活動データ
タイム
08:08
距離
13.1km
のぼり
1460m
くだり
1462m
活動詳細
すべて見る年の初めに雲竜渓谷の氷瀑を見に行った時、砂防ダムから見上げた女峰山が抜群にカッコ良く、これは暖かくなったら登らねばと思っていた。しかし、悪天候やら仕事やらでタイミングが合わず、気が付けばもう11月、そろそろ雪に閉ざされる季節である。まぁ来年でも良いかと思い始めていたところ、金曜日の午前中、嫌なプレゼン前の準備で鬱々と過ごしていたところ、友人から天狗岳の頂上から満足げなコメントとともに写真が送られてきた。タイミングが合わず一緒に行けなかったという経緯もありムキー!となり、腹いせに天狗岳に対して女峰山でアンサー、というちょっと大人のマウンテンジョークをやりたいがために急遽女峰山へ登る事にした。人間、何がモチベーションになるかわからないものである。ちなみにプレゼンは、山に気が散ったお蔭で肩の力が抜けた良いプレゼンができたと思う。 プレゼン後の打ち上げで今回も二日酔い気味。起き抜けに一発VOMITしてから、東武日光線の浅草始発で日光へ向かう。日光は片道2時間半と丹沢・奥多摩と大差はなく意外と近い。精神的距離はあるが。という事で、車窓から登る朝日を眺めているとあっと言う間に日光に到着。 女峰山へのルートは、修験の道として使われた東照宮横から黒岩尾根を延々と5,6時間登るクラシックルート。霧降高原から赤薙山を経て女峰山へ登るルート、主にこの2ルートだろう。本当なら霧降高原から登ってクラシックルートへ下りたいところだが、もう日が短いので今回は霧降高原からのピストンする事にした。 霧降高原行きのバス出発まで5分しかないのでダッシュでバス停に向かうが、並んでいるのは5人程度紅葉が終わっているとは言え少ない。湯元温泉方面行きも似たようなもんで、紅葉の偉大さを実感する。 東武日光から霧降高原まではバスで30分程。ちなみに4~11月しか運行していないのでご注意を。霧降高原につくとレストハウスはまだ開いていなかったので、少し離れた駐車場にある24時間トイレを借りて身支度を整えてから出発。雲一つない晴天に気分は最高。最初の難関1,450段の天空回廊をガツガツと登っていく。 20分程かけて汗だくで登り切った。階段の終点にある展望台で水分補給&ストレッチをしてから、最初のピーク赤薙山を目指す。少し登ったところからキスゲ平を振り返ると、茶色がかった草原と青空のコントラストがキレイだった。左手には男体山も良く見え、また雲竜渓谷を見下ろしとても満足な気分だった。 シカよけのゲートを超えると熊笹が一面に生える幅の広い尾根道。見た目は綺麗だが、熊笹の中を細い道が無数に走っており、あまり使われていない道を使うと石が多かったり大きな段差があったりとけっこう歩きにくかった。良く踏まれた濃い道を通るのが吉だろう。 熊笹ゾーンを超えると徐々に尾根道が狭くなり赤薙山に向かって傾斜も増し山道っぽくなってくる。出発から1時間ほどで赤薙山へ到着。絵に描いたような地味山頂だが、葉が落ちたお蔭で男体山が良く見えた。 赤薙神社に登山の無事をお願いして次のチェックポイント奥の院に向かう。ここからは岩の痩せ尾根やちょっとした急登が続く。そして山道はストレスフルな大きな段差&霜柱が溶けてできた泥濘に足を取られるで歩きにくく、この辺りから消耗が激しくなる。30分程で赤薙奥社跡に到着。ここも特に見るものはないので少し休憩して先を急ぐ。 奥社からは一旦グッと下がって、ガッと登り返す。高低差は50m程度だが見た目もっと派手なアップダウンに見え心を削られる。アップダウンを制すとここから一里ヶ曽根独標まではこのコース唯一のほぼ平らな尾根歩きゾーン。右手には尾瀬の山々や既に雪山になってる上越の山が見える景色は最高。そんな感じで30分程平和な山歩きを楽しむと独標に到着。しかし、ここに到着した瞬間、平和な時間の終わりを知る事になる。ここからは女峰山山頂へ続く稜線を一望できる。その刺激的なアップダウンを見て心が折れる人も多いのではないだろうか。私は心が死んだ。 10分程休憩して覚悟を決め、地獄の入り口である大きめのアップダウンを下る。下ってしばらく登り返すと水場があった。水は十分にあったが、美味しそうなので空いたペットボトルに汲んだ。しかし、ここの水が若干怪しい感じで飲んだ後しばらくしてからお腹がゴロゴロしはじめた。。。それと私はやはり高所に弱いようで、足も体力もまだまだ有るのに、息苦しく急激にペースダウンし始めた。心臓も痛い。 2,300mを超えた辺りから高度限界を超えたのか背の高い樹木が無くなり岩っぽい山道に変わる。独標から見た稜線の尖ったエグい部分は近づくと更にエグい壁の様な傾斜で心が折れた。上から下りてくる人は、登りのキツさをわかっているので「きついよねー、でもこれが最後だから」「頑張って」と声を掛けてくれる。キツい山ほど人は優しいよなー。浮石を落とさない様に気をつけながらノロノロと登り切る。すると少し先に同程度の壁が見え、さっきのオヤジ嘘つきやがったなー!と憤怒。もう、この頃には眼の光は消え友人にセクハラ紛いのマウンテンジョークを送る使命感のみで登っていたと思う。ネタに命をかける。アホらしいと思うかもしれないが、関西人とはそういう生き物だ。 更にキツイ急登を超え、何とか予定通りに登頂。岩に腰かけしばらくは明日のジョー状態。息が整ってからサーモスに入れてきた豚汁を食べる。暖かい。冬山で食べる汁物最高。食事のあと、山頂へ登ったが、奥日光方面は残念ながらガスって何も見えなったが、尾瀬、上越方面は良く見えた。それと魅力的な稜線の先に帝釈山が見え、目測で往復1時間ちょっとぐらいの感じだったがそんな余裕があるわけもなく次の機会にしておく。 40分程ゆっくり休憩し下山を始める。登りのアップダウンは下りもアップダウンだし、下りでスピード出せそうな山道でもないので、終バスまで意外と余裕ないかもなーと、時間管理に気をつけて下る。 やはり登り程では無いが、下りのアップダウンもキツい。疲れた体にこたえる。山頂から独標まではアップダウンに体力を奪われ、そこから先は下りにくい山道に難儀してボロボロになりながら下った。段差の大きさと霜解けの泥濘の最悪のコラボで何度も滑りそうになった。登りは鬱陶しいぐらいだったが、下りは本当に危なかった。ストックが無かったらヤバかった。身長175cmの私でさえ難儀したので、女性などはもっとキツいのではないだろうか。そんな感じで、赤薙山を抜け熊笹ゾーンに帰ってきた時は心底ホッとした。が、熊笹ゾーンも迷路のような小道でダメなルートばかりを選択してしまったらしく、石に躓いたり段差から落ちたり滑ったりと散々な目にあわされた。濃い霧に覆われた地獄のような景色の中、独り喘いでいた笑 そんな感じだったので、シカよけゲートを超えてキスゲ平に戻った時には生還した感があった。うんざりする様な天空回廊の階段を降り切ってレストハウスに着くともう16時半になっていた。多目的トイレで急いで着替えを済ませてバス停に戻ると16時45分で終バスの10分前。本当にギリギリだった。。。しかし、下山開始時に山頂にはまだまだ人は沢山いたし、下山中に2,3人にしか抜かれていないので、皆さんどうしたのだろうか。 寒さに震えながら16時55分のバスで下山。そして東武日光駅周辺は毎度の事ながら食べるところもなく、駅弁も売り切れで歌舞伎揚げとビールで凌ぎ、腹ペコのまま帰路へ就く。浅草に帰りごはんにありついた頃には、疲労で茶碗を持つ手が震え、傍から見れば完全に不審者であっただろう。
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