春めいて

朝晩はまだ肌寒いが、冷たい風も吹かなくなってきた。山々に、春特有の薄いベールがかかって春を感じだした。 今回は、昭和登山隊の一員として参加させていただいた。隊の編成は、隊長以下５名だ。 雪はまだ残っているから、歩きやすいだろうと思っていたが、序盤から藪に阻まれてしまった。だが、隊長のルートファインディング力により、難なくクリアする事ができたのだ。 春の陽気に、シェルは必要なくTシャツ１枚でも良いくらいだ。休憩の度に後ろを振り返ると、雪を頂いた三倉山の迫力が増してきた。そして、前を向くと観音山の山頂が見えるが、山頂が見えるからこそ、遠くに感じる。 山頂からは、福島の山々を全方位眺望する事ができた。私は、１２年前のあの日の事を思い出しながら、山を見つめていた。 朝は蕾だったフクジュソウも、春めいた気温で下山時には、花を咲かせ季節の移ろいを感じさせてくれた。 ただ今回は、最後に災難に見舞われた。 それは、隊員達しか知らないことにしておこう。