活動データ
タイム
08:25
距離
22.1km
のぼり
567m
くだり
476m
活動詳細
すべて見る★行程ダイジェスト★ JR 五条駅→宇野峠→近鉄 下市口駅→近鉄 六田駅→吉野神宮→金峯山寺→近鉄 吉野駅《帰宅》 昔の人は結願後、徒歩で高野山へ参ったはず。だからボクも徒歩で行く。その行程の、四国を出て4日目です。 今回は、五條から、吉野へ。 主治医の許可および治療に資する旨の助言は得て行っています。念のため。(知ってる人が見ると、邪推されますので。) 【道の選定】 途中まで南海道で、途中から吉野方面へ向かうわけですが、現実的に下市口方面へ抜けるのに、適当な登山道もないようで。宇野峠を越えることとし、国道370→309→169を軸に、できるだけ脇道を通る形を取りました。このあたりは、伊勢南街道と呼ばれるようです。 伊勢南街道については、以下のサイトを参考にさせていただきました。 http://asait.world.coocan.jp/map/ancient_road.html 【病気とのお付き合い】 うつ病の病名を持っていますが、ボクはそんなに重い方ではありません。それでも、波はあります。今年は花粉の飛散がひどく、3月ごろから活動できなくなっていましたが、その後、病気以外に今抱えている問題の関係もあって、気持ちが全然動きませんでした。 波の小さなうつって、気づきにくいなと思うのです。でも、確実に影響はあって、例えば、食べたいものが思いつかないのです。簡単に摂取できればなんでもいいという感じ。時間つぶしになにか動画など見ても、長続きもせず、最終的には寝て時間を潰していました。そんなふうになってきて、ようやく、「ああ、沈んでいるのか」と思い至るわけです。 人の羨む「時間がある」生活ではなく、何ら充実せず、なんとか時間をやり過ごす日々です。ただ、波はどこかで去るものだと経験からも思っていたので、じっと耐えていました。 【エイッと】 多分、歩きに出ないと解決しない、回復しないとわかっていたのですが、6月はとにかく天候が味方せず。四国だと、事前に宿も予約するし、雨でも歩きます。しかし、電車で日帰りの行程で、雨に濡れてまで…とは思いませんでした。うつからの復帰にそれはハードルが高く。 とはいえ、ズルズルしていると熱中症との戦いがより厳しい酷暑が来ますから、時期を見計らっていました。 7月3日、所用にて、ほぼ一日がかりのドライブで篠山に出かけましたが、翌日は奈良方面も晴れと調べていましたので、「行くか!」という気になりました。幸い町区間なので、飲料食料、諸々は現地調達できますから、何も考えずにとにかく行こうと。 【早い夜明け】 多少不眠気味であったり、波があったりで思っていたのですが、夏が近づくに連れて、空が白んでくるのは結構早いですよね。最近だと4時半頃にはもう結構明るい。冬遍路のほうが得意だし、機会も多かったのであまり意識していなかったのですが、活動時間が長く取れるのは夏の利点ですね。 朝が早いと、プランター菜園の収穫も早くからできますしね。 JR五条駅に最も早く着くには、自宅最寄り駅を5時59分に出る形に。前回あたりはまだ真っ暗な中出ていましたが、ほぼ6時で良いなんて、なんて楽ちんなんだと思っていました。 【南海 なんば駅】 南海なんば駅は、幼少期の思い出がある駅です。やってきた電車が当時からあったであろう1枚扉なのが嬉しかったです。 前回、「寒い」と書き出しているのが面白いですね。なんば駅での電車待ちで、寒かったんですよね。時の流れを感じます。 高野線で橋本へ。JR和歌山線で五条へ。五条には7時40分頃に着きました。 【爽やか軽やか】 駅を出て歩きはじめますが、まだまだ涼しく、復帰できた高揚感もあって、爽やかに、軽やかに歩いていました。 経路上最初のコンビニで、冷凍飲料と食料を調達。本当はスポーツドリンクの冷凍飲料が欲しかったのですが、残念ながら売り切れ。峠を超えて、下市口付近にまたコンビニがあるのは調べていたので、ここでは冷凍の麦茶を2本だけにしておきました。水=重量ですもんね…。 あとは、食料。朝食はすでに済ませていましたが、夏の歩きはとにかく消耗しますし、石鎚山行の今宮道での苦い思い出もありましたので、もう買っておきました。いつでも食べられるように。 【謎の矢印、謎判明】 加太から時折見かけていた、矢印シール。四国ではおなじみですが、微妙にデザインが違う。ずっと西国用ではないかと思っていたのですが、槇尾寺方面への西笠田を越えた辺りにもまだあって困惑していました。しかし、今回、目的がわかりました。 初めて、矢印シールの上に、『遍路道』の記載のシールが。高野山へは、『町石道』『京大坂道』辺りが現在メジャーなのだと思うのですが、ボクのように、性霊集記載に従って吉野経由で大峰道から入ろうとする人も、少数ながら居るのかもしれませんね。 とはいえ、四国内はへんろみち保存協力会が主に貼っていると思うのですが、この辺りのは誰が貼るのだろう?もしかしたら金剛峯寺自体が貼ってたりするのかな? 【桃】 国道168号線から、下市口方面を目指して、宇野峠を越えるべく、国道370号線へ。緩やかな登り坂。休憩を挟まずに登れる程度の緩い登り坂って、やっぱり楽しいですね。とはいえ、徐々に体温の上昇を感じ始めていました。 まもなく宇野峠という辺りで、対向車線に軽自動車が停車しました。運転手さんがこっちにおいでと手招きしている。わたりながら、後ろで止まっていた後続車へ抜いていくように知らせて、車に近づきました。なんと、お接待でした! 「1つ食べた残りで、ちょっと傷があるし、荷物になるけどよかったら。」と、桃を下さいました。ものすごく嬉しい!四国を出て、こんなところでお接待があるとは!四国で歩くときもそうですが、こういうのは物をもらって嬉しいのではないのです。気持ちが嬉しいのです。だから、話しかけてくれるだけでも嬉しい。 話をしていると、ドライブ遍路で四国を回られたことがあるそう。ボクは徒歩原理主義ではないので、「たとえ車でも大変な所あるでしょう?岩屋寺とか」など、話をしていました。カラー刷りの御姿を額装されて、飾っておられるそうです。 ボクは、昔ほどではないですが、うつ的思考の持ち主で、誰もボクになんか興味ないと思ってしまうことがあるのですが、こうして声をかけてくださると、本当に穏やかな気持になります。主治医(この人もお遍路さん)も、「世知辛い世の中、厳しい職業人生の中でも、お遍路に出てふとした時にお接待受けたりしたら、人間まだまだ捨てたもんじゃないと思えるでしょ?」と言われていたりします。本当に。 少しお話して、お別れしました。とっても嬉しかったです。 【暑い】 天気予報は見ていましたが、とにかく予報しにくい最近なので、多少曇ることもあるかなと思っていました。しかし、この日はド晴天。帰宅後にニュースで、各地で今年初の猛暑日だ~なんてやってました。宇野峠からの下りあたりから、かなり暑さを感じるようになってきました。 こまめな水分補給と、ペースを乱さない歩きを心がけながら、時々、解凍かねがね、冷凍飲料を頸動脈や顔に当てながら歩いていきました。そして、思い出していました。去年、コロナで崩れかけたところの復帰戦が真夏だったんですよね(38日目→https://yamap.com/activities/19140962)。あの日はルート選定に失敗して、松山道の高架の下でへたり込んでたなぁと。 復帰戦だし、猛暑だし、とにかく無理することはないと言い聞かせながら歩いていました。そして、小さな目標があったほうが良いなと思い、下市口駅で休憩にしようと決めて、歩いていきました。 【近鉄と吉野川】 小目標の下市口駅へ向けて、間の目当ては近鉄吉野線との合流でした。同じ場所で吉野川も見えてくるはず。 近鉄吉野線は程なく合流していきました。そこまでが結構影のない道だったので、苦労しました。吉野川は、樹間に見えるのですが、きれいに見えるところはあまりなく…。でも、「吉野川」の看板を見ていて、遍路の始まりは(徳島の)吉野川流域よね~と、思っていました。こちらの吉野川は、下流で紀の川になるのですが。 【下市口駅】 最初の小目標、下市口駅に着いた時には、もう結構グロッキーで、空腹も感じていました。朝食が5時半頃なので、約5時間。7時に朝食、正午に昼休憩と変わんないよねと思い、さっさと食事を摂ることにしました。何しろ、下市口駅は近くにコンビニがあるので、ここで食べてもすぐ調達できる。ハンガーノック怖い。 食事して休憩していると、高齢のハイカーたちが駅にやってきました。同じく改札前のベンチで、帰宅の電車を待っていました。そのうち、お一人が話しかけて来られました。四国を出てから、この経路の説明をするのは、結構難儀だなぁと思います。珍しいことしてるんだから仕方がないのですが。他方、登山も遍路も割と平均年齢の高い趣味だからか、若くていいねぇと言ってもらえるのは嬉しいです。2児の父で人生折り返してますけどね…。 近くのローソンでおにぎりを買い、冷凍スポーツドリンクがあったので、悩みましたが4本買いました。その時点で都合4kg背負うことになりますが、復帰の訓練も兼ねているし、あって困ることは絶対にないので、ここは背負うことにしました。この先、吉野から大峰へ上がっていくならば、補給ポイントがないのだからそれなりに背負うだろうし、訓練訓練。 【休憩&休憩&休憩】 下市口駅を出てからというもの、いよいよ本格的に暑くなってきました。天候からしてもこの日の最大目標は「熱中症にならない」以外にはなかったので、休憩できそうな所があれば、とにかく休憩する作戦で行くことにしました。難しいのは、四国の遍路道のように、四阿山・遍路小屋が充実しているわけではないこと。淡路島・加太からここまでの経験から、コンビニや駅舎、公園などを活用しようと考えました。 最初の休憩は、ローソン大淀新野店さん。カフェスペースがあるとありがたかったのですが、なかったので、店先の日陰で地面に座って休憩。この近辺は、ドラッグストア・ホームセンター・スーパーマーケットもあります。逆に、その先は店がなくなります。最終補給ポイントです。 次の休憩は、近鉄六田駅。改札外に待合室があり、クーラーが効いているという。ありがてぇありがてぇです。六田駅から乗るわけではないですが、帰りに吉野線は使うので許してねと思いながら、しっかり休憩しました。 【ルート変更】 六田駅で先のルートを確認しました。最初、吉野神宮に参拝する予定なく、近鉄に並走して吉野大橋をわたり、吉野駅から吉野山に入っていく計画をしていたのです。しかし、神仏両参りが元々の遍路に近いので、吉野神宮を参拝することにしました。吉野神宮駅から吉野神宮って、迂回する感じで距離が…。 マップを見ていると、美吉野橋の付近に『柳の渡し』『六田の宿』の史跡表記。あれ?ということは、古道はこちらかと思い直し、予定を変更しました。 帰宅後に調べ直したところ、六田の宿が大峯奥駈道の起点らしいですね。そして、県道15号線、下千本駐車場を通り、七曲りの上から吉野山に入るのが、歴史的に正しいようですね。良かった良かった。 思いがけず、こういう導きがありますよね。 【氷水】 美吉野橋を渡った先に役行者像があり、参拝。県道39号線を東進、県道15号線に入ります。車道はくねくね曲がっていきますが、ショートカットできる徒歩道がついているので、そちらへ。ただ、車が迂回しているということは当然、それなりの急坂なわけで…。県道15号へ合流したところで息切れして、木陰で休憩していました。 近くの人家で雨戸を閉めるご婦人と目があったのでご挨拶しました。するとしばらくして、そのご婦人がやってこられました。かき氷のカップのような容器に、氷水を入れてきてくださったのです。またもお接待!暑さでへたり込んでいたのですから、もー、感謝感謝です。水はそのまま頂いて、残った氷は、ちょうど空いていた水筒に。解凍されたお茶を入れました。 「この先に行者堂があって、閉めているけど、開けて頂いて構いませんよ。」と教えて下さいました。そっか、ここでは修験者さんが通る文化があるんだなと、だから、素人遍路が通っても、こうしてもてなす文化があるのかもしれないなと思いました。 先のご婦人のご教示どおり、県道沿いに、小さなお堂がありました。中には役行者の石像。開けずとも格子の間から拝見できました。本日の無事を祈念して先へ進みました。 県道15号は、ほとんどが両側を木立が囲んでいて、涼しくて助かりました。 【吉野神宮】 県道15号を黙々と進むと、吉野神宮の表鳥居に着きました。しかしここからが、まだ長い…。分かっていたことですが、消耗が進むに連れ、歩を進めるのは気力が原動力ですよね。とにかく黙々と歩きました。 吉野神宮は明治創建の新しい神社。当然、お大師様はお参りされては居ませんが、現代におられたならば、当然参拝されたことでしょう。しかし、人は全然居ませんでした。 参拝後、御朱印を頂いたのですが、宮司さんが話しかけてこられたので、この日の行程の話をしました。いつでもそうですが、「歩いてきました」というとたいてい驚かれます。それだけ、長距離を歩くという文化は、廃れているのかもしれませんね。 【60%】 吉野神宮を裏鳥居から辞去して、次の目標を下千本駐車場に定め、県道をまた、黙々と歩きました。多分、四阿山があるかなと。思惑通り、ありました。しかも、中央に床机がある。 体の60%は水分といいますが、長距離歩行でマメができるメカニズム(歩く→体の水分が下半身へ→下半身がむくむ→摩擦でマメになる)を教えていただいたのは、遍路始めた頃だったでしょうか。逆に言えば、横になれば、均衡は戻るわけです。 観桜シーズンでない、猛暑の午後、誰も四阿山には居ません。そんなわけで、遠慮なく横になりました。吹き込む風が心地よく、体を冷やしてくれました。 近くの土産物店のご主人が声をかけて下さいました。今日は五條からと伝えると、ご主人は昔、試しに橿原神宮からここまで歩かれたことがあるそうです。距離は五條とだいたい同じ。「ボクも挑戦するのは大好きや。」とおっしゃっておられました。歩いておられる様子から、現役ではなさそうですが、昔はたくさん歩かれたのかもしれませんね。「この辺は涼しいでしょ」と言われたのですが、いや、流石にこの日は暑かったです。風があるので助かりましたけど。 【金峯山寺】 この日の最大の目標は金峯山寺でした。下千本駐車場を出ると、また黙々と登っていきます。道中の国道で煎られてきた上での登りなので、開始早々の宇野峠のようなウキウキした気分ではなく、まさに修行でした。 仁王門は修繕中で残念でしたが、蔵王堂(本堂)はとても立派でした。どちらかというと、景色に感動することが多いので、お寺で感動ってあまりしないのですが、ここは特別な感じを受けました。修験道の一大聖地ですから、歩いて巡礼する人間にとっては、特別ですよね。 【今宮道の教訓】 次回、大峰へ入るのですが、前泊を予定していて、泊まりたいと思っている宿の近くまで歩いておくのが、今日のゴールです。しかし、金峯山寺を出てから、空腹感とエネルギー切れの感覚がありました。しかし、目標はあと少し。 幸いだったのは、その目標地点が、思ったより手前だったことです。そこからは引き返して吉野駅を目指しました。 今からでも食べたほうが良いか、しかし、ただ帰路につくために、駅へ向かって下るだけなんだけど…と逡巡していました。休憩に適した場所がないというのも悩みどころでした。しかし、銅の鳥居まで来たところで、もう少しと油断するより、食べようと思いました。今宮道の教訓ですね。 銅の鳥居周辺にはベンチがありますが、開けたところなので日照が…。かろうじて石灯籠の日陰になっているところがあって、そこで休憩しました。せっかく歩いていても、飢えを感じながらフラフラ歩いても楽しくないですしね。 おにぎりを食べたあと、そういえばどら焼き買ってた!と思い出し、食べました。甘いものは良いですね! 【無事がいちばん】 食べて元気100倍…いや、1.5倍?ぐらいにはなったので、吉野駅へ歩いていきました。七曲りは歩き用のショートカットがあって、スムーズに降りていくことができました。一部ザレていたので気は使いましたが。 散々休憩しながらようやく到達した吉野駅でしたが、帰宅後のニュースで、今季初の記録的猛暑なんて言われた中を、熱中症になることなく無事に終えられたら、それ以上何を望むものかと思いました。 4か月のブランクはもちろん堪えましたが、経験自体はしっかり体に残っているなと、そう思いました。あれだけ休憩しても、速度も遅いわけでもなく、20km超を歩いたのですから、十分ですよね。 がんばった、自分。 51日目 22.1km 51日トータル 1,389.8km (参考:新幹線 東京→入野1388.7km・新大阪→新函館北斗1,339.1km ※実キロ) ※鹿児島中央からは指宿枕崎線 生涯歩行距離(※1) 1,573.8km/3.9% 生涯獲得標高(※2) 34,768m/34.8% ※1 2018.12.5四国遍路1回目開始後の四国遍路分+2022.5以降の記録分。生涯目標は4万km(地球一周) ※2 2022.1.22 YAMAP利用開始以降分。生涯目標は100km=10万m(地上から宇宙までの距離) 四国遍路まとめページ→https://yamap.com/moments/485074 《参考》 前回の四国遍路は↓です。 https://yamap.com/activities/22726130 四国歩き遍路 此方紀州彼方大和【高野山へ 南海道 粉河→五條】(50日目)
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