活動データ
タイム
06:50
距離
19.6km
のぼり
1988m
くだり
1989m
活動詳細
すべて見るこの日、私以外の家族は皆、鼠浜駅からプロメテウス火山にアタックするとのことで詳細な地図を携帯し、各CTや各種避難小屋の場所等しっかりと下準備をして出かけていった。厳冬期のプロメテウス火山に気が乗らない私に代わってばぁちゃんがポーターとして参戦するとのことだった。 ゴンザス尾根であれはプロメテウス火山にも名前負けはしないだろう、という無意味な対抗心を燃やしながら登山口に辿り着く。NHK施設へと導く杭が赤い頭を随所に覗かせており、その施設を乗越てなお行くと鉄塔が見えてきた。この下には氷川トンネルが走っている。江戸の頃、数馬の切通しができる前に奥多摩と青梅を結ぶ唯一のルート「根岩(ねえや)越え」。尾根筋にはそれらしき岩は見当たらなかったがいつか鳩ノ巣から氷川への根岩越えを歩いてみたいと思う。ゴンザス尾根は明るく静かで景観もなかなか良かった。鷹ノ巣山や日原渓谷、その奥には天祖山の石灰砕石場と背後の長沢背稜がしっかりと見えていた。花折戸尾根との分岐に至るまで指導標は無かったが、道はよく踏まれており、尾根伝いに歩けば迷うことはない。もう大休場尾根を登ることはないだろう。 本仁田山が間近に迫るにつれて傾斜がきつくなり足取りが重くなる。息を切らせてなんとかやり過ごすと山頂手前に伐採地があった。伐採地から見る景色は霞んでいた。山頂で立ちながらおむすびを一つ頬張ると、川乗橋15時のバスを目標に歩き出した。この日の歩き出しは9時半過ぎと大分遅かった。 大ダワに下りそこから鋸尾根をコースにとった。時折現れる岩の連なりが鋸の牙のようでもあり、舟井戸に窪むまでアップダウンを繰り返す尾根全体が鋸のようでもあった。太腿が引き攣る感じに襲われながら鋸尾根Ⅲ峰〜Ⅰ峰を乗り越え、格好のベンチで三度目の小休止をいれた。川苔山はもうすぐそこだった。 青空の下、昼過ぎの川苔山山頂は賑やかだった。娘と同じ歳の頃と思しき小学生が二人もおり、よく頑張ったなぁと心底感心した。山頂の一等席に腰を下ろし雲取山を遠くに眺めながらナッツとみかんを齧った。ここも墓標になってしまったが山名表示が「川乗山」から「川苔山」に変更されたことが好ましかった。若者たちの山飯を楽しむ雰囲気を背中で感じそそくさと山頂を後にした。足毛岩ルートを歩くのは初めてのことであった。以前訪れた時は雪道であり、足毛岩分岐から先で進むべきコースが分からなくなったのだった。周囲をよくよく観察しながら歩いた。振り返ると以前は気がつかなかった表示板が上り方向の木の上にくくりつけてあったのを認めた。私と同じようにルートを見失う人が一定数いるということだろうか。雪でなければ道を見失うことはなさそうである。 川乗谷エリアに入ってからはより慎重に足を進めた。美しい山名板を一目見ようと百尋ノ滝山へ立ち寄った。西に傾いた日が山名板を優しく包んでいた。山頂から戻ると若者二人組が休憩していた。妙ところから現れた私を見て、この先は景色がいいのか?と訊ねてきた。地図には名が無いマイナーピークだが山名板が美しい。折角だから是非ご覧になってみてください。と言葉を交わしてその場を離れた。細い谷筋の道には以前よりもロープが多く取り付けられていた。ロープの取り付け位置は大人用の高さにあり、やはり子供が歩くことは想定外のようである。夏に家族で訪れた百尋ノ滝へ立ち寄った。万雷の轟音と飛沫の中に一片の虹を見た。
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