あおいかぶら 2023-05-02

2023.05.02(火) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
4 時間 36
休憩時間
59
距離
7.7 km
のぼり / くだり
787 / 788 m

活動詳細

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♪この木なんの木、気になる木(挨拶) (所感) 蕪山の見どころは麓にある異形の株杉と、中間温帯と冷温帯が交差する森林帯。白いかぶら、赤いかぶら、いろいろあるけれど、緑葉期のあおいかぶらもいいんじゃない? 登山口で対面の山肌を見ると、萌葱色と濃紺の幾何学模様が息を呑むほど美しい。これは落葉広葉樹林とスギ人工林のコントラスト、人間の営みが築いた生々しい文様だ。 はじめに株杉コースに向かう。話には聞いていた。この異形は、度重なる雪上伐採に耐え、スギが脈々と息づいてきた姿、というか、なれの果て。雪上伐採をしたのは、その方が麓に運び出しやすかったから。これは生活の知恵。幹が林立するのは、日本海側のスギが萌芽や伏条の性質を持っていて、土台となる株部分が普通のスギより腐りにくかったから。これは雪の重みに耐えるための植物の適応。でも実際に見るそれは、そんな生半可な知識では処理しきれない迫力があった。ほぉー、とかはぁーとか以外は何も言葉が出てこない。例によって先に進めない。 渓流沿いの登山コースはとても瑞々しく、岩々しい。足元に注意しながら、良く踏まれた登山道を行く。頂上稜線に取り付くと、ヒノキ植林地から温帯性の常緑針葉樹林に変わり、コウヤマキやモミ、ツガの林が続く。条件が良いところでは、落葉広葉樹林に取って代わるから、コウヤマキの林がまとまって残っているところは珍しい(わたしが知っているのは南木曽岳の南麓)。 初めてのブナが出てくると、冷温帯域に突入する。仰ぎ見ると、広葉樹の新葉を通過した光がやさしく林内を包み込む。あおいかぶらを満喫する。 植物は土地条件に対応しながらせめぎ合い、さらに長期的な視点でみれば、気候条件が大きく変動し、それにあわせて森林帯が上下する。途中3基の炭焼き窯の跡があり、人がこのあたりの広葉樹林を利用した歴史も垣間見える。植生史に人間の営みまで絡んでくるから森林観察は面白い。 蕪山は周囲の山域から抜きん出た標高ではないから、眺望は山頂までお預け。伐り開きにより森林が切れ、頂上のシンボルツリーが飛び込んでくる。気になる木は、ヒノキであった。 360度の眺望と見渡す限りの緑。遠くの山並み。林道に山腹を切り刻まれた滝波山と白い白山。笠のてっぺんと槍~穂高の稜線。乗鞍や御嶽は、ここ数日の雨でずいぶん雪解けが進んでいる。中央アルプス~南アルプス~恵那山は、霞みながらも何とか確認できる。南側には堂々たる高賀山の山塊。西には釜ヶ谷山や舟伏山が近い。 帰りは旧奥牧谷コースの明瞭な踏み跡を涙ながらにスルーして、自然観察道を経由する。こちらは早々にスギの人工林になり、単調ながらも安全安心な登山道である。植林地の中には、朽ち果てた株杉の名残が点在している。昭和30年代まで行われてきた株杉の伝統的な利用も、効率的な人工造林に取って代わられた。地域の自然と一体となって育まれた文化は、文化を形作ってきたパーツが脱落するとともに、急速に廃れていく(お気楽な冒頭との落差が酷い)。 (登山記録) ■アクセス R256を岐阜または美濃市内から北上するか、郡上市内から西進する。前者は信号機が全くない快適な(眠くなる)ドライブが楽しめる。後者は距離は短いが道が狭隘。関市板取の21世紀の森公園を目指す。全線舗装路。公園の駐車場は広く、きれいなトイレあり。携帯可。片隅には電子基準点(点名:板取)もある。 ■登山道 株杉は必見。周遊歩道で株杉だけを見るのもオススメ。この山域はヒルが多いので、増水期や夏場のおヒル時には、自然観察道(時計回り)を利用した方が良さそうだ。旧奥牧谷コースは利用が禁止されている。 (メモ) 鳥:ヒヨドリ、シジュウカラ、ヤマガラ、ウグイス(sg)、センダイムシクイ(sg)、ツツドリ(sg)、コルリ(sg)、カケス 植物(木本種):ヒノキ(植栽)、ヒノキ(天然)、スギ(植栽)、コウヤマキ(780m~)、ツガ、モミ、植物(木本種):アカマツ、イヌガヤ、ブナ(830m~)イヌブナ、コナラ、ミズナラ(600m~)、シラカシ、ミズメ、アカシデ、イヌシデ、クマシデ、タムシバ、ホオノキ、トチノキ、ヤマザクラ、ウワミズザクラ、ウラジロノキ、アズキナシ、ナナカマド、モミジイチゴ、オオモミジ、ウリハダカエデ、ウリカエデ、イタヤカエデ、オオイタヤメイゲツ、コハウチワカエデ、ヒトツバカエデ、チドリノキ、マンサク、マルバノキ、ヤブニッケイ、シロモジ、クロモジ(オオバクロモジか?;花)、カナクギノキ、ニシキギ属sp、マルバアオダモ、アワブキ、ミヤマハハソ、ツノハシバミ、オトコヨウゾメ(花)、ガマズミ、ミヤマガマズミ、オオカメノキ、ウグイスカグラ、ヒサカキ、ウリノキ、アオハダ、サカキ、ヒサカキ、シキミ、ハリギリ、コシアブラ、タカノツメ、サワフタギ、ユズリハ、サンショウ、コアジサイ、ハナイカダ、ネジキ、シロヤシオ、ドウダンツツジ、ミツバツツジ、リョウブ 植物(その他):ミヤコザサ(~700m)、チシマザサ、ユキザサ(蕾)、チゴユリ(花)、ホトトギス属sp(植物の方)、ウマノアシガタ(花)、ツボスミレ(花)、キランソウ(花)、イタドリ、ミカエリソウ、ヤマブキショウマ、ヤブレガサ、ヒトリシズカ(蕾)、イワタバコ、チャルメルソウ、ウスバサイシン、ヤマルリソウ、オタネニンジン、シハイスミレ、ヤマボクチ属sp、イワカガミ 土壌:700m:溶脱層が認められない、950m:溶脱層あり、乾性ポドゾル 地質:流紋岩類+砂岩 水分:3L携行→1.5L消費

蕪山 萌葱色と濃紺の幾何学模様が息を呑むほど美しい。
萌葱色と濃紺の幾何学模様が息を呑むほど美しい。
蕪山 ウマノアシガタ(花)。キンポウゲが別名。
ウマノアシガタ(花)。キンポウゲが別名。
蕪山 キランソウ(花)
キランソウ(花)
蕪山 ツボスミレ(花)。別名:ニョイスミレ。
ツボスミレ(花)。別名:ニョイスミレ。
蕪山 チゴユリ(花)
チゴユリ(花)
蕪山 はじめに株杉コースに向かう。
はじめに株杉コースに向かう。
蕪山 度重なる雪上伐採に耐え、スギが脈々と息づいてきた姿、
度重なる雪上伐採に耐え、スギが脈々と息づいてきた姿、
蕪山 というかなれの果て。
というかなれの果て。
蕪山 頭では分かっているのだけれど、
頭では分かっているのだけれど、
蕪山 その迫力をココロがうまく処理できない。
その迫力をココロがうまく処理できない。
蕪山 周りのスギも太いのだけど、つい細いと錯覚してしまう。
周りのスギも太いのだけど、つい細いと錯覚してしまう。
蕪山 登山道は瑞々しく、
登山道は瑞々しく、
蕪山 また岩々しかった。
また岩々しかった。
蕪山 炭窯の跡。山中に3基。
炭窯の跡。山中に3基。
蕪山 多雪地の雪圧に耐えきれなくて曲がったスギの根元。
多雪地の雪圧に耐えきれなくて曲がったスギの根元。
蕪山 小さな滝。
小さな滝。
蕪山 岩壁にしがみつくイワタバコ。
岩壁にしがみつくイワタバコ。
蕪山 クロモジ(花)。
葉の大きさからは日本海側要素のオオバクロモジの方がいいかしら?
クロモジ(花)。 葉の大きさからは日本海側要素のオオバクロモジの方がいいかしら?
蕪山 ヤマルリソウ(花)。
ヤマルリソウ(花)。
蕪山 株杉に押されがちだが、岩もでかい。
株杉に押されがちだが、岩もでかい。
蕪山 スミレにそっくりだけれど、ウスバサイシン。
スミレにそっくりだけれど、ウスバサイシン。
蕪山 ちゃんとウマノスズクサ科特有の花もある。
ちゃんとウマノスズクサ科特有の花もある。
蕪山 ホオノキの開葉。キラキラ輝いている。こういう構図好きだなぁ。
ホオノキの開葉。キラキラ輝いている。こういう構図好きだなぁ。
蕪山 コース分岐。
コース分岐。
蕪山 温帯性の常緑針葉樹の林。コウヤマキが優占している。
温帯性の常緑針葉樹の林。コウヤマキが優占している。
蕪山 コウヤマキの実生。成長が遅いのでこれで10年ぐらい経っているかもしれない。
コウヤマキの実生。成長が遅いのでこれで10年ぐらい経っているかもしれない。
蕪山 シロヤシオの葉。均整の取れた五角形。縁の紅色が美しい。
シロヤシオの葉。均整の取れた五角形。縁の紅色が美しい。
蕪山 木の根っこ地帯。オーバーユースによる登山道の侵食を防ぐ工夫を(略。
木の根っこ地帯。オーバーユースによる登山道の侵食を防ぐ工夫を(略。
蕪山 ブナが出てくると、冷温帯域に突入する。
ブナが出てくると、冷温帯域に突入する。
蕪山 何度も仰ぎ見ると、広葉樹の新葉を通過した光がやさしく林内を包み込む。あおいかぶらを満喫する。
何度も仰ぎ見ると、広葉樹の新葉を通過した光がやさしく林内を包み込む。あおいかぶらを満喫する。
蕪山 眺望は山頂までお預け。伐り開きにより森林が切れ、
眺望は山頂までお預け。伐り開きにより森林が切れ、
蕪山 頂上の一本ヒノキが飛び込んでくる。
頂上の一本ヒノキが飛び込んでくる。
蕪山 この山名標のギミックが面白い。
この山名標のギミックが面白い。
蕪山 滝波山と白い白山。
滝波山と白い白山。
蕪山 笠のてっぺんと槍~穂高~乗鞍の稜線。
笠のてっぺんと槍~穂高~乗鞍の稜線。
蕪山 乗鞍岳。
乗鞍岳。
蕪山 御嶽山。ここ数日の雨でずいぶん雪解けが進んでいる。
御嶽山。ここ数日の雨でずいぶん雪解けが進んでいる。
蕪山 南側には堂々たる高賀山の山塊。
南側には堂々たる高賀山の山塊。
蕪山 西には釜ヶ谷山や舟伏山が近い。
西には釜ヶ谷山や舟伏山が近い。
蕪山 二等三角点(点名:松葉)。
二等三角点(点名:松葉)。
蕪山 石塔群は銘が確認できなかった。
石塔群は銘が確認できなかった。
蕪山 旧奥牧谷コースは利用が禁止されている。
旧奥牧谷コースは利用が禁止されている。
蕪山 ユキザサ(花)
ユキザサ(花)
蕪山 微妙なバランスで立っている岩塊。
微妙なバランスで立っている岩塊。
蕪山 なぜか木もれ日が紫味を帯びていた。
なぜか木もれ日が紫味を帯びていた。
蕪山 真新しいクマ剥ぎの跡が痛々しい。
真新しいクマ剥ぎの跡が痛々しい。
蕪山 蕪山のおいしい水。
蕪山のおいしい水。
蕪山 植林地の中には、朽ち果てた株杉の名残が点在している。
植林地の中には、朽ち果てた株杉の名残が点在している。
蕪山 昭和30年代まで行われてきた株杉の伝統的な利用も、効率的な人工造林に取って代わられた。
昭和30年代まで行われてきた株杉の伝統的な利用も、効率的な人工造林に取って代わられた。
蕪山 文化はパーツが脱落するとともに、急速に廃れていく。
文化はパーツが脱落するとともに、急速に廃れていく。

活動の装備

  • その他(Other)
    ICIオリジナル ガッシャブルム5
  • モンベル(mont-bell)
    ガレナパック 30
  • コロンビア(Columbia)
    ナイオベⅥ
  • カリマー(karrimor)
    TC ヒップベルトポーチ
  • その他(Other)
    熊撃退スプレー
  • その他(Other)
    南部熊除け鈴 2連 
  • その他(Other)
    SABRE フロンティアーズマン ベアホーン
  • その他(Other)
    登山ゲイター
  • ニコン(Nikon)
    D5300 /w TAMRON AF18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC LD
  • ソニー(SONY)
    ソニー SONY DSC-RX100M6 [コンパクトデジタルカメラ Cyber-shot(サイバーショット) RX100VI ブラック]
  • その他(Other)
    iPhone 13 mini
  • ガーミン(Garmin)
    eTrex 30x

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