あのはな 鳩吹山 2023-05-06

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない（挨拶） （所感） 白い花を探して鳩吹山と天神山～両見山(西山)を周回する。テーマつきの山行はわたしの指向するところ。だったらディープでいいんじゃない？ 最近の記録にたびたび登場する白い花。気になってしかたがない。形態はズミに近いが、ズミが尾根上部に生育するだろうか？また、ズミにしては深裂した葉が一枚もないのも気になる。 https://yamap.com/activities/23882151 おまんは誰じゃ？ 実物を見に行くしかない。どこにあるのか分からないが、ぶわーっと咲いているそうだから、きっと行けば見つかるだろう。 真禅寺口から鳩吹山（大天神）に直登。かつて山火事に見舞われた山腹は見事に復活し、ちょうどツツジ類やガンピの花盛り。しかし、地肌に露出したチャートも相まって、いかにもやせた尾根にみえる。大天神までは一足の間。雨が近いせいか、人出は少ない気がする。眺望はほとんどない。 早々に辞して西尾根に向かう。魅力に満ちた枝道がそこかしこにあり、ふらふらと入り込みたくなる。特に今は通行止めになっている北陵の岩場ルート。木曽川に向かってダイブするようなコース取りは、爽快の一言に尽きたのだが。 しかし、俺たちの本番はこれからだ。 お目当ての白い花は、西山を望むやせ尾根に、楚々と咲いていた。花の盛りは過ぎているがほぼ完体。これが同定できなきゃ名が廃るから、久々に全力で参る（が、読み飛ばしを推奨する）。 バラ科の中で、子房下位な（花弁よりも子房が下にある）のはサクラ属にはない特徴。常緑や複葉ではないから、ナナカマド属（の多く）、シャリンバイ属、カナメモチ属はここで脱落。花が束状に集まっていて小花柄が長いから、ボケ属が脱落。残るナシ属とリンゴ属の違いは、花柱の形態。こうなったらしかたがない！ルーペを出して本気も出す。 花柱は基部で合着しているから、リンゴ属に決定。リンゴ属の中では、展葉のしかたと葉の分裂の有無でカイドウの仲間とその他に分かれる。この子は幼葉が二つ折りで3裂した成葉があるから、カイドウの仲間が脱落した。この時点で、野生種ではズミとオオウラジロノキに限られた。見た目が明らかに違うので、オオウラジロノキではないのだが、念のため確認する。 〇短枝はしばしば刺状となり。若枝は赤褐色、白軟毛がある。⇒確かにある。 〇葉は短枝につくものは全縁、長枝につくものはしばしば3-5中裂。⇒花の盛りだと短枝だけだから全縁しかないけど、長枝が伸びはじめた今は3裂した葉が確認できる。 〇葉の長さ3-10cm、鋭い鋸歯または重鋸歯があり、側脈は3-7対で先端はやや不明瞭。⇒そのとおり 〇花は白色ではじめ紅色を帯び、径2-3cm、4-8個が短枝に散状につき、5-6月に咲く。⇒そのとおり ∴この子は「ズミ」である。 （結論）この植物は間違いなく紛れもなく「ズミ」である。水辺にあるはずのズミが尾根上にあるのが引っかかるのだが、火事からの復旧の際に植栽されたのかもしれない。 目的は完遂したので、隠れ家のような岩場で鳩吹山の北壁を見ながら昼食を取り、天神山をピストンし、両見山(西山)を経由して周回。これで、喉の奥に引っかかった魚の骨がようやく取れたような気がする。 （登山記録） ■アクセス・登山道 真禅寺の参詣用駐車場を過ぎ、池の横の駐車場に停める。駐車場が狭いので、遅いと林道の路肩に停めることになる。登山口にトイレあり。携帯可。登山道は整備されているので難なく登れる。脇道が多いので、むやみに入らないこと。また、岐阜県可児市側と愛知県犬山市側の連携が不十分で、双方の接続が分かりにくい。 （メモ） 鳥：ホオジロ（sg）、キビタキ（sg）、オオルリ（sg）、クロツグミ（sg）、ウグイス（sg）、センダイムシクイ（sg）、ヤブサメ（sg）、メジロ（sg）、ヤマガラ（sg）、エナガ、コゲラ、ツバメ 植物（木本）：ズミ（花）、カナメモチ（花）、ウワミズザクラ、リンボク、カマツカ（花）、フユイチゴ、クリ、コナラ、アベマキ、シラカシ、アラカシ、ツブラジイ（花）、オオバヤシャブシ（植栽）、ウリカエデ、ヤマウルシ（花）、モチツツジ（花）、コアブラツツジ（花）、ヤマツツジ（花）、ミツバツツジ、ヒカゲツツジ、ネジキ（花）、アセビ、リョウブ（花）、シキミ、ミヤマシキミ、アカメガシワ、エノキ、ヒメコウゾ、アオキ、ハリエンジュ（花）、ジャケツイバラ（花）、クサギ、ガンピ（花）、マルバアオダモ、ヒサカキ、アオハダ、ソヨゴ、タカノツメ（花）、コバノガマズミ、ミヤマガマズミ、イソノキ、スギ（植栽）、ヒノキ（植栽）、アカマツ（花） 植物（その他）：イワカガミ、ホウチャクソウ（花）、ナルコユリ（花後）、ウマノアシガタ（花）、イタドリ、コシダ、ウラジロ、ゼンマイ、ベニシダ 地質：チャート 水分：1L携行→0.5L消費