涸沢は群を抜く感動が得られるのだ。 さあ、時は来た……今年も行こう! この涸沢の話を、2月に八方尾根で一緒に行ったあすかさんに話したら、私も行きたい!連れてって欲しい! と、言われ、今までのあすかさんのスキルと体力と忍耐ならば問題ないので、一緒に行くことにした。 かなりの危険が伴う山行になるので、それ相応の覚悟が必要なのだか、その点についても…… そして、メンタルか殺られてくるので……。 あすかさんの今までの山行のいろいろ、ちょっと前に蝶に行ってるし、ロングと踏み抜き地獄はよくわかっているだろうし、細い体なのに体力はあるし、とにかくメンタルが強い……。 大丈夫だな……。 僕はあすかさんがどこでヘタれるのかちょっと興味があった。 もちろんヘタレたらフォローして涸沢まで連れていくつもりだけど(笑) 2人の涸沢への山行が始まった。 上高地から横尾まではウォーミングアップとザックの重さに馴れる時間。 僕はフル装備でザックは25kgくらい。 余計なものばかり持ってくるからだよ……って今日のバディは手厳しい💦 仕方ないじゃないか……💦 1度ザックをを降ろしたら次に担ぐ行為はスゴくスゴくツラい。 しかも足元は緩く悪いから踏ん張りが効かないところも……。 横尾に着いた。 ここまででツラくなっていたら絶対にこの先たどり着けないだろうから、そこを見極めるためにもこの2時間半は重要な時だった。 2人の体力もメンタルもここまでは良好だ。 そして、この横尾大橋を渡った先からの地獄の一丁目に足を踏み入れようとしていた。 横尾大橋を渡った先を見て、愕然とした。 樹林帯の中まで積もる深い積雪じゃ~ん💦マジか……💦 なんとなくトレースのようなものはあったがとにかくこんな初めから雪が深いなんて…………💦💦 こんなところから地獄が始まるのか……💦 予想外な事態…… 目標時間を3時間はオーバーすることになる……16時に涸沢に着く予定が、19時頃になりそうだ。 去年はまだ雪が無くて夏道が見えていたのでスムーズに歩けていたところなのに。 あすかさんに伝える…… 「そーなんやね……わかった、がんばろう」 勇気の出る言葉だった…… 僕のメンタルよりも遥かに強い。 横尾大橋を渡り、地獄のロシアンルーレットが始まった。 3歩に1歩は深く踏み抜き、深いところで股下まで……。 もはや、当たりまくりのロシアンルーレット……。 あすかさんも踏み抜きまくっているのだか、彼女はなんだか楽しそう……に見える💦 踏み抜いても楽しそうな笑顔の彼女を見ていると、申し訳ないのだがなんだか癒される自分がいる…… おそらく、横尾から8時間かかるだろう…… 本谷橋はどうなっているのだろうか…… 埋まって見えないのでは……?? 本谷から分岐の涸沢ルートの雪は深すぎて頭まで埋まってしまわないだろうか……💦 そんなところに、あすかさんを連れて行って大丈夫なのだろうか…… 心配は膨らむ一方だった。 やばかったら、引き返す……を原則に1歩1歩、歩いていった。 トレースらしきものはあるのだが、そのトレースは夏道コースを辿っていて歩きにくいので、僕が去年歩いた谷底コースを進んだ。 もちろんノートレース。 あすかさんが先行でトレースを作ってくれた。 あすかさんのトレースを踏んでも、僕の重量では更に踏み抜いてしまうので、誠に失礼ながら2回踏み固めてもらった。 おかげて、助かった。 まさに、神トレース! あすかさんはこのトレースを、あすか神トレース!と命名していた。 きっと僕の後ろからくる人は、楽に登れるし、本当の神トレースとなっているからだ。 そんな地獄の苦しみと急登を経て、多分ここに本谷橋があるであろう場所に着いた。 GPSでは、ここに本谷橋がある予定……雪が深すぎてなんにもわからない……💦 どんだけ深いんだろう💦 この先、本谷と涸沢への分岐から、本当の地獄の苦しみが始まるのだ。 あすかさんにいろいろと去年の辛さを伝えこれからだ、という気持ちの引き締めも踏まえ、気合いを入れて進んでいく。 壁のような登り……更に踏み抜き、更に深く埋まる…… あすかさんはラッセルしながらトレースを作っている…… 僕でも苦しいのに、彼女はもっと苦しいに違いない……。 なのにあんなに楽しそうに笑っている。 あすか神トレースを作りながら…… (GWに涸沢に行かれる方は本谷橋から先の谷底コースにある、あすか神トレースを探して歩いてみてください。でもキツいからやめた方がいいかな(笑)) 両側にそびえる山肌が今にも雪崩てきそうな谷底で急登なのにスゴいスキルとメンタルだ。 辛くないのか……?? 苦しくないのか……?? 怖くないのか……?? 後ろからあすかさんを見ても、大きいザックが動いているようにしか見えないくらい、足元も埋まっているのに……💦 きっとズバ抜けた度胸と、持久力をお持ちなのだろう。 僕はもし今回ソロで来ていたら、どうだったんだろう……? これでも涸沢へ行っていただろうか…… 去年の倍以上の積雪とノートレース状態で…… あすかさんが居なかったら、多分、腰まで踏み抜きながら8時間も進めただろうか……いいや、多分、本谷橋あたりで引き返していただろう…… まさに神降臨! そんなことを思いながら1歩1歩進んでいった。 S字にカーブする涸沢までの谷底コース…… 最終コーナーへと伸びる長い直線…… 何度も休憩しながら歩いていった。 両側から迫り来る斜度のキツい壁、涸沢から何かドラゴンでも襲ってきそうな恐ろしい谷底、黒い雲と流れの早い雲……風が穏やかだったことだけが救いだった。 僕は正直キツかった。 とにかくザックの重さと踏み抜く深さにバテバテだった。 あと、どれだけ歩けば涸沢に着くのか、何回も確認していた。 激闘の直線を抜け、最終コーナーへ差し掛かかった。 涸沢が見えてきた。 最終コーナーで休憩をとる。 雲が掛かって涸沢の穂高連峰の半分より下の景色を見上げていた。 ここからが長いのだ。 涸沢が見えてきたら、あと2時間。 2時間も掛かるのだ。 すぐそこなのに……。 ここからは斜度が増してキツい。 めっちゃ疲労困憊の上に、ダメ押しの苦しみ…… わかっているのになんでまた来る?? 僕は変態なのだろうか…… どMだとは思っていたが……。 ってことは、あすかさんも変態なんだなぁ。 あんな綺麗な女性なのに変態なのね……(笑) そーじゃないかと思っていましたけど(笑) あとで聞いてみよう! もう18時になる。 空は暗く、周りが見えなくなってきた。 ヘッデン装着し、足元とあすかさんの明かりだけが頼りになってきた。 ガシガシ登る。 声を掛けながら登る。 たまに叫んでみたり。 調子に乗って、「3回踏み固めお願いしまーす!」 と、言うと、「はぁ~?普通逆だろ」 と言わんばかりに白い目でこっちをみていた😅 なんとか登る。 真っ暗だがもうすぐだ💦 小屋だ! ぼんやりと涸沢小屋が見えてきた。 見えてきたらあと、30分。 それでも何度も何度もニセピークに騙されながら、気合いを入れ直し歩く。 もう、限界だ。 近ければ近いほど、人はもうちょっとに気持ちが萎えて苦しさを増すものだ。 そんな苦しい限界を乗り越えて、ラスト直登で這い上がり……か、涸沢カールに到着した! つ、ついに来たぞ…………カラサワぁ! 真っ暗でなんにも見えなーい! が、明るければ目の前に立ちはだかる穂高連峰涸沢カールがあるであろう。 明日のお楽しみだ! そして、カールテント場には誰もいない……。 僕とあすかさんだけ…… 横尾から誰にも会っていない……。 初めての誰もいない涸沢…… 最高だった。 しばらく味わえなかった感動で涙が出て来る。 僕達だけの涸沢…… 早速テントを張った。 僕のテントだけだ。 ここまでこれたのはあすかさんのおかげだ! 結局僕の方がヘタレだったかな(笑) ひとりなら苦しみに耐えられず引き返していただろう。 連れてきてくれたのはあすかさんの方だった。 神降臨す……! あすかさん、ありがとう。 誰もいない涸沢カールテント場にて、今、今日のこの瞬間、日本最高のテント場にて、僕達だけの涸沢を満喫する。 この先の涸沢の景色は写真とドローンでお届けします! 動画は長くてすみませんが、どうぞご覧くださいませ……❗ 次の日は最高の天気! ビバ!涸沢 2019……‼️ https://youtu.be/KWxv-3n0j-Q
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