活動データ
タイム
34:40
距離
0m
のぼり
0m
くだり
0m
活動詳細
すべて見る備忘録その6 ヌビナイ川右股沢から、名溪・七つ釜を経由して、上二股で1泊 翌日ピリカヌプリの頂へ ルート/歴舟川支流ヌビナイ川507右俣~790左俣~ピリカヌプリ往復 タイム/28日9時24分昭徳林道左岸P(大樹町市街から23km地点)~10時13分330分岐~10時55分クマの沢分岐~12時55分507分岐~16時15分790分岐C0 29日4時40分~7時25分山頂7時45分~10時30分790CO・11時03分~15時36分507分岐~18時11分330分岐~20時04分林道P ganさん、yamaji、私の3人パーティー 1日目 大樹町中心部から23kmの位置、鹿鳴橋手前から左岸林道を進むが雨裂が激しく、慎重に運転せざるを得えない。 分岐から1km程進んだ先で雨裂は激しさを増し、その先で山から流された砂利で道は塞がれている。 林道がこれほどの核心部だとは計算違いだ。 遂に車を諦めて、ここから歩くことにした。 20分ほど歩いた先で道は殆ど不明になる。 そこから入渓して10分歩いて330分岐となる。 その上に林道があるのを確かめ、分岐に目印のケルンを2つ作った。 ここから507までは実に長く感じる。 午後1時507分岐を右の本流に入る。 ここから790分岐までが噂のヌビナイ川の真骨頂だ。 一旦雨が降れば命ガケの遡行となる。 左岸のトラバースがどれほど危険かは、言葉では説明しにくい。 沢床から2,30m上の頼りない足場を抜ける瞬間に、誰もが神頼みするだろう。 大滝、群青色の釜、先の見えぬゴルジュが連続して続き、渓流美は超一級品だ。 白っぽい石が遠くからは雪の塊に見えるほど美しい。 だが、それを楽しめるのは一部の上級者だけだ。 575で30mの滝が落ち、下は底の見えないプールになっている。 落ちたら浮かんでくるだろうか、とつい余計な心配が先に立つ。 足場はあるが、手で掴むものがない。 以前は無かったらしい、真新しい青いロープが張られていた。 一つの核心部を越える度に精神的疲労に襲われる。 一か所だが雪渓の大きな塊があった。 600の左岸トラバースが一番の危険個所だ。 長さ僅か10m弱だが、足場手掛かりとも頼りない。 落ち着け、落ち着けと呪文を繰り返す。 途中に古いハーケンとスリングがあり、不安はあるが使わせてもらう。 そこから2mの箇所がまたハラハラだ。 何とか乗り切った。 20mシングル一本では足りず、スリングを繋いで、木に支点を取った。 ここの通過だけで20分近くかかった。 張ったザイルは復路のためにそのまま残置した。 650手前で川は小さく曲がる。 有名な七つ釜にやっと着く。 その先に続く釜の左右にも流木が張り付き見事なまでに荒れ果てていた。 あのコバルトブルーの名渓の面影すら無い。 これも、自然界の成すすべもない現実だ。 何とか16時15分790分岐に着く。 右岸のテン場は辛うじてあった。 テン場で焚火をしながら、夕食に・・・そして明日に備え、20時に寝床の人となる。 2日目 3時過ぎに目覚める。 残念ながら星は見えない。 うどんの残りとおにぎりで腹を満たす。 最低限の用意だけでアタックザックは極力軽くした。 今日一日は体力的に相当キツイことは事前にganさんから伝えられていた。 4時40分ヘッ電(ラテルネ)を点けてテン場を後にする。 790の左俣に入った途端谷間が狭まり、釜やゴルジュが続く。 直ぐに20mの斜滝が出る。 足元の暗い中、慎重に左から巻く。 10mの滝は中の岩を直登した。 2段20mの滝に続いて、10mの斜滝だ。 840分岐の右俣は10mのゴツゴツした滝になる。 875で放射状の5mの滝だ。 930分岐は1:1で右を取り、955からは黄土色のナメ滝が50m続く。 3mの滝の上直ぐに5mの垂直の滝だ。 落ち口で1mの幅が途中から30CMになり、凛とした佇まいだ。 4mの滝下ではノミで深く彫ったような釜が、青く澄んでいる。 1220は4俣になっている。 右から2つ目はガレで埋まり、伏流となる。 それが山頂へ向かう沢だ。 上空には雲がかかり、対岸のソエマツも姿を隠す。 6時45分1390で水を汲むと1425で流れは消える。 素直に沢を詰めて行くと藪漕ぎもなく、山頂西の1600の稜線に出た。 ガスが立ち込め、風が強い。 踏み跡を5分辿り、1631のピリカヌプリの頂に立つことができた。 山頂には看板もない、テープもない、三角点だけの質素で地味な山頂が確かにあった。 延々と沢を歩き続けた者だけがその価値を知る。 風が強く寒くてゆっくり出来ない。 早々に写真を撮って、テン場まで下山する。 そして、テン場を出たのは11時だ。 まだこれからが正念場。 一番の核心部ではザイルの回収に手間取る その後の七つ釜からの右岸巻きでも苦労する。 往路では何とか来たのに、復路では怖気づく。 後数歩が前に出ない。 30m下には青々とした大きな釜がある。 一旦戻り、更に大きく高巻いて降りたが、岩の尻滑りもなかなかの手応えだった。 左岸の岩場でも往路は何とかなった場所で、思案が続く。 流木を利用して何とか岩盤を渡り、抜けたが、全員が冷や汗タラタラだ。 507に着くまでテン場から4時間半を要する。 往路以上に時間がかかった。 ゆっくり休みたいところだが、残された時間は短い。 歩けど歩けどクマの沢出合に着かない。 休憩もなしに歩き続ける。 17時50分遂にヘッ電(ラテルネ)を点ける。 18時11分に330分岐に着いた。 林道に上がり、ホットしたのは早過ぎた。 15分ほど歩いた先で、いきなり林道は消失。 どうやら、過去の川の増水で林道が流され、崩壊したものと思われる 闇の中でしかも濃い藪の中、ライトを頼りに全員で道を探すが、全く分からなかった。 最後の手段であるGPSで現在地を確認すると426ピークの直ぐ下で、ほぼ林道上にいることになる。 昼間と夜では理屈では分かっていても、藪を進むことに不安を覚える。 30分近く右往左往していたと思う。 最後の判断は川音のする本流に出て、その先直ぐに西から流れ込む支流を遡れば交差する林道に出るだろう判断。 5分ほど藪を漕ぐと本流に出た。 更に5分下ると確かに左から支流が入る。 5分支流を遡ると、前日の朝、見覚えのある林道があった。 こうして車に辿り着いた時、時計はすでに20時を回っていた。 朝歩き出してから14時間半も経っていたが、何とか無事に着いた。 皆で安着の握手を交わす。 追記・・・ 七つ釜の流木は大変残念だったが、それ以外の渓流の素晴らしさは日本でも有数だと思う。 最初の林道崩落地点から歩くと入渓地点までは1時間半は見ておきたい。 右岸林道の状況は不明だ。 決して安易に入れる沢ではないと再認識する。 相当の覚悟を持って臨むべきと思う。
もしも不適切なコンテンツをお見かけした場合はお知らせください。